【週刊】鳥獣被害対策
対馬市におけるイノシシ・シカ対策のご紹介
長崎県対馬市は日本海の西に位置する島です。九州と韓国の間の対馬海峡に浮かび、「国境の島」とも呼ばれています。博多港までは航路で132キロ、韓国までは直線距離で49.5キロ。日本の中で朝鮮半島に最も近いという地理的条件から、大陸と日本の架け橋として数多くの文化・歴史が息づいています。 1.豊かな自然が残る対馬。島の89%が山林で占められている 特産品も多く、海鮮やしいたけ・地酒などをはじめ、縄文後期の原種そば「対州そば」など多くのグルメを味わうことができます。 また近年では、世界的に話題となった時代劇アクションゲーム「Ghost of Tsushima」(ゴーストオブツシマ)の舞台としても注目を集めました。 島の大きさは、南北82キロ・東西18キロ、面積は約708平方キロ。沖縄本島と北方四島を除けば、佐渡島・奄美大島に次ぐ大きさです。 山林が面積の89%を占める自然豊かな島ですが、一方でイノシシやシカによる農作物被害や林業被害、山の下草が無くなるといった生態系被害に悩まされています。 こうした被害を受け対馬市では、イノシシ・シカに対する対策を実施すると共に、イノシシ・シカに負けない地域づくり・人づくりに向けてさまざまな取り組みをしています。 今回は、対馬市役所 農林水産部の日高様に、対馬市におけるイノシシ・シカ対策についてお話を伺いましたので、ご紹介します(以下敬称略)。 対馬市でのイノシシ・シカ被害の現状 2.イノシシやシカが多く生息し農作物・森林被害が発生している -まずは、対馬でのイノシシ・シカ被害の現状からお聞かせください 日高:対馬市では現在、イノシシ・シカの増加により、食い荒らしや踏み倒しによる農作物被害、樹脂剥ぎによる森林被害、さらには下層植生減少や土砂流出によって生態系にも被害が及んでいるのが現状です。近年ではイノシシやシカが市街地付近でも出没しており、接触事故なども発生しています。 3.「猪鹿追詰(ちょろくおいつめ)」対馬市公式HPより 対馬は今から約300年前に、イノシシによる農業被害に悩む百姓を助けるため、対馬藩で農業振興に尽力した陶山訥庵(すやま とつあん)が中心となって「猪鹿追詰(ちょろくおいつめ)」が実施され、9年間の歳月をかけてイノシシを絶滅させたという歴史があります。 しかし、今から30年ほどまえに島外から持ち込まれたイノシシが野生化し、平成6年に一頭の成獣が捕獲されたことを皮切りに、被害が全島に及ぶようになりました。 シカによる被害も顕著になってきています。対馬に生息するシカは、対馬にのみ生息するキュシュウジカの亜種です。1960年代は、捕獲圧の上昇により個体数が減少したことを受け、県の天然記念物に指定され、一切の捕獲が禁止されました。しかしながら、その後個体数が増加し、農林業被害が発生するようになったため、1981年から有害捕獲が開始され、2006年に天然記念物指定が解除されるに至っています。 イノシシ・シカ被害への対策や捕獲の状況 -イノシシ・シカ被害への対策や捕獲の状況はいかがでしょうか? 日高:被害の拡大を受けて市では他の有害鳥獣捕獲地域と同様、被害を引き起こすイノシシやシカを捕獲した際には報奨金を交付する制度を導入しました。その効果もあり、2019年度の捕獲実績はシカが約8,236頭、イノシシは約5,367頭という結果になりました。1か月に最大1,000頭捕獲したという実績もあります。 しかし、依然として被害は減少しておらず、捕獲のペースが追いついていなのが現状です。とくに森林被害は深刻です。田畑への農作物被害に対しては防護柵やワイヤーメッシュを用いることで被害額が減少傾向にありますが、森林被害はカバーするエリアも広く、より捕獲圧を上げていかなければなりません。 森林被害の削減に向けての新しい対策 -被害を削減するために、今後を見据え新しい対策へ取り組んでいるとお伺いしました 日高:対馬市では全国に先駆け、主に森林被害を低減させるための補助事業として、シカ捕獲用のくくり罠を助成する事業を開始しました。 4.対馬市で導入するくくり罠 現在、捕獲方法の内訳としては、銃器を使った捕獲が約3割、罠を使った捕獲が約7割になっています。銃器による捕獲はどうしても許可・規制等の問題があることから限定的となり、猟友会の方へのご負担も大きくなってしまいます。そこで、ハードルが低い罠を使用することでも十分な捕獲実績を出せることに注目し、シカ捕獲用のくくり罠1,500個を助成することにしました。 5.猟友会の協力の元、助成用の罠を念入りにチェックする 具体的には、この冬期、対馬市有害鳥獣被害対策強化月間を設定し、シカを捕獲した方に対して、くくり罠を提供します。 これまで罠を仕掛ける機会がなかった方や、くくり罠を使用してこなかった方にも、事業を通して「きっかけ」を作ることができれば、島全体で広く対策に協力していただくことができます。 いままで捕獲実績が少なかった方も、この取り組みによって数を増やしていければ、捕獲圧を高めていくことができます。 -地域や猟友会と連携して取り組む訳ですね 日高:はい。くくり罠の配布には猟友会の方が事業主体となってご協力いただきます。地域と猟友会が協力して取り組む体制を築くことで、捕獲圧を上げて被害を削減していくことが狙いです。 まとめ 対馬市では島おこしの一環として、捕獲したイノシシやシカの「皮」を使ったレザークラフト製品の開発にも取り組んでいます。鳥獣対策に取り組みつつ、島おこしにも役立てることが狙いです。 6.捕獲したイノシシやシカの皮を使ったレザークラフトで島おこし 鳥獣対策には、行政や猟友会、地域住民が一体となって協力して取り組むことが大切です。対馬市が新たに取り組むくくり罠の提供事業も、地域一体でイノシシやシカの被害をくい止めるための対策といえます。 7.ジビエ肉として有効活用。ふるさと納税でも販売している 全国でも先駆けとなるこの取り組みは、鳥獣被害に悩む他の自治体にとっても今後の鳥獣被害対策を検討する上で、貴重な参考材料となるのではないでしょうか。
箱罠のセンサーをお探しの方へ
イノシシやシカの捕獲に広く用いられている箱罠。物理的な仕組みで作動させるものが一般的ですが、近年はセンサーを使った捕獲の仕組みが注目をあびており、多くの地域で導入されるようになってきています。 すでに各社から様々なタイプが販売されていますが、従来の箱罠に慣れている人にとっては、とっつきにくく感じるかもしれません。しかしながら、うまく使えば捕獲率の向上や作業効率を良くすることが可能です。 ※箱罠の傍に設置しておき罠の様子を録画する、「トレイルカメラ」とは今回は区別して説明します。 箱罠+センサーを使った捕獲 箱罠は餌を使って獣を檻の内部に誘引し、獣が檻の中に入ったら仕組みが作動して扉が落ちる仕組みになっています。 こちらの記事もどうぞ 箱罠について詳しく知りたい 一般的な箱罠は、罠の内部にある仕掛け(蹴り糸や踏み板など)に獣が触れると扉が落ちるといった、物理的な仕組みになっています。 たとえば、蹴り糸を使った方式の場合、箱罠内部に張った糸に獣が触れると、扉を吊っているワイヤーや紐が外れて扉が閉まる仕組みになっています。 一方で、センサーをつかった仕掛けの場合、獣が罠の内部に入ったことを赤外線などのセンサーによって感知します。蹴り糸などを用意する必要がなく、またそれが無いことで獣の警戒心を弱めることが可能になります。さらに、仕掛けの労力を減らすことにもつながります。 センサーによって扉が自動で落ちる仕組み この仕組みには、主に赤外線センサーが用いられます。センサー筐体と扉を吊る紐が連結できるようになっており、センサー筐体を箱罠の上面や側面に取り付ける形で仕掛けるのが一般的です。 因みに赤外線とは、熱をもっている物体や生き物が発している電磁波の一種です。これを肉眼で見ることはできませんが、赤外線センサーの内部は入射した赤外線を電気信号に変えるような仕組みとなっています。この仕組みは、人感センサーなど各種センサーとして幅広く用いられています。 これを箱罠の仕掛けに応用し、周囲温度と比べて温度差のあるものがセンサー感知範囲内で動くと、センサーがこれを感知して、扉を吊る紐がセンサー筐体から外れることにより、扉が自動で落ちる仕組みになっています。 IoTを活用した応用例も 最近では、センサー+IoTを組み合わせて捕獲に役立てる試みも進んでいます。IoTとは、今までインターネットにつながっていなかったモノをインターネットにつなぐことです。 例えば、獣が罠の内部に入ったことを赤外線センサーが感知、そのタイミングでカメラ撮影を開始。カメラで撮影された映像を、インターネット経由でパソコンやスマートフォンなどによって遠隔で確認するといったことが可能になります。 さらに、遠隔で人が監視する労力を省くために、獣の種類や頭数を画像で自動判別して、狙った獲物だけを自動で捕獲できるようにするための試みも行われています。 また、赤外線センサーが感知したタイミングで、自動でメール通知を携帯電話等に配信したり、GPSと連携して捕獲場所をマッピングすることによって生息密度が高い場所を割り出したりする応用例もあります。 ただし、高度な機能を有するほどシステムの導入に費用や労力がかかる点、必要に応じてネットワーク接続のためのSIMカード等を別途用意しなければならなかったり、回線電波が届かないような中山間地においては導入が難しいといった側面もあります。 イノホイおすすめのセンサー箱罠 上記を踏まえ、これからセンサー+箱罠による箱罠を導入してみたいという方には、IoTを活用するタイプではなく、赤外線センサーで自動で扉が閉まるタイプを当店ではおすすめしています。 こちらの商品は、ベテラン猟師が監修したセンサーで、設定方法がシンプルかつ実績が多いセンサー商品になります。もちろん、当店のファーレ旭式箱罠にも対応します。 当店のイノシシ・シカ用箱罠は蹴り糸方式ですが、蹴り糸のセッティングは意外に奥が深く、警戒心の高い成獣だと捕獲が難しいことがあります。獣との駆け引きが重要になるため、 熟練者の場合は、ターゲット個体に合わせて蹴り糸の素材や張り方を調整することで対応しますが、初心者の場合はなかなか難しいかと思います。 そういった場合、上記のセンサーをおすすめしており、導入によって捕獲率が上がったという報告もいただいています(参考事例)。 一番の特徴は、あらかじめセンサーが反応する高さを設定できる点です。 例えば、当店の箱罠ビッグサイズ片扉(高さ1.0メートル)と組み合わせて使う場合、天井からの距離60cmの位置でセンサーが反応するように予め設定しておけば、高さ40cm未満の場合は反応せず、40cm以上の肩高の獣が入った時だけ、扉が閉まります。 そのため、体の大きな成獣が入ったときのみ扉を落とすよう設定することが可能、またタヌキなど他の小さい動物を捕獲してしまうことを防ぐこともできます。 被害を減らすには成獣の捕獲を イノシシの場合、環境や栄養状態にもよりますが、年間で平均4頭前後の子どもを産むといわれています。成獣を捕獲しなければ、ネズミ算式に個体数が増えていくため、被害を減らすことができません。 また、幼獣だけを捕獲すると、その様子を見た成獣が学習し、警戒して罠の内部に入らないようになる可能性もあります。 文明の利器を使って、被害に立ち向かうのも一つの手だと思います(アニマルセンサー商品ページはこちら)。 ※上記センサー商品は補助金の対象になる場合もあります。詳細は自治体の担当課にお問合せください。見積りのご依頼は、電話・FAX・お問合せフォームからどうぞ。
【手順で解説】くくり罠によるイノシシ捕獲から生け捕りまで
