鳥獣被害対策マガジン
猟犬の種類と特徴について。追い込み方法なども解説
犬と人間が親しい関係となるきっかけになったのは、3万2000~1万9000年前の欧州で、オオカミが狩猟採集民になついたのが始まりとする研究結果がある。 その後、犬という種類が最初に現れたのは約15,000年前で、人間がオオカミを家畜化し、人間の好む性質を持つ個体を人為的選択※することで、犬という動物が成立したとされる。そのため、犬という動物は、種の成り立ちの観点からも、農耕が始まる遥か以前から猟犬の役割を担っていたと考えられる。 ※人為的選択・・・生物の形質について、人為的に選択して経代を続け、その変化を望む方向に誘導する行為、またはその結果を指す。 少し話が逸れるが、筆者が初めて猟犬という存在を認識したのは、子どもの頃にみた少年ジャンプで掲載されていた「銀牙 -流れ星 銀-」という漫画である。 人間ですら歯が立たない凶暴な人食い熊・赤カブトを討つために、熊犬(熊狩りを目的とした猟犬)である銀が冒険する物語で、漫画ではあるものの、猟犬が己の爪と牙だけを頼りに立ち向かっていく様に胸を熱くしたものである。 しかし、漫画ではなく実際のところは、猟犬はその優れた嗅覚や吠え声によって獲物を追い込むことが得意であるが、大型動物を仕留めるほどの力はもたない。 一方で、人間は犬のような身体能力はもたないものの、銃や刃物など強力な武器を持つ。そのため、ハンターにとって猟犬は最高のパートナーといえるのだ。 猟犬の種類 猟犬は多くの犬種(品種)や系統に分かれており、鳥猟犬と獣猟犬に大別される。 鳥猟犬の種類 鳥猟、とくにキジ猟においては、ポインターやセッター、レトリーバー、それら全般をこなすスパニエル等が活躍する。 ポインターは獲物を見つけると「お手」の姿勢となり、ハンターにその位置を知らせる(ポイントするともいわれる)。 また、セッターは獲物が逃げ出さないようにそっと近づき、ハンターの指示でハンターが射撃を行うのに最適な位置に鳥を追い出すことが得意だ。 レトリーバーは目視により撃ち落とされた鳥の位置を長い間記憶し、思い出すことができる。また、気性が穏やかで獲物を噛みつぶさないで運んだり、泳ぎもできる。そのため、撃ち落とした獲物や半矢で逃げる獲物を回収(レトリーブ)することが得意である。 スパニエルは利口で忠誠心が高く、鳥猟に広く使われる犬種であるが、家庭犬としても人気が高い。 獣猟犬の種類 イノシシ猟などの獣猟においては、身軽で駿足、勇敢、適度な追い鳴きの能力をもった犬種が重宝され、洋犬ではハウンドと呼ばれる犬種が該当する。彼らは、つねに獲物と一定の距離を保ちながら追跡し、吠えること(追い鳴き)によってハンターに獲物の位置を知らせる。 また、和犬も古くから獣猟で活躍してきた犬種で、紀州犬、甲斐犬、秋田犬などが存在する。 ハウンドと和犬を比較すると、犬自身の性格にもよるが、ハウンドは鳴きが早く盛んに鳴くという傾向があり、和犬は獲物を見つけるまでは鳴かないという傾向がある。 猟犬を使った追い込み方法 猟犬を使った獲物の追い込みには色々な方法がある。 例えばイノシシ猟においては、獲物が生息する狩場を多人数で四方から取り囲み、囲いを縮めながら獲物を追いつめて射止める「巻き狩り猟」がよく知られている。 巻き狩りは勢子(獣を追い詰めたり、逃げるのを防いだりする役割のハンター)と、数人の射手(獲物に対して鉄砲を撃つハンター)と、パートナーである猟犬とで行われる。 ※最少の出猟人数は3人(勢子2人と射手1 人)で、3人以上の出猟者が見込めない場合は巻き狩り猟は中止となる。 まず、おもに勢子以外のメンバーが単独もしくは複数で「見切り」を行う。見切りは、メンバーごとに特定のエリアを担当し、獣の痕跡の変化を見定める作業のことで、大抵の場合午前中に行われる。 その後、各メンバーが集合場所に集まり、勢子を交えて見切りの情報を持ち寄り、猟を行うエリアを確定したうえで猟を始める。 猟がスタートすると、初めに犬が「床吠え(たて吠え)」することによって、寝床で寝ている猪を起こす。...
猟犬の種類と特徴について。追い込み方法なども解説
犬と人間が親しい関係となるきっかけになったのは、3万2000~1万9000年前の欧州で、オオカミが狩猟採集民になついたのが始まりとする研究結果がある。 その後、犬という種類が最初に現れたのは約15,000年前で、人間がオオカミを家畜化し、人間の好む性質を持つ個体を人為的選択※することで、犬という動物が成立したとされる。そのため、犬という動物は、種の成り立ちの観点からも、農耕が始まる遥か以前から猟犬の役割を担っていたと考えられる。 ※人為的選択・・・生物の形質について、人為的に選択して経代を続け、その変化を望む方向に誘導する行為、またはその結果を指す。 少し話が逸れるが、筆者が初めて猟犬という存在を認識したのは、子どもの頃にみた少年ジャンプで掲載されていた「銀牙 -流れ星 銀-」という漫画である。 人間ですら歯が立たない凶暴な人食い熊・赤カブトを討つために、熊犬(熊狩りを目的とした猟犬)である銀が冒険する物語で、漫画ではあるものの、猟犬が己の爪と牙だけを頼りに立ち向かっていく様に胸を熱くしたものである。 しかし、漫画ではなく実際のところは、猟犬はその優れた嗅覚や吠え声によって獲物を追い込むことが得意であるが、大型動物を仕留めるほどの力はもたない。 一方で、人間は犬のような身体能力はもたないものの、銃や刃物など強力な武器を持つ。そのため、ハンターにとって猟犬は最高のパートナーといえるのだ。 猟犬の種類 猟犬は多くの犬種(品種)や系統に分かれており、鳥猟犬と獣猟犬に大別される。 鳥猟犬の種類 鳥猟、とくにキジ猟においては、ポインターやセッター、レトリーバー、それら全般をこなすスパニエル等が活躍する。 ポインターは獲物を見つけると「お手」の姿勢となり、ハンターにその位置を知らせる(ポイントするともいわれる)。 また、セッターは獲物が逃げ出さないようにそっと近づき、ハンターの指示でハンターが射撃を行うのに最適な位置に鳥を追い出すことが得意だ。 レトリーバーは目視により撃ち落とされた鳥の位置を長い間記憶し、思い出すことができる。また、気性が穏やかで獲物を噛みつぶさないで運んだり、泳ぎもできる。そのため、撃ち落とした獲物や半矢で逃げる獲物を回収(レトリーブ)することが得意である。 スパニエルは利口で忠誠心が高く、鳥猟に広く使われる犬種であるが、家庭犬としても人気が高い。 獣猟犬の種類 イノシシ猟などの獣猟においては、身軽で駿足、勇敢、適度な追い鳴きの能力をもった犬種が重宝され、洋犬ではハウンドと呼ばれる犬種が該当する。彼らは、つねに獲物と一定の距離を保ちながら追跡し、吠えること(追い鳴き)によってハンターに獲物の位置を知らせる。 また、和犬も古くから獣猟で活躍してきた犬種で、紀州犬、甲斐犬、秋田犬などが存在する。 ハウンドと和犬を比較すると、犬自身の性格にもよるが、ハウンドは鳴きが早く盛んに鳴くという傾向があり、和犬は獲物を見つけるまでは鳴かないという傾向がある。 猟犬を使った追い込み方法 猟犬を使った獲物の追い込みには色々な方法がある。 例えばイノシシ猟においては、獲物が生息する狩場を多人数で四方から取り囲み、囲いを縮めながら獲物を追いつめて射止める「巻き狩り猟」がよく知られている。 巻き狩りは勢子(獣を追い詰めたり、逃げるのを防いだりする役割のハンター)と、数人の射手(獲物に対して鉄砲を撃つハンター)と、パートナーである猟犬とで行われる。 ※最少の出猟人数は3人(勢子2人と射手1 人)で、3人以上の出猟者が見込めない場合は巻き狩り猟は中止となる。 まず、おもに勢子以外のメンバーが単独もしくは複数で「見切り」を行う。見切りは、メンバーごとに特定のエリアを担当し、獣の痕跡の変化を見定める作業のことで、大抵の場合午前中に行われる。 その後、各メンバーが集合場所に集まり、勢子を交えて見切りの情報を持ち寄り、猟を行うエリアを確定したうえで猟を始める。 猟がスタートすると、初めに犬が「床吠え(たて吠え)」することによって、寝床で寝ている猪を起こす。...
【手順で解説】くくり罠によるイノシシ捕獲から生け捕りまで
イノシシやシカをはじめとした野生獣の捕獲方法の1つである「くくり罠」。獣が罠を踏むと、ワイヤーが締まって脚を捕獲する方法です。 中でもイノシシは身体能力が高いため、罠の設置や捕獲後の対応の際に、押さえておきたいポイントがあります。捕獲率を高めるだけでなく、より安全にイノシシを仕留めるためのポイントを順を追ってご紹介します。 イノシシ用のくくり罠を設置する くくり罠の設置は、イノシシとの知恵比べといえます。 イノシシは環境の変化に敏感で、新しく掘り起こされた土や人間の痕跡があると、警戒してそこを避ける行動をとります。罠を設置した痕跡を残さないよう、慎重かつ狡猾に罠を設置することが大切です。 まず、罠を設置する場所を決めましょう。イノシシが行動しているであろうエリアを丁寧に観察し、イノシシのフンや足跡、獣道を探します。足跡や獣道をみつけたら、より具体的に罠を設置する場所を絞り込みましょう。 イノシシは足元が不安定な場所を避けるため、枝や石はよけて通る習性があります。獣道の途中に木の根っこなどがあれば、そこを跨いで足を降ろす可能性が高くなります。 また、段差がある場所なら、イノシシも踏ん張りやすい安定した部分に足を置こうとするでしょう。こうした場所はくくり罠を仕掛けるには絶好のポイントです。 このように、痕跡を追うだけでなく、さらに一歩踏み込んで、そこから読み取れるイノシシの行動まで予測することで罠の捕獲率を高めていきます。 こちらの記事もどうぞ 【徹底解説】くくり罠の特徴や成果の上げ方とは? 匂い対策やカモフラージュは念入りに くくり罠を設置する際は、匂い対策にも注意をはらいましょう。罠を設置するために掘り返した土は、表面の乾いた土と匂いに違いあります。イノシシの嗅覚は鋭敏で、わずかな匂いの変化にも気づきます。 掘り起こした土で余りが出たら、罠から少し離れた場所に置くようにしましょう。 これ以外にも、新品の罠は人工物の匂いがするため、一度雨にさらして匂いを落としておくテクニックもあります。 同じく作業に使う軍手などもビニール製やゴム製は匂いが残るため避ける人もいます。徹底して人の匂いの痕跡を残さないため、猟に使う作業着は洗わず1シーズン使うといった罠師もいるほどです。人間に慣れていないイノシシの場合は特に匂いに対する警戒心が高いことから、罠の性能を損なわない範囲で可能な限り対策をしておくとよいでしょう。 また、くくり罠を設置したら表面に土や枯れ葉などを使ってカモフラージュを行います。周囲の環境と同じようにすることで、イノシシに見破られないよう工夫することが大切です。ハケなどを持参しておくと、より自然で細かなカモフラージュができます。 罠の手前や両サイドに枯れ枝を置いて、イノシシが足を置く位置を限定し捕獲率を高める方法も効果的です。 一方で、昼間に人里に現れるような人間に慣れているイノシシの場合、人間の痕跡を避けないケースもあります。わざと足跡を手で消してみて、そのあと同じ場所に足跡があれば、イノシシがその場所を踏む可能性が非常に高くなります。 イノシシがくくり罠にかかっていたら 見回りの際、くくり罠にイノシシがかかっていたら、その後の対処が必要になります。罠にかかったイノシシは、なんとか逃れようと必死に暴れ、興奮していてとても危険です。 まずは遠巻きに状況を確認し、斜面の場合はイノシシよりも高い方向から近づきます。近付く際はゆっくりと、警戒心を緩めずに進みましょう。捕らえたイノシシの可動域の外から、くくり罠がが足にしっかり固定されているか確認します。 罠のかかりが甘い場合や、イノシシが激しく暴れまわると罠が外れる可能性があります。状況をしっかり把握して、作業の安全を確保しましょう。 こちらの記事もどうぞ 捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて 生け捕りにするのでなければ、くくり罠にかかったイノシシはその場で止め刺しします。 その場合、鈍器等による殴打や電気ショック、ナイフを使います。必要に応じて銃で止め刺しする場合もあります。接近戦が危険と判断した場合は、応援を呼んだり銃による対処ができるよう事前に段取りしておきましょう。 こちらの記事もどうぞ 万能山刀、フクロナガサ(叉鬼山刀)の魅力 保定具(鼻くくりなど)を使う場合...
