鳥獣被害対策マガジン
設置前に確認!電気柵での事故を防ぐための正しい知識
農作物を育てる畑の周囲を、電気が流れている柵で囲う「電気柵」。獣害対策として広く用いられ、大切な農作物を野生動物から守ってくれます。しかし、 「電気を使うと事故が起こるのでは?」 「設置して危なくないの?」 といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は電気柵の仕組みや安全性について解説します。また電気柵での事故を防ぐためのチェックポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 電気柵での事故は正しい使い方をすれば防げる 結論から述べると、電気柵は正しい使い方をすれば安全に使用できます。怪我や死亡事故を心配する声も聞かれますが、市販されている電気柵には事故を防ぐための仕組みとして「パルス出力形式」が採用されています。 パルス出力形式とは、約1秒間隔で瞬間的に電気を流す方法です。誤って人間が柵に触れてしまっても、瞬間的に電気が発生するだけなので、すぐに離れられる仕組みになっています。イメージしやすいのが静電気です。電気柵に誤って触れても、静電気のように一瞬バチっとくる刺激はありますが、心配されるような感電事故は起こりません。 電気柵の目的は野生動物に心理的な恐怖感を与えるのが目的 そもそも電気柵は野生動物を傷つけたり駆除するのが目的ではありません。柵に触れたときに一瞬発生する電気刺激でショックを与え、心理的な恐怖感を与えるのが目的です。「あの柵に触れると危ない」という警戒心を野生動物に植え付け、畑に近づかせないようにして農作物を守ります。 あくまでも驚かせることを目的としているため、野生動物はもちろん人間が誤って触れても怪我や事故が起きない仕組みになっています。 2015年の事故では自作の電気柵を使用していた さて、こうした安全対策が備わっているにも関わらず、電気柵への不安の声が挙がるのはなぜでしょうか。原因のひとつになってしまったのが、静岡県西伊豆町で発生した事故です。 2015年7月 、静岡県西伊豆町において、川で遊んでいた小児が土手の紫陽花畑の周囲に設置されていた、害獣よけの電気柵に触れて感電する事故が発生しました。感電した小児を助けようとした他の6人も次々と感電し、7人が病院に搬送。最終的に40代の男性2名が死亡する痛ましい事故となってしまいました。 この事故の原因となった電気柵は、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(100V)から、電気を直接柵線に繋いだ自作のものです。市販の電気柵のように、安全対策の仕組みが備わっておらず、大きな被害を招いてしまいました。死亡事故につながった事故は社会的にもインパクトが大きく、電気柵への不安が原因となりました。 しかし前述した通り、市販の電気柵には事故を防止するための仕組みが採用されています。今後、痛ましい事故を繰り返さないためにも、電気柵の使用に対しての正しい知識の習得や、安全対策が組み込まれた市販品の普及が重要と言えそうです。 電気柵での事故を防ぐための5つのチェックポイント では、具体的に電気柵での事故を防ぐためにはどのようなポイントが挙げられるのでしょうか。電気柵を購入する際のチェックポイントと、使用時の注意点をご紹介します。 1.電気用品安全法の適用を受けている商品か 1つ目は電気用品安全法の適用を受けている商品か確認することです。 電気柵の電気を30ボルト以上の電源(家庭用コンセント)から供給する時は、電気用品安全法の適用を受ける電源装置(電気柵の本体)の使用が義務付けられています。 電気用品安全法の適用を受けている電気柵であれば、必ず出力電流が制限されているため、万が一電気柵に触れても事故を防げます。電気用品安全法に準拠している製品には、「PSEマーク」が表示されているため、同マークが付いている電気柵を選んでください。 2.漏電遮断機が設置されているか 2つ目は電気柵に漏電遮断機が設置されているか。 漏電遮断機とは、漏電を検知した際に回路を遮断し事故を防ぐための仕組みです。電気柵の設置では、公道沿いなど人が容易に立ち入る場所に設置する場合、「15ミリアンペア以上の漏電が起こった場合、0.1秒以内に電源を遮断する」装置を設置することが義務付けられています。 こちらも商品の購入時に確認しておきましょう。 3.電気柵が設置されていることをきちんと表示しているか 電気柵を設置する場合は、周囲の人が容易に視認できる位置や間隔、見やすい文字で「危険表示」を設置しましょう。危険表示の設置も法的に義務付けられており、事故を防ぐための大切な項目です。 周囲の景観に紛れてしまわないよう、視認性が高く一目で電気柵があると理解できるようにしてください。危険表示版はこちら...
設置前に確認!電気柵での事故を防ぐための正しい知識
農作物を育てる畑の周囲を、電気が流れている柵で囲う「電気柵」。獣害対策として広く用いられ、大切な農作物を野生動物から守ってくれます。しかし、 「電気を使うと事故が起こるのでは?」 「設置して危なくないの?」 といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は電気柵の仕組みや安全性について解説します。また電気柵での事故を防ぐためのチェックポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 電気柵での事故は正しい使い方をすれば防げる 結論から述べると、電気柵は正しい使い方をすれば安全に使用できます。怪我や死亡事故を心配する声も聞かれますが、市販されている電気柵には事故を防ぐための仕組みとして「パルス出力形式」が採用されています。 パルス出力形式とは、約1秒間隔で瞬間的に電気を流す方法です。誤って人間が柵に触れてしまっても、瞬間的に電気が発生するだけなので、すぐに離れられる仕組みになっています。イメージしやすいのが静電気です。電気柵に誤って触れても、静電気のように一瞬バチっとくる刺激はありますが、心配されるような感電事故は起こりません。 電気柵の目的は野生動物に心理的な恐怖感を与えるのが目的 そもそも電気柵は野生動物を傷つけたり駆除するのが目的ではありません。柵に触れたときに一瞬発生する電気刺激でショックを与え、心理的な恐怖感を与えるのが目的です。「あの柵に触れると危ない」という警戒心を野生動物に植え付け、畑に近づかせないようにして農作物を守ります。 あくまでも驚かせることを目的としているため、野生動物はもちろん人間が誤って触れても怪我や事故が起きない仕組みになっています。 2015年の事故では自作の電気柵を使用していた さて、こうした安全対策が備わっているにも関わらず、電気柵への不安の声が挙がるのはなぜでしょうか。原因のひとつになってしまったのが、静岡県西伊豆町で発生した事故です。 2015年7月 、静岡県西伊豆町において、川で遊んでいた小児が土手の紫陽花畑の周囲に設置されていた、害獣よけの電気柵に触れて感電する事故が発生しました。感電した小児を助けようとした他の6人も次々と感電し、7人が病院に搬送。最終的に40代の男性2名が死亡する痛ましい事故となってしまいました。 この事故の原因となった電気柵は、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(100V)から、電気を直接柵線に繋いだ自作のものです。市販の電気柵のように、安全対策の仕組みが備わっておらず、大きな被害を招いてしまいました。死亡事故につながった事故は社会的にもインパクトが大きく、電気柵への不安が原因となりました。 しかし前述した通り、市販の電気柵には事故を防止するための仕組みが採用されています。今後、痛ましい事故を繰り返さないためにも、電気柵の使用に対しての正しい知識の習得や、安全対策が組み込まれた市販品の普及が重要と言えそうです。 電気柵での事故を防ぐための5つのチェックポイント では、具体的に電気柵での事故を防ぐためにはどのようなポイントが挙げられるのでしょうか。電気柵を購入する際のチェックポイントと、使用時の注意点をご紹介します。 1.電気用品安全法の適用を受けている商品か 1つ目は電気用品安全法の適用を受けている商品か確認することです。 電気柵の電気を30ボルト以上の電源(家庭用コンセント)から供給する時は、電気用品安全法の適用を受ける電源装置(電気柵の本体)の使用が義務付けられています。 電気用品安全法の適用を受けている電気柵であれば、必ず出力電流が制限されているため、万が一電気柵に触れても事故を防げます。電気用品安全法に準拠している製品には、「PSEマーク」が表示されているため、同マークが付いている電気柵を選んでください。 2.漏電遮断機が設置されているか 2つ目は電気柵に漏電遮断機が設置されているか。 漏電遮断機とは、漏電を検知した際に回路を遮断し事故を防ぐための仕組みです。電気柵の設置では、公道沿いなど人が容易に立ち入る場所に設置する場合、「15ミリアンペア以上の漏電が起こった場合、0.1秒以内に電源を遮断する」装置を設置することが義務付けられています。 こちらも商品の購入時に確認しておきましょう。 3.電気柵が設置されていることをきちんと表示しているか 電気柵を設置する場合は、周囲の人が容易に視認できる位置や間隔、見やすい文字で「危険表示」を設置しましょう。危険表示の設置も法的に義務付けられており、事故を防ぐための大切な項目です。 周囲の景観に紛れてしまわないよう、視認性が高く一目で電気柵があると理解できるようにしてください。危険表示版はこちら...
捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて
目次 1止めさしの前に 2止めさしの種類 1銃器を使用する方法 2ナイフや槍といった刃物を使用する方法 3電流で感電させる方法 4炭酸ガスなどを用いた化学的な処理 3まとめ ※注意:この記事は、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください。いわゆる動物愛護観点からのコメントには応じかねます。 近年、鳥獣被害対策として箱罠やくくり罠、囲い罠等を用いて、イノシシやシカ等を捕獲する取り組みが広がってきています。 それに伴い、捕獲するまでのノウハウや、食肉活用についての事例紹介は多く目にするようになりましたが、実際に獣が罠にかかった場合、どのような処理が必要となるかについては、あまり議論が多くないように感じます。 野生獣は想像以上に身体能力が高く(特にイノシシ)、捕獲した獣は生死がかかっているので、予想外の動きを取ることもあります。例えば、くくり罠において足をくくっているワイヤーが獣が動いた拍子に外れ、逆襲されたことによる死亡事故も発生しています。 この記事では、捕獲した獣にできる限り苦痛を与えず、安全かつ速やかに「止めさし」を行う技術について、説明いたします。 止めさしの前に まずは、獣が罠にかかっている現場の状況をしっかりと確認することが重要です。イノシシの捕獲では、わなの見回りや捕獲個体の止めさしの際に、最も事故が発生する確率が高くなります。 いきなり近づいて確認せずに、まずは遠くから双眼鏡などを用いてチェックするのがベストです。遠くからゆっくりと近づき、傾斜のある場合は高いほうから徐々に近づくことが基本です。 くくり罠の場合は、以下がチェックポイントになります。 ▶ワイヤーが獣のどの部位を括っているか ▶括った箇所が抜けかかっていたり、切れかけたりしていないか ▶括った部分の体の部位が、ちぎれかけていないか ▶支点にしている部分からワイヤーが抜けたりしないか ▶獣の可動範囲はどの程度か 箱罠の場合は、以下がチェックポイントになります。 ▶箱罠に破損はないか ▶獣が逃げ出す恐れはないか(扉やストッパーの確認) 離れた場所から、手をたたいたり、大きな声を出して、捕獲された獣の反応を観察するとともに、捕獲された個体の近くに他の個体が潜んでいないかも確認しましょう。 止めさしの種類 止め刺しの種類としては、大きく分けて4つあります。 >1....
捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて
目次 1止めさしの前に 2止めさしの種類 1銃器を使用する方法 2ナイフや槍といった刃物を使用する方法 3電流で感電させる方法 4炭酸ガスなどを用いた化学的な処理 3まとめ ※注意:この記事は、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください。いわゆる動物愛護観点からのコメントには応じかねます。 近年、鳥獣被害対策として箱罠やくくり罠、囲い罠等を用いて、イノシシやシカ等を捕獲する取り組みが広がってきています。 それに伴い、捕獲するまでのノウハウや、食肉活用についての事例紹介は多く目にするようになりましたが、実際に獣が罠にかかった場合、どのような処理が必要となるかについては、あまり議論が多くないように感じます。 野生獣は想像以上に身体能力が高く(特にイノシシ)、捕獲した獣は生死がかかっているので、予想外の動きを取ることもあります。例えば、くくり罠において足をくくっているワイヤーが獣が動いた拍子に外れ、逆襲されたことによる死亡事故も発生しています。 この記事では、捕獲した獣にできる限り苦痛を与えず、安全かつ速やかに「止めさし」を行う技術について、説明いたします。 止めさしの前に まずは、獣が罠にかかっている現場の状況をしっかりと確認することが重要です。イノシシの捕獲では、わなの見回りや捕獲個体の止めさしの際に、最も事故が発生する確率が高くなります。 いきなり近づいて確認せずに、まずは遠くから双眼鏡などを用いてチェックするのがベストです。遠くからゆっくりと近づき、傾斜のある場合は高いほうから徐々に近づくことが基本です。 くくり罠の場合は、以下がチェックポイントになります。 ▶ワイヤーが獣のどの部位を括っているか ▶括った箇所が抜けかかっていたり、切れかけたりしていないか ▶括った部分の体の部位が、ちぎれかけていないか ▶支点にしている部分からワイヤーが抜けたりしないか ▶獣の可動範囲はどの程度か 箱罠の場合は、以下がチェックポイントになります。 ▶箱罠に破損はないか ▶獣が逃げ出す恐れはないか(扉やストッパーの確認) 離れた場所から、手をたたいたり、大きな声を出して、捕獲された獣の反応を観察するとともに、捕獲された個体の近くに他の個体が潜んでいないかも確認しましょう。 止めさしの種類 止め刺しの種類としては、大きく分けて4つあります。 >1....
シカの解体・捌き方【※閲覧注意】
目次 1はじめに 2解体前に気を付けること 3解体のプロセス 1放血 2洗浄 3内臓摘出(モツ抜き)と4. 冷却 5剥皮 6分割 4まとめ ※注意:この記事は、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください。いわゆる動物愛護観点からのコメントには応じかねます。 鹿肉は脂肪の少ない赤身中心の肉であり、豚肉や牛肉に比べるとカロリーは約3分の1、脂肪分は15分の1程度です。猪肉のほうが美味という方も多いですが、最近は鹿肉もヘルシーな食材として関心を集めています。 せっかく獲った獲物であればできるだけ有効活用したいもの。この記事では、シカの解体・捌き方について説明します。 はじめに まず前提として、シカを含む野生動物を食用として消費するためには、自家消費か食肉販売用かに関わらず、衛生的で安全な食肉処理に取り組むことが重要です。 牛や豚などの家畜と比べると、動物由来感染症や食中毒の発生など衛生上のリスクが高いためです。 シカの場合、人獣共通の感染症として、E型肝炎やライム病、日本紅斑熱、Q熱(コクシエラ症)などが挙げられます。 また、野生鳥獣を解体して精肉・販売するには食肉処理業と食肉販売業の許可が必要であることも知っておく必要があります。 解体前に気を付けること 大きな外傷がみられたり、足取りがおぼつかなかったり、脱毛や痩せ、衰弱が著しい個体は、食肉活用とするのは避けます。できる限り、生きた状態での獲物の様子をよく確認して判断すると良いでしょう。 疑わしいものは廃棄とすることが前提です。 また、外観や皮下において、化膿・水疱・腐敗・ただれなどが見られる場合や、ダニ類等の外部寄生虫の寄生が多すぎる場合も食用とするのは避けます。 感染症のリスクを考えると、銃弾などによって消化器系が損傷し、食用部位に消化器内容物が付着した場合も、食用にするのは避けたほうがよいです。銃器や刃物等によって獲物を狙う場合は、腹部を損傷させることのないよう気を付けましょう。 他にも、狩猟する地域において野生鳥獣に家畜伝染病のまん延が確認された場合は、当該地域で狩猟した個体の食用活用の自粛が求められます。 参考記事:【注意喚起】豚コレラの発生について 詳しくは、野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針を参照ください。 解体のプロセス 解体するための作業プロセスとしては、以下の通りになります。 ※プロセスは順序が変わったり、一部省略される場合があります。...
シカの解体・捌き方【※閲覧注意】
目次 1はじめに 2解体前に気を付けること 3解体のプロセス 1放血 2洗浄 3内臓摘出(モツ抜き)と4. 冷却 5剥皮 6分割 4まとめ ※注意:この記事は、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください。いわゆる動物愛護観点からのコメントには応じかねます。 鹿肉は脂肪の少ない赤身中心の肉であり、豚肉や牛肉に比べるとカロリーは約3分の1、脂肪分は15分の1程度です。猪肉のほうが美味という方も多いですが、最近は鹿肉もヘルシーな食材として関心を集めています。 せっかく獲った獲物であればできるだけ有効活用したいもの。この記事では、シカの解体・捌き方について説明します。 はじめに まず前提として、シカを含む野生動物を食用として消費するためには、自家消費か食肉販売用かに関わらず、衛生的で安全な食肉処理に取り組むことが重要です。 牛や豚などの家畜と比べると、動物由来感染症や食中毒の発生など衛生上のリスクが高いためです。 シカの場合、人獣共通の感染症として、E型肝炎やライム病、日本紅斑熱、Q熱(コクシエラ症)などが挙げられます。 また、野生鳥獣を解体して精肉・販売するには食肉処理業と食肉販売業の許可が必要であることも知っておく必要があります。 解体前に気を付けること 大きな外傷がみられたり、足取りがおぼつかなかったり、脱毛や痩せ、衰弱が著しい個体は、食肉活用とするのは避けます。できる限り、生きた状態での獲物の様子をよく確認して判断すると良いでしょう。 疑わしいものは廃棄とすることが前提です。 また、外観や皮下において、化膿・水疱・腐敗・ただれなどが見られる場合や、ダニ類等の外部寄生虫の寄生が多すぎる場合も食用とするのは避けます。 感染症のリスクを考えると、銃弾などによって消化器系が損傷し、食用部位に消化器内容物が付着した場合も、食用にするのは避けたほうがよいです。銃器や刃物等によって獲物を狙う場合は、腹部を損傷させることのないよう気を付けましょう。 他にも、狩猟する地域において野生鳥獣に家畜伝染病のまん延が確認された場合は、当該地域で狩猟した個体の食用活用の自粛が求められます。 参考記事:【注意喚起】豚コレラの発生について 詳しくは、野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針を参照ください。 解体のプロセス 解体するための作業プロセスとしては、以下の通りになります。 ※プロセスは順序が変わったり、一部省略される場合があります。...
イノシシの罠について徹底解説!あなたに合った罠はどれ?
目次 1イノシシ罠その①:箱罠 1箱罠の長所 2箱罠の短所 3箱罠による捕獲の手順 2イノシシ罠その②:くくり罠 1くくり罠の長所 2くくり罠の短所 3くくり罠による捕獲の手順 3イノシシ罠その③:囲い罠 1囲い罠の長所 2囲い罠の短所 4まとめ イノシシ被害を減らすために捕獲をこれから始める方、ぼたん肉とも呼ばれる美味なイノシシ肉を味わうために捕獲をする方など、銃猟以外でイノシシの捕獲をするのに必須となるのが「罠」です。 日本では古くからイノシシによる農作物被害を防ぐために落とし穴などの罠が使われてきましたが、現代においては様々な観点から廃れたり禁止されている罠もあります。例えば、昔話などで出てくる「とらばさみ(獣の足をはさんで捕まえる)」は有名ですが、現在においては禁止猟具になります。 そのような中で、現在イノシシをターゲットとして使用できる罠の種類は、「箱罠」「くくり罠」「囲い罠」の3種類に区分されます。 これらの罠の長所・短所、捕獲のための手順について解説します。 罠の特徴を踏まえたうえで、設置場所の環境や予算、かけられる労力などを考慮し、適切な罠を選択しましょう。また、それぞれの罠には制限事項がありますので、その点についても予め留意しておくようにしましょう。 イノシシ罠その①:箱罠 色々な大きさ・形がありますが、全面とも金網や板等で囲われた箱状の罠のことを箱罠といいます。いずれも餌によって箱の内部に獲物を誘因します。 誘因された獲物が箱の内部に入り込むと、トリガーが作動して入口が閉じ、獲物が閉じ込められることによって捕獲が完了するという仕組みになっています。代表的なトリガーの方式としては、以下があります。 ◆蹴り糸方式:蹴り糸が獲物の体に触れることにより作動する。 ◆踏み板方式:獲物が踏み板を踏むことにより作動する。 ◆回転軸(回し棒)方式:軸が回転することにより作動する。 踏み板方式と回転軸方式はトリガーの位置を調節することが難しいため、トリガーの位置や感度を調節しやすい蹴り糸方式の箱罠がおすすめです(上の動画は蹴り糸方式です)。 また近年ではセンサーによって作動するタイプも登場しており、仕掛けの労力を低減させて捕獲率をアップさせる工夫が凝らされているため、導入数も徐々に伸びています。 ★イノホイオススメの箱罠用センサーはこちら。 箱罠の長所 そもそも餌で獲物を誘いこむ構造のため、餌を使わない罠とくらべると、捕獲率は高いです。複数の獲物を捕獲することも可能です。また、獲物の視線からすると、開放的な外観であるため、ブラックボックスとなっている罠(例えば、ドラム缶式罠など)よりも捕獲の効率が良い傾向にあります。 一目でわかる外観のため、人間が誤ってかかってしまうようなことはありません。ターゲットではない他の鳥獣を捕獲した場合も、簡単に逃がすことができ、怪我を負わせるリスクは低いです。...