イノシシやシカをはじめとした野生獣の捕獲方法の1つである「くくり罠」。獣が罠を踏むと、ワイヤーが締まって脚を捕獲する方法です。 中でもイノシシは身体能力が高いため、罠の設置や捕獲後の対応の際に、押さえておきたいポイントがあります。捕獲率を高めるだけでなく、より安全にイノシシを仕留めるためのポイントを順を追ってご紹介します。 イノシシ用のくくり罠を設置する くくり罠の設置は、イノシシとの知恵比べといえます。 イノシシは環境の変化に敏感で、新しく掘り起こされた土や人間の痕跡があると、警戒してそこを避ける行動をとります。罠を設置した痕跡を残さないよう、慎重かつ狡猾に罠を設置することが大切です。 まず、罠を設置する場所を決めましょう。イノシシが行動しているであろうエリアを丁寧に観察し、イノシシのフンや足跡、獣道を探します。足跡や獣道をみつけたら、より具体的に罠を設置する場所を絞り込みましょう。 イノシシは足元が不安定な場所を避けるため、枝や石はよけて通る習性があります。獣道の途中に木の根っこなどがあれば、そこを跨いで足を降ろす可能性が高くなります。 また、段差がある場所なら、イノシシも踏ん張りやすい安定した部分に足を置こうとするでしょう。こうした場所はくくり罠を仕掛けるには絶好のポイントです。 このように、痕跡を追うだけでなく、さらに一歩踏み込んで、そこから読み取れるイノシシの行動まで予測することで罠の捕獲率を高めていきます。 こちらの記事もどうぞ 【徹底解説】くくり罠の特徴や成果の上げ方とは? 匂い対策やカモフラージュは念入りに くくり罠を設置する際は、匂い対策にも注意をはらいましょう。罠を設置するために掘り返した土は、表面の乾いた土と匂いに違いあります。イノシシの嗅覚は鋭敏で、わずかな匂いの変化にも気づきます。 掘り起こした土で余りが出たら、罠から少し離れた場所に置くようにしましょう。 これ以外にも、新品の罠は人工物の匂いがするため、一度雨にさらして匂いを落としておくテクニックもあります。 同じく作業に使う軍手などもビニール製やゴム製は匂いが残るため避ける人もいます。徹底して人の匂いの痕跡を残さないため、猟に使う作業着は洗わず1シーズン使うといった罠師もいるほどです。人間に慣れていないイノシシの場合は特に匂いに対する警戒心が高いことから、罠の性能を損なわない範囲で可能な限り対策をしておくとよいでしょう。 また、くくり罠を設置したら表面に土や枯れ葉などを使ってカモフラージュを行います。周囲の環境と同じようにすることで、イノシシに見破られないよう工夫することが大切です。ハケなどを持参しておくと、より自然で細かなカモフラージュができます。 罠の手前や両サイドに枯れ枝を置いて、イノシシが足を置く位置を限定し捕獲率を高める方法も効果的です。 一方で、昼間に人里に現れるような人間に慣れているイノシシの場合、人間の痕跡を避けないケースもあります。わざと足跡を手で消してみて、そのあと同じ場所に足跡があれば、イノシシがその場所を踏む可能性が非常に高くなります。 イノシシがくくり罠にかかっていたら 見回りの際、くくり罠にイノシシがかかっていたら、その後の対処が必要になります。罠にかかったイノシシは、なんとか逃れようと必死に暴れ、興奮していてとても危険です。 まずは遠巻きに状況を確認し、斜面の場合はイノシシよりも高い方向から近づきます。近付く際はゆっくりと、警戒心を緩めずに進みましょう。捕らえたイノシシの可動域の外から、くくり罠がが足にしっかり固定されているか確認します。 罠のかかりが甘い場合や、イノシシが激しく暴れまわると罠が外れる可能性があります。状況をしっかり把握して、作業の安全を確保しましょう。 こちらの記事もどうぞ 捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて 生け捕りにするのでなければ、くくり罠にかかったイノシシはその場で止め刺しします。 その場合、鈍器等による殴打や電気ショック、ナイフを使います。必要に応じて銃で止め刺しする場合もあります。接近戦が危険と判断した場合は、応援を呼んだり銃による対処ができるよう事前に段取りしておきましょう。 こちらの記事もどうぞ 万能山刀、フクロナガサ(叉鬼山刀)の魅力 保定具(鼻くくりなど)を使う場合 捕獲したイノシシの肉をおいしくいただく目的で、別の場所で止め刺しから加工まで実施するのであれば、生け捕りにする必要があります。その場合、イノシシをできるだけ傷つけることなく体の自由を奪う必要があります。 イノシシの武器は、突進。さらにオスの場合はそこから牙を突き上げてきたりします(しゃくりあげ)。何もなしに近づくと、足を払われたり刺し傷を負わせられたりします。 足くくり罠によってイノシシの動きが制限されていても、軽い気持ちで近づくのは非常に危険です。 大きな成獣の場合は、保定具を使ってイノシシの動きを封じる必要が出てきます。保定具のなかでも最近人気があるのが「鼻くくり」です。 鼻くくりの原理はくくり罠とほぼ同じです。延長棒の先に仕掛け部分があり、イノシシの鼻がそこにぶつかるとイノシシの鼻がワイヤーでくくられるような仕組みになっています。 まずは捕獲したイノシシの可動域を確認し、可動域の外から鼻くくりを先導させ、イノシシと対峙するような形でじりじり近づきます(斜面の場合は、低いほうから近づかないよう注意しましょう)。くくり罠の空ハジキと同様、鼻がぶつかっても保定失敗となる場合もあるので、細心の注意が必要です。 他のタイプでは、先端がワイヤーの輪っかになっており、イノシシが噛みついたタイミングでワイヤーを締める仕組みになっているものもあります。イノシシの鼻イノシシが噛みつこうとした際にロープが締まって鼻を縛るタイプもあります。 鼻くくりがかかったら、ロープを引っ張り周囲の木に固定します。足くくり罠と鼻くくりがそれぞれ逆方向に引っ張られることで、イノシシが自由に動けない状態を作ります。 ロープがたわまないよう体重をかけてしっかり張り、イノシシの動きを封じ込めるようにしましょう。ロープを固定する木も、簡単には折れないものを選ぶようにします。 イノシシを横に倒して足を縛る 鼻くくりに注意をとられたイノシシの後ろから近づき、くくり罠がかかっていない足を下からすくうようにして、イノシシを横倒しの状態にします。 それほど大きくない成獣の場合は、横に倒れたイノシシの足の付け根を片膝で押さえ込むようにして体重かけると、動きを抑制できスムーズにロープを結ぶことができます。ロープを使ってしっかりと4足を縛りましょう。 サイズが大きい場合はまず2足をしばり、残りの足を引き寄せるようにして縛っていきます。 この状態になったら、イノシシの口を塞ぐようにロープなどで縛ります。この際、噛みつきに十分注意しながら作業を行います。 ガムテープを使って視界をふさぐ イノシシの自由を封じて、動けないことが確認できたらガムテープで目隠しをします。これは罠猟で有名な片桐邦雄さんが実施するテクニックで、ガムテープで目隠しされたイノシシは動きが大人しくなり、暴れることが少なくなります。 くくり罠と保定具でほとんど動けなくなったイノシシに、素早く目が隠れるようにぐるぐるとガムテープを巻いていきます。背中側からまたがるようにして乗っかってやると作業がしやすくなります。隙間を作らないようして、イノシシの目に光が届かないようにしましょう。 最後まで気を抜かず安全対策を徹底する しっかりイノシシが固定され身動きが取れないからといって油断しないようにしましょう。命の危機を感じたイノシシが暴れ出さないとも限りません。 また、イノシシの動きで消耗したワイヤーが切れる場合や、足を切断して動き出すケースもあります。殴打や電気ショックのようにイノシシに近付く必要があるケースでは、気を抜かずに対処しましょう。
ヌートリアの特徴と対策について
ヌートリアは南アメリカ原産の大ネズミで、特定外来生物です。特定外来生物とは、元々日本にいなかった外来生物のうち、生態系などに被害を及ぼすものとして政府が指定した動物のことです。 見た目はカピバラやビーバーにも似ており可愛いとも言われますが、水辺の植物を旺盛に食べることから、西日本を中心に稲などへの農業被害が報告されています。その被害額は、全国で年間およそ5,400万円にのぼります(※農林水産省による公表値はこちら)。 ヌートリアの特徴 ヌートリアはネズミ目に属する動物で、頭胴長は約55~63cm、体重は約6~10kgほどで、ネコよりもやや大きいくらいです。 西日本を中心に、岡山県、愛知県、三重県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県などで生息が確認されています。寒さに弱いため、冬場は活動が鈍り、氷結がみられるような寒冷地では生息できません。 見た目の特徴や生態 見た目の特徴としては、まず暗褐色の毛皮をもつこと、齧歯類でありオレンジ色の大きな前歯をもつことが挙げられます。 尻尾は長く、体と違ってあまり毛が生えていません。 後ろ足の第1指から第4指までには水かきがあり、水泳や潜水が得意です。足跡が特徴的(後ろ足のほうが前足よりも大きく、後ろ足だけに水かきの痕跡、尾を引きずったような跡)なので、他の動物の痕跡と区別しやすいです。 平野部の河川や水路、池などの水辺に生息しており、土手や畔(あぜ)などに長い巣穴を掘って、雌雄のペアで生活することが多くあります。 雄・雌で見た目に大きな違いはありませんが、雄のほうがやや大きな体つきをしています。 雌は春に出産する個体が多いですが、季節を問わず繁殖し、年に2・3回、平均5匹の子を産みます。また、妊娠期間は約130日で、生後半年ほどですぐに性成熟し、繁殖が可能となります。これらのことから、繁殖力は非常に強いといえます。 食性や性格 食性としては、ハスやマコモ、ヨシ、ヒシなど水生植物の茎や根茎を好んで食べます。また農作物では水稲の苗をよく食べ、ニンジン、サツマイモなども食べます。基本的には草食性ですが、貝などの動物質の餌も食べることがあります。 基本的には夜行性で明け方と夕方に餌を求めて活発に行動しますが、日中に排水溝の中を隠れながら移動するケースも報告されています。 アライグマ等と比べると、性格は温厚ですが、追い詰められると激しく噛み付く事があります。 ヌートリアが繁殖した原因 先日公表された環境省の生息分布調査結果によると、ヌートリアの生息分布域は以前よりも大きく拡大しています。 2002 年以前のヌートリアの分布と比較すると、東海地方以西に分布するという基本的なパターンに変化はありませんが、特に近畿・中国地方での分布域拡大が目立っています。 また、淡路島、小豆島のような瀬戸内海の島嶼でも分布が確認されています。 そもそもヌートリアが日本で生息するきっかけとなったのは、毛皮増産を目的として1939年にフランスから移入され養育されたことです。 戦争の勝利を連想させる「沼狸」(しょうり)という名称がつけられ、毛皮を兵隊用の防寒着として利用するために日本全国で飼育されていました。 しかしながら、戦後その需要がなくなると放逐されるようになり、逃げ出した個体が野生化・繁殖した結果、現在は生態系を破壊する外来種として扱われるようになりました。 ヌートリアによる被害を防ぐために 現在、ヌートリアの生息密度が高い地域では餌としての農作物被害が発生しているほか、寝床を確保するため、稲を倒してしまう被害も見られます。土手が巣穴だらけにされることで田畑の畔や堤防の強度が低下するといった治水上の問題も懸念されています。実際、2019年夏の西日本豪雨では、岡山県で、ヌートリアの巣穴を原因とするため池の部分崩落が確認されています。 また、兵庫県のため池では水生植物を食害し、在来種であるベッコウトンボの生息環境を壊滅させるなどの生態系への被害も発生しています。そのため、被害金額の高い地域では特に積極的な防除が行われるようになっています。 基本となるのは環境管理 他の害獣対策でも共通していえることですが、基本となるのは被害を防ぐための環境管理です。 食害が懸念される田畑まわりや耕作放棄地、巣穴周辺などの草を刈り払い・焼き払いすることにより、ヌートリアが生息しずらい環境にすることが有効です。地域の各農家が自衛の共通意識を持ち、各々が積極的に除草を行うと良いでしょう。 また、ヌートリアは水位の変動に弱いという特徴を持っています。ため池などに棲みついている場合の対策として、定期的に水位を変動させ棲みづらい環境を作る対策も効果的です。兵庫県加西市では水抜きと同時に池の魚を捕まえる「じゃことり」を行うことで、ヌートリアの確認数が0になった事例も報告されています。 侵入防止対策 ヌートリアは鋭利な歯を持っているため、ネットを噛みちぎることがあります。そのため、トタン板などと組み合わせて防護柵を設置することが重要です。 また、アナグマ対策の場合と同様、地面を掘って入ってくることを防ぐことも重要です。防護柵を採用する場合、柵の下部20~30cm程度を地面に埋め込みましょう。ただし、高さが40cm以下だと、乗り越えようとする場合がありますので、埋め込みすぎて、柵を上から超えられないように高さを補うと良いです。 箱罠による捕獲 ヌートリアの捕獲は、おもに箱罠を使って実施します。箱罠とは、檻などで作られた箱の中に獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込める罠のことです。檻の目が大きすぎなければ、基本的にどのような箱罠でも捕獲は可能です。 ヌートリアの警戒心はそれほど高くなく、スレたイノシシ等と比べると、捕獲の難易度は高くありません。 箱罠はヌートリアの出現頻度が高いと思われる場所に設置し、入り口を獣道や巣穴のすぐ近くに向けるよう設置します。 他にも、イカダを作ってヌートリアが生息する水辺に浮かべ、その上に箱罠を設置する方法もあります。この場合は錯誤捕獲(捕獲対象以外の動物の捕獲)が少ないですが、天候に左右されることや、設置や回収に労力がかかるというデメリットもあります。 ヌートリアは、甘みがあり臭いのあるものが好物です。また、長い時間罠を設置することを考慮すると、餌には傷みにくいものを選ぶ必要があります。そのため、ヌートリアの捕獲にはニンジンがよく用いられます。 また他にも、カボチャ、スイカ、サツマイモ等が用いられる場合もあります。 イノホイおすすめの箱罠はこちらをクリック>> 捕獲にあたっての注意 ・箱罠の設置にあたっては狩猟免許(わな免許)や許可等が必要ですが、自治体によっては特定外来生物の捕獲従事者講習会を行っていることがあります。その場合、講習を受けることで捕獲従事者として登録され、狩猟免許を持たずに特定外来生物の捕獲、運搬が可能になります。 詳しくは各自治体の担当部署(農林水産部等)に確認してください。 ・箱罠を設置した場合、見回りを少なくとも1日1回は行いましょう。もしターゲットとは異なる獣を捕獲した場合は、速やかに放獣しましょう。 ・野生動物は興奮すると暴れたり噛みつくことがあります。ヌートリアは顎の力が強く、人間の指程度なら容易に噛み切ります。また爪も長いため、捕獲個体の入った捕獲器を取り扱う際には手袋をはめ、捕獲器を自分の体から離して持つなど注意しましょう。ヌートリアに限らず、野生動物は病気を持っていることがありますので、もし外傷を受けた場合は医療機関を受診しましょう。 ・ヌートリアは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)で特定外来生物に指定されています。そのため、飼養(運搬含む) ・譲渡(許可を受けた場合を除く)、放獣が禁止されており、捕獲した獣は適切に扱う必要があります。捕獲した獣の取り扱いについては、あらかじめ各自治体の担当部署(農林水産部等)に確認しておきましょう。 こちらの記事もどうぞ>>アライグマの生態・対策・駆除について
