くくり罠のバネについて

くくり罠 引きバネ 押しバネ ねじりバネ
くくり罠は、文字通り獣の足をバネの力で括って(くくって)捕獲する罠です。バネによって罠が作動する際の瞬発力が変わってくるので、くくり罠を構成するパーツの中でも特に重要なものになります。

くくり罠に使用されるバネの種類

くくり罠に使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。

押しバネ

押しバネを使ったくくり罠は、最もオーソドックスなものになります。押しバネは別名 圧縮バネとも呼ばれ、コイル状に巻かれたバネの事です。力がかかっていない状態では、コイルに隙間(ピッチ)があいています。

押しバネはボールペンを分解すると出てくるバネで、罠を使ったことが無くても見たことがある人は多いのではないでしょうか。くくり罠だけでなく、機械部品や車などにも幅広く使用されています。

くくり罠に使用する際は、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。

上記の動画にあるように、押しバネを圧縮した状態で固定してくくり罠を設置しますが、バネを圧縮するには結構力が要ります。※貧弱なバネだと獣の瞬発力に勝てないので、それなりに強いバネを使用します。

因みに押しバネは、軽荷重の場合には一般的にコイル径が細くピッチも小さめですが、重荷重の場合にはコイル径が太くピッチも大き目に作られている場合が多いです。

バネがむき出しになっていると、圧縮する際にバネが歪んだり、作動する際に土や草木が引っかかってしまう場合もあるので、上記動画のように塩ビパイプ等の容器の中にバネを圧縮する場合も多くあります。

引きバネ

引張バネとも呼ばれ、押しバネとは違ってコイルに隙間がなく密着した状態で巻かれています。両端にフックが付いていて、引っ張ると戻る動作を利用します。

自転車のスタンドにも使われていて、用途がとても幅広いバネです。また、フックの形状を工夫することで使い方に様々な応用をきかせることができます。

上の動画にあるように、バネが引っ張られた状態で罠を設置しておき、トリガーが作動するとフックが外れてバネが縮む力によってワイヤーが締まる仕組みになっています。

通常、縦引きタイプの押しバネや、ねじりバネを使ったくくり罠は、地面に埋めて使用します。一方で、引きバネの場合は、仕掛けにもよりますが、穴を掘らなくても罠を作動させることができますので、地形条件に左右されにくいのも特徴です。

ねじりバネ

巻き込まれた力を開放しようとする動力をいかしたバネをいいます。洗濯ばさみにも使われているバネですので、イメージがつきやすいかと思います。 コイル部分は、一般的にピッチ無し(密着巻)ですが、用途によってはピッチがあるものもあります。線材が太いものほど力が力が大きくなります。

非常に力が強いバネで、人間の手で圧縮できないほど強力なものもあります。また、先端の形状や腕の長さによっても性能が変わってきます。 くくり罠に使用する場合、他のバネに比べると、圧縮したりする必要がないため、セッティングがしやすいという特徴があります。

一方で、跳ね上がる力が非常に強く、暴発によって怪我をすることもあるので注意が必要です。

バネを選ぶポイント

バネは使っていくうちに、必ずヘタり(コイルの力が衰え、弾力性が落ちること)が生じます。ヘタリが生じると、くくり罠の性能を十分に発揮することができず捕獲率も下がります。そのため、ヘタったバネは交換することになりますが、状況に応じて少しバネの仕様を変えるのも手です。

たとえば、「どうも空ハジキ※が多い」といった場合は、よりバネの力を強くすると発生率を下げることができるかもしれません。バネの力が強くなればなるほど瞬発も早まるので、捕獲率を上げることが期待できます。※力が強いほど仕掛けるのが大変になり暴発で怪我をするリスクも出てきます。

空ハジキ:くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないこと

ちなみに当店では押しバネを使ったタイプの罠を販売していますが、バネの仕様についてお問合せいただくことも多くございます。

塩ビパイプ内に押しバネを圧縮させるタイプをお使いの場合、圧縮長やコイル外径は塩ビパイプによって決まるので、塩ビパイプを変えない場合は線径を少しだけ変えたり、材質を変えたりするなど軽微な変更にとどめておきます。あまり大きな変更を加えることおススメしません。

ちなみに、押しバネの素材はピアノ線、硬鋼線、ステンレス線(SUS)があります。くくり罠は屋外で使用するのでステンレスが最適ですが、価格は硬鋼線<ピアノ線<ステンレス線となります。

塩ビパイプの仕様も変える場合は、スネア(足を括るワイヤーの輪。ワサとも呼ぶ。)直径をどの程度にするかまず考慮します。 適合するバネを調べたい場合は、まずお使いの踏み板等を基に、スネア外周の長さを測りましょう。

円形スネアの場合は、直径×3.14で外周の長さを計算することができます。例えば直径12㎝の円形スネアの場合、12×3.14で約36cmの外周となります。 外周の長さ=ばねが縮む長さとなります。くくり罠の場合は、少し余裕をもたせて、そこからさらに1.4倍を掛けた値をバネが縮む長さとします。

つまり、直径12㎝の円形スネアの場合、12×3.14×1.4で、ばねが縮む長さは約50cmとなります。 バネ全長-バネ圧縮長=ばねが縮む長さです。また、圧縮長すべてを塩ビパイプ内に収める場合は、塩ビパイプの全長=バネ圧縮長となります。

また、当然ながら塩ビパイプの内径よりもバネのコイル径は小さくなければなりません。

市販のバネは、バネの特性やバランスを考慮して仕様が決められていますので、安心して使用できます。自分でバネの仕様を設計するのは難しいので、上記の計算を基に、理想の圧縮長や全長、コイル径などをショップに伝えると良いでしょう。

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