【手順で解説】くくり罠によるイノシシ捕獲から生け捕りまで
イノシシやシカをはじめとした野生獣の捕獲方法の1つである「くくり罠」。獣が罠を踏むと、ワイヤーが締まって脚を捕獲する方法です。 中でもイノシシは身体能力が高いため、罠の設置や捕獲後の対応の際に、押さえておきたいポイントがあります。捕獲率を高めるだけでなく、より安全にイノシシを仕留めるためのポイントを順を追ってご紹介します。 イノシシ用のくくり罠を設置する くくり罠の設置は、イノシシとの知恵比べといえます。 イノシシは環境の変化に敏感で、新しく掘り起こされた土や人間の痕跡があると、警戒してそこを避ける行動をとります。罠を設置した痕跡を残さないよう、慎重かつ狡猾に罠を設置することが大切です。 まず、罠を設置する場所を決めましょう。イノシシが行動しているであろうエリアを丁寧に観察し、イノシシのフンや足跡、獣道を探します。足跡や獣道をみつけたら、より具体的に罠を設置する場所を絞り込みましょう。 イノシシは足元が不安定な場所を避けるため、枝や石はよけて通る習性があります。獣道の途中に木の根っこなどがあれば、そこを跨いで足を降ろす可能性が高くなります。 また、段差がある場所なら、イノシシも踏ん張りやすい安定した部分に足を置こうとするでしょう。こうした場所はくくり罠を仕掛けるには絶好のポイントです。 このように、痕跡を追うだけでなく、さらに一歩踏み込んで、そこから読み取れるイノシシの行動まで予測することで罠の捕獲率を高めていきます。 こちらの記事もどうぞ 【徹底解説】くくり罠の特徴や成果の上げ方とは? 匂い対策やカモフラージュは念入りに くくり罠を設置する際は、匂い対策にも注意をはらいましょう。罠を設置するために掘り返した土は、表面の乾いた土と匂いに違いあります。イノシシの嗅覚は鋭敏で、わずかな匂いの変化にも気づきます。 掘り起こした土で余りが出たら、罠から少し離れた場所に置くようにしましょう。 これ以外にも、新品の罠は人工物の匂いがするため、一度雨にさらして匂いを落としておくテクニックもあります。 同じく作業に使う軍手などもビニール製やゴム製は匂いが残るため避ける人もいます。徹底して人の匂いの痕跡を残さないため、猟に使う作業着は洗わず1シーズン使うといった罠師もいるほどです。人間に慣れていないイノシシの場合は特に匂いに対する警戒心が高いことから、罠の性能を損なわない範囲で可能な限り対策をしておくとよいでしょう。 また、くくり罠を設置したら表面に土や枯れ葉などを使ってカモフラージュを行います。周囲の環境と同じようにすることで、イノシシに見破られないよう工夫することが大切です。ハケなどを持参しておくと、より自然で細かなカモフラージュができます。 罠の手前や両サイドに枯れ枝を置いて、イノシシが足を置く位置を限定し捕獲率を高める方法も効果的です。 一方で、昼間に人里に現れるような人間に慣れているイノシシの場合、人間の痕跡を避けないケースもあります。わざと足跡を手で消してみて、そのあと同じ場所に足跡があれば、イノシシがその場所を踏む可能性が非常に高くなります。 イノシシがくくり罠にかかっていたら 見回りの際、くくり罠にイノシシがかかっていたら、その後の対処が必要になります。罠にかかったイノシシは、なんとか逃れようと必死に暴れ、興奮していてとても危険です。 まずは遠巻きに状況を確認し、斜面の場合はイノシシよりも高い方向から近づきます。近付く際はゆっくりと、警戒心を緩めずに進みましょう。捕らえたイノシシの可動域の外から、くくり罠がが足にしっかり固定されているか確認します。 罠のかかりが甘い場合や、イノシシが激しく暴れまわると罠が外れる可能性があります。状況をしっかり把握して、作業の安全を確保しましょう。 こちらの記事もどうぞ 捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて 生け捕りにするのでなければ、くくり罠にかかったイノシシはその場で止め刺しします。 その場合、鈍器等による殴打や電気ショック、ナイフを使います。必要に応じて銃で止め刺しする場合もあります。接近戦が危険と判断した場合は、応援を呼んだり銃による対処ができるよう事前に段取りしておきましょう。 こちらの記事もどうぞ 万能山刀、フクロナガサ(叉鬼山刀)の魅力 保定具(鼻くくりなど)を使う場合...
くくり罠の材料って何が要るの?
イノシシやシカ等の野生動物を捕獲するために、多く用いられるのが「くくり罠」。その名の通り、獣の足をワイヤーで「くくる(括る)」ことによって捕獲します。 世の中には様々なタイプのくくり罠があり、市販のものを購入する方もいれば、材料を揃えて自作する方もいらっしゃいます。 市販のものはそれぞれの罠に合った材料が使われており適正なバランスで組み立てられているので、特に初心者の方は市販のものを選ぶのが良いでしょう。 一方で、自作のほうがコストが抑えることができて自分好みのチューニングがやりやすいので、ベテランの方は自作派の方も多くいらっしゃいます。ただし、材料を自分で選定して手配しなければならないのはもちろん、捕獲の経験値・工作の技術や機材が必要になります。 今回は、自作にチャレンジしてみたい方向けに、くくり罠に必要な材料を紹介したいと思います。 くくり罠に必要な材料 くくり罠を作成するには、まず材料と工具を揃える必要があります。罠のタイプによって必要となるものは異なりますが、ここでは跳ね上げ式のくくり罠を例にとって説明します。 跳ね上げ式のくくり罠は、大きく分けて「踏み板」部分と「スプリング」部分で構成されます。 スプリング部分に必要となる材料 スプリング部分は獲物を捉えるためのワイヤー部分とバネ、そして支柱に取り付けるためのワイヤー部分で構成されています。これらが一体となって、ばねの力でワイヤーの輪が締まるような仕掛けを作る必要があります。 ①押しバネ くくり罠に使用するバネ(押しバネ)は、捕獲率を大きく左右するパーツです。バネを圧縮させた状態で仕掛けておき、くくり罠が作動するとバネが元にもどる(伸びる)力によってワイヤーが締まり、獣の足を括ります。 バネの素材はステンレス製やメッキ製のもの等がありますが、錆による劣化を防ぎたいならステンレス製、強度を重視するならメッキ製を選びます。※なお、当店ではへたりの少ないステンレス線材を使用しており、塩ビパイプ内径φ13mmに適したサイズのものを取り扱っています。 ②ワイヤーロープ どのようなくくり罠においても、ワイヤーは必需品になります。 支柱となる立木などにワイヤーを固定する部分と、獣の足を括るための作動部分で計2本のワイヤーが必要になります。ワイヤーが長すぎると捩れやキンクが発生しやすくなり捕獲した獣の可動域も広くなってしまいますが、短いと支柱となる立木等から近い位置に仕掛けなければならなくなるため設置場所に制約がでてしまいます。 各ワイヤーの長さは標準で2メートルほど確保しておき、設置場所の状況や好みに応じて調整すると良いでしょう。切り売りにて少量準備しておくのも良いですが、くくり罠猟においてワイヤーは消耗品なので、100mロール巻き等まとめて購入しておくのも良いでしょう。 ③アルミスリーブ アルミスリーブは②のワイヤーロープで輪っかを作るために必ず必要になる材料になります。ワイヤーロープ径によって適合するスリーブのサイズが変わってくるので、注意しましょう。 くくり罠においては、おもに加工しやすいアルミ製のスリーブが使われます(ステンレススリーブも市販されていますが、アルミよりも高価になります)。輪を作る際は、ワイヤー2回(折り返し往復)通しの2回加締めで固縛します。 アルミクランプ内にワイヤーロープを通して、アームスエージャー等の加締め専用工具を使って締めることで、ワイヤーを固定することができます。 ④サルカン ワイヤーロープの撚れ、ねじれを防止することができることから、「より戻し」とも呼ばれる真鍮製の部品です。②のワイヤーロープの項目で記載したとおり、支柱にくくりつけるワイヤーと、イノシシの足を締めつけるワイヤーをサルカンで連結します。 サルカンで連結させることによって、撚れができにくくなるため、ワイヤーも切れにくくなります。 イノシシ及びニホンジカの捕獲には、サルカン未装着のくくり罠は使用禁止されています。 ⑤シャックル シャックルは、U字型の金具とネジが付いている、ワイヤーを支柱となる立木等に固定する際に使う便利な部品です。ワイヤーを支柱に巻き付けたあとに、シャックルを使って固定します。 ⑥くくり金具 一度ワイヤーが締まると戻りづらい構造になっていて、捕らえた獲物を逃がしにくくする為の部品がくくり金具です。捕獲した獣がワイヤーを引っ張るほど、緩みにくくなります。 なお、作動のスムーズさを優先させる場合は、くくり金具を使わずに組み立てる場合もあります。...
くくり罠の材料って何が要るの?
イノシシやシカ等の野生動物を捕獲するために、多く用いられるのが「くくり罠」。その名の通り、獣の足をワイヤーで「くくる(括る)」ことによって捕獲します。 世の中には様々なタイプのくくり罠があり、市販のものを購入する方もいれば、材料を揃えて自作する方もいらっしゃいます。 市販のものはそれぞれの罠に合った材料が使われており適正なバランスで組み立てられているので、特に初心者の方は市販のものを選ぶのが良いでしょう。 一方で、自作のほうがコストが抑えることができて自分好みのチューニングがやりやすいので、ベテランの方は自作派の方も多くいらっしゃいます。ただし、材料を自分で選定して手配しなければならないのはもちろん、捕獲の経験値・工作の技術や機材が必要になります。 今回は、自作にチャレンジしてみたい方向けに、くくり罠に必要な材料を紹介したいと思います。 くくり罠に必要な材料 くくり罠を作成するには、まず材料と工具を揃える必要があります。罠のタイプによって必要となるものは異なりますが、ここでは跳ね上げ式のくくり罠を例にとって説明します。 跳ね上げ式のくくり罠は、大きく分けて「踏み板」部分と「スプリング」部分で構成されます。 スプリング部分に必要となる材料 スプリング部分は獲物を捉えるためのワイヤー部分とバネ、そして支柱に取り付けるためのワイヤー部分で構成されています。これらが一体となって、ばねの力でワイヤーの輪が締まるような仕掛けを作る必要があります。 ①押しバネ くくり罠に使用するバネ(押しバネ)は、捕獲率を大きく左右するパーツです。バネを圧縮させた状態で仕掛けておき、くくり罠が作動するとバネが元にもどる(伸びる)力によってワイヤーが締まり、獣の足を括ります。 バネの素材はステンレス製やメッキ製のもの等がありますが、錆による劣化を防ぎたいならステンレス製、強度を重視するならメッキ製を選びます。※なお、当店ではへたりの少ないステンレス線材を使用しており、塩ビパイプ内径φ13mmに適したサイズのものを取り扱っています。 ②ワイヤーロープ どのようなくくり罠においても、ワイヤーは必需品になります。 支柱となる立木などにワイヤーを固定する部分と、獣の足を括るための作動部分で計2本のワイヤーが必要になります。ワイヤーが長すぎると捩れやキンクが発生しやすくなり捕獲した獣の可動域も広くなってしまいますが、短いと支柱となる立木等から近い位置に仕掛けなければならなくなるため設置場所に制約がでてしまいます。 各ワイヤーの長さは標準で2メートルほど確保しておき、設置場所の状況や好みに応じて調整すると良いでしょう。切り売りにて少量準備しておくのも良いですが、くくり罠猟においてワイヤーは消耗品なので、100mロール巻き等まとめて購入しておくのも良いでしょう。 ③アルミスリーブ アルミスリーブは②のワイヤーロープで輪っかを作るために必ず必要になる材料になります。ワイヤーロープ径によって適合するスリーブのサイズが変わってくるので、注意しましょう。 くくり罠においては、おもに加工しやすいアルミ製のスリーブが使われます(ステンレススリーブも市販されていますが、アルミよりも高価になります)。輪を作る際は、ワイヤー2回(折り返し往復)通しの2回加締めで固縛します。 アルミクランプ内にワイヤーロープを通して、アームスエージャー等の加締め専用工具を使って締めることで、ワイヤーを固定することができます。 ④サルカン ワイヤーロープの撚れ、ねじれを防止することができることから、「より戻し」とも呼ばれる真鍮製の部品です。②のワイヤーロープの項目で記載したとおり、支柱にくくりつけるワイヤーと、イノシシの足を締めつけるワイヤーをサルカンで連結します。 サルカンで連結させることによって、撚れができにくくなるため、ワイヤーも切れにくくなります。 イノシシ及びニホンジカの捕獲には、サルカン未装着のくくり罠は使用禁止されています。 ⑤シャックル シャックルは、U字型の金具とネジが付いている、ワイヤーを支柱となる立木等に固定する際に使う便利な部品です。ワイヤーを支柱に巻き付けたあとに、シャックルを使って固定します。 ⑥くくり金具 一度ワイヤーが締まると戻りづらい構造になっていて、捕らえた獲物を逃がしにくくする為の部品がくくり金具です。捕獲した獣がワイヤーを引っ張るほど、緩みにくくなります。 なお、作動のスムーズさを優先させる場合は、くくり金具を使わずに組み立てる場合もあります。...
箱罠で捕獲した後の止め刺しについて
目次 1箱罠捕獲後の止め刺し手順 1刃物を用いて直接止め刺す 2電殺器(電気止め刺し)を使用する 3銃による止め刺し 4窒息させる 箱罠を使って獲物を捕獲したあとは、獲物にとどめを刺す「止め刺し」を行います。 くくり罠で捕獲した場合、捕獲後もワイヤー長のぶんだけ獣は動けますが、箱罠の場合は獣の動きが檻の内部に制限されます。 また、くくり罠の場合は、捕らえた獲物の足が何らかの原因でワイヤーから抜けてしまう場合があります。一方で箱罠の場合は、捕獲後に獲物が逃げ出す可能性は低くなりますので、くくり罠よりも止め刺しの難易度は下がるといえるでしょう。 とはいえ、野生を相手に行うものですので箱罠でもリスクがまったくない訳ではありません。 とくに大型のイノシシなどは捕獲後は興奮状態にあり、体当たりして箱罠が動かしてしまうほどパワーがあります。 止め刺しを行う前に、遠巻きに罠の状態をよく観察し、箱罠に破損等の異常がないか確認したうえで、油断せず安全第一で作業にとりかかりましょう。 こちらの記事もどうぞ イノシシ捕獲~箱罠の設置・見回りをしよう 箱罠捕獲後の止め刺し手順 では、具体的に箱罠で捕獲した獲物の止め刺し方法を解説します。 1.刃物を用いて直接止め刺す 刃物を用いる止め刺しは、心臓や頸動脈をナイフなどで刺し放血させる方法です。 他の止め刺し方法と比べると制限が少ないので、古くからポピュラーな止め刺し方法として採用されています。ただし、急所に刃物を刺す必要があるため、物理的にも精神的にもハードルが高い方法でもあります。 難関となるのが急所部分となる胸元(心臓の付け根部分)を露出させることです。イノシシなどの四足獣は、胸元が地面側を向いており、そのままでは急所を的確に狙うことができません。そこで、獲物の胸元が見えるような状態にする必要があります。 一つの方法としては、ロープなどの保定具を使って獣の鼻や前足を垂直に吊り上げて拘束することです。 例としてイノシシを想定し、解説しましょう。 まず、保定具を輪の状態にします。このとき、保定具を引くと輪が締まるような結び方をしておきます(例:わな結びなど)。 上記の輪を箱罠天井のすき間から入れます。イノシシの鼻先で輪をプラプラさせると噛みついてきますので、その瞬間にロープを引いてイノシシの首や上アゴを括ります。 または、輪を地面に置き、輪の中に前足が入った瞬間に引き上げたりもします。 うまく輪を締めることができたら、持ち手側のロープに体重をかけて引っ張ります。 こうすることで、保定した部分が箱罠から離れられないようになります。なお、重量のある個体の場合は、近くの木の枝などに引っ掛けてから体重をかけると、持ち上がりやすくなります。 この状態になると獲物の前足が浮いて後ろ足だけで立ち上がるような体勢となるため、胸元が露出して急所を狙いやすくなります。この状態にして、リーチの長い槍状の刃物などで止め刺しするのがリスクの少ない方法です。 こちらの記事もどうぞ 万能山刀、フクロナガサ(叉鬼山刀)の魅力...