イノシシ対策~防除・駆除の基本~
近年、都市部においても身近な害獣として認知が広がってきているイノシシ。被害が深刻になる前に防除や駆除を中心とした対策が必要となりますが、具体的にどのような手順で進めていけばよいのでしょうか? 今回はイノシシ対策に着手するにあたって重要となるポイントや、具体的な防除・駆除方法について解説します。 イノシシ対策の事前知識~イノシシによる被害の現状~ 農林水産省が調査したデータによると、野生鳥獣による農作物への被害金額は年間で約158億円に達しています(平成30年度)。 自治体が主体となった本格的な野生鳥獣への対策が効果を見せ、年々この数字は減少傾向にありますが被害規模はまだまだ甚大で、継続的な対策が重要となっています。 イノシシによる農作物の被害は年間約47億円 中でもイノシシによる農作物への被害は深刻です。年間での被害額は約47億円。これはシカの約54億円に次いで大きい被害額で、全体の3割以上を占めています。 出典:農林水産省ホームページ 丹精込めて作った作物を収穫前に一夜にして駄目にされ、営農意欲を無くすほどの重篤なケースも少なくありません。 イノシシ対策商品ページはこちら>>。 イノシシ対策の基本となる3つのポイント イノシシ被害に対する施策は、「防除」と「駆除」に大別されます。 防除とは、被害を防いで取り除くこと。駆除とは、害になるものを追い払う、または捕殺して取り除くことをいいます。イノシシへの対策には、この2つを両立して進めていくことが大切です。 では、具体的に防除・駆除の基本となる3つのポイントを見ていきましょう。 1.体制の整備 1つ目は、体制の整備です。 体制の整備とは、イノシシ被害を自分たちの問題と考えることができるメンバーを増やすことをいいます。獣害対策は1人で取り組むより、グループで取り組むことでより効果を発揮します。個別の対策では、イノシシが移動して被害が分散するリスクも考えれることから、できる限り対策に取り組む「仲間」を増やしていきましょう。 まずは少人数でもグループを作り、それを広げていくことで地域ぐるみでの対策が可能になってきます。 2.環境の整備 2つ目は、環境の整備です。 環境の整備は、イノシシを引き寄せないための環境改善のこと。具体的には、害獣への餌付けを防止することが大切です。獣は餌をもとめて人里に寄って来ます。意図しなくても、獣が集落で餌にありつけるような環境になっていると、被害に繋がりやすくなるでしょう。 まずは、知らないうちに獣にエサをドンドンと与えてしまっている環境を無くすことが重要です。 例えば、 稲刈り後のヒコバエ(2番穂)や農作物の残渣、残飯等が放置されている 放任果樹(収穫されない栗や柿など)がある ・お墓にいつまでも供え物が置いてある 管理されない耕作放棄地が多い(餌となる作物があったり、獣が安心して身を隠しながら人里に接近できる環境がある) といった例が挙げられます。 ほかにも、市場に出荷できない作物をそのまま放置しておくと、イノシシの餌となってしまいます。一度イノシシが作物の味を覚えてしまうと、そこを餌場として認識してしまう可能性があります。 「ここには美味しい食べ物がある」とイノシシに覚えさせないためにも、餌となりうるものはできる限り除けておくことが大切です。 餌の排除だけでなく、イノシシが住みやすい環境を作らないことも大切です。特に、耕作をやめて荒れた土地はイノシシが隠れたり住みついたりやすい環境ですので、そういった土地の草は綺麗に刈っておきましょう。 3.防除・駆除 3つ目は防除・駆除です。 イノシシ対策となると、多くの方が真っ先に思いつくのはこの防除・駆除ではないでしょうか。防除施策としては、柵の整備等によってイノシシを寄せ付けないようにすることが一般的です。また駆除は、有害駆除・狩猟等をつうじて実施することになります。 ★参考記事:獣害の種類と対策について イノシシ対策(防除・駆除)の具体的な方法 実際のイノシシの防除・駆除方法は、上記1から3の順に段階を踏んで実施していくと効果的です。上記の1と2は、労力や時間などお金以外のコストが大半ですが、3の実施になると機材の費用や申請・免許なども必要になってきます。ここからは、3「防除・駆除」の具体的な方法について説明します。 1.電気柵 防除策として最も一般的なのが防護柵で、イノシシによる被害を水際で食い止める最終防衛ラインです。なかでも近年、イノシシ対策として広く採用されているのが電気柵です。 電気柵の構造と目的 イノシシ対策用の電気柵は電線、支柱、碍子やクリップ、電源、アース等から構成され、構造上はそれほど頑丈とはいえません。 頑丈な柵によって物理的に防除するというよりは、イノシシが電気ショックに驚き、電気柵に触れる恐怖を学習することによって、柵に近づかないようにすることを目的とします。ワイヤーメッシュやフェンスなどの物理的な防護柵とは異なり、電気柵は電気ショックのトラウマによる心理的な防護として機能させるわけです。 電気柵の設置方法 まず支柱を3~4メートル間隔に立て、電線を張ります。電線の素材として、最も一般的に使用されるのがポリワイヤータイプです。柔らかいポリエチレンと金属線が編み込まれた構造で、この金属線に流れる電気に獣が触れるとショックを受ける仕組みです。 イノシシ用電気柵の場合、電線を2~3段張りにするのが基本です。電線の高さや間隔は対象獣で異なりますが、イノシシの場合は鼻先に当たりやすいように工夫することが重要です。 イノシシは鼻を使ってものを探るため、ちょうどその位置にあたるよう、最下段の電線を地面から15~20cmの高さにします。毛皮の外側から電気ショックを与えてもイノシシはショックを感じませんので、敏感な鼻に電線を接触させるようイメージしながら調整しましょう。 また、その上に20~30cm間隔で1~2本電線を張り、最上線を40~60cm程度とします。※春はイノシシの子(ウリボウ)が出るので、1段目の電気柵ワイヤーは低めに設定することをお勧めします。 電線と支柱、電源を組立・接続し、さらに必要に応じて地中にアースをとります。 乾燥した土壌はアース不良となりますので、アースは湿った場所を選び、土中になるべく深く埋めると良いでしょう。また、設置完了後は24時間通電を基本とし、できるだけ無通電の時間が生じないようにしましょう。 注意点 繰り返しになりますが、電気柵は構造としては強くありませんので、電気ショックが効果的に働かず、イノシシが鼻でフェンスを持ち上げたり、掘り起こしたりして侵入を許してしまうケースも多くあります。 また、電気ショックを受けたイノシシが驚いて柵に向かって走り出し、結果として侵入を許すだけでなく電気柵も壊されてしまったという事例もあります。 イノシシ以外の意図しない感電リスクを避けるためにも、設置して終わりではなく、整備をしっかりすることが重要です。 ※電気柵以外の防護柵については、こちらの記事を参照ください。 2.駆除 増えすぎた害獣は駆除することも必要です。駆除することによって、被害は目に見えて低減します。 駆除の方法としては、イノシシの場合、くくり罠・箱罠・囲い罠等によって捕獲・駆除するケースがほとんどです。 なお、罠を使って野生鳥獣を捕獲する場合は、わな猟免許の取得が必要です。 ★参考記事:害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について 箱罠とくくり罠の違い イノシシを駆除するために使用する罠として代表的なのが、箱罠とくくり罠です。 箱罠とは、檻などで作られた箱型の罠で、獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込め仕組みになっています。なお、天井面の半分以上が開口しているものは箱罠ではなく囲い罠として扱われます。 くくり罠とは、イノシシやシカなどの獣が設置場所を踏み込むと、押しバネの力によって罠が作動し捕獲する仕組みをいいます。 箱罠、くくり罠ついては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 【参考記事】 ・箱罠の仕掛け方について ・くくり罠の成果を上げるためのコツ ・イノシシ対策~罠の種類 3.忌避剤 イノシシを田畑に寄せ付けないお手軽な方法としては、忌避剤(きひざい)が挙げられます。イノシシが嫌う臭いを配合した液体で、被害を受けたくない場所の外周部に散布することで、イノシシが近寄らないようにすることを目的とします。他の施策比べると、導入が手軽かつ環境への影響もすくない特徴があります。 忌避剤には、各種トウガラシ、ハーブ、オオカミ尿(ウルフピー)など様々なタイプがあります。例えば、ウルフピーではイノシシの天敵であるオオカミの尿を使用。オオカミが尿や体の匂いで自分のなわばりを主張する「マーキング」の習性をイノシシ対策に応用したもので、イノシシは匂いを嗅ぎ付けこのエリアを警戒するようになります。 使用する際のポイント 忌避剤を使用する際のポイントとして、物理的な対策と併用することで効果を高めることができます。忌避剤はイノシシ対策として「絶対的な効果を保証するもの」ではありません。 これは、イノシシが匂いに慣れてしまい警戒度が下がってしまうといった理由が挙げられます。そこで、忌避剤とあわせて物理的な箱罠やくくり罠を用いることで、より効果を高めることができます。 設置する高さを細かく調整するのも、効果を高めるポイントです。 イノシシへの対策として用いるなら、40cm程度が鼻の高さとなります。ウリボウの足跡も見られるなら、やや低く20cm程度の高さにも設置しておきましょう。 また、雨のあとや液体が蒸発して減少してしまうと、匂いが薄まり効果が軽減してしまいます。雨除け対策や定期的な補充をおこなうなど、メンテナンスに取り組んでおきましょう。 4.音を使った対策 イノシシが音に反応して逃げ出す習性を利用するのが、音を使った対策です。例えば、防除威嚇機は光センサーによりイノシシを察知すると、威嚇音を発します。この音に驚いたイノシシが逃げ出し、農作物被害を防ぐ仕組みです。この他にも、ランダムに音を発生させるタイプや鈴を設置する方法もあります。 音に慣れさせないことが重要 音を使った対策は、忌避剤と同じくイノシシが慣れてしまうと効果が低下してしまいます。こちらも、物理的な対策と組み合わせて取り組むことで効果を高めていきましょう。 音をつかった防除商品はこちら>> 5.その他のイノシシ対策 上記の対策以外にも、最近ではイノシシを寄せ付けないための新しい対策も行われるようになってきています。中には、ロボットや超音波を活用するなど、従来のイノシシ対策では無かったような試みも始まっています。 【★参考記事】 新・イノシシ対策。 まとめ 上記の防除・駆除施策を実施したとしても、はじめのうちは効果を出していたものの、イノシシの学習能力によって無効化されてしまうケースもあります。 被害発生状況や場所はしっかりと把握しておき、効果確認しておくことはもちろん、防除策を突破された場合、イノシシの侵入経路や原因の把握、イノシシの行動を分析すること等も重要になります。 獣害対策は一朝一夕にはいきませんが、適切に対処すれば必ず被害を抑えることができますので、諦めずに解決するための方法を模索していく気持ちが大切です。
