イノシシの罠について徹底解説!あなたに合った罠はどれ?

イノシシ罠種類 箱罠 くくり罠 囲い罠

イノシシ被害を減らすために捕獲をこれから始める方、ぼたん肉とも呼ばれる美味なイノシシ肉を味わうために捕獲をする方など、銃猟以外でイノシシの捕獲をするのに必須となるのが「罠」です。

日本では古くからイノシシによる農作物被害を防ぐために落とし穴などの罠が使われてきましたが、現代においては様々な観点から廃れたり禁止されている罠もあります。例えば、昔話などで出てくる「とらばさみ(獣の足をはさんで捕まえる)」は有名ですが、現在においては禁止猟具になります。

そのような中で、現在イノシシをターゲットとして使用できる罠の種類は、「箱罠」「くくり罠」「囲い罠」の3種類に区分されます。

これらの罠の長所・短所、捕獲のための手順について解説します。 罠の特徴を踏まえたうえで、設置場所の環境や予算、かけられる労力などを考慮し、適切な罠を選択しましょう。また、それぞれの罠には制限事項がありますので、その点についても予め留意しておくようにしましょう。

イノシシ罠その①:箱罠

色々な大きさ・形がありますが、全面とも金網や板等で囲われた箱状の罠のことを箱罠といいます。いずれも餌によって箱の内部に獲物を誘因します。

誘因された獲物が箱の内部に入り込むと、トリガーが作動して入口が閉じ、獲物が閉じ込められることによって捕獲が完了するという仕組みになっています。代表的なトリガーの方式としては、以下があります。

◆蹴り糸方式:蹴り糸が獲物の体に触れることにより作動する。

◆踏み板方式:獲物が踏み板を踏むことにより作動する。

◆回転軸(回し棒)方式:軸が回転することにより作動する。

踏み板方式と回転軸方式はトリガーの位置を調節することが難しいため、トリガーの位置や感度を調節しやすい蹴り糸方式の箱罠がおすすめです(上の動画は蹴り糸方式です)。

また近年ではセンサーによって作動するタイプも登場しており、仕掛けの労力を低減させて捕獲率をアップさせる工夫が凝らされているため、導入数も徐々に伸びています。

箱罠の長所

そもそも餌で獲物を誘いこむ構造のため、餌を使わない罠とくらべると、捕獲率は高いです。複数の獲物を捕獲することも可能です。また、獲物の視線からすると、開放的な外観であるため、ブラックボックスとなっている罠(例えば、ドラム缶式罠など)よりも捕獲の効率が良い傾向にあります。

一目でわかる外観のため、人間が誤ってかかってしまうようなことはありません。ターゲットではない他の鳥獣を捕獲した場合も、簡単に逃がすことができ、怪我を負わせるリスクは低いです。

また、大抵の場合、一人で組み立てることが可能です。これらの点から、初心者にとっても扱いやすい種類の罠であるといえるでしょう。

箱罠の短所

捕獲できる容量は大規模タイプの囲い罠よりも少数となります。 イノシシ用の箱罠はそれなりの大きさ・重さになりますので、分解式タイプだとしても車を使わずに運ぶのは大変です。そのため移動させるのは労力がかかり、車で行ける場所以外に設置するのは困難です。

10万円前後するものが多いことからも、数多く設置するのには向いていないといえるでしょう。

ちなみに箱罠を自作することも可能です。材料費としては、2万円程度で作ることができますが、切断や溶接のための技術や道具が必要になります。溶接が甘く脆い箱罠を使用すると、事故が起こる可能性がありますので、技術に自信のない人は自作は避けたほうが良いでしょう。

また、捕獲のために使用する餌によって、多くのイノシシを引き寄せてしまう可能性があるので、設置する場所には注意が必要です。

捕獲が成功するまでに時間がかかる場合があるという点も、箱罠を使う際は念頭に置いておく必要があります。警戒心が強いイノシシにとって、縄張りに突然箱罠が現れれば、警戒するのが自然です。警戒心を解き箱罠の中まで誘引するには、慣らしが必要となりますが、慣らしに必要な期間は個体によって異なります。ある程度時間がかかる場合もあり、その間も慣らしのための餌補給や周辺環境の観察を継続することが必要となるため、長期戦となることも予め想定しておくと良いでしょう。

箱罠による捕獲の手順

箱罠による捕獲の手順は以下の通りです。

  1. ①場所を決める
  2. ②餌づけによって1の場所に誘引
  3. ③餌づけを続けて罠への警戒心を解く
  4. ④罠で捕獲
  5. ⑤処分

手順のなかで最も重要なのは餌づけです。イノシシは臆病で警戒心が強く、罠を置いてもなかなか近づきません。そのため、餌付けによる慣らしによって誘引しなければ罠の内部に入ってこないため、捕獲は成功しません。 罠が設置された後はすぐに罠内の餌を食べない場合も多いですが、1週間程度は餌をやり続け、様子をよく観察しましょう。