箱罠で捕獲した後の止め刺しについて
目次 1箱罠捕獲後の止め刺し手順 1刃物を用いて直接止め刺す 2電殺器(電気止め刺し)を使用する 3銃による止め刺し 4窒息させる 箱罠を使って獲物を捕獲したあとは、獲物にとどめを刺す「止め刺し」を行います。 くくり罠で捕獲した場合、捕獲後もワイヤー長のぶんだけ獣は動けますが、箱罠の場合は獣の動きが檻の内部に制限されます。 また、くくり罠の場合は、捕らえた獲物の足が何らかの原因でワイヤーから抜けてしまう場合があります。一方で箱罠の場合は、捕獲後に獲物が逃げ出す可能性は低くなりますので、くくり罠よりも止め刺しの難易度は下がるといえるでしょう。 とはいえ、野生を相手に行うものですので箱罠でもリスクがまったくない訳ではありません。 とくに大型のイノシシなどは捕獲後は興奮状態にあり、体当たりして箱罠が動かしてしまうほどパワーがあります。 止め刺しを行う前に、遠巻きに罠の状態をよく観察し、箱罠に破損等の異常がないか確認したうえで、油断せず安全第一で作業にとりかかりましょう。 こちらの記事もどうぞ イノシシ捕獲~箱罠の設置・見回りをしよう 箱罠捕獲後の止め刺し手順 では、具体的に箱罠で捕獲した獲物の止め刺し方法を解説します。 1.刃物を用いて直接止め刺す 刃物を用いる止め刺しは、心臓や頸動脈をナイフなどで刺し放血させる方法です。 他の止め刺し方法と比べると制限が少ないので、古くからポピュラーな止め刺し方法として採用されています。ただし、急所に刃物を刺す必要があるため、物理的にも精神的にもハードルが高い方法でもあります。 難関となるのが急所部分となる胸元(心臓の付け根部分)を露出させることです。イノシシなどの四足獣は、胸元が地面側を向いており、そのままでは急所を的確に狙うことができません。そこで、獲物の胸元が見えるような状態にする必要があります。 一つの方法としては、ロープなどの保定具を使って獣の鼻や前足を垂直に吊り上げて拘束することです。 例としてイノシシを想定し、解説しましょう。 まず、保定具を輪の状態にします。このとき、保定具を引くと輪が締まるような結び方をしておきます(例:わな結びなど)。 上記の輪を箱罠天井のすき間から入れます。イノシシの鼻先で輪をプラプラさせると噛みついてきますので、その瞬間にロープを引いてイノシシの首や上アゴを括ります。 または、輪を地面に置き、輪の中に前足が入った瞬間に引き上げたりもします。 うまく輪を締めることができたら、持ち手側のロープに体重をかけて引っ張ります。 こうすることで、保定した部分が箱罠から離れられないようになります。なお、重量のある個体の場合は、近くの木の枝などに引っ掛けてから体重をかけると、持ち上がりやすくなります。 この状態になると獲物の前足が浮いて後ろ足だけで立ち上がるような体勢となるため、胸元が露出して急所を狙いやすくなります。この状態にして、リーチの長い槍状の刃物などで止め刺しするのがリスクの少ない方法です。 こちらの記事もどうぞ 万能山刀、フクロナガサ(叉鬼山刀)の魅力...
シカによる被害と、捕獲するための罠について
シカによる農作物被害額は、過去数年にわたって横這い傾向となっているものの、平成30年度では約54億円に達しており、依然として深刻な状況です。イノシシの被害額である47億円を上回っており、最も被害を与える野生鳥獣となっています。 なお、被害があっても申告がないケースもあるため、上記の被害額は実態よりも少ないとも言われています。 また、長期にわたるシカの生息数の増加及び生息域の拡大によって、森林の被害も深刻な状況です。全国の森林の約2割でシカによる被害が確認されており、被害面積は全国で年間約3500ヘクタール(平成30年度)に達しており、野生鳥獣による森林被害の約3/4がシカによるものです。 ここまでシカの被害が広がった要因のひとつとして、シカの高い繁殖力が挙げられます。シカは生育環境がよければ1歳から妊娠し、ほぼ毎年子供を生みます。1度に産むのは1頭ですが、繁殖期には少数のオスが多数のメスを囲う(一夫多妻)であり、オスのまわりの妊娠可能なメスはほとんど妊娠します。 その結果、年率約20%で個体数が増え、4~5年で個体数は倍増するともいわれています。 環境省による推定では、全国で約244万頭のシカが生息(平成29年度末。北海道を除く)、平成26年度以降減少傾向となっていますが、平成初頭が約50万頭だったのに比べると、依然として高い水準で推移しており、捕獲による個体数の削減がまだまだ必要であることが示されています。 環境省はシカの生息頭数を令和5年度までに約150万頭まで減らすことを目標としており、捕獲等による対策の推進が実施されています。 直近の全国シカ被害 多くの地域で、シカによる被害が増えて深刻化しており、各自治体でも対応に苦慮している状況です。 奈良公園周辺 奈良公園(奈良市)は天然記念物のシカ約1300頭が生息しており、年間約1000万人が訪れる人気スポットです。しかしながら、今年は新型コロナウイルスによって観光客が減少し、シカが観光客から鹿せんべいをもらえなくなりました。 その結果、木の実などの餌を求め、シカが市街地や山林部に移動。商店の売り物が食べられたり、周辺の畑や花壇が荒らされるなどの被害が発生しています。 群馬県甘楽町 群馬県は関東地方では最大のりんご生産量を誇ります。甘楽町は豊かな自然を生かして化学農薬を抑えて、「陽光」や「ふじ」などの品種をはじめとした美味しいりんごが生産されています。 しかしながら、近年シカによるリンゴの食害が深刻化しており、今年は収穫が例年の3分の2程度に落ち込みそうな農家や、畑の約半分が被害に遭ったという生産者もいる状況です。 シカによる食害が広がるとともに、町内でのシカの捕獲頭数も右肩上がりとなっており、2015年度は31頭だったのが、本年度は11月4日時点で既に201頭に上っています。 静岡県伊豆半島 かつては、伊豆半島では国有林の中においてシカが保護されており、「鳥獣保護法」により、メスは捕獲禁止、オスは1日1頭と制限がかけられていました。 しかし、伊豆半島や富士山周辺でシカによる食害が深刻化。樹皮剥や下層植生の食害をはじめ、田畑にも被害が出ているため、本年度からメスジカを狙ってわなを集中的に仕掛け、繁殖を抑えるメスジカ重点捕獲を開始しています。 シカを捕獲するには? シカの食害を根本的に減らすには、捕獲による個体数の削減が必要になります。具体的には、「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」といった罠を使って捕獲を行います。 以下のページにて、それぞれの罠の特徴や動作について説明していますので、参照くださいませ。※罠の設置には基本的に、「わな猟免許」が必要になります。 各種わな説明&販売ページ 箱罠 シカの捕獲に適した実績多数の箱罠です。出没する場所を選んで設置します。もっと詳しく>> くくり罠 初心者からベテランまで。安くて高捕獲率と好評のくくり罠です。もっと詳しく>> 囲い罠 天面の半分が開いており、条件を満たせば狩猟免許不要で設置できます。もっと詳しく>> よくある質問...
シカによる被害と、捕獲するための罠について
シカによる農作物被害額は、過去数年にわたって横這い傾向となっているものの、平成30年度では約54億円に達しており、依然として深刻な状況です。イノシシの被害額である47億円を上回っており、最も被害を与える野生鳥獣となっています。 なお、被害があっても申告がないケースもあるため、上記の被害額は実態よりも少ないとも言われています。 また、長期にわたるシカの生息数の増加及び生息域の拡大によって、森林の被害も深刻な状況です。全国の森林の約2割でシカによる被害が確認されており、被害面積は全国で年間約3500ヘクタール(平成30年度)に達しており、野生鳥獣による森林被害の約3/4がシカによるものです。 ここまでシカの被害が広がった要因のひとつとして、シカの高い繁殖力が挙げられます。シカは生育環境がよければ1歳から妊娠し、ほぼ毎年子供を生みます。1度に産むのは1頭ですが、繁殖期には少数のオスが多数のメスを囲う(一夫多妻)であり、オスのまわりの妊娠可能なメスはほとんど妊娠します。 その結果、年率約20%で個体数が増え、4~5年で個体数は倍増するともいわれています。 環境省による推定では、全国で約244万頭のシカが生息(平成29年度末。北海道を除く)、平成26年度以降減少傾向となっていますが、平成初頭が約50万頭だったのに比べると、依然として高い水準で推移しており、捕獲による個体数の削減がまだまだ必要であることが示されています。 環境省はシカの生息頭数を令和5年度までに約150万頭まで減らすことを目標としており、捕獲等による対策の推進が実施されています。 直近の全国シカ被害 多くの地域で、シカによる被害が増えて深刻化しており、各自治体でも対応に苦慮している状況です。 奈良公園周辺 奈良公園(奈良市)は天然記念物のシカ約1300頭が生息しており、年間約1000万人が訪れる人気スポットです。しかしながら、今年は新型コロナウイルスによって観光客が減少し、シカが観光客から鹿せんべいをもらえなくなりました。 その結果、木の実などの餌を求め、シカが市街地や山林部に移動。商店の売り物が食べられたり、周辺の畑や花壇が荒らされるなどの被害が発生しています。 群馬県甘楽町 群馬県は関東地方では最大のりんご生産量を誇ります。甘楽町は豊かな自然を生かして化学農薬を抑えて、「陽光」や「ふじ」などの品種をはじめとした美味しいりんごが生産されています。 しかしながら、近年シカによるリンゴの食害が深刻化しており、今年は収穫が例年の3分の2程度に落ち込みそうな農家や、畑の約半分が被害に遭ったという生産者もいる状況です。 シカによる食害が広がるとともに、町内でのシカの捕獲頭数も右肩上がりとなっており、2015年度は31頭だったのが、本年度は11月4日時点で既に201頭に上っています。 静岡県伊豆半島 かつては、伊豆半島では国有林の中においてシカが保護されており、「鳥獣保護法」により、メスは捕獲禁止、オスは1日1頭と制限がかけられていました。 しかし、伊豆半島や富士山周辺でシカによる食害が深刻化。樹皮剥や下層植生の食害をはじめ、田畑にも被害が出ているため、本年度からメスジカを狙ってわなを集中的に仕掛け、繁殖を抑えるメスジカ重点捕獲を開始しています。 シカを捕獲するには? シカの食害を根本的に減らすには、捕獲による個体数の削減が必要になります。具体的には、「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」といった罠を使って捕獲を行います。 以下のページにて、それぞれの罠の特徴や動作について説明していますので、参照くださいませ。※罠の設置には基本的に、「わな猟免許」が必要になります。 各種わな説明&販売ページ 箱罠 シカの捕獲に適した実績多数の箱罠です。出没する場所を選んで設置します。もっと詳しく>> くくり罠 初心者からベテランまで。安くて高捕獲率と好評のくくり罠です。もっと詳しく>> 囲い罠 天面の半分が開いており、条件を満たせば狩猟免許不要で設置できます。もっと詳しく>> よくある質問...
狩猟解禁!今年の猟の状況は?
多くの地域にて、今月15日に狩猟が解禁されました。キジやカモ、イノシシ、シカといった鳥獣をターゲットに、多くのハンターが活動を開始しており、「今年も始まったか!」と感じている方も多いと思います。今年の各地の猟の情報も入ってきており、一部紹介できればと思います。 秋田県 今年もツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカの狩猟解禁が11月1日に前倒しとなり、カモ猟の解禁と重なりました。イノシシ目撃頭数が129頭と過去最多で被害も相次いでいるので、狩猟の成果も期待できるところです。狩猟期間は来年2月15日までですが、ニホンジカとイノシシ猟は3月15日までです。 宮城県 狩猟の解禁とともに、河川では車や徒歩で移動しながら猟をする「流し猟」でカルガモを仕留めている姿も。狩猟期間は2021年の2月15日まで。 千葉県 イノシシの行動が活発です。館山市では、2020年度のイノシシの捕獲数がすでに過去最高とのこと。豚熱陽性のイノシシが近県で確認されており防疫措置の協力と、昨年の台風によって猟場が荒れたままになっているところも残っているため十分な注意を。 群馬県 シカによる被害が目立ちます。甘楽町などではシカによるリンゴ食害が深刻化しているそうです。町内の捕獲頭数は本年度、既に過去最多の200頭余りに上っているとのこと。 富山県 主要な狩猟獣であるキジやヤマドリ、カルガモ、タヌキなどの生息数は平年並みとのこと。猟期は来年2月15日まで。※イノシシとニホンジカは農作物被害防止のため、猟銃、わな猟ともに3月31日まで。 長野県 「豚熱の影響かイノシシが少ない印象」という声を聞きます。※人の移動による豚熱(豚コレラ)ウイルス拡散を防ぐため、長靴や車両のタイヤの消毒などを呼び掛けています。狩猟期間は来年2月15日までですが、鹿とイノシシのわな猟は3月15日までです。 福井県 今秋はツキノワグマの出没や人身被害が相次いでいます。捕獲後に山で放獣したり、駆除したり猟友会が頑張っているとのこと。今年4〜10月の出没件数は953件で、統計を取り始めた04年度以降で3番目に多い状況です。捕獲数は嶺北153頭、嶺南31頭。うち、嶺北120頭、嶺南28頭の計148頭が駆除され、駆除率は全体で8割を超えているそうです。 愛知県 豚熱に対し、引き続き警戒体制が行われています。野生イノシシの豚熱陽性確認地点から半径10kmの区域を含む市町村が陽性エリアとされており、陽性エリアで狩猟する場合は、消毒などを実施するよう呼びかけられています。 陽性エリア:名古屋市、豊橋市、岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊川市、豊田市、西尾市、蒲郡市、犬山市、小牧市、新城市、尾張旭市、日進市、みよし市、長久手市、幸田町、設楽町、東栄町、豊根村 山梨県 女性の狩猟免許取得者が急増しており、特にわな猟免許の取得が多いそう。一方でクマの目撃情報が多く、今月15日には北杜市の山林で狩猟中の男性がクマに襲われ顔などに軽いけがというニュースもありました。くれぐれも安全第一で。 和歌山県 夏場は、串本町と古座川町で、有害鳥獣駆除によるイノシシの捕獲数が大幅に増えていると聞きましたが、直近では「場所によっては、豚熱の影響でイノシシが全然いない」という声も。 10月中旬以降、奈良、大阪、和歌山の3府県で感染イノシシが初めて確認されており、農水省は封じ込めに向け、経口ワクチンベルトを設けて対策を進めてきたものの、西日本での一層の感染拡大が懸念されています。 兵庫県 2016年に再開されたツキノワグマの狩猟は、今年は生息数が狩猟解禁基準の800頭を下回ったとして再び禁止に。大物猟ではイノシシやシカをメインターゲットに活動するハンターも多いようです。初猟で早速イノシシを仕留めたとの声も。イノシシと二ホンジカの狩猟期間は3月15日までで、他の鳥獣は2月15日まで。 岡山県 山だけでなく、街でもイノシシが大暴れ。今月20日には岡山市南区のホームセンターにイノシシが出入り口のガラスを突き破って中に侵入。岡山南署員や地元猟友会員ら約40人が出て、約1時間後に店内で取り押さえたそうです。 福岡県 イノシシとシカの狩猟期間は、開始が一足早めの11月1日、終了は3月15日までです。スタートから多くの獲物に恵まれているとの声も。 その他の全国概況...
