害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について

害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について

イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、アライグマ、タヌキなど・・・田畑に被害をもたらす獣は放っておくと、どんどんその数を増やします。その結果、一年かけて丹精込めて作った作物が一夜にして全滅するなど、営農する意欲を絶たれてしまうほどの事態を招くおそれがあります。

個体数を減らせば被害は目に見えて減りますので、数が増えすぎて手に負えなくなる前に、早期の対策を行いたいところです。そこで「最近獣による被害がひどい。鉄砲は何かと大変そうだから、罠による捕獲で反撃だ。」となりますが、日本では必要な免許・許可なしに野生鳥獣を捕獲することはできません。

この記事では、捕獲を始めるための第一歩として、必要となる免許や許可について説明します。害獣捕獲をしたいが、何から手を付けて良いか分からないといった場合は、是非参考にしてください。

野生鳥獣の捕獲は原則として禁止

日本には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(略称「鳥獣保護法」)という法律があります。これによって、日本では野生鳥獣の捕獲が原則として禁止されています。

そのため、たとえ自分の畑に侵入した動物が目の前で作物を荒らしていたとしても、事前に免許や許可を取得していなければ、捕獲・処分することはできないのです。野生獣を捕獲するには、「狩猟免許」と「狩猟者登録」が必要となります。

※モグラやネズミ類は例外で、免許や許可無しでも被害防止のために捕獲することが可能です。また囲い罠による捕獲も、条件を満たせば狩猟免許の取得は不要です。これついては後述します。

狩猟免許の種類

狩猟免許の種類は4種類。第一種銃猟免許(装薬銃・空気銃)、第二種銃猟免許、網猟免許、そして「わな猟免許」です。狩猟に用いる猟具によって必要な免許は異なります。

箱罠囲い罠くくり罠を使う場合は、「わな猟免許」が必要になります。

都道府県が実施する狩猟免許試験に合格することによって、狩猟免許を取得することができます。有効期間は3年間です。

狩猟免許を取得したらすぐに猟ができるわけではなく、都道府県に狩猟者登録を申請し認可されてはじめて猟を開始することができます。狩猟免許試験の申込や、狩猟者登録申請は各都道府県の担当窓口にて行いますが、狩猟者登録の手続きは猟友会に入会すれば代行してもらえる場合があります。

わな猟免許に必要な費用

わな猟免許の場合、必要な費用としては、狩猟免許申請手数料¥5,200に加え、狩猟者登録手数料¥1,800、狩猟者登録税(11/15~2/15)¥8,200のほかに、医師による診断書作成費用や、猟友会費(狩猟事故共済保険込み)がかかり、合計は大体¥30,000程です。なお、猟友会に所属しない場合は、わな保険料なども必要になります。

わな猟による捕獲の条件

前述の鳥獣保護法によって、狩猟によって捕獲できる鳥獣は、イノシシやニホンジカなどをはじめ、48種類に限定されています(※狩猟対象鳥獣はこちらをクリック)。

なお、これらの捕獲鳥獣のうち、アライグマやヌートリアは「特定外来生物」です。飼育、保管及び運搬することが原則禁止となりますので、外来生物法にしたがい、捕獲したらその場で殺処分するか、自治体へ引き渡しをする必要があります。

また、狩猟対象鳥獣であれば一年中狩猟が可能、というわけではありません。狩猟期間は一般的に毎年11月15日~2月15日です。都道府県によって狩猟鳥獣や狩猟期間は異なりますので、狩猟者登録をする都道府県に事前確認しておきましょう。

有害鳥獣捕獲の申請について

たとえば、近年サルによって作物が食い荒らされるような被害が多くみられています。今年のはじめ、金沢市辰巳町の畑で、サル約40匹が作物を食い荒らしているのが目撃されるなど、被害が深刻になる可能性のある事例も散見されています。

しかしながら、ニホンザルは非狩猟鳥獣です。そのため狩猟によって捕獲することはできないということになります。こういった場合は、「有害鳥獣捕獲」の許可を申請するという方法があります。

被害が深刻で、柵などによる防除を実施しても被害を防ぎきれない場合、被害者または被害者から依頼を受けた捕獲従事者が、「有害鳥獣捕獲」の許可申請を行います。

この許可を受けた人は、許可にあたって指定された非狩猟鳥獣を捕獲できます。※この場合、捕獲できる期間や場所は指定されます。期間は通常1年以内です。法定猟法以外が可能な場合もあります。農林業や生態系への被害防止を目的として捕獲する場合に限られます。

有害鳥獣捕獲の場合も狩猟免許の取得は必要です。有害鳥獣捕獲の申請は個人でもできますが、一般的には自治体が猟友会に依頼する形で有害鳥獣捕獲対応をしている場合が多いです。申請先は、捕獲する鳥獣の種類によって異なりますので、詳しくは捕獲を行う区域の自治体に問い合わせるとよいでしょう。

また、有害鳥獣捕獲の許可を受けたうえでの話ですが、自治体によっては、イノシシ・ニホンザル・ニホンジカ・ハクビシン・アライグマ等を捕獲した方に対し、有害鳥獣捕獲報償金が交付される場合もあります。

免許不要で捕獲できる囲い罠設置の条件

農林業の従事者は、県または市町村の許可等を受けずに、「囲い罠」を用いて野生獣を捕獲することができます。ただし、以下の4項目すべてを満たす場合に限られます。4項目すべてを満たさずに、野生鳥獣を捕獲した場合、法律に違反し、罰則規定が適用されることがありますので注意しましょう。

1.使用する猟具が「囲い罠」であること

「箱罠」や「くくり罠」など、囲い罠以外の罠は使用できません。なお、檻などで作られた箱の中に獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込める罠のことを箱罠と呼びますが、天井面の半分以上が開口しているものは箱罠ではなく囲い罠として扱われます。※参考記事:箱罠について詳しく知りたい

2.「自らが事業として行っている」作物等の被害防止目的であること

事業(販売等)目的でなく、専ら自家消費のために栽培している作物等の被害防止では認められません。自らが事業として行っている作物等の被害防止目的で使用する場合に限り、「囲い罠」は法で定める猟法から除外されます。

3.捕獲する鳥獣が「狩猟鳥獣」であること

「囲い罠」で捕獲できるのは、狩猟することが認められている狩猟鳥獣に限られます。その他の野生鳥獣を捕獲することはできません。

4.「狩猟期間」に「狩猟可能区域」で捕獲すること

捕獲できるのは、「狩猟期間」に、鳥獣保護区や公道など狩猟が禁止された場所を除く「狩猟可能区域」である場合に限られます。

イノホイおすすめの囲い罠はこちら>>

さいごに

捕獲によるメリットは、被害が目に見えて減ることはもちろんのこと、個体によっては食肉にすることもできますし、鳥獣被害によるストレスが軽減されるのが何よりのメリットです。

鳥獣被害は一朝一夕には解決できないですが、必要な免許・許可を取得して解決のための第一歩を踏み出しましょう。