また、餌を置く位置や量も工夫が必要です。箱罠の中にいきなり餌を置いても、イノシシは警戒してなかなか近付こうとしないことが多いです。設置直後は、まず箱罠の周囲に、餌を少量ずつ撒いていきましょう。観察を続け餌を食べている形跡があれば、箱罠から遠い位置にある餌から徐々に量を減らしていき、少しずつ箱罠の方向へと誘導していきます。徐々に箱罠へおびき寄せてイノシシを油断させましょう。最終的には箱罠の中まで誘導し、トリガーが起動する位置までおびき寄せます。

警戒心の高いイノシシを箱罠で捕獲する場合は、持久戦になる場合あります。餌付けが順調に進んでいても、ある日から数週間姿を見せないといったケースも見られます。誘引がうまくいかない場合は、トレイルカメラなどを用いてイノシシがどの位置やタイミングで警戒するのか観察するのも、改善策を考えるヒントになるでしょう。

イノシシ罠その②:くくり罠

くくり罠とは「スネア」と呼ばれる輪っか状のワイヤーの中に、獲物の身体の一部が入ると締まって拘束する罠のことを指します。

押しバネ方式くくり罠に用いられるバネの種類の中で、もっともポピュラー。圧縮させた状態で仕掛けておき、罠が作動した際に圧縮から元にもどろうする力を利用する。

◆引きバネ方式:押しバネとは逆にコイル部分が引っ張ぱれた状態で仕掛けておき、戻ろうとする力を利用している。バネの両端にフックが付いている点も特徴。

ねじりバネ方式トーションバネまたはキックバネ、ねじりコイルばねとも呼ばれる。コイル部からアーム(足)がついており、コイル部を巻き込む方向に荷重が掛かる。 「押しバネ式」は値段が安く、凍結した土地でも動作に影響されにくい特徴があります。ねじりバネ式はコイルが凍結すると動作不良を起こすことがあります。引きバネもコイルの間隔が狭く凍結の恐れがあるため、冬場はコイルの間隔に遊びのある押しバネがおすすめです。一方でワイヤーの長さや構造をきちんと計算する手間がかかる点や、獲物の力で変形しやすい点が短所でしょう。

「引きバネ式」は持ち運びの手軽さや設置の際に穴を掘らなくてよい点が長所です。罠を埋めるのが難しい狭い場所や泥場などに適しています。短所としては、設置場所が立ち木がある場所に限定される点や、設置方法にコツがいる点などが挙げられます。

「ねじりバネ式」は動力のパワーが強いことが最大の長所。丈夫で破損しにくいため繰り返し利用するのに適しています。短所としては価格が高い点や、大きさや重さの点から持ち運びでかさばりやすく、穴掘りに労力がかかったりする点に注意が必要です。

くくり罠は法廷猟具として認められていますが、イノシシ等を捕獲する場合は、以下の制限があるので注意しましょう。

  • 輪の直径が12cm以内であること
  • 締付け防止金具※が装着されていること
  • ワイヤーの直径が4mm以上であること
  • よりもどし※が装着されていること

締付け防止金具とは、締め付けすぎて獲物が傷つかないようにするための金具です。容易に輪を広げられる金具(ワイヤーロック)や、輪のしぼりを一定の大きさに制限する金具(ワイヤーストッパー)のことを指し、いずれかが装着されている必要があります。

よりもどし(サルカン)とは、ワイヤーとワイヤーを連結するための連結器具を指します。回転するようになっており、糸よれを防ぐことができます。 なお、農林被害が高い水準にある地域の場合、捕獲圧を高めることを目的として、制限が一部解除されている場合もあります。規制の状況を知りたい場合、狩猟者登録をする都道府県に確認してください。

くくり罠の長所

くくり罠の最大の長所は手軽さです。小型で比較的安価な点や、軽量なことから持ち運びが楽で車で行けない場所でも設置できる点も長所といえます。また、箱罠の場合は餌付けが必須となるため、周囲の農作地や里へイノシシを誘引しないよう餌付けのやり方に注意しなければなりませんが、くくり罠の場合は餌付け無しでも捕獲できます。

くくり罠の短所

くくり罠の短所として、獣の動きを読んでピンポイントで設置しなければならないことから、捕獲の難度が高い点が挙げられます。くくり罠で捕獲するには、獲物の行動・習性を熟知しておかなければならないため、ノウハウのある狩猟者が実施する猟法といえます。