イノシシの罠について徹底解説!あなたに合った罠はどれ?
目次 1イノシシ罠その①:箱罠 1箱罠の長所 2箱罠の短所 3箱罠による捕獲の手順 2イノシシ罠その②:くくり罠 1くくり罠の長所 2くくり罠の短所 3くくり罠による捕獲の手順 3イノシシ罠その③:囲い罠 1囲い罠の長所 2囲い罠の短所 4まとめ イノシシ被害を減らすために捕獲をこれから始める方、ぼたん肉とも呼ばれる美味なイノシシ肉を味わうために捕獲をする方など、銃猟以外でイノシシの捕獲をするのに必須となるのが「罠」です。 日本では古くからイノシシによる農作物被害を防ぐために落とし穴などの罠が使われてきましたが、現代においては様々な観点から廃れたり禁止されている罠もあります。例えば、昔話などで出てくる「とらばさみ(獣の足をはさんで捕まえる)」は有名ですが、現在においては禁止猟具になります。 そのような中で、現在イノシシをターゲットとして使用できる罠の種類は、「箱罠」「くくり罠」「囲い罠」の3種類に区分されます。 これらの罠の長所・短所、捕獲のための手順について解説します。 罠の特徴を踏まえたうえで、設置場所の環境や予算、かけられる労力などを考慮し、適切な罠を選択しましょう。また、それぞれの罠には制限事項がありますので、その点についても予め留意しておくようにしましょう。 イノシシ罠その①:箱罠 色々な大きさ・形がありますが、全面とも金網や板等で囲われた箱状の罠のことを箱罠といいます。いずれも餌によって箱の内部に獲物を誘因します。 誘因された獲物が箱の内部に入り込むと、トリガーが作動して入口が閉じ、獲物が閉じ込められることによって捕獲が完了するという仕組みになっています。代表的なトリガーの方式としては、以下があります。 ◆蹴り糸方式:蹴り糸が獲物の体に触れることにより作動する。 ◆踏み板方式:獲物が踏み板を踏むことにより作動する。 ◆回転軸(回し棒)方式:軸が回転することにより作動する。 踏み板方式と回転軸方式はトリガーの位置を調節することが難しいため、トリガーの位置や感度を調節しやすい蹴り糸方式の箱罠がおすすめです(上の動画は蹴り糸方式です)。 また近年ではセンサーによって作動するタイプも登場しており、仕掛けの労力を低減させて捕獲率をアップさせる工夫が凝らされているため、導入数も徐々に伸びています。 ★イノホイオススメの箱罠用センサーはこちら。 箱罠の長所 そもそも餌で獲物を誘いこむ構造のため、餌を使わない罠とくらべると、捕獲率は高いです。複数の獲物を捕獲することも可能です。また、獲物の視線からすると、開放的な外観であるため、ブラックボックスとなっている罠(例えば、ドラム缶式罠など)よりも捕獲の効率が良い傾向にあります。 一目でわかる外観のため、人間が誤ってかかってしまうようなことはありません。ターゲットではない他の鳥獣を捕獲した場合も、簡単に逃がすことができ、怪我を負わせるリスクは低いです。...
イノシシ対策を徹底解説!様々な方法を分かりやすく解説
目次 1対策1.防護柵 1有刺鉄線 2ワイヤーメッシュ 3防獣ネット・魚網 4トタン板 5金網・フェンス 6電気柵 2防護柵の効果を上げるには 1異なる柵を組み合わせて防護する 2定期的に点検・補修・改善を行う 3周囲をすき間なく囲い、藪があれば刈る 3対策2.忌避剤 1トウガラシ・ハーブ 2オオカミ尿(ウルフピー) 4忌避剤の効果を上げるには 1イノシシの鼻の高さに設置する 2物理的な対策とセットで利用する 5対策3.罠による駆除 1箱罠 2くくり罠 6罠による防除の効果を上げるには 1箱罠の場合 2くくり罠の場合 7対策4.その他の対策 1音による対策 2周辺環境の整備 イノシシによる農業被害は、経済的・精神的にも打撃を与える深刻な問題です。それだけに、被害を軽減させるための対策が重要となってきます。 今回は、イノシシ被害に立ち向かうための対策について、具体的な方法をご紹介します。 対策1.防護柵...
イノシシ対策を徹底解説!様々な方法を分かりやすく解説
目次 1対策1.防護柵 1有刺鉄線 2ワイヤーメッシュ 3防獣ネット・魚網 4トタン板 5金網・フェンス 6電気柵 2防護柵の効果を上げるには 1異なる柵を組み合わせて防護する 2定期的に点検・補修・改善を行う 3周囲をすき間なく囲い、藪があれば刈る 3対策2.忌避剤 1トウガラシ・ハーブ 2オオカミ尿(ウルフピー) 4忌避剤の効果を上げるには 1イノシシの鼻の高さに設置する 2物理的な対策とセットで利用する 5対策3.罠による駆除 1箱罠 2くくり罠 6罠による防除の効果を上げるには 1箱罠の場合 2くくり罠の場合 7対策4.その他の対策 1音による対策 2周辺環境の整備 イノシシによる農業被害は、経済的・精神的にも打撃を与える深刻な問題です。それだけに、被害を軽減させるための対策が重要となってきます。 今回は、イノシシ被害に立ち向かうための対策について、具体的な方法をご紹介します。 対策1.防護柵...
電気柵の運用時はアース不足に注意!
電気柵とは、イノシシやシカといった野生動物が農作地などに侵入するのを防ぐために、周囲に電線を張り巡らせたものになります。電線に触れると電気ショックを受けるため、野生動物が電気柵を忌避するようになります。しかしながら、管理や維持が適切でないと、電気ショックによる効果が薄れてしまいます。 とくに注意したのがアース不足(不良)です。 電気柵の仕組みのおさらい 電気柵は、本体(本器ともいいます)+支柱+電線(さく線ともいいます)で構成されます。侵入を防止したい場所の周囲に支柱を一定間隔で設置し、電線を張ります。電線は化学繊維にステンレス線等の導線をよりあわせた構造になっており、本体から出力された電流が電線に流れる仕組みになっています。 電気柵の目的は電気ショックで動物にダメージを与えることではなく、あくまでもショックによる恐怖感を植え付けることです。痛みや恐怖で「この場所は危険だ」と動物に学習させ、農作地から遠ざけるのが目的です。ワイヤーメッシュなど物理的にガードする防護柵ではないので、電気ショックが無ければ簡単に侵入されてしまいます。 そのため、電気柵の運用時は動物が電線に触れたタイミングで、必ず電気ショックを与えられるように管理や維持をしておくことが重要となります。もし動物が電線に触れたにも関わず、何の反応も起きないと「この場所は大丈夫」という学習をしてしまい、効果が激減してしまいます。 電気柵の運用時はアース不足に注意する とくに注意したいのがアース不足(不良)です。通常、アース棒が接続されたアース線を本体と接続し、アース棒を地面に埋めることで地面と本体を電気的に導通させます。 電気柵の電線に獣が触れると、次のような順序で電気が流れます。 電気柵本体 → 電線(+プラス電極) → 動物の鼻先(身体) → 地面→ アース(-マイナス電極)→電気柵本体。 乾電池と豆電球を使った理科の実験を思い出してもらうと分かりやすいのですが、乾電池のプラス側に赤い線を、マイナス側に黒い線を接続すると回路が形成されて豆電球が点灯します。しかし、このマイナス側の黒い線がきちんと接続されていないと回路が形成されないので、豆電球は点灯しません。 これと同じで、何らかの原因でアース不良がおこると回路が形成されず、動物が電線に触れても電気ショックが発生しません。 ★参考記事:電気柵に必要な部品って? アース不足を起こさないためのポイントは? 上記の通り、電気ショックを与えるためにはアースがとても重要になります。アース不良が起こると、電気ショックが低減するだけでなく、本体の故障にもつながります。 では、アース不足(不良)を起こさないためには、どのようなポイントを確認しておくと良いのでしょうか。 1.アース棒を地面にしっかり打ち込む アース不足の原因として多いのが、アース棒が地面にきちんと打ち込まれていないケースです。アース棒は地面に打ち込んで設置しますが、打ち込みが甘くアース棒が浅く差し込まれた状態だときちんと電流が流れないので、効果が弱まってしまいます。 設置の際は深く打ち込むようにして、設置後も定期的にアース棒の抜けや緩みがないかを確認し、適時管理しておくようにしましょう。 2.アース棒のサビを確認する アース棒にサビが発生していると、サビ部分が絶縁状態となってしまうので、アース不足を起こしてしまいます。長く使用しているとアース棒がさびて電流の流れが悪くなります。サビたアース棒は新しいものに交換するようにしましょう。 3.アース線の断線に注意 アース線が断線してしまうと、当然アース不良となってしまいます。特に、アース線が分岐している個所や、アース棒との継ぎ目は屈曲などによって特に断線しやすい個所になります。もし断線が確認されたら、しっかりと補修するか、新しいものに交換しましょう。...
電気柵の運用時はアース不足に注意!
