鳥獣被害対策マガジン
箱罠の仕掛け方について
目次 1箱罠の長所 2箱罠の組み立て方 11.パネルを組み立てる 22.扉を開放する 3休止・保管について 3箱罠を仕掛けるポイント 11.平らな場所 22.イノシシの通った痕跡が多い場所 33.運搬や見回りがしやすい場所 4設置してから... 4 餌付けについて 1餌の種類 2餌の撒き方 5まとめ イノシシの生息密度が高くなると、防護柵で田畑を囲んだだけでは、柵を壊されて侵入されてしまうという結果に陥りやすいです。 守りの施策だけでは、イノシシは人間を警戒しなくなってどんどん大胆になるからです。 これを解決するには、捕獲によって狩猟圧を高めることです。 捕獲のためによく使われるのは、箱罠やくくり罠。 それらの方法のうち、イノシシ向け箱罠の特徴・仕掛け方やコツ等を紹介します。 箱罠の長所 箱罠の長所は、やはり安全であることが挙げられます。捕獲した獣の止め刺しを箱の外から行うことができるので、獣による怪我などのリスクが少ないです。 また猟犬などターゲット以外の獣を捕獲してしまった場合も、怪我をさせてしまう可能性は低くなります。 イノシシが暴れるパワーはすさまじいため、くくり罠の場合、捕獲したイノシシが足をちぎったりして逃げてしまうケースも珍しくありません。 捕獲後の対処に難儀するケースも多くあります。 一方で、箱罠は扉を持ち上げられたりしない限り、捕獲後に逃げられることはないので、その後の対処に余裕をもって取り掛かることができます。 一度に捕獲できる数が多いことも箱罠の長所の一つです。くくり罠の場合、一つの罠につき一頭のみの捕獲となりますが、箱罠であれば一度に数頭捕獲することも可能です。 箱罠の組み立て方 1.パネルを組み立てる...
箱罠の仕掛け方について
目次 1箱罠の長所 2箱罠の組み立て方 11.パネルを組み立てる 22.扉を開放する 3休止・保管について 3箱罠を仕掛けるポイント 11.平らな場所 22.イノシシの通った痕跡が多い場所 33.運搬や見回りがしやすい場所 4設置してから... 4 餌付けについて 1餌の種類 2餌の撒き方 5まとめ イノシシの生息密度が高くなると、防護柵で田畑を囲んだだけでは、柵を壊されて侵入されてしまうという結果に陥りやすいです。 守りの施策だけでは、イノシシは人間を警戒しなくなってどんどん大胆になるからです。 これを解決するには、捕獲によって狩猟圧を高めることです。 捕獲のためによく使われるのは、箱罠やくくり罠。 それらの方法のうち、イノシシ向け箱罠の特徴・仕掛け方やコツ等を紹介します。 箱罠の長所 箱罠の長所は、やはり安全であることが挙げられます。捕獲した獣の止め刺しを箱の外から行うことができるので、獣による怪我などのリスクが少ないです。 また猟犬などターゲット以外の獣を捕獲してしまった場合も、怪我をさせてしまう可能性は低くなります。 イノシシが暴れるパワーはすさまじいため、くくり罠の場合、捕獲したイノシシが足をちぎったりして逃げてしまうケースも珍しくありません。 捕獲後の対処に難儀するケースも多くあります。 一方で、箱罠は扉を持ち上げられたりしない限り、捕獲後に逃げられることはないので、その後の対処に余裕をもって取り掛かることができます。 一度に捕獲できる数が多いことも箱罠の長所の一つです。くくり罠の場合、一つの罠につき一頭のみの捕獲となりますが、箱罠であれば一度に数頭捕獲することも可能です。 箱罠の組み立て方 1.パネルを組み立てる...
ハクビシン対策について
ハクビシンはアライグマ等と同様、外来種と考えられていますが、中山間地帯の果樹園をはじめとする農作物被害や、民家に住み着いて家庭菜園や庭の果樹を荒らしたり、糞尿によって家屋や文化財を汚損するなど、さまざまな被害が報告されています。 この記事では、ハクビシンの特徴や被害対策について説明します。 ハクビシンの特徴 特徴や生態 ハクビシンを漢字で書くと、「白鼻芯」となります。その名の通り、頭から鼻にかけて白いラインが通っていることが特徴的です。このラインを個体の見分けに使うこともできます。 昔はハクビシンは在来種と考えられていたこともありますが、今では中国や東南アジアから入ってきた外来種であるという考えが一般的です。 なお、江戸時代から日本に生息していた記録があることから、法律上は在来動物として扱われています。 尻尾の長さを含めると、成獣で体長約90cm、体重は2~5kgほどで、体の大きさはタヌキと同じくらい。 日没から明け方にかけて活動する典型的な夜行性動物です。 縄張りをもたず、性格は穏やかですので、気性の荒いアライグマと比べると他の個体と争うことは少なく、タヌキやアナグマなど他の動物ともうまく共存します。 生活は非常に静かで、夜行性であることも相まって、近くに生息していても気づかれないケースが多くあります。民家の屋根裏に住んでいても住人に気づかれず、何年も経ってから住みついていたことが判明したケースもあります。 水のある場所を好み、移動の際は河川や用水路、側溝などを用いることがよくあります。 繁殖と成長・寿命 ハクビシンは一年を通じて繁殖できます。雌は一年に一度出産しますが、一度に産むハクビシンの子供の数は約2〜3頭。 成獣になるまでは10か月ほどかかります。成長はゆっくりで寿命は長く、飼育下では20年を超える長寿となることも珍しくありません。また成長に伴い、特有の不快臭を出すことがあります。 身体能力 特筆すべきは、狭い隙間でも簡単に入り込む侵入能力です。直径10cmほどの隙間でも、体を回転させながら簡単に通り抜けてしまいます。 足の指は5本で、前足の方が後ろ足に比べ小さいです。足裏の肉球の中央が人間の手のひらのようにへこんでおり、何かを足裏で押さえるとピッタリ密着するようになっています。 この特徴的な足裏によって、滑りやすいものでも挟んで簡単に登ることができます。そのため、ハクビシンが果樹園などに侵入する箇所は、足で挟んで登りやすい四隅の角であることが多いです。 バランス感覚が発達しており、糸のような足場でも巧みに歩きます。高く足場が悪い場所を難なく歩き、後ろ足を支点にぶら下がって果物を食べたりもします。 食べ物と好物 ハクビシンは雑食性で、何でも食べます。果樹の被害が多く報告されますが、他にも野菜類や昆虫、ニワトリまでも食べます。ジャコウネコ科なので果物が好物で、中でも甘くて軟らかいもの(ブドウ、バナナ、イチゴなど)を好みます。 わずかな隙間からビニールハウスなどに侵入するので、果樹を栽培する人にとっては特に注意が必要です。 反対に、硬めのリンゴや熟していない柿などは、まったく食べないわけではありませんが、熟して軟らかいものと比べると好みではないようです。また、糖度が高い品種のトウモロコシやトマトなど果物以外の作物の被害も多く報告されています。 彼らの傾向として、好みの餌を探しながら場所を転々とするといったことがあります。そのため、個体数が少ないうちは被害が少なく場所もばらけるため、ハクビシンによる被害であることに気づかないことも多くあります。 ハクビシンによる被害の見分け方 タヌキやカラスと被害作物が似ていることから、実際はハクビシンによる被害による被害でも、それに気づかず誤った対策をしてしまうケースがあります。 ハクビシンによる被害には以下の特徴があるので、対策を講じたものの結果が出ないということにならないよう、しっかりと状況を確認しましょう。 ・夜間に被害が発生する(被害の発見は早朝) ・作物の先っぽがかじられ、基部は残っている...
ハクビシン対策について
ハクビシンはアライグマ等と同様、外来種と考えられていますが、中山間地帯の果樹園をはじめとする農作物被害や、民家に住み着いて家庭菜園や庭の果樹を荒らしたり、糞尿によって家屋や文化財を汚損するなど、さまざまな被害が報告されています。 この記事では、ハクビシンの特徴や被害対策について説明します。 ハクビシンの特徴 特徴や生態 ハクビシンを漢字で書くと、「白鼻芯」となります。その名の通り、頭から鼻にかけて白いラインが通っていることが特徴的です。このラインを個体の見分けに使うこともできます。 昔はハクビシンは在来種と考えられていたこともありますが、今では中国や東南アジアから入ってきた外来種であるという考えが一般的です。 なお、江戸時代から日本に生息していた記録があることから、法律上は在来動物として扱われています。 尻尾の長さを含めると、成獣で体長約90cm、体重は2~5kgほどで、体の大きさはタヌキと同じくらい。 日没から明け方にかけて活動する典型的な夜行性動物です。 縄張りをもたず、性格は穏やかですので、気性の荒いアライグマと比べると他の個体と争うことは少なく、タヌキやアナグマなど他の動物ともうまく共存します。 生活は非常に静かで、夜行性であることも相まって、近くに生息していても気づかれないケースが多くあります。民家の屋根裏に住んでいても住人に気づかれず、何年も経ってから住みついていたことが判明したケースもあります。 水のある場所を好み、移動の際は河川や用水路、側溝などを用いることがよくあります。 繁殖と成長・寿命 ハクビシンは一年を通じて繁殖できます。雌は一年に一度出産しますが、一度に産むハクビシンの子供の数は約2〜3頭。 成獣になるまでは10か月ほどかかります。成長はゆっくりで寿命は長く、飼育下では20年を超える長寿となることも珍しくありません。また成長に伴い、特有の不快臭を出すことがあります。 身体能力 特筆すべきは、狭い隙間でも簡単に入り込む侵入能力です。直径10cmほどの隙間でも、体を回転させながら簡単に通り抜けてしまいます。 足の指は5本で、前足の方が後ろ足に比べ小さいです。足裏の肉球の中央が人間の手のひらのようにへこんでおり、何かを足裏で押さえるとピッタリ密着するようになっています。 この特徴的な足裏によって、滑りやすいものでも挟んで簡単に登ることができます。そのため、ハクビシンが果樹園などに侵入する箇所は、足で挟んで登りやすい四隅の角であることが多いです。 バランス感覚が発達しており、糸のような足場でも巧みに歩きます。高く足場が悪い場所を難なく歩き、後ろ足を支点にぶら下がって果物を食べたりもします。 食べ物と好物 ハクビシンは雑食性で、何でも食べます。果樹の被害が多く報告されますが、他にも野菜類や昆虫、ニワトリまでも食べます。ジャコウネコ科なので果物が好物で、中でも甘くて軟らかいもの(ブドウ、バナナ、イチゴなど)を好みます。 わずかな隙間からビニールハウスなどに侵入するので、果樹を栽培する人にとっては特に注意が必要です。 反対に、硬めのリンゴや熟していない柿などは、まったく食べないわけではありませんが、熟して軟らかいものと比べると好みではないようです。また、糖度が高い品種のトウモロコシやトマトなど果物以外の作物の被害も多く報告されています。 彼らの傾向として、好みの餌を探しながら場所を転々とするといったことがあります。そのため、個体数が少ないうちは被害が少なく場所もばらけるため、ハクビシンによる被害であることに気づかないことも多くあります。 ハクビシンによる被害の見分け方 タヌキやカラスと被害作物が似ていることから、実際はハクビシンによる被害による被害でも、それに気づかず誤った対策をしてしまうケースがあります。 ハクビシンによる被害には以下の特徴があるので、対策を講じたものの結果が出ないということにならないよう、しっかりと状況を確認しましょう。 ・夜間に被害が発生する(被害の発見は早朝) ・作物の先っぽがかじられ、基部は残っている...