イノシシ対策に効果のある電気柵の設置方法
イノシシは学習能力が高く警戒心の強い動物です。農作物被害の対策として電気柵を設置する場合も、効果を上げるために設置方法を工夫する必要があります。 本記事では、イノシシ向けの電気柵の仕組みと、効果的な設置方法を7つのポイントから解説しています。防御の効果をできるだけ上げられるよう、適切な設置方法を確認していきましょう。 イノシシ対策として電気柵はどう使う? イノシシ対策として電気柵を用いる場合、農作物を囲む防護柵に電気を通しておき、侵入を試みるイノシシに電気ショックを与えます。 電気ショックによって身体的にダメージを与えるというよりも、恐怖心を学習させることにより、イノシシが柵を避けるようにすることが目的になります。 イノシシは警戒心が強く、自分が生活するエリアを注意深く観察する習性を持っています。その際、おもに鼻を使って様々な情報を取得しようとしますが、電気柵の電線が鼻の部分に触れたときに電気ショックが走ります。 この電気ショックによる「痛み」や「恐怖」が目的で、『この場所は危ないから近付かないでおこう』とイノシシに学習させ、農作物から遠ざけることで被害をくい止めるのです。 電気柵の仕組み 電線に何も触れていない状態では、電気柵の本体から出力された電流(+)が電線を伝って流れている状態となります。また、本体から地面にアース(-)が取られています。 ※電流は常時流れているわけではなく、通電時間が1秒ごとに0.01秒以下という断続的なパルス電流になっていますので、動物を殺傷するほどの能力はありません。人間が誤って触れてしまった場合でも重篤な事故を避けることができます。 この状態でイノシシの鼻先など通電しやすいものが電線に触れると、イノシシの体をつたって電線→イノシシの体→アース→本体という順序で電気の通り道ができます。これによってイノシシが電気ショックを受けるわけですが、痛みの程度としては、「バチッ」と強い静電気を受けたくらいです。電気ショックを受けると、イノシシは驚いて逃げる行動をとります。 イメージとしては、理科の実験でよく見かける豆電球のような仕組みです。電気柵本体が乾電池、電線が導線、イノシシがスイッチの役割を果たします。イノシシの鼻が触れてスイッチが入ると、通電して豆電球が光る(電気ショックが起こる)といった仕組みです。 そのため、電気がきちんと通電するように設置場所や方法を工夫することがとても重要な意味を持ちます。 効果の上がる電気柵の設置方法7つのポイント 電気柵を使ったイノシシ対策では、効果を上げるために設置のポイントをしっかり押さえておくことが大切です。ここでは、設置方法の7つのポイントをご紹介します。 1.適切な通電状態を確保する 電気柵を設置する際は、適切な通電状態を確保することが重要です。電線部分に漏電がないか、また地面の導電性に問題がないか確認する必要があります。 漏電がないかよく確認する よくあるのが、ガードレールやトタンなど導電性があるものに電線が触れており漏電が発生しているパターンです。ほかにも気づかないうちに電線が草や木や石に触れてしまっており、漏電が発生していることがあります。漏電があると、電気柵全体の電圧が下がってしまうので、イノシシに十分な電気ショックを与えることができません。 また、ガイシを使わずに支柱に直接電線を巻き付けるのは避けましょう。傍目は通電性が無い材質だとしても、電気柵は高電圧であるため、漏電が起こります。ガイシを使っていても、電線が適切に取り付けられておらず金属個所に触れてしまっている場合もあるので、設置の際によく確認しましょう。 地面の通電性に注意 先ほど電気柵の仕組みの部分でも触れましたが、電気柵は豆電球のような仕組みでイノシシが触れることで地面(アース)との間に回路ができることで電気が流れます。 しかし、柵を設置する場所の地面が通電しにくい状態の場合、十分な効果が得られません。 具体的には、コンクリートやアスファルト、石畳といった場所は避けるようにしましょう。 また、乾燥した土壌など、地質や土壌条件によっては通電が悪くアースが取りにくい場合があります。 柵を設置しようとする場所とコンクリートやアスファルトが近い場合は、柵がコンクリート等からできるだけ離れるよう設置場所を調整するか、通電性の良いトタン板などを敷くことによってアースとして機能させるという手もあります。 またアース棒を使って地面と本体のあいだにアースを取る場合は、アース棒がきちんと設置場所の地面に埋まっているか、断線していないか確認します。 設置時に適切な通電状態を確認するのはもちろん、設置後も定期的にチェックすることが重要です。 2.傾斜地から離す 電気柵を設置する場合は傾斜地から離すようにしましょう。 傾斜地すぐそばに柵を設置していると、傾斜の高さを使ってイノシシが柵を飛び越えてしまいます。※イノシシは助走なしで1m以上ジャンプできると言われています。傾斜地がある場所からは、2mほど距離を取って、平らな地面に設置しましょう。 また、柵や電線の下の地面に凹みがある場合は、イノシシが電気柵の下をくぐり抜ける可能性があるため、あらかじめ地面を平らにならしておくとよいでしょう。平らにできない場合は、凹み部分に電線を追加するなどして、隙間を作らないよう工夫します。 3.雑草を刈る 電気柵の近くに雑草がある場合は、あらかじめ刈っておくようにしましょう。 前述のとおり、電線に雑草等が接触していると、漏電してしまい電気が流れにくくなってしまいます。 雑草以外にも、倒木や枯れ枝、水たまりなどに触れていると同じく効果が軽減します。設置時はもちろん、設置後も定期的に見回りをしてメンテナンスを行うことが重要です。 4.イノシシが潜む場所をなくす イノシシは非常に警戒心が強く、電気柵を設置するとじっくり観察しようとします。その際に、柵の近くにイノシシが潜むことができる藪や雑草が生い茂っていると、柵の通電状況に影響がでるだけでなく、イノシシが電気柵の付近まで容易に侵入してくる経路となってしまいます。 こういった経路をイノシシが良く使うようになると、心理的な警戒レベルを下げてしまい、電気柵に慣れてしまう可能性があります。 電気柵を設置した付近でイノシシが潜むことができそうな藪や雑草はあらかじめ撤去しておきましょう。 5.電気柵の隙間をなくす 電気柵は、守りたい土地をしっかり囲むように設置しましょう。手薄の部分があると、イノシシはそこを見つけて侵入しようとします。それを見た他のイノシシも真似するようになり、せっかく設置した電気柵が防護柵として機能しなくなることも。 特に広域に設置するような場合は、手薄になる個所がでやすくなりますので、守るべきエリアが電線によってちゃんと囲まれているか確認しましょう。 6.イノシシの鼻の高さに設置する 電気柵を設置する場合、電線はイノシシの鼻の高さを目安に設置しましょう。 イノシシの体には毛がびっしりと生えており、体に柵が触れた程度では電流は通りません。力も強く身体能力が高いので、柵をなぎ倒して侵入してくる場合もあります。 狙うべき部位は、敏感なイノシシの鼻先部分です。イノシシの鼻先の高さを想定して、地面から40cm程度の高さを目安に電線を設置しましょう。あわせて、イノシシが柵の下をくぐり抜けないよう、地面から20cm程度の位置にも電線を設置します。 低い位置に設置しておくと、サイズの小さいウリボウの対策にもなるため効果的です。 『2.傾斜地から離す』、で紹介したように地面に凹みがある場合は、もう1本電線を設置するなどして隙間を作らないようにしましょう。 7.24時間電気を流す 電気柵を設置したあとは、24時間電気を流すようにしてください。 昼間の明るい時間は電気を通さず、夜間だけ通すといった使い方をするとイノシシが電気柵を「ただの紐だ」と認識してしまいます。これでは恐怖感を植え付けることができず、電流が通っている状態でも柵の中に侵入するようになってしまいます。 イノシシが常に「危ないから近付かないでおこう」と認識できるように、24時間通電稼働させましょう。 また、電気柵を設置する際は、未通電の時間が発生しないよう、設置後はできるだけすぐに稼働させてください。 未稼働の状態でイノシシが柵を突破してしまうと、柵は怖くないものと認識してしまい柵を怖がらなくなります。こうなると後で通電を開始しても効果が弱くなってしまいます。 とくに広域に設置する場合は設置に時間を要しますが、あらかじめ計画を立てておき、未通電の状態でイノシシが柵に近づく期間が発生しないようにしましょう。 イノホイでは電気柵のお取り扱いもございます。設置をご検討の方は、こちらからお見積りをご依頼ください。※ご依頼の際は、対象動物や設置する場所の広さをお知らせください。
オオカミの尿を使った鳥獣対策について
農林水産省が令和2年11月に発表した「鳥獣被害の現状と対策」によると、平成30年度の野生鳥獣による農作物被害額は158億円に上りました。年度単位の推移では減少傾向にあるものの、依然として被害額は大きく継続的な鳥獣対策が不可欠となっています。 そのため、被害を引き起こす獣に対して様々な対策品が登場していますが、その中で自然環境や景観を壊さず、自然や動物に優しい鳥獣対策として開発されたのが、オオカミの尿を使った忌避対策です。 オオカミの尿(ウルフピー)を使った対策とは? 太古からオオカミは野生動物にとって天敵として恐れられてきました。オオカミの捕食対象となるイノシシやシカなどの動物はとくに警戒心が強く、生き残るために捕食者の気配や匂いを忌避する本能をもっています。 こうした習性を野生動物対策に利用したのが、オオカミの尿(ウルフピー)を使う対策です。オオカミが尿や体の匂いで自分のなわばりを主張する「マーキング」を害獣対策に応用したもので、具体的にはオオカミから採取した尿を専用の容器を使って設置します。 イノシシやシカ等の野生動物は、この匂いを警戒しエリアに近付かなくなるため、田畑においても害獣を忌避させる効果を期待することができます。 またウルフピーは人工の添加物を使わないため、使用するエリアの環境に影響を与えることがありません。 例えば、無農薬栽培に取り組む場合や、農作物に利用する水を汚染するといった心配がないため「自然や動物に優しい」野生動物対策といえます。設置する手間が比較的容易な点もウルフピーの特徴です。 ウルフピーには恐怖を誘起する特徴がある では、どうして野生動物はウルフピーを警戒するのでしょうか。この理由に関しては研究論文が発表されています。 2015年に発表された『恐怖の匂い : オオカミ尿由来の恐怖を誘起するピラジン誘導体カクテルP-mix』(柏柳誠、長田和実、宮園貞治)では、ウルフピーに動物が忌避行動や強い恐怖行動(不動化)を引き起こす物質が含まれていることを突き止めました。 P-mixと呼ばれるこの物質は、動物の嗅覚を刺激し恐怖行動を誘起。動物は周囲にオオカミがいるという危険を本能的に察知し、忌避行動を取ります。これがウルフピーを野生動物が警戒する理由です。 忌避効果がないという研究結果もある 一方で、ウルフピーは忌避効果がないという研究も発表されています。 農研機構が発表した『イノシシ対策に使われているオオカミ尿には忌避効果がない』によると、ウルフピーを吸収させたワラを使ってイノシシの忌避効果を検証したところ、大きな有意性は見られませんでした。 理由としては諸説あり、当初は忌避効果があるものの動物が慣れてしまう、ウルフピーの設置方法が適切でなかった、日本にはオオカミが生息していないため獣がオオカミの縄張りを認知しない、といった可能性も考えられます。とはいえ、獣の行動を見て確認するしか確かめる術がないため、証明が難しいところです。 ただ、実際に導入した結果として、効果が見られたという声も多くあるため、忌避行動や強い恐怖行動を引き起こす物質はたしかに存在するが、野生動物対策において「絶対的な効果を保証するものではない」という点を押さえておくことが重要です。 効果的なウルフピーの活用方法は? ここまで、ウルフピーの効果をご紹介しました。ここからは、より効果的にウルフピーを活用するための方法について見ていきましょう。 物理的な防御と併用して使用する ウルフピーを使用する場合は、防護柵やネット等、物理的な防御と組み合わせて使用するのがおすすめです。 すでにご紹介したように、ウルフピーには忌避行動や強い恐怖行動を引き起こす物質が含まれており、一定の忌避効果がみられます。しかし、動物の慣れや種類によっては効果が認められない(低い)ケースもあることから、物理的な防御を併用して使うことで、より効果を高めることができます。 ウルフピーと物理的な防御を上手に組み合わせることで、対策効果を高めていきましょう。 設置場所の間隔幅や高さを細かく調整する 設置場所を細かく調整することも、ウルフピーの効果を高める方法の1つです。具体的には、被害をくい止めたいエリアを囲むようにしてウルフピーを設置します。また、動物のサイズによって設置する間隔幅を調整してみましょう。 〇イノシシ、シカ、クマなどの大型動物:約5~6mごとに設置 〇サル、ハクビシンなどの小型動物:約3~4mごとに設置 とくに侵入が多い箇所は間隔幅を狭めると効果が高まります。あわせて、ウルフピーを設置する高さも、対象動物の鼻の高さを意識して設置するのがおすすめです。 獣道を塞ぐように設置する 動物が侵入してくる獣道が分かっている場合は、獣道を塞ぐようにウルフピーを設置します。通り慣れた獣道は、動物が異変を察知しやすい箇所です。こうしたエリアにウルフピーを設置しておけば、効果を高めることができるでしょう。 定期的な補充と雨除け対策を講じる ウルフピーは液体であるため蒸発してしまいます。完全に蒸発してしまうと効果を下げる可能性があるため、1ヵ月程度で補充するようにしましょう。また、雨除け対策を講じておくのも、継続的な効果を高めるには良い方法です。 雨により尿の濃度が下がってしまうと、匂いの効果も軽減してしまいます。設置場所の上部に雨除けや、アルミホイルを使うなどして対策を施しておきましょう。 ★ウルフピーの購入はこちらからどうぞ>>