電気柵とは、イノシシやシカといった野生動物が農作地などに侵入するのを防ぐために、周囲に電線を張り巡らせたものになります。電線に触れると電気ショックを受けるため、野生動物が電気柵を忌避するようになります。しかしながら、管理や維持が適切でないと、電気ショックによる効果が薄れてしまいます。 とくに注意したのがアース不足(不良)です。 電気柵の仕組みのおさらい 電気柵は、本体(本器ともいいます)+支柱+電線(さく線ともいいます)で構成されます。侵入を防止したい場所の周囲に支柱を一定間隔で設置し、電線を張ります。電線は化学繊維にステンレス線等の導線をよりあわせた構造になっており、本体から出力された電流が電線に流れる仕組みになっています。 電気柵の目的は電気ショックで動物にダメージを与えることではなく、あくまでもショックによる恐怖感を植え付けることです。痛みや恐怖で「この場所は危険だ」と動物に学習させ、農作地から遠ざけるのが目的です。ワイヤーメッシュなど物理的にガードする防護柵ではないので、電気ショックが無ければ簡単に侵入されてしまいます。 そのため、電気柵の運用時は動物が電線に触れたタイミングで、必ず電気ショックを与えられるように管理や維持をしておくことが重要となります。もし動物が電線に触れたにも関わず、何の反応も起きないと「この場所は大丈夫」という学習をしてしまい、効果が激減してしまいます。 電気柵の運用時はアース不足に注意する とくに注意したいのがアース不足(不良)です。通常、アース棒が接続されたアース線を本体と接続し、アース棒を地面に埋めることで地面と本体を電気的に導通させます。 電気柵の電線に獣が触れると、次のような順序で電気が流れます。 電気柵本体 → 電線(+プラス電極) → 動物の鼻先(身体) → 地面→ アース(-マイナス電極)→電気柵本体。 乾電池と豆電球を使った理科の実験を思い出してもらうと分かりやすいのですが、乾電池のプラス側に赤い線を、マイナス側に黒い線を接続すると回路が形成されて豆電球が点灯します。しかし、このマイナス側の黒い線がきちんと接続されていないと回路が形成されないので、豆電球は点灯しません。 これと同じで、何らかの原因でアース不良がおこると回路が形成されず、動物が電線に触れても電気ショックが発生しません。 ★参考記事:電気柵に必要な部品って? アース不足を起こさないためのポイントは? 上記の通り、電気ショックを与えるためにはアースがとても重要になります。アース不良が起こると、電気ショックが低減するだけでなく、本体の故障にもつながります。 では、アース不足(不良)を起こさないためには、どのようなポイントを確認しておくと良いのでしょうか。 1.アース棒を地面にしっかり打ち込む アース不足の原因として多いのが、アース棒が地面にきちんと打ち込まれていないケースです。アース棒は地面に打ち込んで設置しますが、打ち込みが甘くアース棒が浅く差し込まれた状態だときちんと電流が流れないので、効果が弱まってしまいます。 設置の際は深く打ち込むようにして、設置後も定期的にアース棒の抜けや緩みがないかを確認し、適時管理しておくようにしましょう。 2.アース棒のサビを確認する アース棒にサビが発生していると、サビ部分が絶縁状態となってしまうので、アース不足を起こしてしまいます。長く使用しているとアース棒がさびて電流の流れが悪くなります。サビたアース棒は新しいものに交換するようにしましょう。 3.アース線の断線に注意 アース線が断線してしまうと、当然アース不良となってしまいます。特に、アース線が分岐している個所や、アース棒との継ぎ目は屈曲などによって特に断線しやすい個所になります。もし断線が確認されたら、しっかりと補修するか、新しいものに交換しましょう。...
獣害対策~ニホンザルの被害防除、捕獲、駆除について
目次 1ニホンザルの生態 1食性 2学習能力や身体能力 3繁殖や行動 2サルによる農作物被害の現状 1家屋被害や人的被害も発生している 3サルの生態を考慮した防除策・捕獲・駆除を 1徹底した「追い払い」 2サル用の防護柵の設置 4捕獲による被害防止対策 野生鳥獣による農作物被害のうち、イノシシ・シカに次いで被害金額が多いのが、サルによる被害です。 その被害金額は、近年では年間約8.6億円程度、母数としてはイノシシ被害の5分の1程度ですが、サルは群れで行動するため、被害を受けるエリアが集中的になる傾向があります。 また、高い学習能力によって地域の様々な農作物の味を覚えていくため、被害対象作物が広がっていく傾向もあります。 しかしながら、サル獣害がほぼ解決に至っているケースもあり、サルのことをよく知って適切な対策を行えば、必ず被害は抑えることができるといえます。この記事ではサルの生態と、それを考慮した防除策、捕獲、駆除について説明します。 ニホンザルの生態 まずはニホンザルへの対策を講じるための基礎情報として、生態について見ていきましょう。ニホンザルは北海道を除く本州や四国、九州と幅広く分布しています。一般的に霊長目(ゴリラやオラウータンなど)は熱帯や温帯のジャングルに生息していますが、ニホンザルは東北地方など積雪が確認できる地域にも生息しています。日本では青森県が北限とされており、全国的に分布が確認される珍しい習性を持っています。オスの体長は50〜60cm、メスは45〜55cm程度で、毛色は暗めの赤褐色。顔には毛が生えておらず、赤みがかっているのが特徴です。 食性 葉・種子・植物の果実・芽など植物食が中心です。雑食性で昆虫なども食べますが、肉や魚は基本的には食べません(全く食べないわけではなく、魚や貝を食べたり、ライチョウのひなを捕食したケースも報告されています)。 また、トウガラシ、コンニャク、シソ、ゴボウ、ショウガ、ワラビなど、辛味や香り、アクの強い植物は避けます。 好物は、糖度や栄養価が高く楽に食べられる作物(カキ、スイカ、カボチャ、さつまいも、モモ、クリ、トウモロコシなど)です。 それらの作物の中でも、おいしい部分だけをかじっては捨て、次々と新しい作物を食べていくので、被害を受けた場所では食べ残しが散乱します。 餌となる食物は遺伝的に決まっているわけではなく、生後に学習すると言われています。そのため、他の作物の味を覚えられると、その作物を狙って行動するようになるため被害作物の種類が広がります。 学習能力や身体能力 サツマイモを水で洗って食べたり、芸を覚えるなど学習能力が高いことはよく知られていますが、特に優れているのは記憶力です。 おいしいエサにありつけた場所や、危険であると学習した場所、人間の顔もすぐに覚えます。なお、サル同士が協力して作業をするという行動は見られません。 ニホンザルの嗅覚や聴覚は人間と同じくらいで、犬並みの嗅覚をもつイノシシや、鋭い聴覚をもつシカと比較すると劣ります。ほとんどの情報を視覚によって集めており、活動するのは日中です。 木登りとジャンプが得意で、数ミリのとっかかりがあれば壁や柱を登れるため、イノシシ・シカ用に設置された柵も難なく乗り越えていきます。 繁殖や行動 野生の群れにおいては、6~7歳で初産を経験し、その後2~3年に1度のペースで出産するといわれます。ほぼ毎年出産するシカや、多産のイノシシと比べると、繁殖力は強くありません。...
獣害対策~ニホンザルの被害防除、捕獲、駆除について
目次 1ニホンザルの生態 1食性 2学習能力や身体能力 3繁殖や行動 2サルによる農作物被害の現状 1家屋被害や人的被害も発生している 3サルの生態を考慮した防除策・捕獲・駆除を 1徹底した「追い払い」 2サル用の防護柵の設置 4捕獲による被害防止対策 野生鳥獣による農作物被害のうち、イノシシ・シカに次いで被害金額が多いのが、サルによる被害です。 その被害金額は、近年では年間約8.6億円程度、母数としてはイノシシ被害の5分の1程度ですが、サルは群れで行動するため、被害を受けるエリアが集中的になる傾向があります。 また、高い学習能力によって地域の様々な農作物の味を覚えていくため、被害対象作物が広がっていく傾向もあります。 しかしながら、サル獣害がほぼ解決に至っているケースもあり、サルのことをよく知って適切な対策を行えば、必ず被害は抑えることができるといえます。この記事ではサルの生態と、それを考慮した防除策、捕獲、駆除について説明します。 ニホンザルの生態 まずはニホンザルへの対策を講じるための基礎情報として、生態について見ていきましょう。ニホンザルは北海道を除く本州や四国、九州と幅広く分布しています。一般的に霊長目(ゴリラやオラウータンなど)は熱帯や温帯のジャングルに生息していますが、ニホンザルは東北地方など積雪が確認できる地域にも生息しています。日本では青森県が北限とされており、全国的に分布が確認される珍しい習性を持っています。オスの体長は50〜60cm、メスは45〜55cm程度で、毛色は暗めの赤褐色。顔には毛が生えておらず、赤みがかっているのが特徴です。 食性 葉・種子・植物の果実・芽など植物食が中心です。雑食性で昆虫なども食べますが、肉や魚は基本的には食べません(全く食べないわけではなく、魚や貝を食べたり、ライチョウのひなを捕食したケースも報告されています)。 また、トウガラシ、コンニャク、シソ、ゴボウ、ショウガ、ワラビなど、辛味や香り、アクの強い植物は避けます。 好物は、糖度や栄養価が高く楽に食べられる作物(カキ、スイカ、カボチャ、さつまいも、モモ、クリ、トウモロコシなど)です。 それらの作物の中でも、おいしい部分だけをかじっては捨て、次々と新しい作物を食べていくので、被害を受けた場所では食べ残しが散乱します。 餌となる食物は遺伝的に決まっているわけではなく、生後に学習すると言われています。そのため、他の作物の味を覚えられると、その作物を狙って行動するようになるため被害作物の種類が広がります。 学習能力や身体能力 サツマイモを水で洗って食べたり、芸を覚えるなど学習能力が高いことはよく知られていますが、特に優れているのは記憶力です。 おいしいエサにありつけた場所や、危険であると学習した場所、人間の顔もすぐに覚えます。なお、サル同士が協力して作業をするという行動は見られません。 ニホンザルの嗅覚や聴覚は人間と同じくらいで、犬並みの嗅覚をもつイノシシや、鋭い聴覚をもつシカと比較すると劣ります。ほとんどの情報を視覚によって集めており、活動するのは日中です。 木登りとジャンプが得意で、数ミリのとっかかりがあれば壁や柱を登れるため、イノシシ・シカ用に設置された柵も難なく乗り越えていきます。 繁殖や行動 野生の群れにおいては、6~7歳で初産を経験し、その後2~3年に1度のペースで出産するといわれます。ほぼ毎年出産するシカや、多産のイノシシと比べると、繁殖力は強くありません。...
