足くくり罠によるシカの捕獲

足くくり罠によるシカの捕獲

ニホンジカは近年、生息分布が拡大しており、個体数も増加しています。それに伴い、農林産物や森林への食害が深刻化しているため、多くの自治体でシカの個体数を減らして被害を抑える必要があると判断されています。

参考記事:シカによる森林被害の実態

個体数を減らす方法として狩猟圧を高めることが選択されますが、多く採用されるのは箱罠やくくり罠による捕獲です。この記事では、くくり罠によるシカの捕獲について説明します。

くくり罠の種類

現在、色々なメーカーから様々なタイプのくくり罠が販売されています。また、くくり罠による成果は仕掛ける人間の技術や知識に大きく左右されることもあり、個人でカスタマイズした罠を設置する狩猟者も多くいます。

くくり罠の分類

大きな分類として、胴くくりと足くくりの2種類があります。その名の通り、ターゲットの胴を括るものと、足を括るものに区分されますが、シカやイノシシがターゲットの場合、足くくり罠が採用される場合がほとんどです。胴くくりは、獲物が早ければ30分ほどで欝血死してしまう場合があり、また輪の直径には制限があるので今はほとんど使用されません。

くくり罠の構造

構造として、ほとんどがバネの力によって括る仕様ですが、バネの種類によって構造が異なります。

  • バネが開くことによって締まる方式(松葉式)
  • バネが伸びる力によって締まる、押しバネ方式
  • バネが縮む力によって締まる、引きバネ方式
  • 作動方式

    筒のなかに踏み込むことによって作動する踏み込み式がほとんどですが、他にも蹴り糸に獣が触れることで作動するものもあります。

    さらに、稼働方向によっても分類され、圧縮した押しばねが上(高さ)方向に伸びあがって括り輪が締まる縦引き式と、バネの力が横方向に働いて括り輪が締まる横引き式、踏み板に付属した枠によって括り輪が上に誘導される跳ね上げ式などがあります。

    以下の動画は、押しバネ跳ね上げ式です。

    罠を仕掛ける前に注意しておきたいこと

    以下のようなくくり罠の使用は禁止されていますので、注意しましょう。

  • 体を吊り上げてしまうもの
  • ワイヤーの直径が4mm 未満のもの
  • 「より戻し」がないもの
  • 「締め付け防止金具」がないもの
  • 直径(楕円形の場合は小さい方)が 12cm を超えて掛けること※知事によって規制は緩和されます。径の制限については各自治体担当課にお問合せください。
  • 1人で 31 個以上のわなを掛けること
  • シカをくくり罠で捕獲するには

    シカを捕獲する際のポイントですが、前提として人間の痕跡を極力無くすよう徹底しましょう。人間の痕跡は、シカの視覚・嗅覚・聴覚によってバレてしまいますので、人間や人工物の痕跡が残らないようにすることが基本です。

  • 罠やワイヤーは丁寧に隠す
  • ワイヤーやバネは獣が歩くルートにかからないようにする
  • 罠に素手で触れたり、人工的な匂いが付着しないようにする
  • わな設置場所に滞在する時間は短く、静かに作業する
  • シカは一般に明るく開けた雑木林に生息しています。このような場所で、シカの足跡や糞、体毛、食痕を探し、最も頻繁に使われていると思われる獣道を探すことが第一歩です。トレイルカメラを使って観察するのも良いでしょう。

    そのような獣道を見つけたら、シカが足を置くポイントを予測します。シカは石や木の枝、倒木など障害物を避けて歩く習性があることを念頭に、シカが安心して足を置くと思われる箇所に罠を仕掛けましょう。獣道を観察してもどれが本筋か分からない場合は、罠の数を追加するのも手です(最大30個まで)。

    とにかく場所選びが重要なので、適切な場所にくくり罠を仕掛ければ、警戒心の非常に強いイノシシよりも容易に捕獲することが可能です。

    また、イノシシをターゲットにくくり罠を仕掛けた場合に、ターゲット以外の獣がかかる場合がありますが、イノシシをターゲットにしている知り合いのハンターによると、ターゲット以外でかかる獣の約2~3割程度はシカだということ。シカはイノシシのヌタ場にも泥浴びに出没するケースが多いので、そのような場所に罠を仕掛けるのも良いでしょう。

    頻繁に角研ぎに使われていそうな場所も罠設置の場所としてねらい目です。

    最後に、日本最高峰のくくり罠師である片桐氏の動画を紹介いたします。達人の仕掛け方や考えが垣間見えますので、ぜひ参考にしてみてください。