シカによる被害と、捕獲するための罠について
シカによる農作物被害額は、過去数年にわたって横這い傾向となっているものの、平成30年度では約54億円に達しており、依然として深刻な状況です。イノシシの被害額である47億円を上回っており、最も被害を与える野生鳥獣となっています。 なお、被害があっても申告がないケースもあるため、上記の被害額は実態よりも少ないとも言われています。 また、長期にわたるシカの生息数の増加及び生息域の拡大によって、森林の被害も深刻な状況です。全国の森林の約2割でシカによる被害が確認されており、被害面積は全国で年間約3500ヘクタール(平成30年度)に達しており、野生鳥獣による森林被害の約3/4がシカによるものです。 ここまでシカの被害が広がった要因のひとつとして、シカの高い繁殖力が挙げられます。シカは生育環境がよければ1歳から妊娠し、ほぼ毎年子供を生みます。1度に産むのは1頭ですが、繁殖期には少数のオスが多数のメスを囲う(一夫多妻)であり、オスのまわりの妊娠可能なメスはほとんど妊娠します。 その結果、年率約20%で個体数が増え、4~5年で個体数は倍増するともいわれています。 環境省による推定では、全国で約244万頭のシカが生息(平成29年度末。北海道を除く)、平成26年度以降減少傾向となっていますが、平成初頭が約50万頭だったのに比べると、依然として高い水準で推移しており、捕獲による個体数の削減がまだまだ必要であることが示されています。 環境省はシカの生息頭数を令和5年度までに約150万頭まで減らすことを目標としており、捕獲等による対策の推進が実施されています。 直近の全国シカ被害 多くの地域で、シカによる被害が増えて深刻化しており、各自治体でも対応に苦慮している状況です。 奈良公園周辺 奈良公園(奈良市)は天然記念物のシカ約1300頭が生息しており、年間約1000万人が訪れる人気スポットです。しかしながら、今年は新型コロナウイルスによって観光客が減少し、シカが観光客から鹿せんべいをもらえなくなりました。 その結果、木の実などの餌を求め、シカが市街地や山林部に移動。商店の売り物が食べられたり、周辺の畑や花壇が荒らされるなどの被害が発生しています。 群馬県甘楽町 群馬県は関東地方では最大のりんご生産量を誇ります。甘楽町は豊かな自然を生かして化学農薬を抑えて、「陽光」や「ふじ」などの品種をはじめとした美味しいりんごが生産されています。 しかしながら、近年シカによるリンゴの食害が深刻化しており、今年は収穫が例年の3分の2程度に落ち込みそうな農家や、畑の約半分が被害に遭ったという生産者もいる状況です。 シカによる食害が広がるとともに、町内でのシカの捕獲頭数も右肩上がりとなっており、2015年度は31頭だったのが、本年度は11月4日時点で既に201頭に上っています。 静岡県伊豆半島 かつては、伊豆半島では国有林の中においてシカが保護されており、「鳥獣保護法」により、メスは捕獲禁止、オスは1日1頭と制限がかけられていました。 しかし、伊豆半島や富士山周辺でシカによる食害が深刻化。樹皮剥や下層植生の食害をはじめ、田畑にも被害が出ているため、本年度からメスジカを狙ってわなを集中的に仕掛け、繁殖を抑えるメスジカ重点捕獲を開始しています。 シカを捕獲するには? シカの食害を根本的に減らすには、捕獲による個体数の削減が必要になります。具体的には、「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」といった罠を使って捕獲を行います。 以下のページにて、それぞれの罠の特徴や動作について説明していますので、参照くださいませ。※罠の設置には基本的に、「わな猟免許」が必要になります。 各種わな説明&販売ページ 箱罠 シカの捕獲に適した実績多数の箱罠です。出没する場所を選んで設置します。もっと詳しく>> くくり罠 初心者からベテランまで。安くて高捕獲率と好評のくくり罠です。もっと詳しく>> 囲い罠 天面の半分が開いており、条件を満たせば狩猟免許不要で設置できます。もっと詳しく>> よくある質問 Q:餌を使ってシカを誘引したいが、どうすれば良い? A:代表的なのはアルファルファやヘイキューブ(アルファルファなどの乾草を固めたもの)を使った誘引です。草以外のものを使った誘引方法と比べると、他の動物を誘引する可能性が低いため、広く用いられています。 一方で、シカが食材として認識しない場合もあるので、誘引が弱いと見受けられる場合は、別の種類の誘引餌(トウモロコシや大麦、米ぬか、くず野菜など)を使います。 なおヘイキューブ以外の誘引餌の場合、イノシシ等他の動物を引き寄せる場合もあります。そのため、鉱塩や醤油を使って誘因する場合もあります。 また近隣において同じ作物を栽培しており食害が見られる場合は、同じ作物を誘引に用いると農作物に対しても獣が執着する可能性があるので、注意が必要です。 Q:捕獲したら、どのように対処したら良い? A:いずれの罠においても、罠にかかった獲物は、捕獲対象獣であれば、絶命させなければなりません(止め刺し)。止め刺しには、銃、ナイフ、鉄パイプ、電気止め刺しなどを用います。 鉄パイプの場合、後頭部~首のあたりに強い打撃を与えます。ナイフの場合は、心臓や頸動脈などを狙って刺します。 シカはイノシシに比べると反撃をしてくる可能性が低く、基本的に人間から逃げようとしますが、至近距離ではオスの場合角で突き上げてきたり(特に発情期のオス)、足で蹴って暴れる場合もありますので十分な注意が必要です。 野生の力は思った以上に強いので、油断することなく、手に余りそうな場合は無理をせず、いざというときは熟練者にサポートを依頼できる状態にしておきましょう。 またくくり罠の場合、スネア(足を括る部分のワイヤーの輪)から足が抜けたり、勢いで足がちぎれてしまうことがあるので、なるべくシカが助走距離をとりずらい方向から近づき、支柱となる木にワイヤーが絡まる方向にシカが逃げるよう誘導して、シカが動けるエリアを狭めるように近づくと良いでしょう。
狩猟解禁!今年の猟の状況は?
多くの地域にて、今月15日に狩猟が解禁されました。キジやカモ、イノシシ、シカといった鳥獣をターゲットに、多くのハンターが活動を開始しており、「今年も始まったか!」と感じている方も多いと思います。今年の各地の猟の情報も入ってきており、一部紹介できればと思います。 秋田県 今年もツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカの狩猟解禁が11月1日に前倒しとなり、カモ猟の解禁と重なりました。イノシシ目撃頭数が129頭と過去最多で被害も相次いでいるので、狩猟の成果も期待できるところです。狩猟期間は来年2月15日までですが、ニホンジカとイノシシ猟は3月15日までです。 宮城県 狩猟の解禁とともに、河川では車や徒歩で移動しながら猟をする「流し猟」でカルガモを仕留めている姿も。狩猟期間は2021年の2月15日まで。 千葉県 イノシシの行動が活発です。館山市では、2020年度のイノシシの捕獲数がすでに過去最高とのこと。豚熱陽性のイノシシが近県で確認されており防疫措置の協力と、昨年の台風によって猟場が荒れたままになっているところも残っているため十分な注意を。 群馬県 シカによる被害が目立ちます。甘楽町などではシカによるリンゴ食害が深刻化しているそうです。町内の捕獲頭数は本年度、既に過去最多の200頭余りに上っているとのこと。 富山県 主要な狩猟獣であるキジやヤマドリ、カルガモ、タヌキなどの生息数は平年並みとのこと。猟期は来年2月15日まで。※イノシシとニホンジカは農作物被害防止のため、猟銃、わな猟ともに3月31日まで。 長野県 「豚熱の影響かイノシシが少ない印象」という声を聞きます。※人の移動による豚熱(豚コレラ)ウイルス拡散を防ぐため、長靴や車両のタイヤの消毒などを呼び掛けています。狩猟期間は来年2月15日までですが、鹿とイノシシのわな猟は3月15日までです。 福井県 今秋はツキノワグマの出没や人身被害が相次いでいます。捕獲後に山で放獣したり、駆除したり猟友会が頑張っているとのこと。今年4〜10月の出没件数は953件で、統計を取り始めた04年度以降で3番目に多い状況です。捕獲数は嶺北153頭、嶺南31頭。うち、嶺北120頭、嶺南28頭の計148頭が駆除され、駆除率は全体で8割を超えているそうです。 愛知県 豚熱に対し、引き続き警戒体制が行われています。野生イノシシの豚熱陽性確認地点から半径10kmの区域を含む市町村が陽性エリアとされており、陽性エリアで狩猟する場合は、消毒などを実施するよう呼びかけられています。 陽性エリア:名古屋市、豊橋市、岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊川市、豊田市、西尾市、蒲郡市、犬山市、小牧市、新城市、尾張旭市、日進市、みよし市、長久手市、幸田町、設楽町、東栄町、豊根村 山梨県 女性の狩猟免許取得者が急増しており、特にわな猟免許の取得が多いそう。一方でクマの目撃情報が多く、今月15日には北杜市の山林で狩猟中の男性がクマに襲われ顔などに軽いけがというニュースもありました。くれぐれも安全第一で。 和歌山県 夏場は、串本町と古座川町で、有害鳥獣駆除によるイノシシの捕獲数が大幅に増えていると聞きましたが、直近では「場所によっては、豚熱の影響でイノシシが全然いない」という声も。 10月中旬以降、奈良、大阪、和歌山の3府県で感染イノシシが初めて確認されており、農水省は封じ込めに向け、経口ワクチンベルトを設けて対策を進めてきたものの、西日本での一層の感染拡大が懸念されています。 兵庫県 2016年に再開されたツキノワグマの狩猟は、今年は生息数が狩猟解禁基準の800頭を下回ったとして再び禁止に。大物猟ではイノシシやシカをメインターゲットに活動するハンターも多いようです。初猟で早速イノシシを仕留めたとの声も。イノシシと二ホンジカの狩猟期間は3月15日までで、他の鳥獣は2月15日まで。 岡山県 山だけでなく、街でもイノシシが大暴れ。今月20日には岡山市南区のホームセンターにイノシシが出入り口のガラスを突き破って中に侵入。岡山南署員や地元猟友会員ら約40人が出て、約1時間後に店内で取り押さえたそうです。 福岡県 イノシシとシカの狩猟期間は、開始が一足早めの11月1日、終了は3月15日までです。スタートから多くの獲物に恵まれているとの声も。 その他の全国概況 クマが生息している地域では、出没情報や被害が相次いでいます。 全国でのクマによる人的被害は、環境省がまとめた速報値で、10月末までに132人。都道府県別では岩手県(26人)が最多、新潟県(14人)、石川、福井両県(12人)と続きます。秋田、新潟両県ではそれぞれ死者が1人出ています。全国の出没件数は4~9月で1万3670件に達し、16年度以降の5年間で最も多いそうです。 また感染症による影響も耳にします。新型コロナの影響によって飲食店に足を運ぶ客が減少、ジビエの消費が減っているのに加え、イノシシは豚熱の感染の影響によって21の都府県の一部地域で出荷ができなくなっています。厳しい経営に陥っている食肉加工施設もあるようです。 その他、全国で大ヒットを記録している「鬼滅の刃」のキャラクター「嘴平伊之助(はしびらいのすけ)」の恰好を模したコスプレイヤーが猟期の山に無許可で入って立入禁止区域で猪のお面つけて撮影して話題となったニュースもありました。狩猟が行われている場所では誤射の可能性もあり、猟をする側からすると本当に危険であり止めてほしいところです。 台風等の影響で、足場の悪いところが残っているかとおもいます。そういった場所ではつまづきやスリップに特に気を付けつつ、ルールやマナーを守って、今年もご安全に猟を楽しみましょう。