獣害の種類と対策について
令和元年度の野生鳥獣による農作物被害金額は約158億円。年々被害額は減少しているものの、依然として獣害による被害は深刻な状況にあります。被害を食い止めるためには個人での対策には限界があり、グループや地域を挙げての取り組みが欠かせません。 本記事では最新のデータを元に獣害の現状と種類について解説します。また、具体的な対策についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 獣害とは? 獣害とは、イノシシやシカ、クマ、サル、ネズミなど野生動物によって被る様々な害のことを指します。また飼い主の管理が不十分なペットによる害を指す場合もあります。かなり広い意味で用いられる言葉ですが、獣害の種類としては以下のようなものが挙げられます。 1:農業被害 獣害として真っ先に取り上げられのが農業被害です。野生鳥獣により、 農作物が食べられる 田畑を掘り起こされる ビニールハウスに穴をあけられる といった直接的・間接的に受ける農業への被害を指します。 出典:農林水産省ホームページ 農林水産省の発表によると、令和1年度(2020年)の鳥獣による農作物被害は、被害金額が約158億円となっています。前年度と比較し被害金額は約2千万円増加(対前年0.2%)。微増ながら、被害額がピークとなった平成22年度(2010年)の239億円と比較すると、年々減少傾向にあることが伺えます。 また、被害面積は約4万8千haで前年度に比べ約3千haの減少(対前年7%減)。被害量は約45万8千tで前年に比べ約3万8千tの減少(対前年8%減)となりました。 これは、環境省が推進している指定管理鳥獣捕獲等事業の成果が出始めた点や、狩猟以外の有害捕獲が増加傾向にある点が背景にあります。 しかしながら、150億円超という被害額は依然として何年も高水準のまま推移している状況です。とくに留意しておきたいのが、本データでは趣味や家庭菜園といった農作物以外の被害は含まれていないということ。例えば、地方では日々の食料や地域でのコミュニケーションの一環(農作物の交換等)として、食料を生産するケースもあり、そういった農作物の被害金額は計上されないことも多々あります。 獣害対策を講じるにも、コミュニティが無い場合は個人での対応を余儀なくされるため、後手に回ってしまうのが実情です。 農業従事者の高年齢化により、獣害対策の負担が高まっている点も特筆すべきポイントでしょう。 2:森林被害 森林被害とは、野生動物の影響によって樹木そのものが被害を受けたり、森林における日本特有の生態系バランスが崩れてしまう被害のことです。 出典:林野庁ホームページ 林野庁による野生鳥獣による森林被害に関する調査データによれば、令和元年度の主要な野生鳥獣による森林被害面積は約4.9ha。これは前年度の約5.9haから減少しており、平成26年度(2014年)の9.0haをピークに減少傾向にあります。 とはいえ、依然として深刻なのがシカによる森林被害です。シカ(ニホンジカ・エゾシカ)の好物は様々な植物です。食べる植物の種類は極めて多く、芝や木の葉だけでなく、食べ物の少ない時期には樹皮も食べます。一帯の植物を食べつくし、山の植生バランスを変えるほどの被害を与えることもあります。 令和元年度のシカによる森林被害は約3.5千ヘクタール。野生鳥獣による森林被害の約7割を占め、2014年までの36年間で分布域が約2.5倍に拡大するなど被害が大きく拡大しています。 3.家屋被害 家屋被害とは、野生動物が家屋に浸入し、汚損などの被害を与えることを指します。平等院鳳凰堂や清水寺で、貴重な文化財にアライグマの爪痕が見つかったのは有名な話です。 近年ではアライグマやハクビシンが都心部でも生息域を伸ばし、屋根裏などに潜んで家屋被害をもたらす事例も多く報告されています。 最近では、加賀市橋立町の越前加賀海岸国定公園敷地内がイノシシによる被害を受け、芝生が掘り起こされるといった事例がありました。建物そのものだけでなく、こうした景観に対しての被害が発生するのも、獣害対策の難しさといえます。 4.人的被害 獣害種類の中で人的被害は、獣から人間が直接的・間接的に被害を受けることを指します。 獣から噛まれたりして怪我をしたなど直接受ける被害と、獣が害虫や病気を媒介して間接的に受ける被害があります。間接的な被害としては、たとえば、ここ10年ほどの間にハイキング、キャンプ、渓流釣りなどに行ったり、あるいは山林作業をする人々の間で「ヤマビル」に吸血される被害が全国的に増えています。これは、ヤマビルが吸い付くイノシシなどが、餌を求めて人里近くに出没する機会が増えたことが原因であると指摘されています。...
獣害の種類と対策について
令和元年度の野生鳥獣による農作物被害金額は約158億円。年々被害額は減少しているものの、依然として獣害による被害は深刻な状況にあります。被害を食い止めるためには個人での対策には限界があり、グループや地域を挙げての取り組みが欠かせません。 本記事では最新のデータを元に獣害の現状と種類について解説します。また、具体的な対策についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 獣害とは? 獣害とは、イノシシやシカ、クマ、サル、ネズミなど野生動物によって被る様々な害のことを指します。また飼い主の管理が不十分なペットによる害を指す場合もあります。かなり広い意味で用いられる言葉ですが、獣害の種類としては以下のようなものが挙げられます。 1:農業被害 獣害として真っ先に取り上げられのが農業被害です。野生鳥獣により、 農作物が食べられる 田畑を掘り起こされる ビニールハウスに穴をあけられる といった直接的・間接的に受ける農業への被害を指します。 出典:農林水産省ホームページ 農林水産省の発表によると、令和1年度(2020年)の鳥獣による農作物被害は、被害金額が約158億円となっています。前年度と比較し被害金額は約2千万円増加(対前年0.2%)。微増ながら、被害額がピークとなった平成22年度(2010年)の239億円と比較すると、年々減少傾向にあることが伺えます。 また、被害面積は約4万8千haで前年度に比べ約3千haの減少(対前年7%減)。被害量は約45万8千tで前年に比べ約3万8千tの減少(対前年8%減)となりました。 これは、環境省が推進している指定管理鳥獣捕獲等事業の成果が出始めた点や、狩猟以外の有害捕獲が増加傾向にある点が背景にあります。 しかしながら、150億円超という被害額は依然として何年も高水準のまま推移している状況です。とくに留意しておきたいのが、本データでは趣味や家庭菜園といった農作物以外の被害は含まれていないということ。例えば、地方では日々の食料や地域でのコミュニケーションの一環(農作物の交換等)として、食料を生産するケースもあり、そういった農作物の被害金額は計上されないことも多々あります。 獣害対策を講じるにも、コミュニティが無い場合は個人での対応を余儀なくされるため、後手に回ってしまうのが実情です。 農業従事者の高年齢化により、獣害対策の負担が高まっている点も特筆すべきポイントでしょう。 2:森林被害 森林被害とは、野生動物の影響によって樹木そのものが被害を受けたり、森林における日本特有の生態系バランスが崩れてしまう被害のことです。 出典:林野庁ホームページ 林野庁による野生鳥獣による森林被害に関する調査データによれば、令和元年度の主要な野生鳥獣による森林被害面積は約4.9ha。これは前年度の約5.9haから減少しており、平成26年度(2014年)の9.0haをピークに減少傾向にあります。 とはいえ、依然として深刻なのがシカによる森林被害です。シカ(ニホンジカ・エゾシカ)の好物は様々な植物です。食べる植物の種類は極めて多く、芝や木の葉だけでなく、食べ物の少ない時期には樹皮も食べます。一帯の植物を食べつくし、山の植生バランスを変えるほどの被害を与えることもあります。 令和元年度のシカによる森林被害は約3.5千ヘクタール。野生鳥獣による森林被害の約7割を占め、2014年までの36年間で分布域が約2.5倍に拡大するなど被害が大きく拡大しています。 3.家屋被害 家屋被害とは、野生動物が家屋に浸入し、汚損などの被害を与えることを指します。平等院鳳凰堂や清水寺で、貴重な文化財にアライグマの爪痕が見つかったのは有名な話です。 近年ではアライグマやハクビシンが都心部でも生息域を伸ばし、屋根裏などに潜んで家屋被害をもたらす事例も多く報告されています。 最近では、加賀市橋立町の越前加賀海岸国定公園敷地内がイノシシによる被害を受け、芝生が掘り起こされるといった事例がありました。建物そのものだけでなく、こうした景観に対しての被害が発生するのも、獣害対策の難しさといえます。 4.人的被害 獣害種類の中で人的被害は、獣から人間が直接的・間接的に被害を受けることを指します。 獣から噛まれたりして怪我をしたなど直接受ける被害と、獣が害虫や病気を媒介して間接的に受ける被害があります。間接的な被害としては、たとえば、ここ10年ほどの間にハイキング、キャンプ、渓流釣りなどに行ったり、あるいは山林作業をする人々の間で「ヤマビル」に吸血される被害が全国的に増えています。これは、ヤマビルが吸い付くイノシシなどが、餌を求めて人里近くに出没する機会が増えたことが原因であると指摘されています。...