また一つの罠につき一個体しか捕獲できないため、箱罠のように一網打尽を狙うことはできません。

他にも、ターゲットではない他の鳥獣を捕獲した場合に、怪我を負わせてしまう可能性がある点にも注意が必要です。例えば、ツキノワグマがくくり罠によって誤って捕獲されることが問題として挙げられています。ツキノワグマは地域によっては保護対象となっていますが、くくり罠にかかると無理に引っ張り、脚がなくなってしまう事例が多く報告されているためです。

箱罠や囲い罠と比べてくくり罠は獲物の可動域が広いため、止め刺しの際の危険度が高い点も知っておく必要があります。獲物と直に対峙した状態で止め刺しをするくくり罠では、事故が発生するケースが多く見られます。具体的には「止め刺しの際に罠が外れイノシシから突進され怪我を負う」といった事例です。ちょっとした油断が事故に繋がるため、常に細心の注意を払うことが大切です。

新人狩猟者の方は、可能であればくくり罠猟に詳しいベテランの方に同行してもらい、ノウハウや注意点を学ぶと良いでしょう。

くくり罠による捕獲の手順

くくり罠による捕獲の手順は以下の通りです。
  1. ①場所を決める
  2. ②罠の設置
  3. ③捕獲
  4. ④処分
くくり罠では「場所決め」が捕獲成功のための大きな要素です。わな設置後2週間以上イノシシが捕獲されなかった場合は、イノシシの通り道を外れている可能性や、イノシシが罠に気付いて罠を避けている可能性があるため、場所を移動させましょう。

くくり罠を適切な場所に設置するには、イノシシがどう行動するのかを想像することが大切となります。例えば、イノシシは地面を歩く際できるだけ枝などの障害物を避けるように行動します。そこで、罠を設置する場所の手前に枝をわざと置いておくことで、イノシシが足を下ろす位置を誘導することができます。 「イノシシならどうするか?」という視点はくくり罠を仕掛ける際にとても大切なポイントです。ベテランの狩猟者の方は長年の経験から独自の方法やノウハウを確立されている方も多いため、もし周りにそういった方がいれば、話を聞いてみると良いでしょう。

イノシシ罠その③:囲い罠

囲い罠は、基本構造は箱罠と同じですが、天井面が無いものを囲い罠と呼称します。天面を除く周囲を杭や柵で囲いこみ、その中に動物が入ると、出入り口の扉が閉まる構造になっています。 箱罠と同様、餌付けによって罠の内部に獲物を誘因します。なお、罠の上面の半分を超える面積を覆うと、箱罠として扱われます。

囲い罠の長所

箱罠と同様、餌によって獲物を誘因するため、捕獲率は高いです。また面積が広いタイプであれば、工夫次第で一度に多くの獲物を捕獲することが期待できます。 構造上、罠の面積を広げやすいことから、設置場所や捕獲頭数によってカスタムしやすい点や、罠のサイズが大きいため捕獲する獲物を傷つけにくい点も長所の1つです。

なお、囲い罠には特例があり、以下を満たしていれば狩猟免許を取得しなくても捕獲が可能となっています(必ず、設置する地域の自治体担当課に事前に確認するようにしてください)。

  • ・狩猟期間中で狩猟が可能な区域であること
  • ・農林業者が自らの事業に対する被害を防ぐ目的であること
  • ・自己の農林業敷地内及びその隣接地に設置すること
  • なお、狩猟禁止区域(鳥獣保護区、休猟区など)内に設置しようとする場合は、有害鳥獣捕獲許可を受ける必要がありますので、地元市町村の鳥獣行政担当課に確認のうえ実施してください。

    囲い罠の短所

    大型のものは設置が大変で移設が容易ではありません。常設型として用いられている場合も多いです。価格も箱罠と比べると全般的に高めです。また、面積が広いタイプの場合、捕獲個体の殺処分に労力がかかります。構造上、場所が広く平らな場所を選ばなければならなことから、設置場所を探す際に苦労することもあります。

    その他にも、蹴り糸方式などの一般的なトリガーの場合、罠内の獲物が1頭でもわなが稼働してしまうことも多いです。せっかく面積の広い囲い罠を設置しても、1回の捕獲で1頭しか捕れないケースが多くあります。

    囲い罠も、箱罠も、過剰な餌やりは、腐敗による悪臭などの問題を生む恐れがあります。餌づけによって被害を助長する恐れもあります。罠の設置箇所や餌の種類、周辺の環境や作物を十分考慮し運用しましょう。また餌付けした獲物は確実に捕る意識で取り組みましょう。

    まとめ

    イノシシをターゲットとする罠には上記のような種類がありますが、ニーズに応じた種類を選ぶことが重要です。まずはあなたのニーズをはっきりさせてから、それに合った罠を選びましょう。

     

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