くくり罠のバネについて
くくり罠は、文字通り獣の足をバネの力で括って(くくって)捕獲する罠です。バネによって罠が作動する際の瞬発力が変わってくるので、くくり罠を構成するパーツの中でも特に重要なものになります。 くくり罠に使用されるバネの種類 くくり罠に使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。 こちらの記事もどうぞ 跳ね上げ式の足くくり罠を使って捕獲率アップ> 押しバネ 押しバネを使ったくくり罠は、最もオーソドックスなものになります。押しバネは別名 圧縮バネとも呼ばれ、コイル状に巻かれたバネの事です。力がかかっていない状態では、コイルに隙間(ピッチ)があいています。 押しバネはボールペンを分解すると出てくるバネで、罠を使ったことが無くても見たことがある人は多いのではないでしょうか。くくり罠だけでなく、機械部品や車などにも幅広く使用されています。 くくり罠に使用する際は、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。 上記の動画にあるように、押しバネを圧縮した状態で固定してくくり罠を設置しますが、バネを圧縮するには結構力が要ります。※貧弱なバネだと獣の瞬発力に勝てないので、それなりに強いバネを使用します。 因みに押しバネは、軽荷重の場合には一般的にコイル径が細くピッチも小さめですが、重荷重の場合にはコイル径が太くピッチも大き目に作られている場合が多いです。 バネがむき出しになっていると、圧縮する際にバネが歪んだり、作動する際に土や草木が引っかかってしまう場合もあるので、上記動画のように塩ビパイプ等の容器の中にバネを圧縮する場合も多くあります。 引きバネ 引張バネとも呼ばれ、押しバネとは違ってコイルに隙間がなく密着した状態で巻かれています。両端にフックが付いていて、引っ張ると戻る動作を利用します。 自転車のスタンドにも使われていて、用途がとても幅広いバネです。また、フックの形状を工夫することで使い方に様々な応用をきかせることができます。 上の動画にあるように、バネが引っ張られた状態で罠を設置しておき、トリガーが作動するとフックが外れてバネが縮む力によってワイヤーが締まる仕組みになっています。 通常、縦引きタイプの押しバネや、ねじりバネを使ったくくり罠は、地面に埋めて使用します。一方で、引きバネの場合は、仕掛けにもよりますが、穴を掘らなくても罠を作動させることができますので、地形条件に左右されにくいのも特徴です。 ねじりバネ 巻き込まれた力を開放しようとする動力をいかしたバネをいいます。洗濯ばさみにも使われているバネですので、イメージがつきやすいかと思います。 コイル部分は、一般的にピッチ無し(密着巻)ですが、用途によってはピッチがあるものもあります。線材が太いものほど力が力が大きくなります。 非常に力が強いバネで、人間の手で圧縮できないほど強力なものもあります。また、先端の形状や腕の長さによっても性能が変わってきます。 くくり罠に使用する場合、他のバネに比べると、圧縮したりする必要がないため、セッティングがしやすいという特徴があります。 一方で、跳ね上がる力が非常に強く、暴発によって怪我をすることもあるので注意が必要です。 バネを選ぶポイント バネは使っていくうちに、必ずヘタり(コイルの力が衰え、弾力性が落ちること)が生じます。ヘタリが生じると、くくり罠の性能を十分に発揮することができず捕獲率も下がります。そのため、ヘタったバネは交換することになりますが、状況に応じて少しバネの仕様を変えるのも手です。 たとえば、「どうも空ハジキ※が多い」といった場合は、よりバネの力を強くすると発生率を下げることができるかもしれません。バネの力が強くなればなるほど瞬発も早まるので、捕獲率を上げることが期待できます。※力が強いほど仕掛けるのが大変になり暴発で怪我をするリスクも出てきます。 ※空ハジキ:くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないこと ちなみに当店では押しバネを使ったタイプの罠を販売していますが、バネの仕様についてお問合せいただくことも多くございます。 塩ビパイプ内に押しバネを圧縮させるタイプをお使いの場合、圧縮長やコイル外径は塩ビパイプによって決まるので、塩ビパイプを変えない場合は線径を少しだけ変えたり、材質を変えたりするなど軽微な変更にとどめておきます。あまり大きな変更を加えることおススメしません。 ちなみに、押しバネの素材はピアノ線、硬鋼線、ステンレス線(SUS)があります。くくり罠は屋外で使用するのでステンレスが最適ですが、価格は硬鋼線<ピアノ線<ステンレス線となります。 塩ビパイプの仕様も変える場合は、スネア(足を括るワイヤーの輪。ワサとも呼ぶ。)直径をどの程度にするかまず考慮します。 適合するバネを調べたい場合は、まずお使いの踏み板等を基に、スネア外周の長さを測りましょう。 円形スネアの場合は、直径×3.14で外周の長さを計算することができます。例えば直径12㎝の円形スネアの場合、12×3.14で約36cmの外周となります。 外周の長さ=ばねが縮む長さとなります。くくり罠の場合は、少し余裕をもたせて、そこからさらに1.4倍を掛けた値をバネが縮む長さとします。 つまり、直径12㎝の円形スネアの場合、12×3.14×1.4で、ばねが縮む長さは約50cmとなります。 バネ全長-バネ圧縮長=ばねが縮む長さです。また、圧縮長すべてを塩ビパイプ内に収める場合は、塩ビパイプの全長=バネ圧縮長となります。 また、当然ながら塩ビパイプの内径よりもバネのコイル径は小さくなければなりません。 市販のバネは、バネの特性やバランスを考慮して仕様が決められていますので、安心して使用できます。自分でバネの仕様を設計するのは難しいので、上記の計算を基に、理想の圧縮長や全長、コイル径などをショップに伝えると良いでしょう。
タヌキの生態を理解して対策を学ぼう
古くから日本人にとって身近な動物であるタヌキ。里山付近はもちろん、住宅街にも出没し、野生のタヌキを目にしたことがある人も多いかと思います。 都市部に住んでいるとなかなか想像がつきませんが、タヌキは田畑や家庭菜園に侵入して作物を食べたり、糞を落としたりするため、厄介者でもあります。 イノシシやシカに比べると被害件数は少ないものの、毎年全国で1.5億円ほどの農作物被害を出しています(農林水産省発表ー平成30年度 全国の野生鳥獣による農作物被害状況)。 そんなタヌキの生態や被害対策について、今回は説明します。 タヌキの特徴・生態 日本には本州・四国・九州に生息しているニホンタヌキ(ホンドタヌキ)と、北海道に生息するエゾタヌキの2種類が生息しています。北海道は生息域は少ないですが、本州では特に近畿地方において生息域の割合が高いです。 体の大きさは、頭胴長で50~60センチメートル、尻尾を入れると60~80センチメートル程です。体重は3~5キロほど。 イヌ科に属するため、鼻の長い顔つきや足跡がなんとなくイヌに似ています。 単独または家族単位で行動し、縄張りは持ちません。また複数のタヌキが一定の場所に「ため糞」をするという習性があります。 昆虫やミミズ、果実・堅果、種子類や穀物のほかに、爬虫類や甲殻類、小動物、死骸や生ごみ・ドックフード等も食べます。 田畑を荒らす犯人はタヌキ?それとも・・・ タヌキは見た目や体の大きさがハクビシンやアライグマ、アナグマに似ているため、よく見間違えます。またいずれも雑食性で、色々なものを食べるという点でも似ています。 対策動物を間違えて対策をすると、効果が薄れる場合もあるので、まずはターゲットの動物がタヌキなのか、それとも他の動物なのか調べることが重要です。 見分け方としては、アライグマは尾に縞模様がありますが、タヌキの尾に縞模様はありません。他にも、特徴としてアライグマは手先が器用なので、スイカ等の皮に穴をあけて、くりぬいて中身を食べたりします。食痕を見ればアライグマが犯人だと比較的分かりやすいです。 また、ハクビシンだと鼻がピンク色で額から鼻にかけて白いラインが入っていますが、タヌキにはそれがありません。またハクビシンは尻尾がかなり長く、ジャコウネコ科なのでなんとなく動きもネコっぽいです。 アナグマはイタチ科に属し、指が五本で鋭い爪があります。一方でタヌキは4本指なので、足跡に違いが出てきます。また、タヌキが茶色の頭に黒い頬で、茶色+黒が混じった毛が多いのに対し、アナグマは目の上下が黒く、茶色+白っぽい毛が生えています。タヌキよりアナグマのほうが足が短く、ずんぐりむっくりしているのも特徴です。 ハクビシンやアライグマは高いところに登るのが得意で、高くて細い足場でも器用に移動します。そのため、好物である木の上の果実などを食べたり、雨どいから屋根裏に侵入したりします。 一方でタヌキは果実は好物であるものの木登りは苦手で、樹上の果実などを荒らすことはありませんが、落ちた果実を食べたりします。 参考記事 アライグマの生態・対策・駆除について>> ハクビシン対策について>> アナグマの特徴と対策について>> 知っておきたいタヌキ対策 まず、上記のような雑食性のため、生ごみやドッグフード、クズ野菜や落下した果実も放置しないように注意しなければなりません。タヌキに餌場として認識されないよう地域ぐるみで取り組むこと。また放置された果樹があれば、落ちた果実に獣が寄ってくるのを防ぐために、できるだけ伐採しておくと未然に被害を防ぐことができます。 物理柵による防護 タヌキは登ることが不得手で大型獣に比べると強くないので、物理的に侵入経路を塞げば、被害を大幅に減らすことができます。 タヌキを対象とした物理防護柵としては、 ①噛み切られたり押し広げられたりしないよう、金属製のフェンスであること ②地面と柵の間に隙間がないこと ③飛び越えられないよう、1.5メートル以上の高さがあること 必要に応じて、田畑の内部が見えないように目隠しすることも有効です。また、柵を設置する場所は事前に草等を刈っておくと、設置の際に地面と柵の間の隙間に気づきやすく柵を調整しやすいので、おすすめです。 おすすめ商品 簡単設置の防獣フェンスをご紹介!>> 罠による捕獲 頻繁に侵入され、被害が継続する場合は、捕獲も考慮しなければなりません。狩猟や有害鳥獣捕獲にて「箱罠」を使って捕獲します。※「くくり罠」を使って捕獲する場合もあります。狩猟や有害鳥獣捕獲で、年間2~3万頭ほどが捕獲されています。 箱罠は餌で誘引して罠の内部におびき寄せるので、タヌキの餌となるクズ野菜や放置果実などがそこら中にあると罠への誘引が難しくなります。罠以外の場所に誘引するようなものが周辺にあれば、しっかりと取り除いておきましょう。 誘引に使う餌は、果実やトウモロコシをおススメします。肉類やペットフードはタヌキ以外の動物がかかる可能性があるので、避けたほうが良いでしょう。
簡単設置の防獣フェンスをご紹介!アニマルフェンス