非常に困った。鳩の被害事例
4月から6月にかけては、鳩の被害が最も増える季節です。被害を受けていないうちは鳩の存在に対して何とも思わないのですが、実際に被害を受けると非常に悩ましい存在に感じるようになります。 よくある鳩の被害内容 鳩が人間に与える被害の多くは、糞と鳴き声です。まだ軽度であれば、特に深刻な被害に感じられませんが、重篤になってくると精神的な被害だけでなく、経済的・身体的にも被害を受ける可能性があります。 鳩はたくさん糞をする 鳩は非常に大食漢で、一日に体重の1割ほどの量の餌を食べます。体重60キロの人間でいうと、毎日6キロほどの食事をする換算になります。人間の1回の平均食事量は、800グラム~1キロ程と言われますので、毎日5~6回食事を取るのと同じようなものです。 食べる量が多いということは、その分排出される量も多いということ。鳩の糞の量は他の鳥と比べても多く、また気に入った場所に長く滞在する習性があります。さらに、鳩自身は自分の糞が周りにあると安心する習性もあります。そのため、一定の場所に大量の糞や抜けた羽が堆積するということも珍しくありません。 また、鳩は気に入った場所に執着する強い習性があります。糞を清掃する際に鳩を追い出そうとすると、非常に臭い糞をしながら動き回るものの、なかなかその場所から離れようとしません。 以下の動画では、ベランダの室外機に執着する鳩が糞をまき散らしながら歩き回るものの、なかなか逃げない様子が確認できます。なんとかベランダから追い出しても、鳩は遠巻きからこちらを観察しており、ベランダに戻ることを諦めずに機会を伺っている様子もみられます。 鳩の糞が媒介する病気 “rats with wings(羽のあるネズミ・空飛ぶネズミ)”という言葉があります。これは、1980年のアメリカ映画「スターダスト・メモリー(原題:Stardust Memories)」で主演のウディ・アレンが野生の鳩に対して放った言葉です。 このような呼び方をされる理由は、鳩が媒介する病原菌にあります。多くの場合、病原菌を含んだ鳩の糞が乾燥して粒子状になり、人体に吸い込まれたり傷口や粘膜に付着した結果、感染が起こります。 野生鳥獣は様々な病原菌をもっていますが、中でも鳩は大量に糞をすること、群れること、人間の生活エリア付近にいることから、病気を媒介するリスクが高いのです。 また、鳩に寄生するダニや吸血性の昆虫によって人間が被害を受ける可能性もあります。 鳩が媒介する病原菌や寄生虫によって、人間が重篤な健康被害を受けるケースは稀ですが、免疫力が弱い人は影響を受けやすくなるので、注意が必要です。 ★こちらの記事も参考ください。 本当は怖い。鳩の糞害について 糞は金属やコンクリートを腐食させる 人間は体内のアンモニアを尿素として排出しますが、鳥類は難水性の尿酸として糞と一緒に排出します。水に溶けにくい糞であるため、雨風があってもこびりついたままとなりやすく、糞に含まれる酸性分によって金属や塗装の腐食やコンクリートの劣化を引き起こす場合があります。 2007年にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで起きた橋の崩落事故は、橋げたなどに溜まったハトの糞が鉄骨を腐食させたことが原因という説もあるほど。 長期間付着するほど劣化が起こりやすく、事故や資産価値の低下につながる可能性もあるので、重篤化する前に対処しておくことが大切です。 鳩の羽音や鳴き声による騒音 鳩が人間の生活エリア近くにいると、「ホー、ホー」「ボーボー、ポッポー」と鳴き声が聞こえることがあります。 これは繁殖期に雄が雌を呼ぶための声であったり、縄張りを主張するための鳴き声です。 たまに聞こえる程度であれば気にならないのですが、家や事務所に住み着かれた場合、耳障りの範囲を超えて騒音ともいえる状況になります。 静かな場所で急に「バサバサッ」といった羽音が間近で聞こえたり、朝早くから元気よく鳴き声が聞こえたりすることが頻繁に起こると、かなりのストレスになります。 鳩被害が起こる理由 鳩の被害件数がピークになるのは5月から6月にかけて。また被害場所の約8割が個人宅で、ベランダや屋根における糞害が多くの割合を占めます。...
非常に困った。鳩の被害事例
4月から6月にかけては、鳩の被害が最も増える季節です。被害を受けていないうちは鳩の存在に対して何とも思わないのですが、実際に被害を受けると非常に悩ましい存在に感じるようになります。 よくある鳩の被害内容 鳩が人間に与える被害の多くは、糞と鳴き声です。まだ軽度であれば、特に深刻な被害に感じられませんが、重篤になってくると精神的な被害だけでなく、経済的・身体的にも被害を受ける可能性があります。 鳩はたくさん糞をする 鳩は非常に大食漢で、一日に体重の1割ほどの量の餌を食べます。体重60キロの人間でいうと、毎日6キロほどの食事をする換算になります。人間の1回の平均食事量は、800グラム~1キロ程と言われますので、毎日5~6回食事を取るのと同じようなものです。 食べる量が多いということは、その分排出される量も多いということ。鳩の糞の量は他の鳥と比べても多く、また気に入った場所に長く滞在する習性があります。さらに、鳩自身は自分の糞が周りにあると安心する習性もあります。そのため、一定の場所に大量の糞や抜けた羽が堆積するということも珍しくありません。 また、鳩は気に入った場所に執着する強い習性があります。糞を清掃する際に鳩を追い出そうとすると、非常に臭い糞をしながら動き回るものの、なかなかその場所から離れようとしません。 以下の動画では、ベランダの室外機に執着する鳩が糞をまき散らしながら歩き回るものの、なかなか逃げない様子が確認できます。なんとかベランダから追い出しても、鳩は遠巻きからこちらを観察しており、ベランダに戻ることを諦めずに機会を伺っている様子もみられます。 鳩の糞が媒介する病気 “rats with wings(羽のあるネズミ・空飛ぶネズミ)”という言葉があります。これは、1980年のアメリカ映画「スターダスト・メモリー(原題:Stardust Memories)」で主演のウディ・アレンが野生の鳩に対して放った言葉です。 このような呼び方をされる理由は、鳩が媒介する病原菌にあります。多くの場合、病原菌を含んだ鳩の糞が乾燥して粒子状になり、人体に吸い込まれたり傷口や粘膜に付着した結果、感染が起こります。 野生鳥獣は様々な病原菌をもっていますが、中でも鳩は大量に糞をすること、群れること、人間の生活エリア付近にいることから、病気を媒介するリスクが高いのです。 また、鳩に寄生するダニや吸血性の昆虫によって人間が被害を受ける可能性もあります。 鳩が媒介する病原菌や寄生虫によって、人間が重篤な健康被害を受けるケースは稀ですが、免疫力が弱い人は影響を受けやすくなるので、注意が必要です。 ★こちらの記事も参考ください。 本当は怖い。鳩の糞害について 糞は金属やコンクリートを腐食させる 人間は体内のアンモニアを尿素として排出しますが、鳥類は難水性の尿酸として糞と一緒に排出します。水に溶けにくい糞であるため、雨風があってもこびりついたままとなりやすく、糞に含まれる酸性分によって金属や塗装の腐食やコンクリートの劣化を引き起こす場合があります。 2007年にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで起きた橋の崩落事故は、橋げたなどに溜まったハトの糞が鉄骨を腐食させたことが原因という説もあるほど。 長期間付着するほど劣化が起こりやすく、事故や資産価値の低下につながる可能性もあるので、重篤化する前に対処しておくことが大切です。 鳩の羽音や鳴き声による騒音 鳩が人間の生活エリア近くにいると、「ホー、ホー」「ボーボー、ポッポー」と鳴き声が聞こえることがあります。 これは繁殖期に雄が雌を呼ぶための声であったり、縄張りを主張するための鳴き声です。 たまに聞こえる程度であれば気にならないのですが、家や事務所に住み着かれた場合、耳障りの範囲を超えて騒音ともいえる状況になります。 静かな場所で急に「バサバサッ」といった羽音が間近で聞こえたり、朝早くから元気よく鳴き声が聞こえたりすることが頻繁に起こると、かなりのストレスになります。 鳩被害が起こる理由 鳩の被害件数がピークになるのは5月から6月にかけて。また被害場所の約8割が個人宅で、ベランダや屋根における糞害が多くの割合を占めます。...
モグラの生態や農作物被害への対策・撃退方法
一般的には小さく可愛らしいイメージがあるモグラですが、農業や家庭菜園を営む方にとっては、穴を掘って地中に巣を作ることによって根を切られたり、苗を倒されたり、畑や庭をボコボコにされたりする点で厄介者ともいえます。 特に、気温が上がってくる季節になると、畑などにモグラの穴が多く掘られていることに気づく農家の方も多いのではないでしょうか? 今回は、モグラの生態や農作物被害の現状、被害を予防・防止するための対策や撃退方法について解説します。 モグラの生態 モグラはモグラ科に属する哺乳類で、日本を含む北半球で広く生息しています。体長は12~18cm程度で、種類によっては20cm程度まで成長します。 見た目は全身が細かい毛で覆われており、濃い褐色や黒褐色が特徴。体毛に覆われていない鼻先と手足の部分はピンク色をしています。 日本国内には固有種を含め数種類のモグラが生息しており、中でもコウベモグラとアズマモグラは代表的な種類です。主にコウベモグラは西日本に、アズマモグラは東日本に生息しています。 湿潤した土壌の多い平野部において、最も生息密度が高いです。 モグラは生涯を通してほぼ土の中で生活するため、土をかき分けやすいよう前足が大きく成長する特徴を持っています。シャベル状の平べったい形状に鋭い爪があり、トンネルを掘り進めて餌を探します。前足が下向きではなく横向きに生えているのも、土中での生活に適応するための進化の1つです。 嗅覚と聴覚が非常に優れている モグラは生涯のほとんどを暗い土の中で暮らすため、視力が退化しています。 逆に、嗅覚と聴覚は優れています。 とくに鼻の「アイマー器官」という部分が発達しており、土の中の振動を敏感にキャッチします。餌を探す際はこの感覚器官を有効に活用して獲物を探します。 また、あまり知られていませんが泳ぐのも得意としており、田んぼや用水路を泳ぐ姿が目撃されます。 食性は肉食で、地中にいるミミズやカエル、コガネムシの幼虫などを好んで食べます。唾液に麻痺毒を含む種類のモグラも存在し、餌を生きたまま巣穴に貯蔵する特性もあります。 餌を探すために一日に50メートル以上トンネルを掘るとも言われており、1分間で30cm程度のスピードでとにかく掘りまくります。 そのためカロリー消費が激しく、1日に体重の約半分もの餌を摂取するほど食欲旺盛です。蛾の幼虫や、ジムカデ類、ヒル類なども食べます。12時間なにも食べないと餓死するほど飢餓に弱く、餌が無い状態だと簡単に死んでしまいます。 縄張り意識がとても高く、生息数が多いエリアでは、縄張り争いによって追い出されたモグラが飢え死にしていることも多く見られます。 モグラによる農業被害の現状 他の野生鳥獣に比べ個体のサイズは比較的小さいモグラですが、農業被害は深刻です。農林水産省が発表した平成29年度の調査によると、モグラによる農業被害額は年間1,428万円。イノシシやシカに比べれば被害額は小さいですが、被害に遭った際の苦労は大きく、決して無視できない数字です。 ちなみに、モグラは肉食なため農作物を直接食べることはありません。そのため、地上の農作物に被害が発生するのではなく、地中や地表において被害が発生します。野菜などに齧られた痕跡があれば、それはモグラの仕業ではなく、ネズミ等ほかの動物の仕業です。 具体的には、トンネルを掘る過程で野菜の根が切られてしまうケースや、植え付けた苗が倒れてしまう被害が見られます。また、水田ではモグラの掘った穴に水が流れ込んでしまい、畦(あぜ)が崩壊する恐れがあります。 その他にも、「モグラの掘ったトンネルを通ってネズミが農作物を荒らす」「土の保水率が低下して生育が悪くなる」「ミミズが少なくなることで農作地の環境が悪くなる」といった農業被害が挙げられます。 いずれも、直接農作物を食い荒らすものではありませんが、農作地の環境が悪化すれば、作物の品質が下がってしまいます。結果として商品売上等にも影響するため、きちんと対策を講じることが大切です。 モグラ対策を行うまえに 農作物への被害を減らすには、モグラを撃退するための対策を講じる必要がありますが、効果的な対策を実施するためには、事前にモグラの住処がどのような状況になっているか調べます。 事前の準備 モグラへの対策を講じる前には、事前準備としてモグラが頻繁に通るトンネル(本道)を見つけておくことが大切です。 モグラは土の中に「餌を捕る場所」「餌を蓄える場所」「侵入者から身を隠す場所」など、複数の部屋を作り巣を構成しています。この主要な部屋を行き来するためのトンネルを『本道(本管)』と呼び、それ以外に餌を探すために掘ったトンネルを『支道(支管)』と呼びます。 本道は1日に何度も使用しますが、支道はめったに使用せず一度きりに終わることも少なくありません。そこでモグラ対策を講じるには、モグラが頻繁に使用する本道を見つけ、ピンポイントで対策を講じることが重要となってきます。...
