農業被害の種類

農業被害の種類

農作物にとって、適度な天候は無くてはならないものですが、天候に起因して被害を受ける場合もあります。また、自然豊かな土地では、野生鳥獣による被害も多く発生しており、農家を悩ます厄介な問題です。他にも病気や害虫によって農作物が被害を受ける場合があります。これらは、農業技術が発展し、また農家が努力しても避けられないものです。

被害を最小限に抑えるための第一歩として、どのような被害があるのか、規模はどの程度なのか、どのような対策をすべきなのかについて解説します。

自然災害による被害

自然の影響を受ける農業経営において、自然災害は大きなリスク要因です。


台風による農作物被害

被害の特徴と規模

大雨、強風を引き起こす原因として、最も多いのは台風接近です。強風、浸水、冠水等によって、稲・野菜、雑穀・豆類、果樹、工芸農作物等が被害を受けます。

昨年の平成28(2016)年は、台風の発生数は過去5年間の平均26でしたが、このうち上陸したものは6と最多になりました。台風の進路も例年と異なり、北海道に1年間で3つの台風が上陸したこと、台風が東北地方太平洋側へ上陸したことは、気象庁が昭和26(1951)年に台風の観測を開始して以来、初めての出来事となりました。

結果として、昨年の台風による農林水産被害額は1,596億円で、最近5年間で最多となりました。なお被害面積は約78,300ヘクタールとなっています。

近年の台風の発生数上陸数と農林水産被害額
出典:農林水産省ホームページ

台風の事前対策について

台風の進路をよく見ておき、被害が予想される場合は事前に対策をしておく必要があります。

水稲の場合

早生品種で刈り取り可能なものは収穫しておくことが挙げられます。また、中・晩生種は倒伏・乾燥防止のため深めの湛水状態とします。事前に排水路の詰まり等の点検・補修を行い、冠浸水時の速やかな排水に備えておきます。

野菜や花の場合

ハウス栽培の場合、ハウス内に風が吹き込まないように破れた部分は補修し、ハウスバンドや金具を点検して締め直しておきます。露地栽培の場合、支柱やフラワーネットを補強し固定しておきます。直播きで小さいものはべたがけ資材で茎葉を押さえておきます。また、倒伏を防ぐために土寄せをしっかり行っておきます。


台風通過後の対策

台風通過後の対策は大変な作業ですが、作物や状況に合った対策が必要です。以下に対策の例を記載します。

水稲の場合

滞水している場合は排水に努めます。特に、冠水した場合は、葉先や穂先だけでも水面に出しておきます。冠浸水被害を受けた稲においては、水分調節等の機能が弱まっていることから、田面の過度な乾燥に注意します。

野菜や花の場合

こちらも滞水している場合は排水に努めます。500~1000倍の液肥を施用して草勢を回復させます。収穫可能なものは速やかに収穫し、発芽不良の場合は播き直します。

その他の自然災害

豪雨・干ばつや積雪、降霜や降雹(ひょう)

四季がある日本において、最も降雨量が多くなるのは梅雨の時期です。停滞した梅雨前線上を低気圧が通過する影響で、豪雨による土砂災害、浸水害等が発生します。

昨年の平成28(2016)年は、6月初旬から7月中旬までの豪雨により、東北地方から沖縄にかけて広い範囲で大きな被害が発生しました。結果、農林水産被害額は609億円となり、このうち農業関係の被害額は366億円に達しています。

豪雨災害による被害状況(2016)
出典:農林水産省ホームページ

さらに今年平成29(2017)年は、九州北部豪雨に見舞われた福岡、大分各県を中心に大きな被害が出ており、農林水産関係の被害額が1,000億円を超えています。反対に、干ばつによって数十億円の被害が出る年もあります。

ほかにも、積雪や降霜などの冷害によって農作物が低温状態となり、枯死・損傷等がおこります。雪害は、冬の大雪等により、東北地方、近畿地方、中国地方を中心におこります。また、霜というと寒い冬をイメージしますが、霜の被害が問題になるのは春や秋の時期です。他にも、降ひょうによって農作物が被害を受ける場合があります。


昨年の平成28(2016)年度は、冬期の大雪等により、東北地方、近畿地方、中国地方を中心に広範囲に雪害が発生し、農林水産被害額は55億円となり、農業関係の被害額は45億円に上りました。

対策としては、冷害に強い品種の導入が主で、ほかには作物ごとに栽培法の改善等を行います。

地震・火山による被害

大きな地震の場合、農地の亀裂や陥没が発生するとともに、水路の破損による断水が発生します。園芸作物の落果や枯死等の被害も発生します。また、設備が全壊又は一部損壊もおこります。

昨年の平成28(2016)年度は、東日本大震災級の震度7を観測した熊本地震が発生し、熊本県を始めとする九州各県が大きな被害を受けました。そのうち、農林水産被害は1,657億円となっており、農業関係では農作物等が515億円、農地・農業用施設関係が713億円の被害額となっています。


ほかにも、鳥取県中部を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、この地震による鳥取県と岡山県での農林水産被害額は16億円、このうち農業関係の被害額は14億円に上りました。

また、火山活動における降灰等によって農作物が被害をうける場合もあります。

鳥獣に起因する被害

野生鳥獣による農林水産業等への被害のことを、鳥獣被害といいます。収穫の前に鳥獣被害を受けることは、農業を経営する意欲を刈り取られます。また、結果として耕作放棄地の増加等の要因となり、地域全体において深刻な影響を与えます。

野生鳥獣による農作物被害額は、近年、200億円前後で推移している状況です。被害のうち、全体の7割がシカ、イノシシ、サルによるものです。特に、シカ、イノシシの被害の増加が顕著です。以下の記事で詳しく解説しておりますので、参照してください。

<<クリックで別記事に飛びます。効率的な獣害対策の必要性>>

病害虫に起因する被害

病害や虫害によっても農産物は被害を受けます。病害虫にはさまざまな種類がありますが、病気では赤かび病、灰色かび病、いもち病、うどんこ病、べと病などが代表的なものです。害虫はイナゴ、ウンカ、カメムシ、アブラムシ、コナガ、コクゾウムシ、ハムシ、ゾウムシ、ダニ類などが挙げられます。

病害虫のまん延は、農作物に大きな損害を与えるおそれがあります。例えば、平成25(2013)年度には、西日本で9万ヘクタール以上(西日本の水田の約20%に相当)におよぶ水田で、ウンカの一種であるトビイロウンカによる坪枯れが発生してしまい、100億円を超える農業被害額が出ました。病害虫は県境を越えて拡大するため、対策としては、各都道府県が協力して防除を行う必要があります。

もし被害にあったら

⾃然災害等により作物・家畜・園芸施設に損害が⽣じた場合に、共済⾦が⽀払われる農業共済という保険制度があります。具体的な内容や、共済への加⼊⼿続き等については、お近くの農業共済組合等へお問い合わせください。

<Nosai連合会・組合住所一覧はここをクリック>

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