今回は、安くて丈夫、かつ簡単設置のフェンス(柵)をお探しの方へおススメの商品をご紹介します。 1m×20mタイプ 設置が一番簡単なお手軽サイズです。 1.5m×15mタイプ ジャンプ力がある動物にも対応する中サイズになります。 2.0m×20mタイプ 大型獣にも対応するビッグサイズです。 金網と専用支柱が11本付属した、設置簡単の便利セットです。金網はスチール+PVCコートでワイヤー径(Φmm) 2.1、 網目 5×10cm。支柱の材質はスチール+塗装コーティング。高さは複数のタイプを揃えています。 こんな人におススメ! ・イノシシやシカ等の田畑を荒らす野生鳥獣が侵入してくるのを防ぎたい ・ペットの遊び場を庭に設置したが、脱走防止の柵が欲しい ・ドッグランの場所を作りたいが、簡単に設置できて頑丈な柵が欲しい ・管理地に侵入防止のための柵を設置したい(不法投棄の低減等) お客様の声 『柱が11本ついてくるので非常にいいと思います。』 『軽くて細工がし易く、買って良かったです。』 『イノシシ侵入防止になっております。簡単に柵ができ、以後被害がありません。』 『ペットが首輪やハーネスから抜け出して、ご近所に脱走するので購入。かなりの広さのスペースになりました!やんちゃなウチのワンちゃんには十分な広さです。』 『庭で愛犬を遊ばせる為に購入しました。刺すだけで簡単に取り付けられます。女の人でも簡単にできると思います』 野生獣の侵入にお悩みの方 野生の獣が侵入してきて田畑を荒らすものの、何から手をつけたらよいのかお悩みの方も多いかと思います。 対策の種類は色々ありますが、いずれも一長一短があります。 被害の根本的解決のためには該当個体を捕獲することですが、捕獲のためには狩猟免許等が必要になります。そのため、免許が無い方にとって捕獲はハードルが上がります。 電気柵は効果はあるものの、構造自体は頑丈ではないため物理的には弱く設置コストや事故が心配。また、電気ショックによる獣の恐怖心を使って忌避するので、物理的には弱いという側面もあります。 数ある対策の中で、労力・コスト・効果のバランスが一番良いのが、物理的な防護柵。きちんと設置すれば効果を確実に出すことができます。 こちらの記事もどうぞ イノシシ対策特集~防護柵>> 上記でご紹介した柵であれば、様々な防獣シチュエーションで使用実績があります。ご使用いただいた感想のうち、最も多いのは設置が簡単で細工もしやすいということ。少し高くして天井にネットを張ってしまえば、鳥も入れません。 力が強い獣の場合は、別途横パイプなどで補強を加えるのもアリです。 ※防護柵の設置と保守管理の計画においては、設置予定地域の加害動物種、被害発生時期、 住民や土地所有者の意向、地形などを踏まえた上で、防護柵資材の種類、設置様式、設置 ルートをあらかじめ計画し、さらに設置する柵の種類や設置ルートに応じた保守管理の計 画を立てることが重要です。 ペットの脱走防止やドッグランの柵をお探しの方 よくあるのは、庭に愛犬の遊び場を設置したいという状況。できることなら、庭で鎖につながれることなく、のびのびと遊んでほしいですよね。 そのためには、簡単に設置できて、脱出もしっかり防げる柵が必要になります。※きちんと囲われていない場所にノーリードで犬を放すことは、法律で禁じられています。 子犬、小型犬の場合は1メートル程度の柵があれば、ドッグランスペースから外に出てしまうことはありません。しかし、成長して体が大きくなる場合ば、柵を飛び越えられるようになってしまう場合もあります。活発な犬ならよじ登ってしまうこともあるので、十分な高さと強度のある柵やフェンスが必要になりますので、犬の種類や正確をよく考慮して高さを選びましょう。 まずは、どのスペースを使ってどんな柵を作るか計画を立てておきましょう。全体のイメージ、どれくらいの予算が用意できるかなどを決めておき、犬がそこでどのように過ごすかをシミュレーションしておくと良いでしょう。 設置のコツ ◎地中に石等が無く、深く打ち込める場所を選んで、柵を設置する(どんな柵でも言えますが、石が多い場所だと設置に苦労するかもしれません)。 ◎支柱へ金網を引っ掛ける部分は、設置前に工具で軽く開かせておくと、取り付け作業がし易いです。 ◎対象となる動物のジャンプ力を考慮する。また、野生獣の場合は下から潜り込もうとする場合もあるので、支柱をしっかりと埋めておく。 ◎地面が固い場合は、支柱の打ち込み前にツルハシ等で軽く掘っておくと作業がしやすくなります。 ◎一人でも作業できますが、可能であれば複数人数いたほうが大幅に作業が楽になり、綺麗に張れます。 ◎フェンスを上側のフックから掛け、下側の2ヵ所はワイヤーを少し曲げてから掛けます。 ◎フェンス全体をフックに掛けおわったら、フェンスが外れないように固定してください。 ◎取り付け後、不安点なところがあれば適宜補強を行ってください。 まとめ 簡単設置でコストパフォーマンスも抜群のこちらの防獣柵。工夫次第で様々なシチュエーションに対応します。 世の中には様々なタイプの柵が販売されており、いずれも一長一短ありますが、上記の用途以外にも太陽光発電の境界フェンスや空き地の柵として使用されている実績があります。 見た目も悪くなく、立派という声もいただいており、万能柵としておススメできる商品です。 その他の防獣グッズはこちらから>>
サル被害対策のポイント
学習能力が高く、木などに登ることが得意なサル。日本全国に広く分布しており雑食性のため、作物に被害を与える厄介者として認知されていることも多いです。今回は、サルの被害対策について説明したいと思います。 サルの特徴 雑食で、葉っぱ・種子・根菜類・新芽・果物・果汁・昆虫など様々なものを食べます。学習能力が高いため、一度餌場と認識した場所は頻繁に訪れるようになります。 おいしいエサにありつけた場所や、危険であると学習した場所、人間の顔もすぐに覚えます。「登る」ことが得意なため、設置している柵があっても、登ったりして簡単に突破してしまいます。 こちらの記事もどうぞ 獣害対策~ニホンザルの被害防除、捕獲について >> サル被害の特徴 サル被害は年中発生しますが、特に春と秋に多くなります。作物の味を覚えると、人慣れしていない最初のうちは、少量の作物をこっそり取っていく程度ですが、人慣れが進むと、人間が近くにいても食物を奪いだします。 家屋内に侵入したり、人間が持っている食物を奪い取ったりもします。 基本的には群れで行動するため、単体が畑から食物を取っていくのを見た別の個体がそれを学習し、そのうち群れでやってくるようになります。 サル対策について 上記のような特徴があるため、個人で対策するのは限界があります。地域のメンバーで協力し、地域ぐるみで対策していくことが重要です。 餌場と認識させない 放棄作物など、サルの食べ物になるようなものは放置しないようにしましょう。取り残した野菜、柿など放置果樹、稲のヒコバエや落穂、捨てられたホダ木から出たシイタケなど、人間が普段食べ物と認識していないものでも、サルにとっては餌になります。 人慣れをさせない 上記のとおりサルが人慣れすると、被害はエスカレートしていきます。人間は怖い・危険な存在と認識させるよう、サルを見かけたら追い払いを必ず実施しましょう。 ロケット花火や爆竹、パチンコ(スリングショット)等を使用して追い払いを実施している地域もあります。「人間のエリアに近づくな」という姿勢をサルに理解させることが重要です。 防護柵を設置する 田畑を防護柵で囲んでサルの侵入を防ぐことも有効です。 電気柵の間隔が広いと、サルが電気の刺激を感じる前に潜り抜けたりします。また、柱を伝って登れるようになっている場合は簡単に侵入されてしまいます。 また、柵の外側において、樹木が近くにあると、飛び移って侵入してくる場合もあります。柵の高さが低い場合も簡単に突破されますので、高さは2メートル以上あるのが望ましいです。 イノシシ等の対策として既に電気柵を設置されている場合もあるかと思いますが、可能であればサルの特性も考慮すると良いでしょう。十分でなくても、柵があるのとないのでは対策効果が全く変わります。 最終手段としての有害駆除 被害を中心になって引き起こしている個体が特定できる場合は、捕獲することも有効です。しかしながら、群れの中心となっているメスを捕獲した場合など、捕獲によって群れが分断され、反って被害が広がる可能性もあります。むやみな駆除は逆効果となる場合もあるので、専門家に相談してみるのも良いでしょう。 こちらの記事もどうぞ 野生動物との共存を目指す鳥獣害対策のプロ集団>> サル対策お役立ち品 イノホイでは、サル等の「登る」ことが得意な動物が、柵などに登ることを諦めるように考慮した商品を販売しています。高さ6mm・間隔11mmのトゲトゲによってサル等を撃退。設置も簡単で、実績も多くあります。 幅12.5cmの巾太タイプ、幅3センチの巾細タイプ、家屋への侵入を防ぐ雨どい設置タイプを用意しております。それぞれ、安価で加工が簡単なスチール製と、雨等に強く耐用年数が長いステンレス製タイプがあります。 巾太タイプ 幅12.5cmの巾太タイプ。樹木や柵などの外周に巻き、獣が「登る」ことを防止します。 巾細タイプ 3センチ幅の巾細タイプで、柵に巻きつけやすい特徴があります。 雨どい設置タイプ 雨どいをつたって家屋に浸入するのを防ぐのに特化した商品です。 果樹に登られて被害を受けていたり、設置した柵に登られている場合は、是非お試しください。 忌避グッズのトップへ>>
くくり罠の作り方
イノシシやシカをはじめ、野生鳥獣を捕獲するために使用される「くくり罠」。今年の狩猟解禁日も近づいてきており、「今期は自作にチャレンジしてみたい!」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?この記事では、くくり罠の作成方法を説明しようと思います。 準備するもの くくり罠を組み立てるにあたって、必要な工具・道具を紹介します。今回は、くくり罠の中で最もポピュラーな、押しバネを使用した「跳ね上げ式タイプ」で説明します。 ①必要な工具等 1:ワイヤーロープを切断するカッター ワイヤーロープを切断するために、専用のカッターを用意します。必ず、切断するワイヤー径に適合したものを準備しましょう。 ワイヤーロープ切断に適さないペンチ等で無理やり切断しようとすると、刃こぼれしたり、ワイヤーロープの素線がグチャグチャになったり、うまく切断できなかったりするので、必ずワイヤーロープ切断用の工具を使いましょう。 2:スリーブ(クランプ)を加締めするスエージャー くくり罠を作る際、ワイヤーロープの断端を処理したり、輪っかを作ったりする個所が出てきます。そういった場合は、スリーブ(クランプ)を用いてワイヤーロープを加締める作業が必要になります。 こちらも、加締めるワイヤー径に適応したものを使用します。 カッターとスエージャーと一体化されているタイプもあり、便利です(販売ページはこちら)。 3:ドリル 圧縮したバネを納めるための塩ビ管を加工するためのドリルになります。ワイヤーを通す穴を塩ビキャップに開けたりする作業に使います。ハンディタイプの電動ドリルでも良いですが、ブレてケガをする恐れがあるので、卓上ボール盤がベストです。 ※ハンディタイプを取り付けるスタンドもありますが、卓上ボール盤もそこまで値段は高くないので、予算がある方には卓上ボール盤をおススメします。 4:ペンチ ワイヤーを加工する際に、引っ張ったりするためのペンチがあると便利です。 5:軍手 ワイヤーを素手で取り扱っていると、手が黒く汚れたり、素線が手に突き刺さって気づいたら血まみれになったりする場合もあります。ワイヤーを取り扱う際は、軍手等で手を保護しましょう。 布タイプは作業がしにくいので、ナイロン素材にポリウレタンコーティングしたタイプがおススメです。 6:のこぎり 塩ビ管等をカットする場合に使います。作業性を考えると、卓上丸のこがベストです。価格はピンキリですが、木工用の安いもので十分です。 ②くくり罠のパーツを用意する くくり罠は、以下のようなパーツで構成されています。好みにより必要な部材は変わりますが、概ね以下が揃っていれば問題なく作成できます。 くくり罠の構成部品 01:押しバネ 02:ワイヤーロープ 03:アルミスリーブ 04:サルカン 05:シャックル 06:くくり金具 07:ストッパー(シングル) 08:ストッパー(ダブル) 09:塩ビ管セット 10:踏み板 なお、イノシシやシカを捕獲する場合は様々な規則があり、くくり罠を作る際にも考慮しておかなければならない点がいくつかあります。 ▶ ワイヤーロープの直径が4ミリより小さいものは使用できません。必ず、径が4ミリ以上のものをご使用ください。 参考記事 くくり罠のワイヤーについて詳しく知りたい>> ▶ より戻し(サルカン)はワイヤーロープが撚れたりすることを緩和するための部品ですが、これが無いくくり罠は使用が禁止されています。 ▶ 獣の足を括る部分の輪っか(スネア)には、過度に足を締め付けることを防止するためのストッパー(過締まり防止金具)を必ず装着しなければなりません。 ▶ くくり罠の直径は、地域によって制限がある場合があります。直径(踏み板のスネアを取り付ける部分の径。楕円形の場合は小さいほうの径)が12センチを超える場合は使用が禁止されている地域などがあります。 事前に、捕獲を行う地域での制限事項を自治体等に確認しておきましょう。 くくり罠の作り方 では、ここからスプリング部分の作り方を説明します。当店で販売しているワイヤー径4mm、バネ径12.4mmのものを使用して説明します。 1:ワイヤーを切る ワイヤーロープを必要な長さに切ります。より戻しを起点に、支柱側用のワイヤーロープ1本、スネア側のワイヤーロープを一本、合計2本のワイヤーロープを用意します。 スネアをどれだけ大きくするかによって必要なワイヤーの長さは変わってきます。短すぎると、仕掛ける際の踏み板のレールにワイヤーを取り付ける作業が大変になりますし、長すぎると捕獲した獣の可動範囲が広くなったりワイヤーのねじれ等が発生しやすくなります。 