狩猟解禁!今年の猟の状況は?
多くの地域にて、今月15日に狩猟が解禁されました。キジやカモ、イノシシ、シカといった鳥獣をターゲットに、多くのハンターが活動を開始しており、「今年も始まったか!」と感じている方も多いと思います。今年の各地の猟の情報も入ってきており、一部紹介できればと思います。 秋田県 今年もツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカの狩猟解禁が11月1日に前倒しとなり、カモ猟の解禁と重なりました。イノシシ目撃頭数が129頭と過去最多で被害も相次いでいるので、狩猟の成果も期待できるところです。狩猟期間は来年2月15日までですが、ニホンジカとイノシシ猟は3月15日までです。 宮城県 狩猟の解禁とともに、河川では車や徒歩で移動しながら猟をする「流し猟」でカルガモを仕留めている姿も。狩猟期間は2021年の2月15日まで。 千葉県 イノシシの行動が活発です。館山市では、2020年度のイノシシの捕獲数がすでに過去最高とのこと。豚熱陽性のイノシシが近県で確認されており防疫措置の協力と、昨年の台風によって猟場が荒れたままになっているところも残っているため十分な注意を。 群馬県 シカによる被害が目立ちます。甘楽町などではシカによるリンゴ食害が深刻化しているそうです。町内の捕獲頭数は本年度、既に過去最多の200頭余りに上っているとのこと。 富山県 主要な狩猟獣であるキジやヤマドリ、カルガモ、タヌキなどの生息数は平年並みとのこと。猟期は来年2月15日まで。※イノシシとニホンジカは農作物被害防止のため、猟銃、わな猟ともに3月31日まで。 長野県 「豚熱の影響かイノシシが少ない印象」という声を聞きます。※人の移動による豚熱(豚コレラ)ウイルス拡散を防ぐため、長靴や車両のタイヤの消毒などを呼び掛けています。狩猟期間は来年2月15日までですが、鹿とイノシシのわな猟は3月15日までです。 福井県 今秋はツキノワグマの出没や人身被害が相次いでいます。捕獲後に山で放獣したり、駆除したり猟友会が頑張っているとのこと。今年4〜10月の出没件数は953件で、統計を取り始めた04年度以降で3番目に多い状況です。捕獲数は嶺北153頭、嶺南31頭。うち、嶺北120頭、嶺南28頭の計148頭が駆除され、駆除率は全体で8割を超えているそうです。 愛知県 豚熱に対し、引き続き警戒体制が行われています。野生イノシシの豚熱陽性確認地点から半径10kmの区域を含む市町村が陽性エリアとされており、陽性エリアで狩猟する場合は、消毒などを実施するよう呼びかけられています。 陽性エリア:名古屋市、豊橋市、岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊川市、豊田市、西尾市、蒲郡市、犬山市、小牧市、新城市、尾張旭市、日進市、みよし市、長久手市、幸田町、設楽町、東栄町、豊根村 山梨県 女性の狩猟免許取得者が急増しており、特にわな猟免許の取得が多いそう。一方でクマの目撃情報が多く、今月15日には北杜市の山林で狩猟中の男性がクマに襲われ顔などに軽いけがというニュースもありました。くれぐれも安全第一で。 和歌山県 夏場は、串本町と古座川町で、有害鳥獣駆除によるイノシシの捕獲数が大幅に増えていると聞きましたが、直近では「場所によっては、豚熱の影響でイノシシが全然いない」という声も。 10月中旬以降、奈良、大阪、和歌山の3府県で感染イノシシが初めて確認されており、農水省は封じ込めに向け、経口ワクチンベルトを設けて対策を進めてきたものの、西日本での一層の感染拡大が懸念されています。 兵庫県 2016年に再開されたツキノワグマの狩猟は、今年は生息数が狩猟解禁基準の800頭を下回ったとして再び禁止に。大物猟ではイノシシやシカをメインターゲットに活動するハンターも多いようです。初猟で早速イノシシを仕留めたとの声も。イノシシと二ホンジカの狩猟期間は3月15日までで、他の鳥獣は2月15日まで。 岡山県 山だけでなく、街でもイノシシが大暴れ。今月20日には岡山市南区のホームセンターにイノシシが出入り口のガラスを突き破って中に侵入。岡山南署員や地元猟友会員ら約40人が出て、約1時間後に店内で取り押さえたそうです。 福岡県 イノシシとシカの狩猟期間は、開始が一足早めの11月1日、終了は3月15日までです。スタートから多くの獲物に恵まれているとの声も。 その他の全国概況...
くくり罠のバネについて
くくり罠は、文字通り獣の足をバネの力で括って(くくって)捕獲する罠です。バネによって罠が作動する際の瞬発力が変わってくるので、くくり罠を構成するパーツの中でも特に重要なものになります。 くくり罠に使用されるバネの種類 くくり罠に使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。 こちらの記事もどうぞ 跳ね上げ式の足くくり罠を使って捕獲率アップ> 押しバネ 押しバネを使ったくくり罠は、最もオーソドックスなものになります。押しバネは別名 圧縮バネとも呼ばれ、コイル状に巻かれたバネの事です。力がかかっていない状態では、コイルに隙間(ピッチ)があいています。 押しバネはボールペンを分解すると出てくるバネで、罠を使ったことが無くても見たことがある人は多いのではないでしょうか。くくり罠だけでなく、機械部品や車などにも幅広く使用されています。 くくり罠に使用する際は、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。 上記の動画にあるように、押しバネを圧縮した状態で固定してくくり罠を設置しますが、バネを圧縮するには結構力が要ります。※貧弱なバネだと獣の瞬発力に勝てないので、それなりに強いバネを使用します。 因みに押しバネは、軽荷重の場合には一般的にコイル径が細くピッチも小さめですが、重荷重の場合にはコイル径が太くピッチも大き目に作られている場合が多いです。 バネがむき出しになっていると、圧縮する際にバネが歪んだり、作動する際に土や草木が引っかかってしまう場合もあるので、上記動画のように塩ビパイプ等の容器の中にバネを圧縮する場合も多くあります。 引きバネ 引張バネとも呼ばれ、押しバネとは違ってコイルに隙間がなく密着した状態で巻かれています。両端にフックが付いていて、引っ張ると戻る動作を利用します。 自転車のスタンドにも使われていて、用途がとても幅広いバネです。また、フックの形状を工夫することで使い方に様々な応用をきかせることができます。 上の動画にあるように、バネが引っ張られた状態で罠を設置しておき、トリガーが作動するとフックが外れてバネが縮む力によってワイヤーが締まる仕組みになっています。 通常、縦引きタイプの押しバネや、ねじりバネを使ったくくり罠は、地面に埋めて使用します。一方で、引きバネの場合は、仕掛けにもよりますが、穴を掘らなくても罠を作動させることができますので、地形条件に左右されにくいのも特徴です。 ねじりバネ 巻き込まれた力を開放しようとする動力をいかしたバネをいいます。洗濯ばさみにも使われているバネですので、イメージがつきやすいかと思います。 コイル部分は、一般的にピッチ無し(密着巻)ですが、用途によってはピッチがあるものもあります。線材が太いものほど力が力が大きくなります。 非常に力が強いバネで、人間の手で圧縮できないほど強力なものもあります。また、先端の形状や腕の長さによっても性能が変わってきます。 くくり罠に使用する場合、他のバネに比べると、圧縮したりする必要がないため、セッティングがしやすいという特徴があります。 一方で、跳ね上がる力が非常に強く、暴発によって怪我をすることもあるので注意が必要です。 バネを選ぶポイント バネは使っていくうちに、必ずヘタり(コイルの力が衰え、弾力性が落ちること)が生じます。ヘタリが生じると、くくり罠の性能を十分に発揮することができず捕獲率も下がります。そのため、ヘタったバネは交換することになりますが、状況に応じて少しバネの仕様を変えるのも手です。 たとえば、「どうも空ハジキ※が多い」といった場合は、よりバネの力を強くすると発生率を下げることができるかもしれません。バネの力が強くなればなるほど瞬発も早まるので、捕獲率を上げることが期待できます。※力が強いほど仕掛けるのが大変になり暴発で怪我をするリスクも出てきます。 ※空ハジキ:くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないこと ちなみに当店では押しバネを使ったタイプの罠を販売していますが、バネの仕様についてお問合せいただくことも多くございます。 塩ビパイプ内に押しバネを圧縮させるタイプをお使いの場合、圧縮長やコイル外径は塩ビパイプによって決まるので、塩ビパイプを変えない場合は線径を少しだけ変えたり、材質を変えたりするなど軽微な変更にとどめておきます。あまり大きな変更を加えることおススメしません。...
くくり罠のバネについて
くくり罠は、文字通り獣の足をバネの力で括って(くくって)捕獲する罠です。バネによって罠が作動する際の瞬発力が変わってくるので、くくり罠を構成するパーツの中でも特に重要なものになります。 くくり罠に使用されるバネの種類 くくり罠に使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。 こちらの記事もどうぞ 跳ね上げ式の足くくり罠を使って捕獲率アップ> 押しバネ 押しバネを使ったくくり罠は、最もオーソドックスなものになります。押しバネは別名 圧縮バネとも呼ばれ、コイル状に巻かれたバネの事です。力がかかっていない状態では、コイルに隙間(ピッチ)があいています。 押しバネはボールペンを分解すると出てくるバネで、罠を使ったことが無くても見たことがある人は多いのではないでしょうか。くくり罠だけでなく、機械部品や車などにも幅広く使用されています。 くくり罠に使用する際は、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。 上記の動画にあるように、押しバネを圧縮した状態で固定してくくり罠を設置しますが、バネを圧縮するには結構力が要ります。※貧弱なバネだと獣の瞬発力に勝てないので、それなりに強いバネを使用します。 因みに押しバネは、軽荷重の場合には一般的にコイル径が細くピッチも小さめですが、重荷重の場合にはコイル径が太くピッチも大き目に作られている場合が多いです。 バネがむき出しになっていると、圧縮する際にバネが歪んだり、作動する際に土や草木が引っかかってしまう場合もあるので、上記動画のように塩ビパイプ等の容器の中にバネを圧縮する場合も多くあります。 引きバネ 引張バネとも呼ばれ、押しバネとは違ってコイルに隙間がなく密着した状態で巻かれています。両端にフックが付いていて、引っ張ると戻る動作を利用します。 自転車のスタンドにも使われていて、用途がとても幅広いバネです。また、フックの形状を工夫することで使い方に様々な応用をきかせることができます。 上の動画にあるように、バネが引っ張られた状態で罠を設置しておき、トリガーが作動するとフックが外れてバネが縮む力によってワイヤーが締まる仕組みになっています。 通常、縦引きタイプの押しバネや、ねじりバネを使ったくくり罠は、地面に埋めて使用します。一方で、引きバネの場合は、仕掛けにもよりますが、穴を掘らなくても罠を作動させることができますので、地形条件に左右されにくいのも特徴です。 ねじりバネ 巻き込まれた力を開放しようとする動力をいかしたバネをいいます。洗濯ばさみにも使われているバネですので、イメージがつきやすいかと思います。 コイル部分は、一般的にピッチ無し(密着巻)ですが、用途によってはピッチがあるものもあります。線材が太いものほど力が力が大きくなります。 非常に力が強いバネで、人間の手で圧縮できないほど強力なものもあります。また、先端の形状や腕の長さによっても性能が変わってきます。 くくり罠に使用する場合、他のバネに比べると、圧縮したりする必要がないため、セッティングがしやすいという特徴があります。 一方で、跳ね上がる力が非常に強く、暴発によって怪我をすることもあるので注意が必要です。 バネを選ぶポイント バネは使っていくうちに、必ずヘタり(コイルの力が衰え、弾力性が落ちること)が生じます。ヘタリが生じると、くくり罠の性能を十分に発揮することができず捕獲率も下がります。そのため、ヘタったバネは交換することになりますが、状況に応じて少しバネの仕様を変えるのも手です。 たとえば、「どうも空ハジキ※が多い」といった場合は、よりバネの力を強くすると発生率を下げることができるかもしれません。バネの力が強くなればなるほど瞬発も早まるので、捕獲率を上げることが期待できます。※力が強いほど仕掛けるのが大変になり暴発で怪我をするリスクも出てきます。 ※空ハジキ:くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないこと ちなみに当店では押しバネを使ったタイプの罠を販売していますが、バネの仕様についてお問合せいただくことも多くございます。 塩ビパイプ内に押しバネを圧縮させるタイプをお使いの場合、圧縮長やコイル外径は塩ビパイプによって決まるので、塩ビパイプを変えない場合は線径を少しだけ変えたり、材質を変えたりするなど軽微な変更にとどめておきます。あまり大きな変更を加えることおススメしません。...