モグラの生態や農作物被害への対策・撃退方法
一般的には小さく可愛らしいイメージがあるモグラですが、農業や家庭菜園を営む方にとっては、穴を掘って地中に巣を作ることによって根を切られたり、苗を倒されたり、畑や庭をボコボコにされたりする点で厄介者ともいえます。 特に、気温が上がってくる季節になると、畑などにモグラの穴が多く掘られていることに気づく農家の方も多いのではないでしょうか? 今回は、モグラの生態や農作物被害の現状、被害を予防・防止するための対策や撃退方法について解説します。 モグラの生態 モグラはモグラ科に属する哺乳類で、日本を含む北半球で広く生息しています。体長は12~18cm程度で、種類によっては20cm程度まで成長します。 見た目は全身が細かい毛で覆われており、濃い褐色や黒褐色が特徴。体毛に覆われていない鼻先と手足の部分はピンク色をしています。 日本国内には固有種を含め数種類のモグラが生息しており、中でもコウベモグラとアズマモグラは代表的な種類です。主にコウベモグラは西日本に、アズマモグラは東日本に生息しています。 湿潤した土壌の多い平野部において、最も生息密度が高いです。 モグラは生涯を通してほぼ土の中で生活するため、土をかき分けやすいよう前足が大きく成長する特徴を持っています。シャベル状の平べったい形状に鋭い爪があり、トンネルを掘り進めて餌を探します。前足が下向きではなく横向きに生えているのも、土中での生活に適応するための進化の1つです。 嗅覚と聴覚が非常に優れている モグラは生涯のほとんどを暗い土の中で暮らすため、視力が退化しています。 逆に、嗅覚と聴覚は優れています。 とくに鼻の「アイマー器官」という部分が発達しており、土の中の振動を敏感にキャッチします。餌を探す際はこの感覚器官を有効に活用して獲物を探します。 また、あまり知られていませんが泳ぐのも得意としており、田んぼや用水路を泳ぐ姿が目撃されます。 食性は肉食で、地中にいるミミズやカエル、コガネムシの幼虫などを好んで食べます。唾液に麻痺毒を含む種類のモグラも存在し、餌を生きたまま巣穴に貯蔵する特性もあります。 餌を探すために一日に50メートル以上トンネルを掘るとも言われており、1分間で30cm程度のスピードでとにかく掘りまくります。 そのためカロリー消費が激しく、1日に体重の約半分もの餌を摂取するほど食欲旺盛です。蛾の幼虫や、ジムカデ類、ヒル類なども食べます。12時間なにも食べないと餓死するほど飢餓に弱く、餌が無い状態だと簡単に死んでしまいます。 縄張り意識がとても高く、生息数が多いエリアでは、縄張り争いによって追い出されたモグラが飢え死にしていることも多く見られます。 モグラによる農業被害の現状 他の野生鳥獣に比べ個体のサイズは比較的小さいモグラですが、農業被害は深刻です。農林水産省が発表した平成29年度の調査によると、モグラによる農業被害額は年間1,428万円。イノシシやシカに比べれば被害額は小さいですが、被害に遭った際の苦労は大きく、決して無視できない数字です。 ちなみに、モグラは肉食なため農作物を直接食べることはありません。そのため、地上の農作物に被害が発生するのではなく、地中や地表において被害が発生します。野菜などに齧られた痕跡があれば、それはモグラの仕業ではなく、ネズミ等ほかの動物の仕業です。 具体的には、トンネルを掘る過程で野菜の根が切られてしまうケースや、植え付けた苗が倒れてしまう被害が見られます。また、水田ではモグラの掘った穴に水が流れ込んでしまい、畦(あぜ)が崩壊する恐れがあります。 その他にも、「モグラの掘ったトンネルを通ってネズミが農作物を荒らす」「土の保水率が低下して生育が悪くなる」「ミミズが少なくなることで農作地の環境が悪くなる」といった農業被害が挙げられます。 いずれも、直接農作物を食い荒らすものではありませんが、農作地の環境が悪化すれば、作物の品質が下がってしまいます。結果として商品売上等にも影響するため、きちんと対策を講じることが大切です。 モグラ対策を行うまえに 農作物への被害を減らすには、モグラを撃退するための対策を講じる必要がありますが、効果的な対策を実施するためには、事前にモグラの住処がどのような状況になっているか調べます。 事前の準備 モグラへの対策を講じる前には、事前準備としてモグラが頻繁に通るトンネル(本道)を見つけておくことが大切です。 モグラは土の中に「餌を捕る場所」「餌を蓄える場所」「侵入者から身を隠す場所」など、複数の部屋を作り巣を構成しています。この主要な部屋を行き来するためのトンネルを『本道(本管)』と呼び、それ以外に餌を探すために掘ったトンネルを『支道(支管)』と呼びます。 本道は1日に何度も使用しますが、支道はめったに使用せず一度きりに終わることも少なくありません。そこでモグラ対策を講じるには、モグラが頻繁に使用する本道を見つけ、ピンポイントで対策を講じることが重要となってきます。...
防鳥ワイヤーを張ろう!
鳩やカラスが飛来する場所に設置して、物理的に止まりにくくするための防鳥ワイヤー。一番の特徴としては、ネットや剣山など他の防鳥対策商品と比べると、目立ちにくいという点です。そのため、景観を崩すことなく防鳥効果が出せるというメリットがあります。 防鳥ワイヤーの効果 特に鳩にいえることですが、彼らは居心地の良い場所を常にリサーチしています。そして、気に入った場所に執着しようとする縄張り本能と、追い払っても戻ってこようとする帰巣本能が非常に強いです。 執着を持った場所には長く滞在することになるので、その分糞害や鳴き声(騒音)被害が酷くなります。 よって、彼らが場所に執着しだす前のできるだけ早い段階で諦めさせることが重要になります。そのためには、彼らにとって飛来がしにくい・居心地の悪い場所にすることが必要です。 ★こちらの記事もオススメ 鳩を追い払うのに効果的な方法は? 防鳥ワイヤーは、物理的に飛来防止するための一つの手段になります。 鳩などの鳥類が場所をリサーチする時は、いったん構造物の縁に止まって、その場所の安全性や居心地、羽休みや待合のための場所として適しているのかをチェックします。 こういった場所に防鳥ワイヤーを張っておけば、物理的に止まりにくくなったり、羽を羽ばたかせる際に邪魔になったりするので、彼らにとって飛来しにくく居心地の悪い状態にすることができます。 防鳥ワイヤーの構造 防鳥ワイヤーは、支柱(支持金具・ステイとも呼ばれます)を使ってワイヤーを張る構造になっています。 ワイヤーや支柱の他には、張ったワイヤーのテンション(張力)を適正に保ったり、ワイヤー交換を容易にするためのスプリングが必要になります。 ワイヤー ワイヤーは耐食性に優れるステンレス製のワイヤーロープが使われるのが一般的です。 ワイヤーロープ径が太すぎると、鳥の種類によってはワイヤーを掴んで止まることができますので、ある程度径が小さく、かつ耐久性も問題ない径のものを選ぶ必要があります。 例えば、鳩の場合はワイヤー径が1.0mm以上になると、ワイヤー上に止まるケースが見られるようになります。一方で径が0.7mmを下回ると、強度が不足して切断や損傷によって張替えが必要となる可能性がでてきます。 そのため、鳩対策の場合は、は0.7mm~0.9mmのあいだの径を選択すると良いでしょう。 ※鳩より体の大きいカラスやウミネコの場合は、より径が太いワイヤーを使用する場合もあります。 また、体の小さいスズメなどの場合は細いワイヤー上でも掴んで止まることができるため、防鳥ワイヤーでは効果が出ないことが多いです。そのため、防鳥ネットによる侵入防止対策が取られることが多いです。 なお時折、釣り糸(テグス)をワイヤーとして張っているのを見かけますが、ステンレスと違って紫外線に弱く、鳩対策としては強度が足りないため、頻繁な張り替えが必要になる可能性があります。頻繁な張り替えが前提であれば問題ないのですが、恒久的な対策とするのであれば避けたほうが良いでしょう。 ▶鳩対策に適したワイヤーロープはこちら 設置場所に応じて支柱(支持金具・ステイ)を選ぼう 支柱(支持金具・ステイとも呼びます)は、ワイヤーを張るための支柱になります。現在販売されている支柱は、ワイヤーを2段以上張れるタイプが多いです。もちろん、1段張りよりも2段張りのほうが効果は高くなります。 支柱については、ベランダの手すりや構造物の骨組みとなるH鋼など、設置する場所の形状にあわせて、金具の形状を選択する必要があります。 設置事例としては、例えば歩道橋の橋脚に使用されるH形鋼やL形鋼にクランプ型(鋼材の厚みに合わせて噛みこませて、ボルトを締め付けることにより固定する方法)の金具を使用して支柱を設置したりします。 また、振動が生じる場所の場合は強い締め付けが可能なタイプの支柱を選択したりもします。 ▶H形鋼やL形鋼に設置するのに適したクランプは、こちら ▶振動が気になる場所なら、こちら また、パイプ型の個所に支柱を設置する場合は、パイプの外周を締め付けるような形で固定したりします。パイプ径によってはうまく締め付けができない場合があるので、あらかじめ設置場所の太さを確認し、適合する支柱を選択すると良いでしょう。...