害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について
イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、アライグマ、タヌキなど・・・田畑に被害をもたらす獣は放っておくと、どんどんその数を増やします。 その結果、一年かけて丹精込めて作った作物が一夜にして全滅するなど、営農する意欲を絶たれてしまうほどの事態を招くおそれがあります。 個体数を減らせば被害は目に見えて減りますので、数が増えすぎて手に負えなくなる前に、早期の対策を行いたいところです。そこで「最近獣による被害がひどい。鉄砲は何かと大変そうだから、罠による捕獲で反撃だ。」となりますが、日本では必要な免許・許可なしに野生鳥獣を捕獲することはできません。 この記事では、捕獲を始めるための第一歩として、必要となる免許や許可について説明します。害獣捕獲をしたいが、何から手を付けて良いか分からないといった場合は、是非参考にしてください。 野生鳥獣の捕獲は原則として禁止 日本には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(略称「鳥獣保護法」)という法律があります。これによって、日本では野生鳥獣の捕獲が原則として禁止されています。 そのため、たとえ自分の畑に侵入した動物が目の前で作物を荒らしていたとしても、事前に免許や許可を取得していなければ、捕獲・処分することはできないのです。 野生獣を捕獲するには、「狩猟免許」と「狩猟者登録」が必要となります。 ※モグラやネズミ類は例外で、免許や許可無しでも被害防止のために捕獲することが可能です。また囲い罠による捕獲も、条件を満たせば狩猟免許の取得は不要です。これついては後述します。 狩猟免許の種類 狩猟免許の種類は4種類。第一種銃猟免許(装薬銃・空気銃)、第二種銃猟免許、網猟免許、そして「わな猟免許」です。狩猟に用いる猟具によって必要な免許は異なります。 箱罠や囲い罠、くくり罠を使う場合は、「わな猟免許」が必要になります。 都道府県が実施する狩猟免許試験に合格することによって、狩猟免許を取得することができます。有効期間は3年間です。 狩猟免許を取得したらすぐに猟ができるわけではなく、都道府県に狩猟者登録を申請し認可されてはじめて猟を開始することができます。狩猟免許試験の申込や、狩猟者登録申請は各都道府県の担当窓口にて行いますが、狩猟者登録の手続きは猟友会に入会すれば代行してもらえる場合があります。 わな猟免許に必要な費用 わな猟免許の場合、必要な費用としては、狩猟免許申請手数料¥5,200に加え、狩猟者登録手数料¥1,800、狩猟者登録税(11/15~2/15)¥8,200のほかに、医師による診断書作成費用や、猟友会費(狩猟事故共済保険込み)がかかり、合計は大体¥30,000程です。 なお、猟友会に所属しない場合は、わな保険料なども必要になります。 わな猟による捕獲の条件 前述の鳥獣保護法によって、狩猟によって捕獲できる鳥獣は、イノシシやニホンジカなどをはじめ、48種類に限定されています(※狩猟対象鳥獣はこちらをクリック)。 なお、これらの捕獲鳥獣のうち、アライグマやヌートリアは「特定外来生物」です。飼育、保管及び運搬することが原則禁止となりますので、外来生物法にしたがい、捕獲したらその場で殺処分するか、自治体へ引き渡しをする必要があります。 参考動画:アライグマ捕獲・処理(有害鳥獣捕獲)<閲覧注意!狩猟・駆除> また、狩猟対象鳥獣であれば一年中狩猟が可能、というわけではありません。狩猟期間は一般的に毎年11月15日~2月15日です。都道府県によって狩猟鳥獣や狩猟期間は異なりますので、狩猟者登録をする都道府県に事前確認しておきましょう。 有害鳥獣捕獲の申請について たとえば、近年サルによって作物が食い荒らされるような被害が多くみられています。今年のはじめ、金沢市辰巳町の畑で、サル約40匹が作物を食い荒らしているのが目撃されるなど、被害が深刻になる可能性のある事例も散見されています。 しかしながら、ニホンザルは非狩猟鳥獣です。そのため狩猟によって捕獲することはできないということになります。こういった場合は、「有害鳥獣捕獲」の許可を申請するという方法があります。 被害が深刻で、柵などによる防除を実施しても被害を防ぎきれない場合、被害者または被害者から依頼を受けた捕獲従事者が、「有害鳥獣捕獲」の許可申請を行います。 この許可を受けた人は、許可にあたって指定された非狩猟鳥獣を捕獲できます。 ※この場合、捕獲できる期間や場所は指定されます。期間は通常1年以内です。法定猟法以外が可能な場合もあります。農林業や生態系への被害防止を目的として捕獲する場合に限られます。 有害鳥獣捕獲の場合も狩猟免許の取得は必要です。有害鳥獣捕獲の申請は個人でもできますが、一般的には自治体が猟友会に依頼する形で有害鳥獣捕獲対応をしている場合が多いです。 申請先は、捕獲する鳥獣の種類によって異なりますので、詳しくは捕獲を行う区域の自治体に問い合わせるとよいでしょう。...
害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について
イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、アライグマ、タヌキなど・・・田畑に被害をもたらす獣は放っておくと、どんどんその数を増やします。 その結果、一年かけて丹精込めて作った作物が一夜にして全滅するなど、営農する意欲を絶たれてしまうほどの事態を招くおそれがあります。 個体数を減らせば被害は目に見えて減りますので、数が増えすぎて手に負えなくなる前に、早期の対策を行いたいところです。そこで「最近獣による被害がひどい。鉄砲は何かと大変そうだから、罠による捕獲で反撃だ。」となりますが、日本では必要な免許・許可なしに野生鳥獣を捕獲することはできません。 この記事では、捕獲を始めるための第一歩として、必要となる免許や許可について説明します。害獣捕獲をしたいが、何から手を付けて良いか分からないといった場合は、是非参考にしてください。 野生鳥獣の捕獲は原則として禁止 日本には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(略称「鳥獣保護法」)という法律があります。これによって、日本では野生鳥獣の捕獲が原則として禁止されています。 そのため、たとえ自分の畑に侵入した動物が目の前で作物を荒らしていたとしても、事前に免許や許可を取得していなければ、捕獲・処分することはできないのです。 野生獣を捕獲するには、「狩猟免許」と「狩猟者登録」が必要となります。 ※モグラやネズミ類は例外で、免許や許可無しでも被害防止のために捕獲することが可能です。また囲い罠による捕獲も、条件を満たせば狩猟免許の取得は不要です。これついては後述します。 狩猟免許の種類 狩猟免許の種類は4種類。第一種銃猟免許(装薬銃・空気銃)、第二種銃猟免許、網猟免許、そして「わな猟免許」です。狩猟に用いる猟具によって必要な免許は異なります。 箱罠や囲い罠、くくり罠を使う場合は、「わな猟免許」が必要になります。 都道府県が実施する狩猟免許試験に合格することによって、狩猟免許を取得することができます。有効期間は3年間です。 狩猟免許を取得したらすぐに猟ができるわけではなく、都道府県に狩猟者登録を申請し認可されてはじめて猟を開始することができます。狩猟免許試験の申込や、狩猟者登録申請は各都道府県の担当窓口にて行いますが、狩猟者登録の手続きは猟友会に入会すれば代行してもらえる場合があります。 わな猟免許に必要な費用 わな猟免許の場合、必要な費用としては、狩猟免許申請手数料¥5,200に加え、狩猟者登録手数料¥1,800、狩猟者登録税(11/15~2/15)¥8,200のほかに、医師による診断書作成費用や、猟友会費(狩猟事故共済保険込み)がかかり、合計は大体¥30,000程です。 なお、猟友会に所属しない場合は、わな保険料なども必要になります。 わな猟による捕獲の条件 前述の鳥獣保護法によって、狩猟によって捕獲できる鳥獣は、イノシシやニホンジカなどをはじめ、48種類に限定されています(※狩猟対象鳥獣はこちらをクリック)。 なお、これらの捕獲鳥獣のうち、アライグマやヌートリアは「特定外来生物」です。飼育、保管及び運搬することが原則禁止となりますので、外来生物法にしたがい、捕獲したらその場で殺処分するか、自治体へ引き渡しをする必要があります。 参考動画:アライグマ捕獲・処理(有害鳥獣捕獲)<閲覧注意!狩猟・駆除> また、狩猟対象鳥獣であれば一年中狩猟が可能、というわけではありません。狩猟期間は一般的に毎年11月15日~2月15日です。都道府県によって狩猟鳥獣や狩猟期間は異なりますので、狩猟者登録をする都道府県に事前確認しておきましょう。 有害鳥獣捕獲の申請について たとえば、近年サルによって作物が食い荒らされるような被害が多くみられています。今年のはじめ、金沢市辰巳町の畑で、サル約40匹が作物を食い荒らしているのが目撃されるなど、被害が深刻になる可能性のある事例も散見されています。 しかしながら、ニホンザルは非狩猟鳥獣です。そのため狩猟によって捕獲することはできないということになります。こういった場合は、「有害鳥獣捕獲」の許可を申請するという方法があります。 被害が深刻で、柵などによる防除を実施しても被害を防ぎきれない場合、被害者または被害者から依頼を受けた捕獲従事者が、「有害鳥獣捕獲」の許可申請を行います。 この許可を受けた人は、許可にあたって指定された非狩猟鳥獣を捕獲できます。 ※この場合、捕獲できる期間や場所は指定されます。期間は通常1年以内です。法定猟法以外が可能な場合もあります。農林業や生態系への被害防止を目的として捕獲する場合に限られます。 有害鳥獣捕獲の場合も狩猟免許の取得は必要です。有害鳥獣捕獲の申請は個人でもできますが、一般的には自治体が猟友会に依頼する形で有害鳥獣捕獲対応をしている場合が多いです。 申請先は、捕獲する鳥獣の種類によって異なりますので、詳しくは捕獲を行う区域の自治体に問い合わせるとよいでしょう。...
くくり罠の成果を上げるためのコツ
くくり罠によるイノシシやシカの捕獲は、広大な土地の中で直径30cmにも満たない輪の中に獣の足を踏み込ませなければならないので、箱罠に比べると難易度が上がります。また輪の中に足を踏み込ませたとしても、空はじきしてしまい逃してしまうことや、足をちぎって逃げられることもあります。 この記事では、くくり罠の成果を上げるために重要となるポイントを説明します。 獣のサインをしっかりとチェックすること こちらが息を巻いて獲物を探しても、獣は人間の匂いや気配、音を察知してそれを避けるため、人前に姿を現すことは滅多にありません。 警戒心の強いイノシシならなおさらです。 そのため、彼らが徘徊する道を知るためには、残った痕跡をしっかりとチェックすることが必要です。 ターゲットの獣になったつもりで、彼らがどのような動きをしたのかイメージしましょう。痕跡が新しいものなのか、古いものなのか、近いうちにまた通るのかを見極め、1週間以内にきっと来るだろうと確信を持てる場所を見つけたら、手際よく罠を仕掛けましょう。 なお、イノホイおすすめのくくり罠は安全装置がついているので、バネをセットしたままの状態でも安心して持ち運びができます。そのため、罠の設置時間を短縮することが可能です。 足跡 草の生えない冬場は足跡が鮮明になりますので、猟期中は特に注意深くチェックしましょう。逆に、猟期外の時期(特に夏場)は草が生えてしまって足跡が分かりにくくなります。足跡の形や歩幅から獣の種類、体の大きさ、雄なのか雌なのかを読むことができます。 フン フンも足跡と同様、獣の種類や体の大きさを予想することができます。また、フンは時間が経つと乾燥してバラバラになりますので、新しいかどうか特定することが容易です。 食痕 イノシシは土を鼻で掘り返し、土中のミミズや昆虫の幼虫などを食べますが、掘り返しの深さで個体の大きさが大まかに推測できます。 ほかにも、ドングリやタケノコ、栗など、時期に応じた食痕が見られます。 どの時期に何が食べられるのか知っておき、食痕をよく観察しましょう。毎日使われる餌場が見つかれば、捕獲率はかなり高くなります。 ただし、掘り返しが多い場所では罠自体も掘り起こされる可能性があるので、そのような場所に罠を設置することは避けましょう。 その他の痕跡 ヌタ場は、イノシシやシカなどの動物が、体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びる場所のことですが、新しいヌタ場近辺はねらい目です。 ヌタ場周辺には葉っぱや木などに泥が付着している場合が多いです。 それらの痕跡を確認しつつ、ターゲットが足を置くであろう場所を見定め、罠を設置しましょう。ただし、罠が露出したり正常に作動しない可能性のある場所での設置は避けましょう。 人間の痕跡がある場合は、獣が寄り付かない可能性が高いです。例えば近辺で草刈りが行われた、木を切る際に人の通り道ができたなど、そういった場所に罠を設置することは避けましょう。 設置した罠の見回りは毎日行うこと 罠の見回り頻度は、成果に直接結びつきます。 頻度を増やすことによって、「見に行ったら捕獲した獣が逃げてしまっていた」、などといったことも減らせますし、細かい変化に気づきやすくなります。たとえば、「昨日は無かった足跡が見つかった、この感じだと2~3日以内には再びこの道を通るだろう」など、こまかな気づきが得られます。 ただし、見回りに時間がかけすぎることは避けましょう。かかる労力が増えるということもありますが、頻繁過ぎると人間の痕跡に気づかれやすくなりますので、一日一回毎日見回りをする程度がベストです(毎日見回るというだけでも、かなり大変な作業です)。 また罠をかけていないエリアを見回ることも重要です。場所のアタリを何ヵ所かつけておいて、よく観察し、徐々にポイントを絞り込んでいきましょう。 新しい猟場を見つけたら、罠を数基設置してみて、様子をみてみましょう。 イノシシは縄張りを持たないので、良いポイントは数頭のイノシシが通ります。そのため、同じ場所で数回かかる場合もあります。 逆に、設置後2週間ほど様子を見ても獣が通った痕跡がなければ、罠を移動させましょう。...