タヌキの生態を理解して対策を学ぼう
古くから日本人にとって身近な動物であるタヌキ。里山付近はもちろん、住宅街にも出没し、野生のタヌキを目にしたことがある人も多いかと思います。 都市部に住んでいるとなかなか想像がつきませんが、タヌキは田畑や家庭菜園に侵入して作物を食べたり、糞を落としたりするため、厄介者でもあります。 イノシシやシカに比べると被害件数は少ないものの、毎年全国で1.5億円ほどの農作物被害を出しています(農林水産省発表ー平成30年度 全国の野生鳥獣による農作物被害状況)。 そんなタヌキの生態や被害対策について、今回は説明します。 タヌキの特徴・生態 日本には本州・四国・九州に生息しているニホンタヌキ(ホンドタヌキ)と、北海道に生息するエゾタヌキの2種類が生息しています。北海道は生息域は少ないですが、本州では特に近畿地方において生息域の割合が高いです。 体の大きさは、頭胴長で50~60センチメートル、尻尾を入れると60~80センチメートル程です。体重は3~5キロほど。 イヌ科に属するため、鼻の長い顔つきや足跡がなんとなくイヌに似ています。 単独または家族単位で行動し、縄張りは持ちません。また複数のタヌキが一定の場所に「ため糞」をするという習性があります。 昆虫やミミズ、果実・堅果、種子類や穀物のほかに、爬虫類や甲殻類、小動物、死骸や生ごみ・ドックフード等も食べます。 田畑を荒らす犯人はタヌキ?それとも・・・ タヌキは見た目や体の大きさがハクビシンやアライグマ、アナグマに似ているため、よく見間違えます。またいずれも雑食性で、色々なものを食べるという点でも似ています。 対策動物を間違えて対策をすると、効果が薄れる場合もあるので、まずはターゲットの動物がタヌキなのか、それとも他の動物なのか調べることが重要です。 見分け方としては、アライグマは尾に縞模様がありますが、タヌキの尾に縞模様はありません。他にも、特徴としてアライグマは手先が器用なので、スイカ等の皮に穴をあけて、くりぬいて中身を食べたりします。食痕を見ればアライグマが犯人だと比較的分かりやすいです。 また、ハクビシンだと鼻がピンク色で額から鼻にかけて白いラインが入っていますが、タヌキにはそれがありません。またハクビシンは尻尾がかなり長く、ジャコウネコ科なのでなんとなく動きもネコっぽいです。 アナグマはイタチ科に属し、指が五本で鋭い爪があります。一方でタヌキは4本指なので、足跡に違いが出てきます。また、タヌキが茶色の頭に黒い頬で、茶色+黒が混じった毛が多いのに対し、アナグマは目の上下が黒く、茶色+白っぽい毛が生えています。タヌキよりアナグマのほうが足が短く、ずんぐりむっくりしているのも特徴です。 ハクビシンやアライグマは高いところに登るのが得意で、高くて細い足場でも器用に移動します。そのため、好物である木の上の果実などを食べたり、雨どいから屋根裏に侵入したりします。 一方でタヌキは果実は好物であるものの木登りは苦手で、樹上の果実などを荒らすことはありませんが、落ちた果実を食べたりします。 参考記事 アライグマの生態・対策・駆除について>> ハクビシン対策について>> アナグマの特徴と対策について>> 知っておきたいタヌキ対策 まず、上記のような雑食性のため、生ごみやドッグフード、クズ野菜や落下した果実も放置しないように注意しなければなりません。タヌキに餌場として認識されないよう地域ぐるみで取り組むこと。また放置された果樹があれば、落ちた果実に獣が寄ってくるのを防ぐために、できるだけ伐採しておくと未然に被害を防ぐことができます。 物理柵による防護 タヌキは登ることが不得手で大型獣に比べると強くないので、物理的に侵入経路を塞げば、被害を大幅に減らすことができます。 タヌキを対象とした物理防護柵としては、 ①噛み切られたり押し広げられたりしないよう、金属製のフェンスであること ②地面と柵の間に隙間がないこと...
タヌキの生態を理解して対策を学ぼう
古くから日本人にとって身近な動物であるタヌキ。里山付近はもちろん、住宅街にも出没し、野生のタヌキを目にしたことがある人も多いかと思います。 都市部に住んでいるとなかなか想像がつきませんが、タヌキは田畑や家庭菜園に侵入して作物を食べたり、糞を落としたりするため、厄介者でもあります。 イノシシやシカに比べると被害件数は少ないものの、毎年全国で1.5億円ほどの農作物被害を出しています(農林水産省発表ー平成30年度 全国の野生鳥獣による農作物被害状況)。 そんなタヌキの生態や被害対策について、今回は説明します。 タヌキの特徴・生態 日本には本州・四国・九州に生息しているニホンタヌキ(ホンドタヌキ)と、北海道に生息するエゾタヌキの2種類が生息しています。北海道は生息域は少ないですが、本州では特に近畿地方において生息域の割合が高いです。 体の大きさは、頭胴長で50~60センチメートル、尻尾を入れると60~80センチメートル程です。体重は3~5キロほど。 イヌ科に属するため、鼻の長い顔つきや足跡がなんとなくイヌに似ています。 単独または家族単位で行動し、縄張りは持ちません。また複数のタヌキが一定の場所に「ため糞」をするという習性があります。 昆虫やミミズ、果実・堅果、種子類や穀物のほかに、爬虫類や甲殻類、小動物、死骸や生ごみ・ドックフード等も食べます。 田畑を荒らす犯人はタヌキ?それとも・・・ タヌキは見た目や体の大きさがハクビシンやアライグマ、アナグマに似ているため、よく見間違えます。またいずれも雑食性で、色々なものを食べるという点でも似ています。 対策動物を間違えて対策をすると、効果が薄れる場合もあるので、まずはターゲットの動物がタヌキなのか、それとも他の動物なのか調べることが重要です。 見分け方としては、アライグマは尾に縞模様がありますが、タヌキの尾に縞模様はありません。他にも、特徴としてアライグマは手先が器用なので、スイカ等の皮に穴をあけて、くりぬいて中身を食べたりします。食痕を見ればアライグマが犯人だと比較的分かりやすいです。 また、ハクビシンだと鼻がピンク色で額から鼻にかけて白いラインが入っていますが、タヌキにはそれがありません。またハクビシンは尻尾がかなり長く、ジャコウネコ科なのでなんとなく動きもネコっぽいです。 アナグマはイタチ科に属し、指が五本で鋭い爪があります。一方でタヌキは4本指なので、足跡に違いが出てきます。また、タヌキが茶色の頭に黒い頬で、茶色+黒が混じった毛が多いのに対し、アナグマは目の上下が黒く、茶色+白っぽい毛が生えています。タヌキよりアナグマのほうが足が短く、ずんぐりむっくりしているのも特徴です。 ハクビシンやアライグマは高いところに登るのが得意で、高くて細い足場でも器用に移動します。そのため、好物である木の上の果実などを食べたり、雨どいから屋根裏に侵入したりします。 一方でタヌキは果実は好物であるものの木登りは苦手で、樹上の果実などを荒らすことはありませんが、落ちた果実を食べたりします。 参考記事 アライグマの生態・対策・駆除について>> ハクビシン対策について>> アナグマの特徴と対策について>> 知っておきたいタヌキ対策 まず、上記のような雑食性のため、生ごみやドッグフード、クズ野菜や落下した果実も放置しないように注意しなければなりません。タヌキに餌場として認識されないよう地域ぐるみで取り組むこと。また放置された果樹があれば、落ちた果実に獣が寄ってくるのを防ぐために、できるだけ伐採しておくと未然に被害を防ぐことができます。 物理柵による防護 タヌキは登ることが不得手で大型獣に比べると強くないので、物理的に侵入経路を塞げば、被害を大幅に減らすことができます。 タヌキを対象とした物理防護柵としては、 ①噛み切られたり押し広げられたりしないよう、金属製のフェンスであること ②地面と柵の間に隙間がないこと...
2020年(令和2年)度 都道府県別。狩猟期間リスト
はじめに 鳥獣保護管理法に定められた狩猟期間は毎年10月15日(北海道は、毎年9月15日)から翌年4月15日までとされています。 しかしながら、これはあくまで法で定められる最大期間であり、実際は鳥獣の保護を図る観点から、鳥獣保護管理法施行規則によって以下のとおり狩猟期間が短縮されています。 北海道以外の区域 毎年11月15日~翌年2月15日 (猟区内 毎年10月15日~翌年3月15日) 北海道 毎年10月1日~翌年1月31日 (猟区内 毎年9月15日~翌年2月末日) なお、対象狩猟鳥獣や都道府県によっては、猟期を延長又は短縮していますので、以下の内容を参考にされてください。※掲載されていない情報がある場合があります。最新の情報は狩猟を行う地域の自治体担当課にご確認ください。 また狩猟期間中においても、狩猟に係る行為が禁止又は制限されている区域(指定猟法禁止区域、鳥獣保護区、休猟区、特定猟具使用禁止・制限区域、猟区/放鳥獣猟区)がありますので、ご注意ください。 他にも、メスキジ・メスヤマドリは、平成34年9月14日まで全国一円で捕獲が禁止されています。ウズラは、平成24年6月に狩猟鳥獣の指定が解除され、捕獲できません。 都道府県別 狩猟期間 北海道・東北 関東 中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 北海道 上述の通り、猟期は毎年10月1日~翌年1月31日です。 エゾジカ猟の規制緩和 エゾシカの個体数削減のため、狩猟においてもメスジカの捕獲数をできる限り確保する必要があることから、メスジカ捕獲の規制緩和が継続されています。 可猟期間 振興局 市町村 10月01日~3月31日 釧路...
2020年(令和2年)度 都道府県別。狩猟期間リスト
はじめに 鳥獣保護管理法に定められた狩猟期間は毎年10月15日(北海道は、毎年9月15日)から翌年4月15日までとされています。 しかしながら、これはあくまで法で定められる最大期間であり、実際は鳥獣の保護を図る観点から、鳥獣保護管理法施行規則によって以下のとおり狩猟期間が短縮されています。 北海道以外の区域 毎年11月15日~翌年2月15日 (猟区内 毎年10月15日~翌年3月15日) 北海道 毎年10月1日~翌年1月31日 (猟区内 毎年9月15日~翌年2月末日) なお、対象狩猟鳥獣や都道府県によっては、猟期を延長又は短縮していますので、以下の内容を参考にされてください。※掲載されていない情報がある場合があります。最新の情報は狩猟を行う地域の自治体担当課にご確認ください。 また狩猟期間中においても、狩猟に係る行為が禁止又は制限されている区域(指定猟法禁止区域、鳥獣保護区、休猟区、特定猟具使用禁止・制限区域、猟区/放鳥獣猟区)がありますので、ご注意ください。 他にも、メスキジ・メスヤマドリは、平成34年9月14日まで全国一円で捕獲が禁止されています。ウズラは、平成24年6月に狩猟鳥獣の指定が解除され、捕獲できません。 都道府県別 狩猟期間 北海道・東北 関東 中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 北海道 上述の通り、猟期は毎年10月1日~翌年1月31日です。 エゾジカ猟の規制緩和 エゾシカの個体数削減のため、狩猟においてもメスジカの捕獲数をできる限り確保する必要があることから、メスジカ捕獲の規制緩和が継続されています。 可猟期間 振興局 市町村 10月01日~3月31日 釧路...
跳ね上げ式の足くくり罠を使って捕獲率アップ
獣の足をワイヤーでくくることによって捕らえる「くくり罠」ですが、いくつかのタイプに分かれます。今回は、その中の「跳ね上げ式」タイプについて説明します。 跳ね上げ式のくくり罠って? くくり罠には基本的にバネが使われます。使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。 このうち押しバネは、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。押しバネを使ったバネの場合、くくり罠が作動する方向によって「横引き式」か「縦引き式」、または「跳ね上げ式」に分かれます。 A:横引き式 作動時に押しバネが伸びる方向が横方向(地面と平行)になる方式です。 縦引き式と比べると作動時に高さが出ないため、足をくくるワイヤーの輪っか(スネア)が足の先のほうにかかりやすい傾向があります。そのため、捕獲率は縦引きより低くなり、空ハジキが生じやすいです。 括ったワイヤーの位置が足の先っぽのほうだと、ワイヤーから足が抜けやすくなって危険ということもあり、縦引き式のほうを好む方もいらっしゃいます。 一方で横引き式は仕掛けがシンプルで作るのが簡単、手間がかからないという点が長所です。「色々と試したけれども、横引き式が一番シンプルでやりやすい」という方も多くいらっしゃいます。 B:縦引き式 作動時に押しバネが伸びる方向が縦方向(地面と垂直)になる方式です。作動時に高さが出せるのでワイヤーのかかりが深くなり、罠にかかった足が抜けにくいという長所がありますので、熟練者に好まれる傾向があります。 足をくくる位置の高さは、一般的に、縦引き式≧跳ね上げ式>横引き式の順になります。※もちろん仕掛けや設置条件でも大きく変わります。 一方で、縦引き式は諸々の仕掛けを地中に埋めなければならないため、穴を掘るのに手間がかかってしまいます。 特に、地面が固くて掘りにくい場合や、木の根が多くて深く掘れない場合、土が崩れやすい地質の場合など、非常に手間がかかります。そのため、設置場所が限定されるということが難点です。 また、設置に時間がかかるので、人間の気配が残りやすく獣に警戒されてしまうこともあります。 シカはそれほどでもないのですが、イノシシは頭がよくて警戒心が非常に高い個体がいます。そういったイノシシの場合、罠の位置に気づいて通り道を変えたり、回避したり、中には掘り起こしたりする個体もいます。※もちろん個体差が大きいです。 C:跳ね上げ式 ワイヤーの輪っか(スネア)を取り付ける枠が付いた「踏み板」とセットにして使う方式です。 バネの作動方向は横引き式と同じですが、作動時に枠が立ち上がって足の上部を括ることが可能になっています。以下の動画が分かりやすいので、ご覧ください。 一般的に、跳ね上げ式も穴掘り作業が必要になるタイプが多いですが、バネの稼働部分は地中に埋める必要がないので、縦引き式よりも仕掛ける場所の制約が少なく、手間がかかりません。 短所としては、枠の動きが阻害されると罠が正常に作動しなくなる点です。 それを防ぐため、踏み板は完全に地中に埋めずに、土や葉っぱで少し覆う程度になります。ただ、そうすると仕掛けた痕跡を完全に隠すのが難しくなるため、警戒心が高い個体に気づかれるリスクも出てきます。 とはいえ、初心者に馴染みやすいという長所もあり、師匠・先生から跳ね上げ式を使ってレクチャーを受けたという方も多くいらっしゃいます。 結局、どのタイプがおすすめなの? 上記のとおり、くくり罠にも色々なタイプがあり一長一短あるわけですが、どのタイプを選んだらよいのでしょう。 結論から言うと一番良いのは、タイプ問わず使い慣れた罠を使うことです。どのようなタイプでも、使っていくうちに、クセやコツが分かってきます。また、経験に応じて改善のためのカスタマイズをしたり、そういった罠が一番捕獲率が高くなると思います。 初心者の場合や、特にこだわりはないけど別の罠を使ってみたいという場合は、上記3タイプの中でも一番バランスの良い、跳ね上げ式をお勧めします。様々なタイプの跳ね上げ式くくり罠が販売されていますが、仕掛けがなるべくシンプルで単価が高すぎないものを選ぶとよろしいかと思います。 既製品を購入する場合は、インターネット等で販売されているページに捕獲実績や使った感想が掲載されている場合もありますので、検討の際の参考になると思います。 イノホイおすすめの跳ね上げ式くくり罠 当店では、昔ながらのスタンダードな木板を使ったくくり罠と、コスパが良く多数設置にもおすすめな樹脂製くくり罠の、2タイプを用意しています。...
