新・イノシシ対策。

新・イノシシ対策。

イノシシによる農作物被害は、年間約50億円ほどに達しています。イノシシは繁殖力が高く、統計手法を用いた環境省による野生鳥獣の個体数推定結果によると、イノシシの個体数は30年前のおよそ3倍になっています。

個体数が増えると、その分農作物の被害も増えますが、作物の被害だけでなく農家の営農意欲も奪いとられるため、離農が増える結果となります。そのため、イノシシ対策として多くの自治体で罠の設置などによる捕獲・駆除が積極的に行われています。

最近では捕獲・駆除だけでなく、田畑や家の庭、生ゴミ置き場などにイノシシを寄せ付けないための新しい対策も行われるようになってきています。この記事では、そのうちのいくつかを紹介したいと思います。

オオカミロボット「スーパーモンスターウルフ」

イノシシを田畑などに寄せ付けないための対策としては、電気柵などの防護柵を設置することが一般的です。しかしながら、イノシシは学習能力が高く、「この柵は入ることができる」と学習すると、多少の困難はものともせず柵を突破しようとします。柵はイノシシから田畑を守る最終防衛ラインであるため、突破されると直ちに新たな対策を講じる必要が出てきます。

そこで出てくるのがイノシシを寄せ付けないための威嚇対策ですが、単純な威嚇装置ではイノシシが慣れてしまい効果がなくなってしまいます。それを踏まえ、北海道奈井江町の太田精器が開発したのがオオカミロボット「スーパーモンスターウルフ」です。

装置は全長65センチ、高さ50センチ。機器本体にマスクをかぶせ、外観をイノシシの天敵であるオオカミそっくりに作り込んでいます。50種類以上の多種多様な威嚇音を出すことができ、イノシシが慣れてしまわないよう考慮されています。

また、赤外線センサーで動物の接近を感知すると、目の部分の発光ダイオード(LED)が赤く点滅し、首を左右に振って威嚇します。太田精器は早くからLED鳥獣忌避装置の開発に取り組んでおり、スーパーモンスターウルフにもそのノウハウが活かされています。

イノシシは警戒心が高いため、普段とは異なるものを感知すると回避行動をとります。そのため、スーパーモンスターウルフを田畑周辺に設置すれば、イノシシが近づかなくなることが期待されます。太田精器ホームページ>>

イノシシが嫌がる超音波装置

広島県では、人間の生活圏へのイノシシの侵入が相次いでいます。そのため、市街地にイノシシが近づかないようにする対策を望む声が多くあがっています。

そこで尾道市は、県立広島大学の重点研究事業・地域課題解決研究を活用して、市街地にイノシシを近づけさせない取り組み「イノシシ等有害鳥獣を近づけさせないプロジェクト」を開始しました。

このプロジェクトにより、今月6日に超音波を発する装置が尾道市の住宅地近くに設置されました。この装置は、県立広島大学と民間の企業が共同開発したもので、人の耳ではとらえることのできない周波数の超音波を広範囲に照射できるというもの。所定エリア内に侵入したイノシシを超音波によって威嚇し、逃避させることを目的としています。

過去の研究によって、イノシシは超音波を嫌うことはないものの、特定の周波数においては忌避反応を示すことが確認されており、これまでにも北広島町や庄原市などの山間部において、実際にこの装置を用いてイノシシを追い払う効果が確認できたとのこと。今回もその有効性が確認できれば、人慣れしたイノシシでも田畑に近づけないようにできることが期待されます。

グレーチング付きU字溝「わたれません」

グレーチングとは、鋼材を格子状に組んだ溝蓋のことです。道路にある排水のためのU字溝や側溝、歩道などに使用されます。

グレーチング付きU字溝「わたれません」は、人や車は問題なく通行可能ですが、イノシシやシカなどにとっては通行しにくくするグレーチング付きU字溝です。「わたれません」には、直径8cm・深さが4cm程度の六角形のグレーチング構造が採用されており、イノシシが侵入しようとしても蹄でバランスが取れず踏ん張りがきかないようになっています。

くくり罠を設置するときにもよく考慮することなのですが(参考記事)、イノシシは足の踏ん張りがきかない箇所があると、踏み抜かずに足を引っ込めます(そのため、くくり罠を設置する場合はグラグラと不安定にならないよう注意を払います)。また、警戒心も高いので、「わたれません」が設置してある部分は通行せずに引き返すことが期待されます。

金網や柵を設置する場合、入口まで完全に囲ってしまうと人や車も出入りできなくなってしまいますが、かといって入口をガラ空き状態にするわけにもいきません。そこで、道路上の対策として「わたりません」を活用すれば、柵を設置できない入口部分においてもイノシシの侵入を防止することができます。「わたれません」の実証調査では、9割を超す侵入防止効果があったとのこと。「わたれません」のホームページ>>

まとめ

現在のイノシシ対策の主軸は捕獲・駆除による個体数調整であり、今後もしばらくその流れは続くと思いますが、それだけでは根本的な解決にはなりません。イノシシを地域に寄せ付けないための環境づくりや、住民の意識の持ち方、設備の整備など、総合的な施策が望まれます。人手が足りなくても、それをカバーできるような新しいイノシシ対策が望まれるところです。

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