くくり罠の成果を上げるためのコツ
くくり罠によるイノシシやシカの捕獲は、広大な土地の中で直径30cmにも満たない輪の中に獣の足を踏み込ませなければならないので、箱罠に比べると難易度が上がります。また輪の中に足を踏み込ませたとしても、空はじきしてしまい逃してしまうことや、足をちぎって逃げられることもあります。 この記事では、くくり罠の成果を上げるために重要となるポイントを説明します。 獣のサインをしっかりとチェックすること こちらが息を巻いて獲物を探しても、獣は人間の匂いや気配、音を察知してそれを避けるため、人前に姿を現すことは滅多にありません。 警戒心の強いイノシシならなおさらです。 そのため、彼らが徘徊する道を知るためには、残った痕跡をしっかりとチェックすることが必要です。 ターゲットの獣になったつもりで、彼らがどのような動きをしたのかイメージしましょう。痕跡が新しいものなのか、古いものなのか、近いうちにまた通るのかを見極め、1週間以内にきっと来るだろうと確信を持てる場所を見つけたら、手際よく罠を仕掛けましょう。 なお、イノホイおすすめのくくり罠は安全装置がついているので、バネをセットしたままの状態でも安心して持ち運びができます。そのため、罠の設置時間を短縮することが可能です。 足跡 草の生えない冬場は足跡が鮮明になりますので、猟期中は特に注意深くチェックしましょう。逆に、猟期外の時期(特に夏場)は草が生えてしまって足跡が分かりにくくなります。足跡の形や歩幅から獣の種類、体の大きさ、雄なのか雌なのかを読むことができます。 フン フンも足跡と同様、獣の種類や体の大きさを予想することができます。また、フンは時間が経つと乾燥してバラバラになりますので、新しいかどうか特定することが容易です。 食痕 イノシシは土を鼻で掘り返し、土中のミミズや昆虫の幼虫などを食べますが、掘り返しの深さで個体の大きさが大まかに推測できます。 ほかにも、ドングリやタケノコ、栗など、時期に応じた食痕が見られます。 どの時期に何が食べられるのか知っておき、食痕をよく観察しましょう。毎日使われる餌場が見つかれば、捕獲率はかなり高くなります。 ただし、掘り返しが多い場所では罠自体も掘り起こされる可能性があるので、そのような場所に罠を設置することは避けましょう。 その他の痕跡 ヌタ場は、イノシシやシカなどの動物が、体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びる場所のことですが、新しいヌタ場近辺はねらい目です。 ヌタ場周辺には葉っぱや木などに泥が付着している場合が多いです。 それらの痕跡を確認しつつ、ターゲットが足を置くであろう場所を見定め、罠を設置しましょう。ただし、罠が露出したり正常に作動しない可能性のある場所での設置は避けましょう。 人間の痕跡がある場合は、獣が寄り付かない可能性が高いです。例えば近辺で草刈りが行われた、木を切る際に人の通り道ができたなど、そういった場所に罠を設置することは避けましょう。 設置した罠の見回りは毎日行うこと 罠の見回り頻度は、成果に直接結びつきます。 頻度を増やすことによって、「見に行ったら捕獲した獣が逃げてしまっていた」、などといったことも減らせますし、細かい変化に気づきやすくなります。たとえば、「昨日は無かった足跡が見つかった、この感じだと2~3日以内には再びこの道を通るだろう」など、こまかな気づきが得られます。 ただし、見回りに時間がかけすぎることは避けましょう。かかる労力が増えるということもありますが、頻繁過ぎると人間の痕跡に気づかれやすくなりますので、一日一回毎日見回りをする程度がベストです(毎日見回るというだけでも、かなり大変な作業です)。 また罠をかけていないエリアを見回ることも重要です。場所のアタリを何ヵ所かつけておいて、よく観察し、徐々にポイントを絞り込んでいきましょう。 新しい猟場を見つけたら、罠を数基設置してみて、様子をみてみましょう。 イノシシは縄張りを持たないので、良いポイントは数頭のイノシシが通ります。そのため、同じ場所で数回かかる場合もあります。 逆に、設置後2週間ほど様子を見ても獣が通った痕跡がなければ、罠を移動させましょう。...
2017年の鳥獣被害関連ニュース
2017年も残すところあと僅かとなってきましたが、今年も全国で様々な鳥獣被害関連のニュースがありました。その中でも特に目立ったニュースをダイジェストで紹介させていただきます。 市街地でのイノシシ出没が頻発 今年は市街地でのイノシシ出没が相次ぎました。 例えば、京都市の市街地では今年10頭のイノシシが確認されており、6月には京都大の学生寮「熊野寮」に出現。11月には平安神宮近くで体当たりされた男性が腕の骨を折るといった事故も発生しています。さらに、12月には左京区永観堂町の東山中学・高校校内に2頭が出現したというニュースも。 これまで人間の生活エリアとは距離を置いていたイノシシが市街地の中心部に出没するケースは年々増えてきており、市街地に住む一般の人も、イノシシに遭遇した際にどうしたら良いのか知っておく必要が出てきています。 万が一市街地でイノシシに遭遇した場合は、静かにゆっくりその場を離れること、無理に追い払おうとしたり攻撃を加えようとしたりしないこと、興奮させないようにすることが大切です。 参考記事: イノシシ対策~何をすればよいのか?【市街地編】 名所における鳥獣被害の現状 高松市のショッピングモールにイノシシが侵入 5人けが 鳥獣被害対策にICTやAI導入 今年は情報通信技術(ICT)を活用した獣害防除対策の事例をよく目にしました。 農水省による調査の結果、ICTを駆使した鳥獣害対策に42道府県312市町村が取り組んでいることが分かりました。鳥獣害対策としてのドローン導入や、遠隔監視によって設置した罠の捕獲状況を確認する手間を削減したり、おりに獣が入ったら遠隔操作で閉める等、作業の効率化が期待され、今後ICT活用はさらに広がる見通しです。 参考記事:ICTを活用した鳥獣害対策 さらには、AI(人工知能)を鳥獣被害対策に活かすという動きも出てきています。今年は、人工知能の深層学習(ディープラーニング)を使って暗視カメラで撮った害獣を検知する手法をNTTドコモが開発したというニュースがありました。 撮影した動画から切り取った連続する複数の画像を入力して特徴を抽出することで、イノシシなどの大きい動物からタヌキなどの小さい動物まで、8割の精度で検知できたとのこと。 近い将来、自宅に居ながら鳥獣対策が完結できるという時代がくるかもしれません。 イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付け(農林水産省) 来年4月以降、イノシシ捕獲の証明方法が変更されます。変更内容としては、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化されることとなります。写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて撮るよう統一することが求められます。 この変更にいたった背景として、駆除した猟師が、自治体から報酬を不正に受け取るケースが相次いことが挙げられます。これまで明らかとなっている不正の手口は、同じ個体を角度を変えて撮影した写真を別の個体として申請したりするもので、確認の緩さを突く内容であったため、今回のルール改正によって改善が期待されます。 狩猟者と自治体担当者双方の負荷が増えてしまう可能性もありますが、駆除の内容はルールに則ってしっかり証明することが重要になります。 参考記事:イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付けへ 捕獲獣の食肉活用が進む 今年は、捕獲したイノシシやシカを食資源として活用する試みが広がってきたことを実感した年でした。飲食店での活用や観光に生かそうと、解体処理施設や食肉流通システムの整備を進めたり、ブランド化する取り組みについてニュースで目にする機会が多かったように思います。 12月22日に閣議決定された2018年度政府予算案では、農林水産省が新たな「ジビエ倍増モデル整備事業」として五億五千万円を計上しています。交付金を出し、ジビエが安定供給されてビジネスとして成り立つのを支援するというものです。 個人的には、獲れた獣を資源として有効活用することは非常にポジティブな動きであると考えます。ビジネスとして成り立たせるためにはまだまだ課題が多いですが、鳥獣被害対策を行う人にとって食肉活用は一つのモチベーション源になるのではないでしょうか。 まとめ 上記のダイジェストを鑑みると、市街地における鳥獣被害対策や、ICTの活用は来年ますます重要になってくると予想されます。また、害獣駆除について正確な知識を習得することや、関係機関と地域が連携して継続的した取り組みを行っていくことは必須になります。 来る年が、皆さまにとって幸多き一年でありますよう。
2017年の鳥獣被害関連ニュース
2017年も残すところあと僅かとなってきましたが、今年も全国で様々な鳥獣被害関連のニュースがありました。その中でも特に目立ったニュースをダイジェストで紹介させていただきます。 市街地でのイノシシ出没が頻発 今年は市街地でのイノシシ出没が相次ぎました。 例えば、京都市の市街地では今年10頭のイノシシが確認されており、6月には京都大の学生寮「熊野寮」に出現。11月には平安神宮近くで体当たりされた男性が腕の骨を折るといった事故も発生しています。さらに、12月には左京区永観堂町の東山中学・高校校内に2頭が出現したというニュースも。 これまで人間の生活エリアとは距離を置いていたイノシシが市街地の中心部に出没するケースは年々増えてきており、市街地に住む一般の人も、イノシシに遭遇した際にどうしたら良いのか知っておく必要が出てきています。 万が一市街地でイノシシに遭遇した場合は、静かにゆっくりその場を離れること、無理に追い払おうとしたり攻撃を加えようとしたりしないこと、興奮させないようにすることが大切です。 参考記事: イノシシ対策~何をすればよいのか?【市街地編】 名所における鳥獣被害の現状 高松市のショッピングモールにイノシシが侵入 5人けが 鳥獣被害対策にICTやAI導入 今年は情報通信技術(ICT)を活用した獣害防除対策の事例をよく目にしました。 農水省による調査の結果、ICTを駆使した鳥獣害対策に42道府県312市町村が取り組んでいることが分かりました。鳥獣害対策としてのドローン導入や、遠隔監視によって設置した罠の捕獲状況を確認する手間を削減したり、おりに獣が入ったら遠隔操作で閉める等、作業の効率化が期待され、今後ICT活用はさらに広がる見通しです。 参考記事:ICTを活用した鳥獣害対策 さらには、AI(人工知能)を鳥獣被害対策に活かすという動きも出てきています。今年は、人工知能の深層学習(ディープラーニング)を使って暗視カメラで撮った害獣を検知する手法をNTTドコモが開発したというニュースがありました。 撮影した動画から切り取った連続する複数の画像を入力して特徴を抽出することで、イノシシなどの大きい動物からタヌキなどの小さい動物まで、8割の精度で検知できたとのこと。 近い将来、自宅に居ながら鳥獣対策が完結できるという時代がくるかもしれません。 イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付け(農林水産省) 来年4月以降、イノシシ捕獲の証明方法が変更されます。変更内容としては、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化されることとなります。写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて撮るよう統一することが求められます。 この変更にいたった背景として、駆除した猟師が、自治体から報酬を不正に受け取るケースが相次いことが挙げられます。これまで明らかとなっている不正の手口は、同じ個体を角度を変えて撮影した写真を別の個体として申請したりするもので、確認の緩さを突く内容であったため、今回のルール改正によって改善が期待されます。 狩猟者と自治体担当者双方の負荷が増えてしまう可能性もありますが、駆除の内容はルールに則ってしっかり証明することが重要になります。 参考記事:イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付けへ 捕獲獣の食肉活用が進む 今年は、捕獲したイノシシやシカを食資源として活用する試みが広がってきたことを実感した年でした。飲食店での活用や観光に生かそうと、解体処理施設や食肉流通システムの整備を進めたり、ブランド化する取り組みについてニュースで目にする機会が多かったように思います。 12月22日に閣議決定された2018年度政府予算案では、農林水産省が新たな「ジビエ倍増モデル整備事業」として五億五千万円を計上しています。交付金を出し、ジビエが安定供給されてビジネスとして成り立つのを支援するというものです。 個人的には、獲れた獣を資源として有効活用することは非常にポジティブな動きであると考えます。ビジネスとして成り立たせるためにはまだまだ課題が多いですが、鳥獣被害対策を行う人にとって食肉活用は一つのモチベーション源になるのではないでしょうか。 まとめ 上記のダイジェストを鑑みると、市街地における鳥獣被害対策や、ICTの活用は来年ますます重要になってくると予想されます。また、害獣駆除について正確な知識を習得することや、関係機関と地域が連携して継続的した取り組みを行っていくことは必須になります。 来る年が、皆さまにとって幸多き一年でありますよう。
足くくり罠によるシカの捕獲
ニホンジカは近年、生息分布が拡大しており、個体数も増加しています。それに伴い、農林産物や森林への食害が深刻化しているため、多くの自治体でシカの個体数を減らして被害を抑える必要があると判断されています。 参考記事:シカによる森林被害の実態 個体数を減らす方法として狩猟圧を高めることが選択されますが、多く採用されるのは箱罠やくくり罠による捕獲です。この記事では、くくり罠によるシカの捕獲について説明します。 くくり罠の種類 現在、色々なメーカーから様々なタイプのくくり罠が販売されています。また、くくり罠による成果は仕掛ける人間の技術や知識に大きく左右されることもあり、個人でカスタマイズした罠を設置する狩猟者も多くいます。 くくり罠の分類 大きな分類として、胴くくりと足くくりの2種類があります。その名の通り、ターゲットの胴を括るものと、足を括るものに区分されますが、シカやイノシシがターゲットの場合、足くくり罠が採用される場合がほとんどです。 胴くくりは、獲物が早ければ30分ほどで欝血死してしまう場合があり、また輪の直径には制限があるので今はほとんど使用されません。 くくり罠の構造 構造として、ほとんどがバネの力によって括る仕様ですが、バネの種類によって構造が異なります。 ・バネが開くことによって締まる方式(松葉式) ・バネが伸びる力によって締まる、押しバネ方式 ・バネが縮む力によって締まる、引きバネ方式 作動方式 筒のなかに踏み込むことによって作動する踏み込み式がほとんどですが、他にも蹴り糸に獣が触れることで作動するものもあります。 さらに、稼働方向によっても分類され、圧縮した押しばねが上(高さ)方向に伸びあがって括り輪が締まる縦引き式と、バネの力が横方向に働いて括り輪が締まる横引き式、踏み板に付属した枠によって括り輪が上に誘導される跳ね上げ式などがあります。 以下の動画は、押しバネ跳ね上げ式です。 罠を仕掛ける前に注意しておきたいこと 以下のようなくくり罠の使用は禁止されていますので、注意しましょう。 ・体を吊り上げてしまうもの ・ワイヤーの直径が4mm 未満のもの ・「より戻し」がないもの ・「締め付け防止金具」がないもの ・直径(楕円形の場合は小さい方)が 12cm を超えて掛けること※知事によって規制は緩和されます。径の制限については各自治体担当課にお問合せください。 ・1人で 31 個以上のわなを掛けること...