跳ね上げ式の足くくり罠を使って捕獲率アップ
獣の足をワイヤーでくくることによって捕らえる「くくり罠」ですが、いくつかのタイプに分かれます。今回は、その中の「跳ね上げ式」タイプについて説明します。 跳ね上げ式のくくり罠って? くくり罠には基本的にバネが使われます。使われるバネの種類は押しバネ、引きバネ、ねじりバネ(松葉式ばね)です。 このうち押しバネは、罠を仕掛けるときにバネを圧縮しておき、作動時にバネが伸びる力を利用して捕獲します。押しバネを使ったバネの場合、くくり罠が作動する方向によって「横引き式」か「縦引き式」、または「跳ね上げ式」に分かれます。 A:横引き式 作動時に押しバネが伸びる方向が横方向(地面と平行)になる方式です。 縦引き式と比べると作動時に高さが出ないため、足をくくるワイヤーの輪っか(スネア)が足の先のほうにかかりやすい傾向があります。そのため、捕獲率は縦引きより低くなり、空ハジキが生じやすいです。 括ったワイヤーの位置が足の先っぽのほうだと、ワイヤーから足が抜けやすくなって危険ということもあり、縦引き式のほうを好む方もいらっしゃいます。 一方で横引き式は仕掛けがシンプルで作るのが簡単、手間がかからないという点が長所です。「色々と試したけれども、横引き式が一番シンプルでやりやすい」という方も多くいらっしゃいます。 B:縦引き式 作動時に押しバネが伸びる方向が縦方向(地面と垂直)になる方式です。作動時に高さが出せるのでワイヤーのかかりが深くなり、罠にかかった足が抜けにくいという長所がありますので、熟練者に好まれる傾向があります。 足をくくる位置の高さは、一般的に、縦引き式≧跳ね上げ式>横引き式の順になります。※もちろん仕掛けや設置条件でも大きく変わります。 一方で、縦引き式は諸々の仕掛けを地中に埋めなければならないため、穴を掘るのに手間がかかってしまいます。 特に、地面が固くて掘りにくい場合や、木の根が多くて深く掘れない場合、土が崩れやすい地質の場合など、非常に手間がかかります。そのため、設置場所が限定されるということが難点です。 また、設置に時間がかかるので、人間の気配が残りやすく獣に警戒されてしまうこともあります。 シカはそれほどでもないのですが、イノシシは頭がよくて警戒心が非常に高い個体がいます。そういったイノシシの場合、罠の位置に気づいて通り道を変えたり、回避したり、中には掘り起こしたりする個体もいます。※もちろん個体差が大きいです。 C:跳ね上げ式 ワイヤーの輪っか(スネア)を取り付ける枠が付いた「踏み板」とセットにして使う方式です。 バネの作動方向は横引き式と同じですが、作動時に枠が立ち上がって足の上部を括ることが可能になっています。以下の動画が分かりやすいので、ご覧ください。 一般的に、跳ね上げ式も穴掘り作業が必要になるタイプが多いですが、バネの稼働部分は地中に埋める必要がないので、縦引き式よりも仕掛ける場所の制約が少なく、手間がかかりません。 短所としては、枠の動きが阻害されると罠が正常に作動しなくなる点です。 それを防ぐため、踏み板は完全に地中に埋めずに、土や葉っぱで少し覆う程度になります。ただ、そうすると仕掛けた痕跡を完全に隠すのが難しくなるため、警戒心が高い個体に気づかれるリスクも出てきます。 とはいえ、初心者に馴染みやすいという長所もあり、師匠・先生から跳ね上げ式を使ってレクチャーを受けたという方も多くいらっしゃいます。 結局、どのタイプがおすすめなの? 上記のとおり、くくり罠にも色々なタイプがあり一長一短あるわけですが、どのタイプを選んだらよいのでしょう。 結論から言うと一番良いのは、タイプ問わず使い慣れた罠を使うことです。どのようなタイプでも、使っていくうちに、クセやコツが分かってきます。また、経験に応じて改善のためのカスタマイズをしたり、そういった罠が一番捕獲率が高くなると思います。 初心者の場合や、特にこだわりはないけど別の罠を使ってみたいという場合は、上記3タイプの中でも一番バランスの良い、跳ね上げ式をお勧めします。様々なタイプの跳ね上げ式くくり罠が販売されていますが、仕掛けがなるべくシンプルで単価が高すぎないものを選ぶとよろしいかと思います。 既製品を購入する場合は、インターネット等で販売されているページに捕獲実績や使った感想が掲載されている場合もありますので、検討の際の参考になると思います。 イノホイおすすめの跳ね上げ式くくり罠 当店では、昔ながらのスタンダードな木板を使ったくくり罠と、コスパが良く多数設置にもおすすめな樹脂製くくり罠の、2タイプを用意しています。...
イノシシ捕獲のための虎の巻
イノシシによる農作物の被害に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。 イノシシの被害は野生鳥獣の被害額から見ても、全体の約3割を占めており、早急な対策が求められています。 そこで今回は、イノシシ対策の中でもとくに効果を発揮する、捕獲についてご紹介します。具体的な捕獲方法や豆知識についても解説していますので、被害に頭を悩ませる方はぜひ参考にしてください。 イノシシ被害の現状は? イノシシの捕獲について解説する前に、まずは被害の現状から見ておきましょう。 農林水産省が行った「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(平成30年度)」によると、野生鳥獣による全国の農作物の被害は平成30年度で約158億円に達しています。平成29年度から約6億円の減少となっているものの、依然として高い水準で推移している状態です。 この中でもイノシシだけにフォーカスすると約47億円で、全体の約3割を占めています。これは鳥獣別に見てもシカの約54億円に次ぐ数字で、被害の大きさが窺えます。 参考サイト:全国の野生鳥獣による農作物被害状況 イノシシ対策には捕獲が必要 イノシシは繁殖力が高いため個体数の年変動が大きく、対策が遅れると被害はすぐに深刻化します。柵を設置してイノシシを遠ざける対策や、イノシシが近寄りにくい環境を作るといった対策も効果がありますが、抜本的な対策としては、被害を引き起こすイノシシの数を捕獲によって減らす方法が効果的です。 個体数そのものを減らすことで、地域全体で広く対策を講じていくことが重要となります。 イノシシの捕獲方法 イノシシを捕獲する方法として一般的なのは、「箱罠」と「くくり罠」の2パターンになります。参考記事>>イノシシ対策~罠の種類 まずは、それぞれの罠の特徴について見ていきましょう。 箱罠による捕獲 箱罠は、檻を箱状にして、餌を使ってイノシシを箱の内部に誘引することによって捕獲する罠のことです。 餌を使うため捕獲率が高く、くくり罠ほど知識やテクニックを要しません。 一つの箱罠で一度に複数の捕獲ができることも期待できます。一方で、くくり罠に比べると高価である点や、大きくて重たいため設置や移動に労力がかかります。 イノホイの箱罠商品はこちらから>> 天井面が半分以上が解放されている罠を見かけますが、これは箱罠ではなく囲い罠に分類されます。間違えやすいことも多いため、覚えておくと安心です。 くくり罠による捕獲 くくり罠は、ワイヤーを使って獣の足や胴を捕える罠のことです。ほとんどの場合が足くくり罠で、イノシシが歩く経路に予め仕掛けておき、イノシシが罠を踏むとバネの力でワイヤーが締まり、足を捕える仕組みになっています。イノホイのくくり罠商品はこちらから>> 箱罠と比べると、安価なので数多く設置することが可能ですが、効果を上げるには知識やテクニックを要します。また、捕獲後も獣の可動範囲が広いため、捕らえた獲物にとどめをさす時に危険を伴う場合があります。 イノシシの捕獲の前に知っておくべきルール イノシシを捕獲するには、前もって押さえておくべきルールがあります。 まず、前提としてイノシシをはじめとする野生鳥獣は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法)で保護されており、法令やルールから外れて捕獲することはできません。違法な捕獲は罰せられますので注意しましょう。 1.わな猟免許の取得のルール まず、罠を使用して野生鳥獣を捕獲するためには、原則として狩猟免許が必要になります。 狩猟免許の種類には、網猟免許・わな猟免許・第一種銃猟免許・第二種銃猟免許があり、箱罠やくくり罠を使うには、わな猟免許が必要です。また免許を取得したのち、実際に狩猟を行う前に、わな猟を行う都道府県で狩猟者登録をする必要があります。 参考記事>>害獣捕獲のための第一歩...
イノシシ捕獲のための虎の巻
イノシシによる農作物の被害に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。 イノシシの被害は野生鳥獣の被害額から見ても、全体の約3割を占めており、早急な対策が求められています。 そこで今回は、イノシシ対策の中でもとくに効果を発揮する、捕獲についてご紹介します。具体的な捕獲方法や豆知識についても解説していますので、被害に頭を悩ませる方はぜひ参考にしてください。 イノシシ被害の現状は? イノシシの捕獲について解説する前に、まずは被害の現状から見ておきましょう。 農林水産省が行った「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(平成30年度)」によると、野生鳥獣による全国の農作物の被害は平成30年度で約158億円に達しています。平成29年度から約6億円の減少となっているものの、依然として高い水準で推移している状態です。 この中でもイノシシだけにフォーカスすると約47億円で、全体の約3割を占めています。これは鳥獣別に見てもシカの約54億円に次ぐ数字で、被害の大きさが窺えます。 参考サイト:全国の野生鳥獣による農作物被害状況 イノシシ対策には捕獲が必要 イノシシは繁殖力が高いため個体数の年変動が大きく、対策が遅れると被害はすぐに深刻化します。柵を設置してイノシシを遠ざける対策や、イノシシが近寄りにくい環境を作るといった対策も効果がありますが、抜本的な対策としては、被害を引き起こすイノシシの数を捕獲によって減らす方法が効果的です。 個体数そのものを減らすことで、地域全体で広く対策を講じていくことが重要となります。 イノシシの捕獲方法 イノシシを捕獲する方法として一般的なのは、「箱罠」と「くくり罠」の2パターンになります。参考記事>>イノシシ対策~罠の種類 まずは、それぞれの罠の特徴について見ていきましょう。 箱罠による捕獲 箱罠は、檻を箱状にして、餌を使ってイノシシを箱の内部に誘引することによって捕獲する罠のことです。 餌を使うため捕獲率が高く、くくり罠ほど知識やテクニックを要しません。 一つの箱罠で一度に複数の捕獲ができることも期待できます。一方で、くくり罠に比べると高価である点や、大きくて重たいため設置や移動に労力がかかります。 イノホイの箱罠商品はこちらから>> 天井面が半分以上が解放されている罠を見かけますが、これは箱罠ではなく囲い罠に分類されます。間違えやすいことも多いため、覚えておくと安心です。 くくり罠による捕獲 くくり罠は、ワイヤーを使って獣の足や胴を捕える罠のことです。ほとんどの場合が足くくり罠で、イノシシが歩く経路に予め仕掛けておき、イノシシが罠を踏むとバネの力でワイヤーが締まり、足を捕える仕組みになっています。イノホイのくくり罠商品はこちらから>> 箱罠と比べると、安価なので数多く設置することが可能ですが、効果を上げるには知識やテクニックを要します。また、捕獲後も獣の可動範囲が広いため、捕らえた獲物にとどめをさす時に危険を伴う場合があります。 イノシシの捕獲の前に知っておくべきルール イノシシを捕獲するには、前もって押さえておくべきルールがあります。 まず、前提としてイノシシをはじめとする野生鳥獣は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法)で保護されており、法令やルールから外れて捕獲することはできません。違法な捕獲は罰せられますので注意しましょう。 1.わな猟免許の取得のルール まず、罠を使用して野生鳥獣を捕獲するためには、原則として狩猟免許が必要になります。 狩猟免許の種類には、網猟免許・わな猟免許・第一種銃猟免許・第二種銃猟免許があり、箱罠やくくり罠を使うには、わな猟免許が必要です。また免許を取得したのち、実際に狩猟を行う前に、わな猟を行う都道府県で狩猟者登録をする必要があります。 参考記事>>害獣捕獲のための第一歩...