2メートル弱であれば、概ね問題ないと思います。 端部がぐちゃぐちゃになると後の工程が面倒になるため、そうならないよう気を付けましょう。どうしても解れる場合は、切断部分にセロテープを巻いてからワイヤカッターで切ると切り口が綺麗になります。 2:塩ビパイプを準備する キャップにワイヤーを通すための穴をドリルで開けます。 4ミリ径のワイヤーロープであれば、6ミリ径の穴を開けると問題ないでしょう。 また、塩ビ管もあらかじめ切断しておきます。 バネ径12.4mmにあわせるなら、VP管の13mm径がちょうど良いです。使用するバネの圧縮長に合わせて切断する塩ビの長さは調整してください。 切断した塩ビと穴を開けたキャップを組み合わせたものと、継ぎ手を接続したもの、穴を開けたキャップ単体を準備しておきます。 3:支柱側のワイヤーを作る 支柱にワイヤーを巻き付ける部分を作成します。ワイヤーロープをスリーブに1回通し、シャックルを通して輪を作り、再度ワイヤーロープをスリーブに通します。 その後、スエージャーを使ってスリーブを圧着(加締め)します。中途半端に加締めず、しっかりと圧着しましょう。スエージャーは適合するワイヤー径によって加締めのための溝が異なります。径が異なる溝を使わないよう注意しましょう。 また、ワイヤーロープにテープなどの被覆がある場合は、除去してから加締めましょう。被覆の上から加締めると、圧着部分からすっぽ抜ける可能性があります。 4:スネア部分を作る 獣の足を括る輪(スネア)部分を作ります。まず断端をスリーブで圧着します。この際、作動時に余分な抵抗が生じないよう、Aの輪はなるべく小さくします。 その後、くくり金具と過締まり防止金具(ストッパー)にワイヤーを通し、輪を作って再度くくり金具にワイヤーを通します(以下写真を参照ください)。 なお、くくり金具を使わない派の方もいらっしゃいます。その場合はAの輪は少し余裕をもたせ、くくり金具の代わりに平ワッシャーを入れます。 5:塩ビ管とバネ、ストッパーを準備する 2で準備した塩ビと穴を開けたキャップを組み合わせたものを4のワイヤーに通します。 その後、バネにワイヤーを通します。バネをなるべく真っすぐな状態にして通すと、途中でワイヤーが引っかかりにくくなります。 その後、継ぎ手+塩ビ管にワイヤーを通し、穴を開けたキャップを通してキャップと塩ビ管を接続します。 さらに、圧縮したバネを固定するストッパーを通しておきます。ここで使うストッパーは、強く固定できるタイプが良いでしょう。 6:サルカンを装着する 支柱側のワイヤーと、スネア側のワイヤーをより戻し(サルカン)で接続します。サルカンも、ワイヤー径に合ったものを使用するようにしましょう。 7:最終チェック スリーブの圧着個所に問題がないか、不足している部品は無いか等、異常がないか確認し、問題なければスプリング部分は完成です。 8:踏み板部分も自作してみたい方へ 木の合板や金属加工が得意な方は、かなり難易度は上がりますが、踏み板部分の自作にチャレンジするのも良いかもしれません。 ①台座、②スネアを取り付けるレール、③獣が踏み込む板部分、②と③を連結するための金具等を用意します。各地域のくくり罠径の規制にしたがって、各パーツの大きさを調整しましょう。 ②にはワイヤーを引っ掛けるための溝があると仕掛けやすくなります。 また、レールの付け根部分はワッシャーをかませて、なるべく抵抗が少なくなるようにしましょう。金具を締めすぎてレールの動きが悪くならないように注意しましょう。 なお、踏み板は機材面からいっても製作の難易度が高いため、市販のものを購入したほうが早いかもしれません。 当店のくくり罠のご紹介 当店では、ニーズに応じて様々な商品を取り揃えております。 くくり罠完成品 すでに組立が完了しているセット品になります。スプリング部分もついてきますので、届いてすぐに仕掛けることができます。 くくり罠完成品の販売ページはこちら くくり罠自作キット スプリング部分の自作に必要な部品がお買い得なセットになっている商品です。塩ビ管は加工済、ワイヤーも切断されていますので、スエージャーさえ準備いただければ自作することができます。 自作キットの販売ページはこちら 踏み板 踏み板は、さまざまなタイプを取り揃えており、初心者からベテランまで「安くてよく獲れる」と多くの好評をいただいています。 踏み板販売ページはこちら
【徹底解説】くくり罠の特徴や成果の上げ方とは?
イノシシやシカをはじめとした野生鳥獣を捕獲するために、よく使われるのが罠です。ひとくちに罠といっても世の中には色々な種類のものがありますが、代表的なのが獣の足などをワイヤーで括る(くくる)ことによって捕らえる「くくり罠」です。 とはいえ、くくり罠は獣の動きを読んで設置しなければならないため、初心者にとってはハードルが高く、分からないことも多いのではないでしょうか? 当店では年間数千個程くくり罠を製造・販売しており、多くのユーザー様から様々なフィードバックをいただいています。その経験を基に、これまでも多くの情報発信をさせていただいておりますので、今回はそれら過去に発信させていただいた情報をダイジェストでご紹介したいと思います。くくり罠について知りたい方はぜひ参考にしてください。 そもそも、くくり罠って? くくり罠とは、イノシシやシカなど野生鳥獣を捕獲するための罠の1種です。具体的には、獲物が通りそうな獣道にあらかじめ罠を仕掛けておき、獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動。ワイヤーが獣の足を括り(くくり)捕獲する仕組みです。獲物の胴体や首を括る「胴くくり」という方法もありますが、一般的には足を括る「足くくり」が多く使用されています。 くくり罠の特徴 他の罠と比べた時のくくり罠の特徴としては、小型で軽量な点が挙げられます。檻の中に餌をおいて捕獲する箱罠だと、重量が100Kgを超えるものもあり、設置や運搬に労力がかかってしまいますが、その点くくり罠なら小型で持ち運びも手軽なことから、他の種類の罠と比較すると場所をえらばず設置や撤去も簡単です。 一度に多くの数を設置することもできるので、効率よく捕獲することができます。また、明らかに人工物である箱罠と比べると、くくり罠は獣に気づかれないよう仕掛けるので、警戒心が高い獣に対しても有効な捕獲手段となります。 初心者でも仕掛けてすぐに捕まえることができる人もいれば、なかなか難しいと仰るかたもいらっしゃいます。※余談ですが、魚釣りが上手な方はくくり罠も得意な方が多い傾向があるように思います。 当店のくくり罠は、「簡単設置で安くて良く獲れる」をモットーに、踏み板+スプリングをセットにして仕掛ける跳ね上げ式のくくり罠です。 動作の原理としては、 ①獣の通り道に台座となる塩ビ管を地中に埋めます。②踏み板(獣が踏む部分)に付属のレールに、獣の足をくくるワイヤーの輪っか(スネア)を巻き付けます。③押しバネを押し込み、圧縮した状態で固定します。④踏み板を①の台座の上に置き、薄く土や葉っぱをかぶせます。⑤獣が踏み板を踏み抜くと、バネの力でスネアが上に跳ね上がり、スネアが締まって獣の足を捕らえます。 以下の動画にて、くくり罠の動作を分かりやすく撮影していますので、ご参考ください。 こちらの記事もどうぞ 年間300頭の捕獲事例も!ファーレ旭式くくり罠の紹介>> 構成部品やパーツをご紹介 では、くくり罠を構成する部品やパーツについて見ていきましょう。くくり罠は主に次のパーツから構成されています。 くくり罠の構成部品 01:押しバネ 02:ワイヤーロープ 03:アルミスリーブ 04:サルカン 05:シャックル 06:くくり金具 07:ストッパー(シングル) 08:ストッパー(ダブル) 09:塩ビ管セット 10:踏み板 まず「ワイヤー」ですが、獲物の足をくくる役割や、支柱となる立木に固定するなどくくり罠には欠かせないパーツです。キンク(ワイヤーが折れ曲がって元に戻らない状態)が生じるとワイヤーの強度が著しく下がりますので、交換頻度が最も高いパーツになります。 ワイヤーについては以下の記事でも詳しく説明していますので、ご一読ください。 こちらの記事もどうぞ くくり罠のワイヤーについて詳しく知りたい>> 「スリーブ」は、ワイヤーを結束する際に使用するパーツです。ワイヤーをスリーブの中に2回通して、専用の工具をつかってかしめる(加締める)ことによって固定します。ワイヤー端部の処理や、輪っかを作ったりする際に、必ず必要になるパーツです。 くくり罠の動力となるのが、「バネ」部分。このバネの性能は罠の作動を大きく左右する部分で、押しバネや引きバネ、松葉式(ねじりバネ)など複数の種類があります。 押しバネを使っている方が最も多く、圧縮させたバネが伸びる力を利用して罠スネアが締まります。逆に引きバネは、バネが縮む力でワイヤーのスネアが締まります。ねじりバネは、折り畳んだ状態からバネが開くことによってスネアが締まります。 バネの力が強いほど、罠の作動は早くなりますが、仕掛ける際に強い力が必要だったり、暴発でケガをするリスクも出てきますので、自分に合ったバネを使うのがポイントです。 ※ねじりバネが最も力が強いですが、罠を仕掛ける際に誤って開いたバネが顔面に直撃して失明した事例などもあり、当店では押しバネ構造を採用しています。 「より戻し」は、別名「猿環(サルカン)」とも呼ばれるパーツです。くくり罠で捕獲した獣が暴れると、ワイヤーが捩れ(よじれ)たりすることでキンクが発生し、切れやすくなる恐れがあります。より戻しはこれを防止するためのパーツで、法令で装着が義務付けられています。 「くくり金具」は括ったワイヤーから獲物の足が抜けないようにするためのパーツで、獣が逃げようと引っ張れば引っ張るほど締まる仕組みになっています。くくり金具は、使う派と使わない派で分かれるパーツですが、当店では作動や仕掛けやすさを考慮して、くくり金具の使用を推奨しています。 「締め付け防止金具」はワイヤーが過度に締め付られることで、獣の脚が欝血を起こしたり、足をちぎれてしまうことを防止するパーツで、スネアが縮まりすぎないようストッパーの役割を果たします。こちらも法令により装着が義務付けられています。 この他に、支柱にワイヤーを繋ぐのに便利な「シャックル」や、バネの作動を保護するための「塩ビ管」などもくくり罠を構成するパーツに含まれます。 こちらの記事もどうぞ くくり罠の構成部品・パーツについて>> くくり罠で成果を上げるには? 実際にくくり罠を使って鳥獣被害の対策を講じても、なかなか成果が出ないケースも少なくありません。くくり罠の成果を上げるための基礎的なポイントをご紹介します。 獣のサインを見逃さない 獣はとても警戒心が高く、人の匂いや気配、音を敏感に察知します。そこでくくり罠を設置する場所を選ぶ際は、獣のサインを見逃さないようにしましょう。 具体的には、足跡やフン、食痕(しょっこん)などに注意を配りましょう。例えば、足跡のサイズやフンの量によって獣のサイズや性別を把握することができます。フンや食痕が新しい場合は、頻繁にその付近に獣が出没しているサインといえます。 くくり罠を設置するにあたって、もっとも重要となるのが足跡で、大きさだけでなく歩く方向や歩幅を読み取って、実際にターゲットがどのように足を運ぶか想像しながら設置すると良いでしょう。 また、イノシシの場合はヌタ場(泥浴びする場所)が近いと周辺の草木に泥が付着します。ヌタ場近くは頻繁に通う道がある場合が多いため、そういったサインも見逃さないようにします。草刈りをした直後や人が頻繁に通る場所は獣が警戒して近付かないため、罠を設置するのを避けるようにしましょう。 また、草刈りをした直後や人が頻繁に通る場所は獣が警戒して近付かないため、捕獲率は下がる傾向があります。 こちらの記事もどうぞ くくり罠の成果を上げるためのコツ>> 見回りやチェックを欠かさない くくり罠を設置後は、定期的な見回りやチェックを欠かさないようにしましょう。可能であれば毎日確認するのがおすすめです。見回りをすることで、獣サインに気付いたり、新しい発見を得られることができます。また、捕獲した獣も必死に逃げようとするので、時には足を引きちぎって逃げる場合もあります。見回りを欠かさず実施することで、迅速な対処が可能になります。 罠を設置するには免許や許可が必要 くくり罠を含む箱罠や囲い罠といった罠を使うには、「わな猟免許」が必要です。また、捕獲できる動物の種類や狩猟期間なども細かく決められています。自治体によって取り組みに違いがあるため、まずは捕獲を行う地域の自治体担当課に問い合わせをしてみましょう。 こちらの記事もどうぞ 害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について>>