足くくり罠によるシカの捕獲
ニホンジカは近年、生息分布が拡大しており、個体数も増加しています。それに伴い、農林産物や森林への食害が深刻化しているため、多くの自治体でシカの個体数を減らして被害を抑える必要があると判断されています。 参考記事:シカによる森林被害の実態 個体数を減らす方法として狩猟圧を高めることが選択されますが、多く採用されるのは箱罠やくくり罠による捕獲です。この記事では、くくり罠によるシカの捕獲について説明します。 くくり罠の種類 現在、色々なメーカーから様々なタイプのくくり罠が販売されています。また、くくり罠による成果は仕掛ける人間の技術や知識に大きく左右されることもあり、個人でカスタマイズした罠を設置する狩猟者も多くいます。 くくり罠の分類 大きな分類として、胴くくりと足くくりの2種類があります。その名の通り、ターゲットの胴を括るものと、足を括るものに区分されますが、シカやイノシシがターゲットの場合、足くくり罠が採用される場合がほとんどです。 胴くくりは、獲物が早ければ30分ほどで欝血死してしまう場合があり、また輪の直径には制限があるので今はほとんど使用されません。 くくり罠の構造 構造として、ほとんどがバネの力によって括る仕様ですが、バネの種類によって構造が異なります。 ・バネが開くことによって締まる方式(松葉式) ・バネが伸びる力によって締まる、押しバネ方式 ・バネが縮む力によって締まる、引きバネ方式 作動方式 筒のなかに踏み込むことによって作動する踏み込み式がほとんどですが、他にも蹴り糸に獣が触れることで作動するものもあります。 さらに、稼働方向によっても分類され、圧縮した押しばねが上(高さ)方向に伸びあがって括り輪が締まる縦引き式と、バネの力が横方向に働いて括り輪が締まる横引き式、踏み板に付属した枠によって括り輪が上に誘導される跳ね上げ式などがあります。 以下の動画は、押しバネ跳ね上げ式です。 罠を仕掛ける前に注意しておきたいこと 以下のようなくくり罠の使用は禁止されていますので、注意しましょう。 ・体を吊り上げてしまうもの ・ワイヤーの直径が4mm 未満のもの ・「より戻し」がないもの ・「締め付け防止金具」がないもの ・直径(楕円形の場合は小さい方)が 12cm を超えて掛けること※知事によって規制は緩和されます。径の制限については各自治体担当課にお問合せください。 ・1人で 31 個以上のわなを掛けること...
名所における鳥獣被害の現状
近年、野生鳥獣が人間の生活エリアに侵入することが多くなり、名所においても鳥獣被害が頻発するようになりました。 通行人との接触が起きたり、予定していたイベントが中止されたり、食害によって景観が損なわれてしまう事例が発生しています。また、特定外来生物も生息域を広げており、人間が入り込まないようなエリアにおいても確認されるようになってきています。 琵琶湖疏水 京都 京都市山科区の琵琶湖疏水沿いでは、菜の花と桜が春の風物詩となっています。菜の花と桜のコントラストによって、美しい景観が楽しめる名所として広く知られており、近年では外国人観光客も増えています。 この名所を支えるのが、近隣住民でつくる「なの花ボランティアグループ」。JR山科駅から北へ500メートルほどの疏水両岸に、20年以上前から菜の花を毎年丹精込めて育てています。 来春からは、観光船も本格運航する予定です。 しかしながら、数年前から獣害に悩まされており、特に今年は被害が深刻と言います。イノシシが地面を掘り返したり、シカが苗を食べたような痕跡や足跡が、種まき以来相次いで見つかっており、例年の5~6割ほどしか咲かないかもしれないと危惧されています。 防護ネットを張ったり、忌避剤を散布していますが、被害は収まっていないのが現状です。 文化財指定庭園 兼六園 石川 石川県金沢市にある日本庭園、兼六園。岡山市の後楽園と水戸市の偕楽園と並んで日本三名園の一つに数えられている名所で、2009年のミシュラン観光ガイドにおいて最高評価の3つ星に選ばれたこともあります。 四季折々、色々な表情を見せてくれる兼六園ですが、四季ごとに実施されるライトアップのイベントが特に人気で、幻想的な情景が楽しめるため多くの人が訪れる催事となっています。 今年12月6日午後7時ごろ、兼六園職員がイノシシを目撃し、ライトアップイベント中に園が閉鎖され、観光客らが避難するという事態になりました。金沢中署によると、隣接する金沢城公園でも同様にイノシシが目撃されているようで、事故を防ぐために注意喚起を行っている状況です。 平安神宮 京都 名所の多い京都府ですが、平安神宮でも獣害が報告されています。平安神宮は、幕末の動乱や遷都に対する復興事業として、明治時代に建設された神社です。 参拝者数にくらべて境内が広い平安神宮ですが、今年11月に体長約1メートル程のイノシシが現れ、逃走。逃走中に平安神宮西側の建設現場で作業中の50代男性に衝突したという事故が発生しています。男性は左腕を骨折しました。 イノシシはそのまま西へ逃走を続け、最後は中京区の二条城西側の堀に飛び込み、溺死しました。他にも京都市では、観光客に人気の寺などが多くある東部の東山のふもとでイノシシの目撃が相次いだり、市内の高校にイノシシが侵入したりする事件が発生しています。 知床の世界遺産域 北海道 知床は、北半球において流氷が接岸する場所の最南端です。海洋生態系と陸上生態系の相関によって特異な生態系が見られることや、動植物とも北方系と南方系の両種が混在する多様性が見られ、希少種の生息地や越冬地になっていることから、2005年に自然遺産に登録されました。 しかし、昨年設置されたエゾジカ調査用のカメラを回収し確認したところ、縞模様の尾を持つ動物が映っており、特定外来生物アライグマであると特定。世界自然遺産区域にまで生息域を広げていることが確認されたため、絶滅危惧種のシマフクロウなど、知床の生態系が脅かされる可能性が危惧されています。 参考記事:アライグマの生態・対策・駆除について 国指定史跡 伊勢堂岱遺跡 秋田 伊勢堂岱遺跡(いせどうたいいせき)は、秋田県北秋田市脇神にある縄文時代後期前半の遺跡です。 昨年環境整備を終え、ガイダンス施設「伊勢堂岱縄文館」も新たにオープンし、伊勢堂岱遺跡をはじめとした北秋田市内の縄文遺跡の出土品を展示した展示室や、遺跡をわかりやすく解説した映像を上映していました。 しかし今年はクマの目撃が伊勢堂岱遺跡周辺で相次いだため、6月から一般公開を中止していました。7月15日から公開を部分的に再開する予定で、前日に職員が見回りを行っていたところ、50代の男性職員がクマに襲われ、額や手にけがをしました。 そのため、閉鎖延長が決定され、2018年4月の公開を目指して遺跡周辺の立木伐採など環境整備を進めている状況です。 このような現状を打開するために 名所においては、害獣対策を実施することが他の場所よりも困難になります。人身事故が起こる可能性を極力排除しつつ、害獣の生態・行動を理解した対策を講じる必要があります。 突然獣が出現した場合、捕獲を無理に行うことはやめましょう。また、捕獲作業中、危険が生じた場合はただちに作業を中止すること。捕獲の実施が不可能な場合には、追い払い対応に移行しましょう。...
名所における鳥獣被害の現状
近年、野生鳥獣が人間の生活エリアに侵入することが多くなり、名所においても鳥獣被害が頻発するようになりました。 通行人との接触が起きたり、予定していたイベントが中止されたり、食害によって景観が損なわれてしまう事例が発生しています。また、特定外来生物も生息域を広げており、人間が入り込まないようなエリアにおいても確認されるようになってきています。 琵琶湖疏水 京都 京都市山科区の琵琶湖疏水沿いでは、菜の花と桜が春の風物詩となっています。菜の花と桜のコントラストによって、美しい景観が楽しめる名所として広く知られており、近年では外国人観光客も増えています。 この名所を支えるのが、近隣住民でつくる「なの花ボランティアグループ」。JR山科駅から北へ500メートルほどの疏水両岸に、20年以上前から菜の花を毎年丹精込めて育てています。 来春からは、観光船も本格運航する予定です。 しかしながら、数年前から獣害に悩まされており、特に今年は被害が深刻と言います。イノシシが地面を掘り返したり、シカが苗を食べたような痕跡や足跡が、種まき以来相次いで見つかっており、例年の5~6割ほどしか咲かないかもしれないと危惧されています。 防護ネットを張ったり、忌避剤を散布していますが、被害は収まっていないのが現状です。 文化財指定庭園 兼六園 石川 石川県金沢市にある日本庭園、兼六園。岡山市の後楽園と水戸市の偕楽園と並んで日本三名園の一つに数えられている名所で、2009年のミシュラン観光ガイドにおいて最高評価の3つ星に選ばれたこともあります。 四季折々、色々な表情を見せてくれる兼六園ですが、四季ごとに実施されるライトアップのイベントが特に人気で、幻想的な情景が楽しめるため多くの人が訪れる催事となっています。 今年12月6日午後7時ごろ、兼六園職員がイノシシを目撃し、ライトアップイベント中に園が閉鎖され、観光客らが避難するという事態になりました。金沢中署によると、隣接する金沢城公園でも同様にイノシシが目撃されているようで、事故を防ぐために注意喚起を行っている状況です。 平安神宮 京都 名所の多い京都府ですが、平安神宮でも獣害が報告されています。平安神宮は、幕末の動乱や遷都に対する復興事業として、明治時代に建設された神社です。 参拝者数にくらべて境内が広い平安神宮ですが、今年11月に体長約1メートル程のイノシシが現れ、逃走。逃走中に平安神宮西側の建設現場で作業中の50代男性に衝突したという事故が発生しています。男性は左腕を骨折しました。 イノシシはそのまま西へ逃走を続け、最後は中京区の二条城西側の堀に飛び込み、溺死しました。他にも京都市では、観光客に人気の寺などが多くある東部の東山のふもとでイノシシの目撃が相次いだり、市内の高校にイノシシが侵入したりする事件が発生しています。 知床の世界遺産域 北海道 知床は、北半球において流氷が接岸する場所の最南端です。海洋生態系と陸上生態系の相関によって特異な生態系が見られることや、動植物とも北方系と南方系の両種が混在する多様性が見られ、希少種の生息地や越冬地になっていることから、2005年に自然遺産に登録されました。 しかし、昨年設置されたエゾジカ調査用のカメラを回収し確認したところ、縞模様の尾を持つ動物が映っており、特定外来生物アライグマであると特定。世界自然遺産区域にまで生息域を広げていることが確認されたため、絶滅危惧種のシマフクロウなど、知床の生態系が脅かされる可能性が危惧されています。 参考記事:アライグマの生態・対策・駆除について 国指定史跡 伊勢堂岱遺跡 秋田 伊勢堂岱遺跡(いせどうたいいせき)は、秋田県北秋田市脇神にある縄文時代後期前半の遺跡です。 昨年環境整備を終え、ガイダンス施設「伊勢堂岱縄文館」も新たにオープンし、伊勢堂岱遺跡をはじめとした北秋田市内の縄文遺跡の出土品を展示した展示室や、遺跡をわかりやすく解説した映像を上映していました。 しかし今年はクマの目撃が伊勢堂岱遺跡周辺で相次いだため、6月から一般公開を中止していました。7月15日から公開を部分的に再開する予定で、前日に職員が見回りを行っていたところ、50代の男性職員がクマに襲われ、額や手にけがをしました。 そのため、閉鎖延長が決定され、2018年4月の公開を目指して遺跡周辺の立木伐採など環境整備を進めている状況です。 このような現状を打開するために 名所においては、害獣対策を実施することが他の場所よりも困難になります。人身事故が起こる可能性を極力排除しつつ、害獣の生態・行動を理解した対策を講じる必要があります。 突然獣が出現した場合、捕獲を無理に行うことはやめましょう。また、捕獲作業中、危険が生じた場合はただちに作業を中止すること。捕獲の実施が不可能な場合には、追い払い対応に移行しましょう。...