【イノシシ捕獲】空ハジキ(から弾き)を減らすための、くくり罠テクニック。
くくり罠を使って獣を捕獲するにあたり、2つのハードルがあります。 まず1つ目のハードルは、獣にしっかりとくくり罠を踏んでもらうこと。 獣の足の運びを予想して、踏み込むであろう位置にピンポイントでくくり罠を埋めるわけですが、初心者のうちはどこに埋めれば良いのか読み取れません(参考記事:くくり罠の成果を上げるためのコツ)。 獣の動きが読めるようになって、板を踏ませられるようになってくると、2つ目のハードルとして「空ハジキ」が見られるようになります。 「空ハジキ」とは、くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないことです。仕掛けた側からすると「ちゃんと踏ませることができたのに、なぜ?」となりますが、工夫によって空ハジキを減らすことは可能です。 今回は、空ハジキを減らすための、くくり罠テクニックについて説明します。 空ハジキの要因 くくり罠を使った捕獲においては、空ハジキはどうしても起こるものです。空ハジキが起こる要因はさまざまですが、考えられる要因はできる限り対策しておくことが重要になります。 代表的な要因と対策を以下に紹介します。 要因1:罠の動作は正常だが、逃げられているケース 特にターゲットがイノシシの場合は、他の動物に比べて俊敏かつ警戒心が高いです。そのため、空ハジキも他の動物と比べると多くなってしまいます。 イノシシは足場が不安定と感じると、サッと足を引っ込めます。 しっかりと踏み込んでもらうためには、仕掛けた際にガタつきが出ないように工夫する必要があります。台座があるタイプの場合、設置の際に台座がグラグラしないように気を付けます。台座をセットして上から手で押さえた際に、台座が沈んだり動いたりしないようにすることが大切です。台座を杭や板などでガッチリ固定されている方もいらっしゃいます。 また、穴を掘るタイプのくくり罠の場合は、踏み板の下の穴は出来るだけ深い方が望ましいです。 動作荷重が軽すぎる場合も空ハジキが起こる要因になります。ターゲットがしっかりと踏み込んだ場合に罠が動作するよう、動作荷重をテスト・調整しておくと良いでしょう。イノシシであれば、20kg以下では作動しないような荷重調整とすることが多いです。 使用する罠の構造にもよりますが、竹串や爪楊枝は色々な調整に使えるのでおススメです。 ★跳ね上げ式くくり罠の場合のワンポイントアドバイス 以下の図のように、獣道(オレンジの線)に対してアームが横側に上がるようにし、かつ くくり金具がアームの付け根(蝶番)近くになるようにして配置すると、空弾きが少なくなる傾向があります。 アームが獣道の前後に上がるようになる設置方法は、獣の脚が邪魔になり、空弾きの原因になりやすいようです。 ターゲットとなる獣がよく通っているであろう道を探し、その通い道をよくチェックして、どのような足の運びをしているか予測したうえで設置場所を決めます。よく観察すると、右足と左足をどの位置に置くか読めるようになります。 後ろ足にワイヤーが掛かった場合は足が切れたり、ワイヤーが切れたりしやすいので、前足を狙いましょう。また、シカやイノシシの脚は、先端に主蹄、かかとの位置に副蹄が付いており、ワイヤーがそのどちらかの上部を括ることができれば、ワイヤーは抜けにくくなります。 要因2:罠は正常だが、うまく作動していない 踏み板の端のほうを踏まれた場合、荷重のバランスが偏るため正常に動作しなかったり逃げられたりしやすくなります。そのため、踏み板の中央部を踏ませる確率を高くする工夫が必要です。 障害物(木の枝や石など)で周囲の部分を踏みにくいようにして、踏み板の中央部を踏ませるように誘導すると良いでしょう。 カモフラージュの土や葉っぱが多すぎると、罠の動作が阻害される場合もあります。また、くくり罠の周りの土が崩れやすい場所だと、崩れて作動不良となることもあるため、できるだけ崩れにくい場所に仕掛けるようにします。 やむを得ない場合には、設置の際に周囲の土を固めて、獣が踏んでもくくり罠の周りが崩れにくいようにしておくこともあります。 罠が凍結してしまい不作動となったり、雨で土が重くなってしまい作動が遅くなったりするケースもあります。 作動不良の要因となるものができるだけ少ない場所を選んで設置することも重要です。 要因3:仕掛けに起因して、うまく動作していない...
【イノシシ捕獲】空ハジキ(から弾き)を減らすための、くくり罠テクニック。
くくり罠を使って獣を捕獲するにあたり、2つのハードルがあります。 まず1つ目のハードルは、獣にしっかりとくくり罠を踏んでもらうこと。 獣の足の運びを予想して、踏み込むであろう位置にピンポイントでくくり罠を埋めるわけですが、初心者のうちはどこに埋めれば良いのか読み取れません(参考記事:くくり罠の成果を上げるためのコツ)。 獣の動きが読めるようになって、板を踏ませられるようになってくると、2つ目のハードルとして「空ハジキ」が見られるようになります。 「空ハジキ」とは、くくり罠が作動したにも関わらず捕獲できないことです。仕掛けた側からすると「ちゃんと踏ませることができたのに、なぜ?」となりますが、工夫によって空ハジキを減らすことは可能です。 今回は、空ハジキを減らすための、くくり罠テクニックについて説明します。 空ハジキの要因 くくり罠を使った捕獲においては、空ハジキはどうしても起こるものです。空ハジキが起こる要因はさまざまですが、考えられる要因はできる限り対策しておくことが重要になります。 代表的な要因と対策を以下に紹介します。 要因1:罠の動作は正常だが、逃げられているケース 特にターゲットがイノシシの場合は、他の動物に比べて俊敏かつ警戒心が高いです。そのため、空ハジキも他の動物と比べると多くなってしまいます。 イノシシは足場が不安定と感じると、サッと足を引っ込めます。 しっかりと踏み込んでもらうためには、仕掛けた際にガタつきが出ないように工夫する必要があります。台座があるタイプの場合、設置の際に台座がグラグラしないように気を付けます。台座をセットして上から手で押さえた際に、台座が沈んだり動いたりしないようにすることが大切です。台座を杭や板などでガッチリ固定されている方もいらっしゃいます。 また、穴を掘るタイプのくくり罠の場合は、踏み板の下の穴は出来るだけ深い方が望ましいです。 動作荷重が軽すぎる場合も空ハジキが起こる要因になります。ターゲットがしっかりと踏み込んだ場合に罠が動作するよう、動作荷重をテスト・調整しておくと良いでしょう。イノシシであれば、20kg以下では作動しないような荷重調整とすることが多いです。 使用する罠の構造にもよりますが、竹串や爪楊枝は色々な調整に使えるのでおススメです。 ★跳ね上げ式くくり罠の場合のワンポイントアドバイス 以下の図のように、獣道(オレンジの線)に対してアームが横側に上がるようにし、かつ くくり金具がアームの付け根(蝶番)近くになるようにして配置すると、空弾きが少なくなる傾向があります。 アームが獣道の前後に上がるようになる設置方法は、獣の脚が邪魔になり、空弾きの原因になりやすいようです。 ターゲットとなる獣がよく通っているであろう道を探し、その通い道をよくチェックして、どのような足の運びをしているか予測したうえで設置場所を決めます。よく観察すると、右足と左足をどの位置に置くか読めるようになります。 後ろ足にワイヤーが掛かった場合は足が切れたり、ワイヤーが切れたりしやすいので、前足を狙いましょう。また、シカやイノシシの脚は、先端に主蹄、かかとの位置に副蹄が付いており、ワイヤーがそのどちらかの上部を括ることができれば、ワイヤーは抜けにくくなります。 要因2:罠は正常だが、うまく作動していない 踏み板の端のほうを踏まれた場合、荷重のバランスが偏るため正常に動作しなかったり逃げられたりしやすくなります。そのため、踏み板の中央部を踏ませる確率を高くする工夫が必要です。 障害物(木の枝や石など)で周囲の部分を踏みにくいようにして、踏み板の中央部を踏ませるように誘導すると良いでしょう。 カモフラージュの土や葉っぱが多すぎると、罠の動作が阻害される場合もあります。また、くくり罠の周りの土が崩れやすい場所だと、崩れて作動不良となることもあるため、できるだけ崩れにくい場所に仕掛けるようにします。 やむを得ない場合には、設置の際に周囲の土を固めて、獣が踏んでもくくり罠の周りが崩れにくいようにしておくこともあります。 罠が凍結してしまい不作動となったり、雨で土が重くなってしまい作動が遅くなったりするケースもあります。 作動不良の要因となるものができるだけ少ない場所を選んで設置することも重要です。 要因3:仕掛けに起因して、うまく動作していない...
箱罠の仕掛けテクニック
目次 1まずは状況・行動観察から 2警戒の程度を推し量る 3警戒を弱める工夫をする 1箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 2両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 3撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 4仕掛け応用例 獲物が罠に対してスレていない(学習していない)場合は、罠を使って多く捕獲できるチャンスです。しかしイノシシは他の動物に比べて警戒心が強く、神経質。そして学習能力も高いため、明らかに自然のものではない箱罠を使用する場合にかかりやすいのは、スレていない子イノシシが中心となります。 特に、スレたイノシシが多いエリアでは、箱罠を設置したが一ヵ月近く何もない、というケースも多くあります。この記事では、そのようなシチュエーションにおいても箱罠で捕獲するにはどうしたら良いか、考察してみます。 まずは状況・行動観察から 体重が50キロを超えてくるようなイノシシは、罠や人間について色々と学習しているため、箱罠に入りにくくなる傾向があります。 罠の状態を目で見て、獲物がどのような行動をしているか推測することも大切ですが、「確かに居る痕跡があるのに、なんで箱罠に入らない?」となった場合は、人間の目が無いときにどのような彼らが行動をしているか、トレイルカメラを使って録画してみることも一つの手です。 トレイルカメラをセットすることにより、昼間でも罠付近に人間がいない時間や、夜間のイノシシの姿を確認することができますし、イノシシ以外の動物の行動を見ることができたり、ワナや掛かったイノシシの盗難を検挙できたりすることができます(カメラを仕掛けた位置はカモフラージュして、見つけにくくすると良いでしょう。大抵のトレイルカメラは迷彩柄などになっており、野外で目立たない色になっています)。 警戒の程度を推し量る トレイルカメラで撮影された映像を見ると、様々なヒントを得ることができます。 例えば、上のトレイルカメラ映像では、多くの子イノシシと、メスの成獣イノシシが数匹写っていますが、設置間もない箱罠のようで、警戒して中には入らない状況です。 カメラの映像を見ながら、イノシシの警戒の程度を推し量り、「先に子イノシシを獲ると、成獣が学習してしまって捕獲まで相当な時間がかかりそうだな・・・まずは成獣狙いで、しばらく根気比べで成獣の警戒心をじっくり解こう」など作戦を立てることができます。 警戒を弱める工夫をする 箱罠による捕獲をする場合、イノシシの警戒心を解いて罠に近づけさせることが最初のステップになりますので、彼らが慣れて中に入るようになるまでは罠の扉が落ちないようロックしておきます。 こちらの記事にもある通り、日々見回りをして様々なサインを読み取ることが重要です。そして、罠の奥までイノシシが入り、エサを頻繁に食べるようになるのを待つわけです。 細かいテクニックは人によって様々ですが、代表的なものをいくつか紹介します。 1. 箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 以下の動画の箱罠は、何年も移動させることなく設置しているものですが、毎年しっかり捕獲できています。設置の際に、底面に土を被せ、網を見えなくしたのですが、月日が経ち、周りの自然と一体化しています。このような箱罠は捕獲率が高い傾向にあります。 2. 両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 両扉タイプの箱罠の場合、最初は両方の扉を開けておくと、警戒心が解けて箱罠の中の餌を食べるようになるまでの期間が短い傾向にあります。箱罠の中の餌を食べるようになったら、片方の扉を閉じてトリガーを作動させるようにしておくとよいでしょう。 3. 撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 雨が降ったりして餌が流れてしまうと、せっかくの慣らしがまた一からやり直しになったりする場合もあります。罠の内部に餌を置く場合、箱罠の上にコンパネなどをおいておくと、カラス等が餌を見つけて荒らすことを防げたり、雨が降っても餌が濡れないようにできます。 仕掛け応用例 下記のような応用ができるため、蹴り糸方式の箱罠がおすすめです。蹴り糸は、丈夫で見えにくいヒモが良いです。皆さま様々な工夫をされています。...
箱罠の仕掛けテクニック
目次 1まずは状況・行動観察から 2警戒の程度を推し量る 3警戒を弱める工夫をする 1箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 2両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 3撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 4仕掛け応用例 獲物が罠に対してスレていない(学習していない)場合は、罠を使って多く捕獲できるチャンスです。しかしイノシシは他の動物に比べて警戒心が強く、神経質。そして学習能力も高いため、明らかに自然のものではない箱罠を使用する場合にかかりやすいのは、スレていない子イノシシが中心となります。 特に、スレたイノシシが多いエリアでは、箱罠を設置したが一ヵ月近く何もない、というケースも多くあります。この記事では、そのようなシチュエーションにおいても箱罠で捕獲するにはどうしたら良いか、考察してみます。 まずは状況・行動観察から 体重が50キロを超えてくるようなイノシシは、罠や人間について色々と学習しているため、箱罠に入りにくくなる傾向があります。 罠の状態を目で見て、獲物がどのような行動をしているか推測することも大切ですが、「確かに居る痕跡があるのに、なんで箱罠に入らない?」となった場合は、人間の目が無いときにどのような彼らが行動をしているか、トレイルカメラを使って録画してみることも一つの手です。 トレイルカメラをセットすることにより、昼間でも罠付近に人間がいない時間や、夜間のイノシシの姿を確認することができますし、イノシシ以外の動物の行動を見ることができたり、ワナや掛かったイノシシの盗難を検挙できたりすることができます(カメラを仕掛けた位置はカモフラージュして、見つけにくくすると良いでしょう。大抵のトレイルカメラは迷彩柄などになっており、野外で目立たない色になっています)。 警戒の程度を推し量る トレイルカメラで撮影された映像を見ると、様々なヒントを得ることができます。 例えば、上のトレイルカメラ映像では、多くの子イノシシと、メスの成獣イノシシが数匹写っていますが、設置間もない箱罠のようで、警戒して中には入らない状況です。 カメラの映像を見ながら、イノシシの警戒の程度を推し量り、「先に子イノシシを獲ると、成獣が学習してしまって捕獲まで相当な時間がかかりそうだな・・・まずは成獣狙いで、しばらく根気比べで成獣の警戒心をじっくり解こう」など作戦を立てることができます。 警戒を弱める工夫をする 箱罠による捕獲をする場合、イノシシの警戒心を解いて罠に近づけさせることが最初のステップになりますので、彼らが慣れて中に入るようになるまでは罠の扉が落ちないようロックしておきます。 こちらの記事にもある通り、日々見回りをして様々なサインを読み取ることが重要です。そして、罠の奥までイノシシが入り、エサを頻繁に食べるようになるのを待つわけです。 細かいテクニックは人によって様々ですが、代表的なものをいくつか紹介します。 1. 箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 以下の動画の箱罠は、何年も移動させることなく設置しているものですが、毎年しっかり捕獲できています。設置の際に、底面に土を被せ、網を見えなくしたのですが、月日が経ち、周りの自然と一体化しています。このような箱罠は捕獲率が高い傾向にあります。 2. 両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 両扉タイプの箱罠の場合、最初は両方の扉を開けておくと、警戒心が解けて箱罠の中の餌を食べるようになるまでの期間が短い傾向にあります。箱罠の中の餌を食べるようになったら、片方の扉を閉じてトリガーを作動させるようにしておくとよいでしょう。 3. 撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 雨が降ったりして餌が流れてしまうと、せっかくの慣らしがまた一からやり直しになったりする場合もあります。罠の内部に餌を置く場合、箱罠の上にコンパネなどをおいておくと、カラス等が餌を見つけて荒らすことを防げたり、雨が降っても餌が濡れないようにできます。 仕掛け応用例 下記のような応用ができるため、蹴り糸方式の箱罠がおすすめです。蹴り糸は、丈夫で見えにくいヒモが良いです。皆さま様々な工夫をされています。...