すごい大きさのイノシシ事例
猟友会の方に話を聞くと、稀に100キロ超えの大きさのイノシシが捕らえられるそうですが、この記事では特大イノシシの捕獲ニュースを紹介します。 最近の特大イノシシ事例 茨城県の西北部にある町、城里町。人口2万人ほどの町ですが、イノシシによる農作物被害に悩まされていました。 スイカ、カボチャ、トウモロコシなど収穫期の前に畑の土をひっくり返されたりで、本年度の城里町の農作物被害額は過去最悪ペースの約400万円。 被害拡大を防ぐため、狩猟免許を持つ町民31人で構成される城里町有害鳥獣被害対策実施隊が日々奮闘し、猟銃、くくりわなのほか、町が所有する20基の箱罠も使い活動していました。 今年12月4日昼ごろ、箱罠の異変に気付いた近隣住民から実施隊に連絡があり、駆け付けたところ特大のイノシシがかかっていました。 有害鳥獣担当の町職員・興野隆喜さん(52)は、捕えられたイノシシについて「クマかと思った。」とコメントしています。 イノシシは丸々と太った体長約140センチ(尻尾を除く)体重150キロの雄で、推定4~5歳(写真はこちらをクリック)。 11月上旬に一度箱罠に入った形跡が確認されましたが、力ずくで扉をこじ開けたとみられ(箱罠の扉にはロック機構が必須ですね)、足跡を残し脱走。約180キロの重量がある箱罠は当初の位置から3メートルほど移動していたそうです。 有害鳥獣被害対策実施隊の副隊長、狩猟歴40年以上の笹島憲道さん(68)は「これほどのサイズは県内で初めて見た。田畑を相当荒らしたのだろう」と話しています。 また、栃木県の大田原市でも今年12月、体長約170センチ、推定体重150キロの雄のイノシシが捕獲されています。ベテラン猟師も驚く大きさで、栄養状態がかなり良かったことが予想されます(写真はこちらをクリック)。 イノホイの箱罠をお使いのお客様も、150キロのイノシシを捕獲されたお客様がいらっしゃいます(詳細はこちらをクリック)。 イノシシはどれだけ大きくなるのか 日本のイノシシの場合 ニホンイノシシの体の大きさは、雌よりも雄の方が大きく、雄成体では体重50-150kg、頭胴長110-160cmほどです。秋から初冬にかけてのイノシシはとにかく食うので、栄養状態がよければ体がどんどん大きくなります。 知り合いにイノシシを飼っていた人がいるのですが、そのイノシシは食欲に際限がなく、ひたすら食っていました。食って食ってブクブク太り体重100kgを超えましたが、最後は糖尿病で死んでしまいました。1歳半くらいだったと思います。 一方、野生のイノシシの場合、適度に運動もするので、体は大きくても相当元気な個体が多いと思われます。 因みに、日本で過去に確認された最大級のイノシシは、2009年に滋賀県湖南市夏見の山中で、同市三雲の廣田仲雄さん(59)によって捕獲された体長約1.8メートル、体重約240キロの個体です(大きさは分かりにくいですが写真はこちらをクリック)。7、8歳くらいの雄で、普通のイノシシの2~3倍あり、応援を呼んで10人がかりで軽トラックに載せて運んだといいます。 少し遡ると、2003年にも岐阜県美濃加茂市三和町中廿屋の山中で体重220kgの大きな雄イノシシを罠で捕まえたという報告もあります(写真はこちらをクリック)。日本のイノシシは、体重200kgくらいが成長の限界とされ、200キロ超えのイノシシ捕獲は、10年に1、2度しか確認されないほど稀です。 さらに大きいヨーロッパイノシシ ちなみにヨーロッパイノシシはニホンイノシシよりも体が大きく、2015年にロシアで肩高1.7m、体重535kgのイノシシを仕留めたという報告もあります(この記事冒頭の写真です)。 大きな個体をターゲットにする場合、気を付けること イノシシは力が強く、体の大きな個体は、捕えられてもなお相当重量のある箱罠を動かすほどの力があります。特大個体は田畑を荒らす規模も大きいため、一刻も早い対策が望まれますが、その力を想定した猟を行う必要があります。 例えば箱罠の場合、壊れかけまたは強度の弱いものを使うと、深刻な事故につながる恐れがあります。特大個体がターゲットの場合は、お使いの箱罠が獲物の力に耐えられる構造か、状態が万全かをしっかりチェックしておきましょう。
すごい大きさのイノシシ事例
猟友会の方に話を聞くと、稀に100キロ超えの大きさのイノシシが捕らえられるそうですが、この記事では特大イノシシの捕獲ニュースを紹介します。 最近の特大イノシシ事例 茨城県の西北部にある町、城里町。人口2万人ほどの町ですが、イノシシによる農作物被害に悩まされていました。 スイカ、カボチャ、トウモロコシなど収穫期の前に畑の土をひっくり返されたりで、本年度の城里町の農作物被害額は過去最悪ペースの約400万円。 被害拡大を防ぐため、狩猟免許を持つ町民31人で構成される城里町有害鳥獣被害対策実施隊が日々奮闘し、猟銃、くくりわなのほか、町が所有する20基の箱罠も使い活動していました。 今年12月4日昼ごろ、箱罠の異変に気付いた近隣住民から実施隊に連絡があり、駆け付けたところ特大のイノシシがかかっていました。 有害鳥獣担当の町職員・興野隆喜さん(52)は、捕えられたイノシシについて「クマかと思った。」とコメントしています。 イノシシは丸々と太った体長約140センチ(尻尾を除く)体重150キロの雄で、推定4~5歳(写真はこちらをクリック)。 11月上旬に一度箱罠に入った形跡が確認されましたが、力ずくで扉をこじ開けたとみられ(箱罠の扉にはロック機構が必須ですね)、足跡を残し脱走。約180キロの重量がある箱罠は当初の位置から3メートルほど移動していたそうです。 有害鳥獣被害対策実施隊の副隊長、狩猟歴40年以上の笹島憲道さん(68)は「これほどのサイズは県内で初めて見た。田畑を相当荒らしたのだろう」と話しています。 また、栃木県の大田原市でも今年12月、体長約170センチ、推定体重150キロの雄のイノシシが捕獲されています。ベテラン猟師も驚く大きさで、栄養状態がかなり良かったことが予想されます(写真はこちらをクリック)。 イノホイの箱罠をお使いのお客様も、150キロのイノシシを捕獲されたお客様がいらっしゃいます(詳細はこちらをクリック)。 イノシシはどれだけ大きくなるのか 日本のイノシシの場合 ニホンイノシシの体の大きさは、雌よりも雄の方が大きく、雄成体では体重50-150kg、頭胴長110-160cmほどです。秋から初冬にかけてのイノシシはとにかく食うので、栄養状態がよければ体がどんどん大きくなります。 知り合いにイノシシを飼っていた人がいるのですが、そのイノシシは食欲に際限がなく、ひたすら食っていました。食って食ってブクブク太り体重100kgを超えましたが、最後は糖尿病で死んでしまいました。1歳半くらいだったと思います。 一方、野生のイノシシの場合、適度に運動もするので、体は大きくても相当元気な個体が多いと思われます。 因みに、日本で過去に確認された最大級のイノシシは、2009年に滋賀県湖南市夏見の山中で、同市三雲の廣田仲雄さん(59)によって捕獲された体長約1.8メートル、体重約240キロの個体です(大きさは分かりにくいですが写真はこちらをクリック)。7、8歳くらいの雄で、普通のイノシシの2~3倍あり、応援を呼んで10人がかりで軽トラックに載せて運んだといいます。 少し遡ると、2003年にも岐阜県美濃加茂市三和町中廿屋の山中で体重220kgの大きな雄イノシシを罠で捕まえたという報告もあります(写真はこちらをクリック)。日本のイノシシは、体重200kgくらいが成長の限界とされ、200キロ超えのイノシシ捕獲は、10年に1、2度しか確認されないほど稀です。 さらに大きいヨーロッパイノシシ ちなみにヨーロッパイノシシはニホンイノシシよりも体が大きく、2015年にロシアで肩高1.7m、体重535kgのイノシシを仕留めたという報告もあります(この記事冒頭の写真です)。 大きな個体をターゲットにする場合、気を付けること イノシシは力が強く、体の大きな個体は、捕えられてもなお相当重量のある箱罠を動かすほどの力があります。特大個体は田畑を荒らす規模も大きいため、一刻も早い対策が望まれますが、その力を想定した猟を行う必要があります。 例えば箱罠の場合、壊れかけまたは強度の弱いものを使うと、深刻な事故につながる恐れがあります。特大個体がターゲットの場合は、お使いの箱罠が獲物の力に耐えられる構造か、状態が万全かをしっかりチェックしておきましょう。
すごいチェーンソーパンツ
チェーンソーを使う時、どんなズボンを穿いていますか?日本の林業現場では、普通の作業用ズボンを穿いて作業を行っている人も多いと思います。作業中にチェーンソーの刃をズボンに当ててしまい、ヒヤっとしたことがある人も多いのでは。また、最近は薪ストーブがブームなので、プロの伐採業者でなくてもチェーンソーを扱う人が増えてきています。 そんな人たちに是非使っていただきたいのがチェーンソーパンツ。チェーンソー作業に特化した機能性、安全性はもちろん、見た目もカッコよいものが登場してきています。この記事ではそんなチェーンソーパンツについて紹介します。 そもそもチェーンソーパンツとは? チェーンソー作業時の思わぬケガから下半身を防護するのがチェーンソーパンツです。以下の動画を観れば、その機能は一目瞭然です。 ※あらゆるケガを完全に防護できるわけではないので、絶対に真似しないでください。 チェーンソーパンツに少しでもチェーンソーの刃が触れると、長い特殊繊維が瞬く間に刃に絡み付き、高速回転を強制ストップさせます。普通の作業ズボンではそうはいかず、刃が衝突する角度や勢いによっては、一瞬でパックリ・バッサリいってしまうことでしょう。 特に不安定な足場でのチェーンソー作業は、重篤な怪我と隣り合わせです。勢いあまって、足の動脈でも切ってしまったら大出血です。現場から病院までは遠いことがほとんどですので、下手をすると命を失ってしまいます。 お値段は普通の作業用ズボンと比べると、やはり高いです。現場でよく見る作業ズボンは、近くの作業服店で2~3000円程で売っていますが、チェーンソーパンツになると大体2~3万円程度します。消耗品だけど安全のためにコストをかけるか、間違えば大怪我だけど安さを選ぶか・・・ ちなみに、日本ではチェーンソーによる事故が年間2,000件以上報告されています。そのなかで負傷の殆どが手足に集中しています。個人的には、大惨事を防げるのであれば数万円のコストは高くないと思います。 人気の高いチェーンソーパンツ チェーンソーパンツの必要性を説明したところで、ここからは人気の高いチェーンソーパンツのメーカーを紹介します。 モンベル(Mont-bell) アウトドア用品で有名な日本発ブランドのモンベル。そのモンベルが登山用ウエア開発で培ったノウハウをベースに開発した、林業用防護パンツを出しました。まずは、チェーンソー防護テスト動画をご覧ください。 モデル名は「バリスティックウルトラロガーパンツ」。筆者はこれまでモンベルのキャンプグッズを愛用していましたが、まさかアウトドアブランドであるモンベルから林業向けのチェンソーパンツが出てくるなんて思っていませんでした。 アウトドアブランドとはいえ、ユーロ規格であるEN 381-5のClass1を取得しており、チェンソー用防護衣としての安全基準をバッチリ満たしています。Class1は、カッターの回転速度20m/秒で刃を当てて裏地を貫通しなければ合格という基準で、現在日本で発売されている防護衣(ズボン・チャプス)はほとんどがClass1です。 表地は高強度の「バリスティックウルトラ」ナイロンが使用されています。バリスティック・ナイロンとは、アメリカのデュポン社が軍用に開発した通常のナイロンの数倍の強度を持つと言われている繊維のことですが、「バリスティックウルトラ」はモンベルが独自開発したもので、一般的なナイロン素材に比べ約3.6倍の引き裂き強度を達成しています。素材から独自開発という点からも、林業用ウェアに対するモンベルの本気度がうかがい知れます。 日本人の体格に合わせた登山用パンツを元にパターンを設計しているので、海外製品にありがちなダボつき感は少ないです。また、膝には立体裁断が施されているので、動きやすく、しゃがんだ作業もしやすい。 お値段も¥19,800(税抜)と比較的お求めやすい価格であることも要チェックポイントです。購入を検討される方は、こちらの取扱説明書もチェックしておくと良いでしょう。ズボンの重量は約1.2kg。 チェーンソーパンツを選ぶ際、全般的に言えることですが、サイズ選びは厳しめにしたほうが良いと思います。モンベルの場合、通常履くズボンのサイズで選ぶと少し大きめかもしれません。 試着できるのであれば是非しておきましょう。試着無しでバリスティックウルトラロガーパンツを購入する場合は、こちらのサイズ表を参考にしてください。 >>公式ページはこちらをクリック。 ハスクバーナ(Husqvarna) 普段からチェーンソーを使う人にはおなじみ、ハスクバーナ。北欧スウェーデンに本社を置くチェーンソーメーカーです。 そのハスクバーナの防護服シリーズが今年はフルモデルチェンジされ、ラインナップが拡充されています。 まずは防護服シリーズ全体のプロモーション動画をどうぞ。すごく雰囲気があります。 ハスクバーナのチェーンソーパンツのラインナップとして複数のモデルがありますが、その中で、先に紹介したモンベルのロガーパンツと同じ価格(¥19,800(税抜))のものが「プロテクティブズボン F-Ⅱ」です。 モンベルと同じEN 381-5のClass1を取得しており、耐久性も同等です。...
すごいチェーンソーパンツ
チェーンソーを使う時、どんなズボンを穿いていますか?日本の林業現場では、普通の作業用ズボンを穿いて作業を行っている人も多いと思います。作業中にチェーンソーの刃をズボンに当ててしまい、ヒヤっとしたことがある人も多いのでは。また、最近は薪ストーブがブームなので、プロの伐採業者でなくてもチェーンソーを扱う人が増えてきています。 そんな人たちに是非使っていただきたいのがチェーンソーパンツ。チェーンソー作業に特化した機能性、安全性はもちろん、見た目もカッコよいものが登場してきています。この記事ではそんなチェーンソーパンツについて紹介します。 そもそもチェーンソーパンツとは? チェーンソー作業時の思わぬケガから下半身を防護するのがチェーンソーパンツです。以下の動画を観れば、その機能は一目瞭然です。 ※あらゆるケガを完全に防護できるわけではないので、絶対に真似しないでください。 チェーンソーパンツに少しでもチェーンソーの刃が触れると、長い特殊繊維が瞬く間に刃に絡み付き、高速回転を強制ストップさせます。普通の作業ズボンではそうはいかず、刃が衝突する角度や勢いによっては、一瞬でパックリ・バッサリいってしまうことでしょう。 特に不安定な足場でのチェーンソー作業は、重篤な怪我と隣り合わせです。勢いあまって、足の動脈でも切ってしまったら大出血です。現場から病院までは遠いことがほとんどですので、下手をすると命を失ってしまいます。 お値段は普通の作業用ズボンと比べると、やはり高いです。現場でよく見る作業ズボンは、近くの作業服店で2~3000円程で売っていますが、チェーンソーパンツになると大体2~3万円程度します。消耗品だけど安全のためにコストをかけるか、間違えば大怪我だけど安さを選ぶか・・・ ちなみに、日本ではチェーンソーによる事故が年間2,000件以上報告されています。そのなかで負傷の殆どが手足に集中しています。個人的には、大惨事を防げるのであれば数万円のコストは高くないと思います。 人気の高いチェーンソーパンツ チェーンソーパンツの必要性を説明したところで、ここからは人気の高いチェーンソーパンツのメーカーを紹介します。 モンベル(Mont-bell) アウトドア用品で有名な日本発ブランドのモンベル。そのモンベルが登山用ウエア開発で培ったノウハウをベースに開発した、林業用防護パンツを出しました。まずは、チェーンソー防護テスト動画をご覧ください。 モデル名は「バリスティックウルトラロガーパンツ」。筆者はこれまでモンベルのキャンプグッズを愛用していましたが、まさかアウトドアブランドであるモンベルから林業向けのチェンソーパンツが出てくるなんて思っていませんでした。 アウトドアブランドとはいえ、ユーロ規格であるEN 381-5のClass1を取得しており、チェンソー用防護衣としての安全基準をバッチリ満たしています。Class1は、カッターの回転速度20m/秒で刃を当てて裏地を貫通しなければ合格という基準で、現在日本で発売されている防護衣(ズボン・チャプス)はほとんどがClass1です。 表地は高強度の「バリスティックウルトラ」ナイロンが使用されています。バリスティック・ナイロンとは、アメリカのデュポン社が軍用に開発した通常のナイロンの数倍の強度を持つと言われている繊維のことですが、「バリスティックウルトラ」はモンベルが独自開発したもので、一般的なナイロン素材に比べ約3.6倍の引き裂き強度を達成しています。素材から独自開発という点からも、林業用ウェアに対するモンベルの本気度がうかがい知れます。 日本人の体格に合わせた登山用パンツを元にパターンを設計しているので、海外製品にありがちなダボつき感は少ないです。また、膝には立体裁断が施されているので、動きやすく、しゃがんだ作業もしやすい。 お値段も¥19,800(税抜)と比較的お求めやすい価格であることも要チェックポイントです。購入を検討される方は、こちらの取扱説明書もチェックしておくと良いでしょう。ズボンの重量は約1.2kg。 チェーンソーパンツを選ぶ際、全般的に言えることですが、サイズ選びは厳しめにしたほうが良いと思います。モンベルの場合、通常履くズボンのサイズで選ぶと少し大きめかもしれません。 試着できるのであれば是非しておきましょう。試着無しでバリスティックウルトラロガーパンツを購入する場合は、こちらのサイズ表を参考にしてください。 >>公式ページはこちらをクリック。 ハスクバーナ(Husqvarna) 普段からチェーンソーを使う人にはおなじみ、ハスクバーナ。北欧スウェーデンに本社を置くチェーンソーメーカーです。 そのハスクバーナの防護服シリーズが今年はフルモデルチェンジされ、ラインナップが拡充されています。 まずは防護服シリーズ全体のプロモーション動画をどうぞ。すごく雰囲気があります。 ハスクバーナのチェーンソーパンツのラインナップとして複数のモデルがありますが、その中で、先に紹介したモンベルのロガーパンツと同じ価格(¥19,800(税抜))のものが「プロテクティブズボン F-Ⅱ」です。 モンベルと同じEN 381-5のClass1を取得しており、耐久性も同等です。...
キョンの捕獲・駆除について
近年、「キョン(羌)」という外来種の動物が激増して大きな問題となっています。問題が起きているのは千葉県房総半島や東京都伊豆大島で、農作物への被害も続出しています。 繁殖力が非常に高く、個体数の増加にともなう農林業被害の拡大が懸念されます。この記事ではキョンの生態から被害状況、対策などについて詳しく解説します。 キョンの生態 キョンは偶蹄目シカ科に分類される動物です。生態系や農林水産業に被害をもたらすおそれがある「特定外来生物」として環境省に指定されています。 体色は背面が茶褐色、腹面が淡褐色で、目の下に大きな臭腺(強いにおいの液を分泌する腺)があります。この部分が目のようにも見えることから四目鹿(ヨツメジカ)とも呼ばれます。 オスとメスの大きな違いとしては、角の有無があります。 オスは角を持ち、その長さは12~15cm程度。また、オスには目の上から角の基部にかけて2本の黒線があり、キバを持ちます。 メスには角がなく、額に目の上から頭頂部にかけて菱形の黒帯があります。体の大きさはニホンジカよりもかなり小さく、中型犬と同じくらい(肩高40cm、体重8kg程度)です。 キョンの生息地 中国南東部や台湾では野生のキョンが普遍的に見られます(中国名は黄麂、山羌)。主に低山の広葉樹林に生息し、明け方や夕暮れ時によく活動します。森林や藪の中を単独で行動することが多く、なわばりを持っていると考えられています。 本来は日本で生息しない種であり、動物園の飼育用として日本に持ち込まれましたが、逃げ出した個体が繁殖し、千葉県の房総半島や伊豆大島で生息するようになりました。現在のところ、国内で定着が確認されているのは房総半島南部と伊豆大島のみです。 キョンの鳴き声 以下の動画でキョンの鳴き声を聞くことができます。強いて鳴き声をカタカナで表現するなら、「ギャー」または「ギエー」といったところでしょうか。この動画のキョンより高い音で「キャー」と鳴くものもいます。犬の鳴き声や、女性の叫び声に似ているともいわれますが、深夜に聞くと怖い印象を受ける人もいるようです。 食べ物や生態 ニホンジカは森林の植生を食べつくすと言われるほど様々な種類の植物を食べますが、キョンはそれよりも好き嫌いが強い傾向にあります。地域によって差はあるものの、好物はカクレミノやアオキといった常緑広葉樹です。 ほかに堅果も多く食べますが、稲や枯葉・樹枝はあまり食べません。キョンによる食害としては、葉物野菜や果樹の新芽を食べられたといった被害が大半を占めます。 問題となっているのはその繁殖力です。繁殖力が高い理由として、性成熟が早いことが挙げられます。キョンのメスは早ければ生後半年前後で妊娠し、生後1年弱で初出産します。出産一回あたりに産まれる数は1子ですが、繁殖期は一年中で出産後すぐに発情できます。 なお、平均年齢は2歳ほどで、4歳以下の個体がほとんどを占めていると言われます。 キョンの天敵は? オオカミが既に絶滅している日本においては、人間以外にキョンの天敵は存在しません。千葉県や伊豆大島にはクマもおらず、食べものが多くある環境ですので爆発的に繁殖し、現在伊豆大島では島民の人口約8000人よりも多い約1万3000頭がいると推定されています。 キョンだけでなく、ニホンジカやイノシシなど野生鳥獣による被害が増える中で、天敵であるオオカミを海外から持ち込み、生態系を修復するべきだという意見もあります。しかしながら、導入後の影響(例えば、人や家畜への被害の有無など)が予想できないことから、現在導入には至っていません。 千葉県における被害状況 もともと千葉県勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」で飼育されていた個体が逃げ出し、野生化した結果、被害が生じるようになったとされています。 現在は、鴨川市、勝浦市、市原市、君津市、富津市、いすみ市、大多喜町、御宿町及び鋸南町の9市町に分布し、分布域は拡大傾向と言われています。 このうち最も生息数が多いのは、いすみ市です。 農作物被害がキョンによるものなのかを正確に判断することは困難です。また、認知度も高くないため、キョンによる被害として報告されていないケースも多いと考えられます。 そのためキョンによる正確な被害金額は把握しにくいですが、2016年度のキョンによる農業被害額は132万円(被害面積1.1ヘクタール)とされています。これは統計を取り始めた2004年度以来最高の値で、被害品目は野菜類、イネ、ダイズ、イチゴなどの食害が大半を占めます。 他にも、家庭菜園が荒らされたり、深夜の鳴き声、路上のフンや生け垣をかじられるといった被害も報告されています。 伊豆大島における被害状況 もともと大島では、キョンは島内にある都立大島公園で飼われていましたが、1970年秋の台風によって柵が壊れ、逃げ出したものが野生化しました。...