くくり罠の構成部品・パーツについて
目次 1ワイヤー 2スリーブ(クランプ管) 3バネ 1押しバネ 2引きバネ 3松葉式(ねじりバネ) 4より戻し 5くくり金具&締め付け防止金具 6ワイヤー止め 7シャックル 8踏み板 くくり罠とは、獲物の体を括る(くくる)ことによって捕獲する罠のことです。括る部位によって、「胴くくり(胴ではなく首をくくる場合もあります)」と「足くくり」に分かれます。このうち、多くの人が使っているのが「足くくり」です。 足くくり罠は、仕掛けておいた罠が作動した瞬間にワイヤーが締まり、足首を拘束する仕組みになっています。予め張っておいた蹴り糸に獲物が触れると作動する「蹴り糸タイプ」、地面に仕掛けておいた踏み板を獲物が踏むと作動する「踏み板タイプ」に大別されますが、この記事では、「踏み板タイプ」の構成部品について説明します。 ※胴くくりの場合、罠の大きさの規制に引っかかること、構造上事故が起こるリスクが高いこと、捕獲した獲物は短時間で欝血死してしまうことから、足くくりを選択するケースが多いです。 ワイヤー くくり罠に使用できるワイヤーの太さは、法令により4mm以上と規定されています。たった1mm太さが違うだけでも、くくり罠の作動の早さは大きく変わります。ワイヤー径が細いほうが作動が早く、獲物の脚をくくる確率が上がりますので、捕獲率は高くなります。一方で、径が細いほうがワイヤーは切れやすくなります。 当然、4ミリ系よりも5ミリのほうが、5ミリより6ミリのほうが丈夫さは大きく上回ります。 特に、傾斜がある場所で後ろ足を括っていた場合、獲物の体重と勢いでワイヤーが切れてしまうケースもあります。人間が思うよりも野生の力は強大です。安全のため、ワイヤーは都度交換されることをお勧めします。 なお、くくり罠に主に使用されるワイヤーは、複数の素線の束を組み合わせた構造の「ワイヤロープ」と呼ばれるものです。ロープ径だけではなく、素線の数と配置によって柔軟性や耐性が変化します。柔らかいワイヤーを選択すると作動のスピードが上がりますが、ねじれやすいので大物獣がかかると切れやすくなる傾向があります。 スリーブ(クランプ管) ワイヤロープのロック止め(加締め)に使用します。ワイヤー径に応じたサイズを選んで使用します。なお加締め作業は、アームスエージャー等の専用工具が必需になります。 バネ くくり罠が作動するための動力となるのがバネです。バネの性能によって罠の作動が大きく左右されます。押しバネ、引きバネ、松葉式バネ(ねじりバネ)等のタイプがあります。バネの力が強いと作動も早くなりますが、設置に難儀したり、意図せぬ作動によって怪我をする場合もあるので注意が必要です。 押しバネ 圧縮したバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めるタイプです。塩ビ管等にバネを押し込むことで圧縮させます。安価で構造もシンプルであるため、製作や設置が簡単であるという点が長所です。初心者から上級者まで、幅広く採用されているタイプになります。 引きバネ 押しバネとは逆で、引っ張られたバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めます。 松葉式(ねじりバネ) 中心部がねじられてコイル形状になっており、それによる弾性力によって端末部(腕)が元に戻ろうとする力を使ってワイヤーを締めるタイプです。締め上げのスピードが速く捕獲率が高い事や、押しバネや引きバネと比べると強度がある点が長所として挙げられます。一方で、意図せぬ作動によって失明等の重篤な怪我をするケースも散見され、罠の扱いに慣れた中~上級者向けのバネといえます。...
くくり罠の構成部品・パーツについて
目次 1ワイヤー 2スリーブ(クランプ管) 3バネ 1押しバネ 2引きバネ 3松葉式(ねじりバネ) 4より戻し 5くくり金具&締め付け防止金具 6ワイヤー止め 7シャックル 8踏み板 くくり罠とは、獲物の体を括る(くくる)ことによって捕獲する罠のことです。括る部位によって、「胴くくり(胴ではなく首をくくる場合もあります)」と「足くくり」に分かれます。このうち、多くの人が使っているのが「足くくり」です。 足くくり罠は、仕掛けておいた罠が作動した瞬間にワイヤーが締まり、足首を拘束する仕組みになっています。予め張っておいた蹴り糸に獲物が触れると作動する「蹴り糸タイプ」、地面に仕掛けておいた踏み板を獲物が踏むと作動する「踏み板タイプ」に大別されますが、この記事では、「踏み板タイプ」の構成部品について説明します。 ※胴くくりの場合、罠の大きさの規制に引っかかること、構造上事故が起こるリスクが高いこと、捕獲した獲物は短時間で欝血死してしまうことから、足くくりを選択するケースが多いです。 ワイヤー くくり罠に使用できるワイヤーの太さは、法令により4mm以上と規定されています。たった1mm太さが違うだけでも、くくり罠の作動の早さは大きく変わります。ワイヤー径が細いほうが作動が早く、獲物の脚をくくる確率が上がりますので、捕獲率は高くなります。一方で、径が細いほうがワイヤーは切れやすくなります。 当然、4ミリ系よりも5ミリのほうが、5ミリより6ミリのほうが丈夫さは大きく上回ります。 特に、傾斜がある場所で後ろ足を括っていた場合、獲物の体重と勢いでワイヤーが切れてしまうケースもあります。人間が思うよりも野生の力は強大です。安全のため、ワイヤーは都度交換されることをお勧めします。 なお、くくり罠に主に使用されるワイヤーは、複数の素線の束を組み合わせた構造の「ワイヤロープ」と呼ばれるものです。ロープ径だけではなく、素線の数と配置によって柔軟性や耐性が変化します。柔らかいワイヤーを選択すると作動のスピードが上がりますが、ねじれやすいので大物獣がかかると切れやすくなる傾向があります。 スリーブ(クランプ管) ワイヤロープのロック止め(加締め)に使用します。ワイヤー径に応じたサイズを選んで使用します。なお加締め作業は、アームスエージャー等の専用工具が必需になります。 バネ くくり罠が作動するための動力となるのがバネです。バネの性能によって罠の作動が大きく左右されます。押しバネ、引きバネ、松葉式バネ(ねじりバネ)等のタイプがあります。バネの力が強いと作動も早くなりますが、設置に難儀したり、意図せぬ作動によって怪我をする場合もあるので注意が必要です。 押しバネ 圧縮したバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めるタイプです。塩ビ管等にバネを押し込むことで圧縮させます。安価で構造もシンプルであるため、製作や設置が簡単であるという点が長所です。初心者から上級者まで、幅広く採用されているタイプになります。 引きバネ 押しバネとは逆で、引っ張られたバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めます。 松葉式(ねじりバネ) 中心部がねじられてコイル形状になっており、それによる弾性力によって端末部(腕)が元に戻ろうとする力を使ってワイヤーを締めるタイプです。締め上げのスピードが速く捕獲率が高い事や、押しバネや引きバネと比べると強度がある点が長所として挙げられます。一方で、意図せぬ作動によって失明等の重篤な怪我をするケースも散見され、罠の扱いに慣れた中~上級者向けのバネといえます。...
「大きな猪を仕留めてみたい」~ 若き猟師にインタビュー 黒田勇気さん(宮崎県)
宮崎県北部の自然豊かな山あいの集落、美郷町南郷。面積の約9割が山林というこの地域。 過疎化で若者が町から離れていく一方、この地域に残り、山の恩恵を身近に感じながら生活している若者もいます。 美郷町で林業に従事している黒田勇気さん(23歳)もその一人。苗木の植栽や下草の刈払作業などを行い木の成長を手助けする「造林」が本業ですが、休日などには狩猟も行っています。 大人になったら猟に行くのが当たり前だと思っていた ー狩猟は何歳のときに始めたんですか? 猟銃の免許をとったのが20歳のときなので、そのときからですかね。 写真:猟師である父親の背中を見て育ち、幼い頃から狩猟は生活の一部であった。狩猟もごく自然な流れで始めた。 ーなぜ狩りをしようと思ったんですか? 父も狩りをしていて、それを幼い頃から見ていたので、自分も狩猟免許が取れる年齢になったら猟銃の免許を取らないといけない、そして猟をしないといけないんだろうなと、当たり前のように思っていました。 なので、20歳になったらごく自然な流れで始めていましたね。 ーお父様の狩りをする姿をこれまでに見たことがあると思いますが、逆に嫌だとは思わなかったんですか? 確かに、子どものときはいろいろ手伝わされたりして、よだきい(面倒くさい)としか思わなかったですけど、うーん、なんでしょうね。鉄砲が撃ってみたかったんですよね。父が持っている鉄砲がかっこよくて、子どもの頃から鉄砲のおもちゃで真似ごとみたいなことはしてましたね。 ーでは、猟銃の免許を取得して、一番最初に行った狩りのことは覚えていますか? 覚えてます。そのときは、確か鹿を仕留めたと思います。 鹿が2頭出てきて、狙って撃って当たらなかったんですけど、その鹿が父のところに行って、1頭は父が仕留めて、俺の近くに戻ってきた1頭をようやく仕留めました。 ー初めて自分が撃った弾で獲物を仕留めたとき、どんな心境でした? 足が震えましたね、興奮して(笑) 痩せてたけど、結構大きかったんですよ。それは自分でさばきました。 ーさばくのも自分でやるんですね。さばき方はどうやって身につけたんですか? 子どもの頃から見てましたし、狩りをする前から手伝っていたので自然と覚えました。 (▲写真):慣れた手つきで獲れたイノシシの毛抜きをする黒田さん。子どもの頃から何度もやってきた作業だ。 ー年間、どのくらい狩りに行くんですか? 仕事もありますし、子どももまだ小さいので、月に2回くらいですかね。最近はあまり行けてないですね。 (▲写真):獲れた獲物は余すことなく。自分で獲った獲物を自分で捌き、山の恵みに感謝すると共に、美味しくいただく。 スリルやドキドキ感が狩りの醍醐味 ―今までの狩りで一番思い出に残るシーンを教えてください。 去年ですかね。民家の庭先で猪と猟犬がけんかしていて、それを仕留めたときが一番印象に残ってますね。犬がある程度猪を弱らせていたので自分に向かってくることはなかったんですが、猪がすぐそばにいたので恐かったです。だからこそ仕留めたときはすごく嬉しかったですね。 ー一方で、嫌だったシーンはありますか? 狩りの途中で雨が降り出したので、もう今日はやめようってことになって、山の中に入った猟犬を探しに行ったんですよ。 犬探しだけなので鉄砲を持たずに山に入ったんですけど、そしたらちょうど探していた犬と猪が一対一でやり合っていて、急いで鉄砲を取りに行って戻ったらもう猪はいなくなってて、犬はやられていて…。...
「大きな猪を仕留めてみたい」~ 若き猟師にインタビュー 黒田勇気さん(宮崎県)
宮崎県北部の自然豊かな山あいの集落、美郷町南郷。面積の約9割が山林というこの地域。 過疎化で若者が町から離れていく一方、この地域に残り、山の恩恵を身近に感じながら生活している若者もいます。 美郷町で林業に従事している黒田勇気さん(23歳)もその一人。苗木の植栽や下草の刈払作業などを行い木の成長を手助けする「造林」が本業ですが、休日などには狩猟も行っています。 大人になったら猟に行くのが当たり前だと思っていた ー狩猟は何歳のときに始めたんですか? 猟銃の免許をとったのが20歳のときなので、そのときからですかね。 写真:猟師である父親の背中を見て育ち、幼い頃から狩猟は生活の一部であった。狩猟もごく自然な流れで始めた。 ーなぜ狩りをしようと思ったんですか? 父も狩りをしていて、それを幼い頃から見ていたので、自分も狩猟免許が取れる年齢になったら猟銃の免許を取らないといけない、そして猟をしないといけないんだろうなと、当たり前のように思っていました。 なので、20歳になったらごく自然な流れで始めていましたね。 ーお父様の狩りをする姿をこれまでに見たことがあると思いますが、逆に嫌だとは思わなかったんですか? 確かに、子どものときはいろいろ手伝わされたりして、よだきい(面倒くさい)としか思わなかったですけど、うーん、なんでしょうね。鉄砲が撃ってみたかったんですよね。父が持っている鉄砲がかっこよくて、子どもの頃から鉄砲のおもちゃで真似ごとみたいなことはしてましたね。 ーでは、猟銃の免許を取得して、一番最初に行った狩りのことは覚えていますか? 覚えてます。そのときは、確か鹿を仕留めたと思います。 鹿が2頭出てきて、狙って撃って当たらなかったんですけど、その鹿が父のところに行って、1頭は父が仕留めて、俺の近くに戻ってきた1頭をようやく仕留めました。 ー初めて自分が撃った弾で獲物を仕留めたとき、どんな心境でした? 足が震えましたね、興奮して(笑) 痩せてたけど、結構大きかったんですよ。それは自分でさばきました。 ーさばくのも自分でやるんですね。さばき方はどうやって身につけたんですか? 子どもの頃から見てましたし、狩りをする前から手伝っていたので自然と覚えました。 (▲写真):慣れた手つきで獲れたイノシシの毛抜きをする黒田さん。子どもの頃から何度もやってきた作業だ。 ー年間、どのくらい狩りに行くんですか? 仕事もありますし、子どももまだ小さいので、月に2回くらいですかね。最近はあまり行けてないですね。 (▲写真):獲れた獲物は余すことなく。自分で獲った獲物を自分で捌き、山の恵みに感謝すると共に、美味しくいただく。 スリルやドキドキ感が狩りの醍醐味 ―今までの狩りで一番思い出に残るシーンを教えてください。 去年ですかね。民家の庭先で猪と猟犬がけんかしていて、それを仕留めたときが一番印象に残ってますね。犬がある程度猪を弱らせていたので自分に向かってくることはなかったんですが、猪がすぐそばにいたので恐かったです。だからこそ仕留めたときはすごく嬉しかったですね。 ー一方で、嫌だったシーンはありますか? 狩りの途中で雨が降り出したので、もう今日はやめようってことになって、山の中に入った猟犬を探しに行ったんですよ。 犬探しだけなので鉄砲を持たずに山に入ったんですけど、そしたらちょうど探していた犬と猪が一対一でやり合っていて、急いで鉄砲を取りに行って戻ったらもう猪はいなくなってて、犬はやられていて…。...