キョンの捕獲・駆除について
近年、「キョン(羌)」という外来種の動物が激増して大きな問題となっています。問題が起きているのは千葉県房総半島や東京都伊豆大島で、農作物への被害も続出しています。 繁殖力が非常に高く、個体数の増加にともなう農林業被害の拡大が懸念されます。この記事ではキョンの生態から被害状況、対策などについて詳しく解説します。 キョンの生態 キョンは偶蹄目シカ科に分類される動物です。生態系や農林水産業に被害をもたらすおそれがある「特定外来生物」として環境省に指定されています。 体色は背面が茶褐色、腹面が淡褐色で、目の下に大きな臭腺(強いにおいの液を分泌する腺)があります。この部分が目のようにも見えることから四目鹿(ヨツメジカ)とも呼ばれます。 オスとメスの大きな違いとしては、角の有無があります。 オスは角を持ち、その長さは12~15cm程度。また、オスには目の上から角の基部にかけて2本の黒線があり、キバを持ちます。 メスには角がなく、額に目の上から頭頂部にかけて菱形の黒帯があります。体の大きさはニホンジカよりもかなり小さく、中型犬と同じくらい(肩高40cm、体重8kg程度)です。 キョンの生息地 中国南東部や台湾では野生のキョンが普遍的に見られます(中国名は黄麂、山羌)。主に低山の広葉樹林に生息し、明け方や夕暮れ時によく活動します。森林や藪の中を単独で行動することが多く、なわばりを持っていると考えられています。 本来は日本で生息しない種であり、動物園の飼育用として日本に持ち込まれましたが、逃げ出した個体が繁殖し、千葉県の房総半島や伊豆大島で生息するようになりました。現在のところ、国内で定着が確認されているのは房総半島南部と伊豆大島のみです。 キョンの鳴き声 以下の動画でキョンの鳴き声を聞くことができます。強いて鳴き声をカタカナで表現するなら、「ギャー」または「ギエー」といったところでしょうか。この動画のキョンより高い音で「キャー」と鳴くものもいます。犬の鳴き声や、女性の叫び声に似ているともいわれますが、深夜に聞くと怖い印象を受ける人もいるようです。 食べ物や生態 ニホンジカは森林の植生を食べつくすと言われるほど様々な種類の植物を食べますが、キョンはそれよりも好き嫌いが強い傾向にあります。地域によって差はあるものの、好物はカクレミノやアオキといった常緑広葉樹です。 ほかに堅果も多く食べますが、稲や枯葉・樹枝はあまり食べません。キョンによる食害としては、葉物野菜や果樹の新芽を食べられたといった被害が大半を占めます。 問題となっているのはその繁殖力です。繁殖力が高い理由として、性成熟が早いことが挙げられます。キョンのメスは早ければ生後半年前後で妊娠し、生後1年弱で初出産します。出産一回あたりに産まれる数は1子ですが、繁殖期は一年中で出産後すぐに発情できます。 なお、平均年齢は2歳ほどで、4歳以下の個体がほとんどを占めていると言われます。 キョンの天敵は? オオカミが既に絶滅している日本においては、人間以外にキョンの天敵は存在しません。千葉県や伊豆大島にはクマもおらず、食べものが多くある環境ですので爆発的に繁殖し、現在伊豆大島では島民の人口約8000人よりも多い約1万3000頭がいると推定されています。 キョンだけでなく、ニホンジカやイノシシなど野生鳥獣による被害が増える中で、天敵であるオオカミを海外から持ち込み、生態系を修復するべきだという意見もあります。しかしながら、導入後の影響(例えば、人や家畜への被害の有無など)が予想できないことから、現在導入には至っていません。 千葉県における被害状況 もともと千葉県勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」で飼育されていた個体が逃げ出し、野生化した結果、被害が生じるようになったとされています。 現在は、鴨川市、勝浦市、市原市、君津市、富津市、いすみ市、大多喜町、御宿町及び鋸南町の9市町に分布し、分布域は拡大傾向と言われています。 このうち最も生息数が多いのは、いすみ市です。 農作物被害がキョンによるものなのかを正確に判断することは困難です。また、認知度も高くないため、キョンによる被害として報告されていないケースも多いと考えられます。 そのためキョンによる正確な被害金額は把握しにくいですが、2016年度のキョンによる農業被害額は132万円(被害面積1.1ヘクタール)とされています。これは統計を取り始めた2004年度以来最高の値で、被害品目は野菜類、イネ、ダイズ、イチゴなどの食害が大半を占めます。 他にも、家庭菜園が荒らされたり、深夜の鳴き声、路上のフンや生け垣をかじられるといった被害も報告されています。 伊豆大島における被害状況 もともと大島では、キョンは島内にある都立大島公園で飼われていましたが、1970年秋の台風によって柵が壊れ、逃げ出したものが野生化しました。...
イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付けへ
農林業に害を及ぼす鳥獣を駆除した猟師が、自治体から報酬を不正に受け取るケースが相次いでいることを受け、農林水産省は来年4月から運用を厳しくする。 これまでは支給の窓口となる自治体において、尻尾や耳、牙など獲物の証明方法はばらつきがあったが、来年4月以降は証明方法を統一し、書類申請の場合には尻尾の提出を義務付けることとなった。 国は平成25(2013)年度から、農作物の被害を減らそうと、鳥獣駆除への交付金を開始した。イノシシやシカ、クマだと1頭当たり最大8千円を出し、これを元手に市町村が猟師へ報酬を支払う。独自に単価を上乗せする所もある。 現状は、支給申請は市町村などの職員による現地確認がなくても認められ、約8割の自治体が写真や個体の一部といった証拠品で確認していたが、尻尾や耳などの提出部位や撮影ルールはばらつきがあった。 来年4月以降の証明方法としては、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化。 写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて撮るよう統一する。 これまで明らかとなっている不正の手口は、同じ個体を角度を変えて撮影した写真を別の個体として申請したりするもので、鹿児島県霧島市や兵庫県佐用町で確認の緩さを突く内容であったため、今回のルール改正によって改善が期待される。
イノシシ捕獲数証明で尻尾の提出義務付けへ
農林業に害を及ぼす鳥獣を駆除した猟師が、自治体から報酬を不正に受け取るケースが相次いでいることを受け、農林水産省は来年4月から運用を厳しくする。 これまでは支給の窓口となる自治体において、尻尾や耳、牙など獲物の証明方法はばらつきがあったが、来年4月以降は証明方法を統一し、書類申請の場合には尻尾の提出を義務付けることとなった。 国は平成25(2013)年度から、農作物の被害を減らそうと、鳥獣駆除への交付金を開始した。イノシシやシカ、クマだと1頭当たり最大8千円を出し、これを元手に市町村が猟師へ報酬を支払う。独自に単価を上乗せする所もある。 現状は、支給申請は市町村などの職員による現地確認がなくても認められ、約8割の自治体が写真や個体の一部といった証拠品で確認していたが、尻尾や耳などの提出部位や撮影ルールはばらつきがあった。 来年4月以降の証明方法としては、写真と尻尾をそろえて提出することを義務化。 写真は頭を右向きにし、スプレーで体に日付などを入れて撮るよう統一する。 これまで明らかとなっている不正の手口は、同じ個体を角度を変えて撮影した写真を別の個体として申請したりするもので、鹿児島県霧島市や兵庫県佐用町で確認の緩さを突く内容であったため、今回のルール改正によって改善が期待される。
箱罠について詳しく知りたい
目次 1箱罠とは 2箱罠の構造・仕組み 1箱罠のトリガーについて 2箱罠の檻について 3箱罠の設置や仕掛け方 1罠の設置の前に 2設置場所 3設置方法 4餌付け 5設置期間 6捕獲後の処理 鳥獣被害に悩まされる中で、罠による捕獲・駆除を行わなければならないことがあります。特に害獣の個体数が多い地域では、罠によって捕獲圧を高めることは必須です。 罠の種類には、主に「箱罠」「くくり罠」「囲い罠」の3種類がありますが、この記事では「箱罠」について詳しく説明します。 箱罠とは 箱罠とは、檻などで作られた箱の中に獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込める罠のことです。なお、天井面の半分以上が開口しているものは箱罠ではなく囲い罠として扱われます。 箱罠のメリットは初心者にも比較的扱いやすいという点です。くくり罠の場合、罠の設置やかかった獲物の処理に技術・経験が必要ですが、それに比べると、箱罠は組み立てしまえば設置完了です。 また捕獲後の処理も、獲物の動きが限定されるため、くくり罠や大きめの囲い罠と比べると難易度は下がります。そのため初心者には、より安全な箱わなの使用が向いているといえます。 初心者でなくても、人間の活動が多い場所で罠を設置する場合は事故を避けるため、くくり罠よりも安全な箱わなが用いられることが多くあります。 箱罠の構造・仕組み 一口に箱罠といっても様々な種類がありますが、いずれもエサを使って獲物を箱の中に誘因します。箱内に獲物が入ることでトリガーが作動し、出入口の落とし戸が閉まります。 参考動画:平成29年1月22日捕獲瞬間(アニマルセンサ-2) 箱罠のトリガーについて トリガーとは、落とし戸が落ちる動作を開始するためのきっかけとなる機構のことです。多種多様なタイプがありますが、大まかには以下に分類されます。 蹴り糸方式 中にトリガーライン(仕掛け線)となるワイヤーを張り、獲物がそれに触れたらゲートが落ちる方式です。箱罠のトリガー方式の中では最も一般的なものです。獲物の体高に合わせて位置や高さを調節します。 蹴り糸式箱罠の商品一覧はこちら 踏み板方式 床面に設置した踏み板に、獲物の体重が乗った瞬間に、トリガーが外れて扉が閉まる仕組みです。踏み板方式は、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなど小型獣をターゲットとした箱罠に使用されることが多いです。獲物の体重に合わせてトリガーを調節します。 踏み板方式箱罠の商品一覧はこちら...
箱罠について詳しく知りたい
目次 1箱罠とは 2箱罠の構造・仕組み 1箱罠のトリガーについて 2箱罠の檻について 3箱罠の設置や仕掛け方 1罠の設置の前に 2設置場所 3設置方法 4餌付け 5設置期間 6捕獲後の処理 鳥獣被害に悩まされる中で、罠による捕獲・駆除を行わなければならないことがあります。特に害獣の個体数が多い地域では、罠によって捕獲圧を高めることは必須です。 罠の種類には、主に「箱罠」「くくり罠」「囲い罠」の3種類がありますが、この記事では「箱罠」について詳しく説明します。 箱罠とは 箱罠とは、檻などで作られた箱の中に獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込める罠のことです。なお、天井面の半分以上が開口しているものは箱罠ではなく囲い罠として扱われます。 箱罠のメリットは初心者にも比較的扱いやすいという点です。くくり罠の場合、罠の設置やかかった獲物の処理に技術・経験が必要ですが、それに比べると、箱罠は組み立てしまえば設置完了です。 また捕獲後の処理も、獲物の動きが限定されるため、くくり罠や大きめの囲い罠と比べると難易度は下がります。そのため初心者には、より安全な箱わなの使用が向いているといえます。 初心者でなくても、人間の活動が多い場所で罠を設置する場合は事故を避けるため、くくり罠よりも安全な箱わなが用いられることが多くあります。 箱罠の構造・仕組み 一口に箱罠といっても様々な種類がありますが、いずれもエサを使って獲物を箱の中に誘因します。箱内に獲物が入ることでトリガーが作動し、出入口の落とし戸が閉まります。 参考動画:平成29年1月22日捕獲瞬間(アニマルセンサ-2) 箱罠のトリガーについて トリガーとは、落とし戸が落ちる動作を開始するためのきっかけとなる機構のことです。多種多様なタイプがありますが、大まかには以下に分類されます。 蹴り糸方式 中にトリガーライン(仕掛け線)となるワイヤーを張り、獲物がそれに触れたらゲートが落ちる方式です。箱罠のトリガー方式の中では最も一般的なものです。獲物の体高に合わせて位置や高さを調節します。 蹴り糸式箱罠の商品一覧はこちら 踏み板方式 床面に設置した踏み板に、獲物の体重が乗った瞬間に、トリガーが外れて扉が閉まる仕組みです。踏み板方式は、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなど小型獣をターゲットとした箱罠に使用されることが多いです。獲物の体重に合わせてトリガーを調節します。 踏み板方式箱罠の商品一覧はこちら...
シカによる森林被害の実態
シカ(ニホンジカ・エゾシカ)の好物は様々な植物です。食べる植物の種類は極めて多く、芝や木の葉だけでなく、食べ物の少ない時期には樹皮も食べます。 一帯の植物を食べつくし、短期間のあいだに山林の姿を変えてしまうほどの被害を与えるため、深刻な問題となっているのは既に広く知られてきているところです。この記事では、その実態を詳しく説明します。 変化が著しい場所はどこ? ベテランの登山者をはじめ、長く山の様子を見ている人がよく言うのは、近年特に山が荒れている様子が顕著だということ。立ったまま枯れる木や、地面がむき出しになった箇所が多く目についたりして、昔と比べると山の植生バランスが明らかにおかしいというのです。 特に、低山を中心にした森林地帯の変化が著しく、かつては原生林が生い茂っていた場所が、今では樹木や植物が枯死し土壌が崩壊しているケースが多く目につくといいます。そして、原因として大きな割合を占めるのが、シカによる食害です。 林野庁によると、平成27年(2015年)度はシカやクマ等の野生鳥獣による森林被害面積は全国で約8000ヘクタール(東京ドーム約1700個分)となっていますが、このうち、シカによる枝葉の食害や剥皮被害が全体の約8割を占めています。 主要な野生鳥獣による森林被害面積(平成27年度)※参照元:林野庁データ 被害を受けた場所の特徴 ディアライン(Deer Line)という言葉をご存知でしょうか。ディアラインとは、シカの採食によって植生上に線ができることです。シカの口が届く高さに沿って、葉っぱが無くなったり、皮を剥かれたりしている場所が露わになるのです。 シカの生息密度が高いほど、ディアラインは顕著に出現します。例えばシカで有名な奈良公園では、2m以下の部分は枝や葉がほとんどなく、このディアラインが特有の景観として広く知られています。 山林において、シカが好まない植物だけ残っているケースや、ほぼ裸地になってしまっているほど被害が深刻なケースでは、ディアラインが多く見られます。そして、裸地上にシカの糞が散見されます。 このような裸地には雨水の流れた跡が痛々しく残り、土砂流出が激しい傾向があります。また、渓流には泥分が多くなり、生態系に大きな影響が出ます。 シカによる食害は、林業にも深刻なダメージを与えます。シカの好物が多い自然林に比べれば被害の度合いは低いですが、植林したスギやヒノキの苗木が食べられてしまったり、年季が経って価値の高くなった木が剥皮被害を受けるなどが起きています。 林業は、「植えれば赤字」と言われるほど、採算性が悪い状況です。その中で、せっかく植林しても、やわらかな苗木があっという間に食べられたりすると、森林所有者の経営意欲は削がれていきます。 防鹿柵で囲ったり、苗を保護する食害防止管(ツリーシェルター)をかぶせるなどの方法はありますが、厳しい林業の現状の中で、林業家がさらなる経済的負担をすることは現実的ではありません。植えても植えても食べられてしまうシカ食害のリスクは、林業にとって致命的ともいえるものです。 シカが増えた理由 このような被害が増えた要因としては、シカの個体数の増加があります。 シカの個体数は、平成25(2013)年度末のデータで300万頭を超えており、平成元(1989)年の個体数のなんと10倍に迫る増加を示しています(林野庁データを引用)。 では、なぜシカが増えたのでしょうか。それには、温暖化・天敵絶滅・狩猟者減少などが挙げられます。 温暖化の影響 一つ目の要因として、温暖化によって積雪量が減り、越冬できる個体が増えたことが考えられます。 積雪量が減ると、地面が雪に覆われることも減るため、植物を摂食できる期間やエリアが増えます。 そのため、シカ(特に子ジカ)が冬に餓死によって死ぬ割合が減るのです。シカは早いものでは生後1年の秋あたりから妊娠できるようになり、しかもほぼ毎年妊娠するため、条件さえよければ個体数はどんどん増えます。 1978年のシカの分布と2003年のものを比較すると、積雪の少ない西日本を中心に、全体でおよそ70%ほど分布が拡大したことがわかっています。 ニホンジカの分布と拡大予測 ※参照元:環境省データ 天敵の絶滅 日本ではかつて、ニホンオオカミがシカの天敵として生息していましたが、明治時代に絶滅しました。天敵であるニホンオオカミが絶滅したことも、ニホンジカが増加したひとつの原因といわれています。 そのため、鹿の数を減らすため検討されている1つの案として、外国からオオカミを導入することが検討されています。しかし、安易に外国産のオオカミを導入することは、生態系への様々な影響が懸念されます。...
シカによる森林被害の実態
シカ(ニホンジカ・エゾシカ)の好物は様々な植物です。食べる植物の種類は極めて多く、芝や木の葉だけでなく、食べ物の少ない時期には樹皮も食べます。 一帯の植物を食べつくし、短期間のあいだに山林の姿を変えてしまうほどの被害を与えるため、深刻な問題となっているのは既に広く知られてきているところです。この記事では、その実態を詳しく説明します。 変化が著しい場所はどこ? ベテランの登山者をはじめ、長く山の様子を見ている人がよく言うのは、近年特に山が荒れている様子が顕著だということ。立ったまま枯れる木や、地面がむき出しになった箇所が多く目についたりして、昔と比べると山の植生バランスが明らかにおかしいというのです。 特に、低山を中心にした森林地帯の変化が著しく、かつては原生林が生い茂っていた場所が、今では樹木や植物が枯死し土壌が崩壊しているケースが多く目につくといいます。そして、原因として大きな割合を占めるのが、シカによる食害です。 林野庁によると、平成27年(2015年)度はシカやクマ等の野生鳥獣による森林被害面積は全国で約8000ヘクタール(東京ドーム約1700個分)となっていますが、このうち、シカによる枝葉の食害や剥皮被害が全体の約8割を占めています。 主要な野生鳥獣による森林被害面積(平成27年度)※参照元:林野庁データ 被害を受けた場所の特徴 ディアライン(Deer Line)という言葉をご存知でしょうか。ディアラインとは、シカの採食によって植生上に線ができることです。シカの口が届く高さに沿って、葉っぱが無くなったり、皮を剥かれたりしている場所が露わになるのです。 シカの生息密度が高いほど、ディアラインは顕著に出現します。例えばシカで有名な奈良公園では、2m以下の部分は枝や葉がほとんどなく、このディアラインが特有の景観として広く知られています。 山林において、シカが好まない植物だけ残っているケースや、ほぼ裸地になってしまっているほど被害が深刻なケースでは、ディアラインが多く見られます。そして、裸地上にシカの糞が散見されます。 このような裸地には雨水の流れた跡が痛々しく残り、土砂流出が激しい傾向があります。また、渓流には泥分が多くなり、生態系に大きな影響が出ます。 シカによる食害は、林業にも深刻なダメージを与えます。シカの好物が多い自然林に比べれば被害の度合いは低いですが、植林したスギやヒノキの苗木が食べられてしまったり、年季が経って価値の高くなった木が剥皮被害を受けるなどが起きています。 林業は、「植えれば赤字」と言われるほど、採算性が悪い状況です。その中で、せっかく植林しても、やわらかな苗木があっという間に食べられたりすると、森林所有者の経営意欲は削がれていきます。 防鹿柵で囲ったり、苗を保護する食害防止管(ツリーシェルター)をかぶせるなどの方法はありますが、厳しい林業の現状の中で、林業家がさらなる経済的負担をすることは現実的ではありません。植えても植えても食べられてしまうシカ食害のリスクは、林業にとって致命的ともいえるものです。 シカが増えた理由 このような被害が増えた要因としては、シカの個体数の増加があります。 シカの個体数は、平成25(2013)年度末のデータで300万頭を超えており、平成元(1989)年の個体数のなんと10倍に迫る増加を示しています(林野庁データを引用)。 では、なぜシカが増えたのでしょうか。それには、温暖化・天敵絶滅・狩猟者減少などが挙げられます。 温暖化の影響 一つ目の要因として、温暖化によって積雪量が減り、越冬できる個体が増えたことが考えられます。 積雪量が減ると、地面が雪に覆われることも減るため、植物を摂食できる期間やエリアが増えます。 そのため、シカ(特に子ジカ)が冬に餓死によって死ぬ割合が減るのです。シカは早いものでは生後1年の秋あたりから妊娠できるようになり、しかもほぼ毎年妊娠するため、条件さえよければ個体数はどんどん増えます。 1978年のシカの分布と2003年のものを比較すると、積雪の少ない西日本を中心に、全体でおよそ70%ほど分布が拡大したことがわかっています。 ニホンジカの分布と拡大予測 ※参照元:環境省データ 天敵の絶滅 日本ではかつて、ニホンオオカミがシカの天敵として生息していましたが、明治時代に絶滅しました。天敵であるニホンオオカミが絶滅したことも、ニホンジカが増加したひとつの原因といわれています。 そのため、鹿の数を減らすため検討されている1つの案として、外国からオオカミを導入することが検討されています。しかし、安易に外国産のオオカミを導入することは、生態系への様々な影響が懸念されます。...
クマに襲われ84歳男性大けが。秋田のりんご畑
10月26日の早朝、秋田県北秋田市阿仁伏影の山あいの集落で、84歳の男性が自宅裏のりんご畑でクマに襲われ、あごの骨を折るなどの大けがを負った。 北秋田署によると、男性の自宅裏のリンゴ畑でクマによる食害が多発していたため、仕掛けていたわなの様子を見に行ったところ、体長約80センチの子グマが掛かっているのを発見。その直後に杉林から現れた親とみられるクマに襲われ、顔や首などを負傷したとのこと。なお命に別状はない模様。 今回男性が被害にあった地区では、クマの目撃情報や農作物の食害が続いていたため、先月2日から県の許可を受けて市がオリを設置し、これまでに6頭を捕獲している。また、男性を襲ったクマは見つかっておらず、警察や市の職員が住民に注意を呼びかけている。 秋田県自然保護課によると、今月の目撃件数は10月24日時点で121件に上り、過去10年の平均(21件)を大きく上回っているとのこと。今年に入ってからの人身被害は17件(18人)に上り、10月は7日に鹿角市の農作業所で1件発生したほか、25日にも人身被害が起きていた。 今年はブナやナラなどクマの餌となる木の実が凶作で、今後も人里周辺への出没が予想されるという。これらを受け、秋田県は10月27日、県内全域を対象に今月末まで発令していたツキノワグマの出没警報を、12月20日まで延長すると発表した。延長は7、8月に続き3回目である。
クマに襲われ84歳男性大けが。秋田のりんご畑
10月26日の早朝、秋田県北秋田市阿仁伏影の山あいの集落で、84歳の男性が自宅裏のりんご畑でクマに襲われ、あごの骨を折るなどの大けがを負った。 北秋田署によると、男性の自宅裏のリンゴ畑でクマによる食害が多発していたため、仕掛けていたわなの様子を見に行ったところ、体長約80センチの子グマが掛かっているのを発見。その直後に杉林から現れた親とみられるクマに襲われ、顔や首などを負傷したとのこと。なお命に別状はない模様。 今回男性が被害にあった地区では、クマの目撃情報や農作物の食害が続いていたため、先月2日から県の許可を受けて市がオリを設置し、これまでに6頭を捕獲している。また、男性を襲ったクマは見つかっておらず、警察や市の職員が住民に注意を呼びかけている。 秋田県自然保護課によると、今月の目撃件数は10月24日時点で121件に上り、過去10年の平均(21件)を大きく上回っているとのこと。今年に入ってからの人身被害は17件(18人)に上り、10月は7日に鹿角市の農作業所で1件発生したほか、25日にも人身被害が起きていた。 今年はブナやナラなどクマの餌となる木の実が凶作で、今後も人里周辺への出没が予想されるという。これらを受け、秋田県は10月27日、県内全域を対象に今月末まで発令していたツキノワグマの出没警報を、12月20日まで延長すると発表した。延長は7、8月に続き3回目である。
高松市のショッピングモールにイノシシが侵入 5人けが
10月23日午後6時50分ごろ、香川県高松市香西本町の「イオンモール高松」に体長1.1mのメスのイノシシが出没。出入口から一階のアウトドア用品店に入っていき、その後来店していた客や従業員の足に噛みつくなどしたという。 「イノシシ1頭が店内1階を徘徊している」と客から110番通報を受け、駆け付けた警察も手を噛まれたが、その後10名程の警察官が網を使って捕獲した。 香川県警高松北署によると、買い物に来ていた14歳男子中学生が、イノシシとぶつかって倒れた商品棚に足をぶつけたほか、店員と警備員の計3人(20代~30代)が足を噛まれ、警察官1人も手を噛まれたが、いずれも軽症。 イオンモール高松は海と川に面した市街地の大型店舗だが、南西に1.5kmほど離れた位置にイノシシが生息する勝賀山があり、南東には高松市峰山公園がある。 峰山公園付近では今年8月下旬、イノシシが計10頭捕獲されており、高松市内全域においても最近イノシシの出没情報が数多く寄せられている。またイノシシが市街地に出没し車と接触したり、噛みつかれたりする事故が多数発生している状況である。 >>こちらの記事もどうぞ。イノシシ対策~何をすればよいのか?【市街地編】
高松市のショッピングモールにイノシシが侵入 5人けが
10月23日午後6時50分ごろ、香川県高松市香西本町の「イオンモール高松」に体長1.1mのメスのイノシシが出没。出入口から一階のアウトドア用品店に入っていき、その後来店していた客や従業員の足に噛みつくなどしたという。 「イノシシ1頭が店内1階を徘徊している」と客から110番通報を受け、駆け付けた警察も手を噛まれたが、その後10名程の警察官が網を使って捕獲した。 香川県警高松北署によると、買い物に来ていた14歳男子中学生が、イノシシとぶつかって倒れた商品棚に足をぶつけたほか、店員と警備員の計3人(20代~30代)が足を噛まれ、警察官1人も手を噛まれたが、いずれも軽症。 イオンモール高松は海と川に面した市街地の大型店舗だが、南西に1.5kmほど離れた位置にイノシシが生息する勝賀山があり、南東には高松市峰山公園がある。 峰山公園付近では今年8月下旬、イノシシが計10頭捕獲されており、高松市内全域においても最近イノシシの出没情報が数多く寄せられている。またイノシシが市街地に出没し車と接触したり、噛みつかれたりする事故が多数発生している状況である。 >>こちらの記事もどうぞ。イノシシ対策~何をすればよいのか?【市街地編】