防鳥ワイヤーを張ろう!
鳩やカラスが飛来する場所に設置して、物理的に止まりにくくするための防鳥ワイヤー。一番の特徴としては、ネットや剣山など他の防鳥対策商品と比べると、目立ちにくいという点です。そのため、景観を崩すことなく防鳥効果が出せるというメリットがあります。 防鳥ワイヤーの効果 特に鳩にいえることですが、彼らは居心地の良い場所を常にリサーチしています。そして、気に入った場所に執着しようとする縄張り本能と、追い払っても戻ってこようとする帰巣本能が非常に強いです。 執着を持った場所には長く滞在することになるので、その分糞害や鳴き声(騒音)被害が酷くなります。 よって、彼らが場所に執着しだす前のできるだけ早い段階で諦めさせることが重要になります。そのためには、彼らにとって飛来がしにくい・居心地の悪い場所にすることが必要です。 ★こちらの記事もオススメ 鳩を追い払うのに効果的な方法は? 防鳥ワイヤーは、物理的に飛来防止するための一つの手段になります。 鳩などの鳥類が場所をリサーチする時は、いったん構造物の縁に止まって、その場所の安全性や居心地、羽休みや待合のための場所として適しているのかをチェックします。 こういった場所に防鳥ワイヤーを張っておけば、物理的に止まりにくくなったり、羽を羽ばたかせる際に邪魔になったりするので、彼らにとって飛来しにくく居心地の悪い状態にすることができます。 防鳥ワイヤーの構造 防鳥ワイヤーは、支柱(支持金具・ステイとも呼ばれます)を使ってワイヤーを張る構造になっています。 ワイヤーや支柱の他には、張ったワイヤーのテンション(張力)を適正に保ったり、ワイヤー交換を容易にするためのスプリングが必要になります。 ワイヤー ワイヤーは耐食性に優れるステンレス製のワイヤーロープが使われるのが一般的です。 ワイヤーロープ径が太すぎると、鳥の種類によってはワイヤーを掴んで止まることができますので、ある程度径が小さく、かつ耐久性も問題ない径のものを選ぶ必要があります。 例えば、鳩の場合はワイヤー径が1.0mm以上になると、ワイヤー上に止まるケースが見られるようになります。一方で径が0.7mmを下回ると、強度が不足して切断や損傷によって張替えが必要となる可能性がでてきます。 そのため、鳩対策の場合は、は0.7mm~0.9mmのあいだの径を選択すると良いでしょう。 ※鳩より体の大きいカラスやウミネコの場合は、より径が太いワイヤーを使用する場合もあります。 また、体の小さいスズメなどの場合は細いワイヤー上でも掴んで止まることができるため、防鳥ワイヤーでは効果が出ないことが多いです。そのため、防鳥ネットによる侵入防止対策が取られることが多いです。 なお時折、釣り糸(テグス)をワイヤーとして張っているのを見かけますが、ステンレスと違って紫外線に弱く、鳩対策としては強度が足りないため、頻繁な張り替えが必要になる可能性があります。頻繁な張り替えが前提であれば問題ないのですが、恒久的な対策とするのであれば避けたほうが良いでしょう。 ▶鳩対策に適したワイヤーロープはこちら 設置場所に応じて支柱(支持金具・ステイ)を選ぼう 支柱(支持金具・ステイとも呼びます)は、ワイヤーを張るための支柱になります。現在販売されている支柱は、ワイヤーを2段以上張れるタイプが多いです。もちろん、1段張りよりも2段張りのほうが効果は高くなります。 支柱については、ベランダの手すりや構造物の骨組みとなるH鋼など、設置する場所の形状にあわせて、金具の形状を選択する必要があります。 設置事例としては、例えば歩道橋の橋脚に使用されるH形鋼やL形鋼にクランプ型(鋼材の厚みに合わせて噛みこませて、ボルトを締め付けることにより固定する方法)の金具を使用して支柱を設置したりします。 また、振動が生じる場所の場合は強い締め付けが可能なタイプの支柱を選択したりもします。 ▶H形鋼やL形鋼に設置するのに適したクランプは、こちら ▶振動が気になる場所なら、こちら また、パイプ型の個所に支柱を設置する場合は、パイプの外周を締め付けるような形で固定したりします。パイプ径によってはうまく締め付けができない場合があるので、あらかじめ設置場所の太さを確認し、適合する支柱を選択すると良いでしょう。...
ヌートリアの特徴と対策について
ヌートリアは南アメリカ原産の大ネズミで、特定外来生物です。特定外来生物とは、元々日本にいなかった外来生物のうち、生態系などに被害を及ぼすものとして政府が指定した動物のことです。 見た目はカピバラやビーバーにも似ており可愛いとも言われますが、水辺の植物を旺盛に食べることから、西日本を中心に稲などへの農業被害が報告されています。その被害額は、全国で年間およそ5,400万円にのぼります(※農林水産省による公表値はこちら)。 ヌートリアの特徴 ヌートリアはネズミ目に属する動物で、頭胴長は約55~63cm、体重は約6~10kgほどで、ネコよりもやや大きいくらいです。 西日本を中心に、岡山県、愛知県、三重県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県などで生息が確認されています。寒さに弱いため、冬場は活動が鈍り、氷結がみられるような寒冷地では生息できません。 見た目の特徴や生態 見た目の特徴としては、まず暗褐色の毛皮をもつこと、齧歯類でありオレンジ色の大きな前歯をもつことが挙げられます。 尻尾は長く、体と違ってあまり毛が生えていません。 後ろ足の第1指から第4指までには水かきがあり、水泳や潜水が得意です。足跡が特徴的(後ろ足のほうが前足よりも大きく、後ろ足だけに水かきの痕跡、尾を引きずったような跡)なので、他の動物の痕跡と区別しやすいです。 平野部の河川や水路、池などの水辺に生息しており、土手や畔(あぜ)などに長い巣穴を掘って、雌雄のペアで生活することが多くあります。 雄・雌で見た目に大きな違いはありませんが、雄のほうがやや大きな体つきをしています。 雌は春に出産する個体が多いですが、季節を問わず繁殖し、年に2・3回、平均5匹の子を産みます。また、妊娠期間は約130日で、生後半年ほどですぐに性成熟し、繁殖が可能となります。これらのことから、繁殖力は非常に強いといえます。 食性や性格 食性としては、ハスやマコモ、ヨシ、ヒシなど水生植物の茎や根茎を好んで食べます。また農作物では水稲の苗をよく食べ、ニンジン、サツマイモなども食べます。基本的には草食性ですが、貝などの動物質の餌も食べることがあります。 基本的には夜行性で明け方と夕方に餌を求めて活発に行動しますが、日中に排水溝の中を隠れながら移動するケースも報告されています。 アライグマ等と比べると、性格は温厚ですが、追い詰められると激しく噛み付く事があります。 ヌートリアが繁殖した原因 先日公表された環境省の生息分布調査結果によると、ヌートリアの生息分布域は以前よりも大きく拡大しています。 2002 年以前のヌートリアの分布と比較すると、東海地方以西に分布するという基本的なパターンに変化はありませんが、特に近畿・中国地方での分布域拡大が目立っています。 また、淡路島、小豆島のような瀬戸内海の島嶼でも分布が確認されています。 そもそもヌートリアが日本で生息するきっかけとなったのは、毛皮増産を目的として1939年にフランスから移入され養育されたことです。 戦争の勝利を連想させる「沼狸」(しょうり)という名称がつけられ、毛皮を兵隊用の防寒着として利用するために日本全国で飼育されていました。 しかしながら、戦後その需要がなくなると放逐されるようになり、逃げ出した個体が野生化・繁殖した結果、現在は生態系を破壊する外来種として扱われるようになりました。 ヌートリアによる被害を防ぐために 現在、ヌートリアの生息密度が高い地域では餌としての農作物被害が発生しているほか、寝床を確保するため、稲を倒してしまう被害も見られます。土手が巣穴だらけにされることで田畑の畔や堤防の強度が低下するといった治水上の問題も懸念されています。実際、2019年夏の西日本豪雨では、岡山県で、ヌートリアの巣穴を原因とするため池の部分崩落が確認されています。 また、兵庫県のため池では水生植物を食害し、在来種であるベッコウトンボの生息環境を壊滅させるなどの生態系への被害も発生しています。そのため、被害金額の高い地域では特に積極的な防除が行われるようになっています。 基本となるのは環境管理 他の害獣対策でも共通していえることですが、基本となるのは被害を防ぐための環境管理です。 食害が懸念される田畑まわりや耕作放棄地、巣穴周辺などの草を刈り払い・焼き払いすることにより、ヌートリアが生息しずらい環境にすることが有効です。地域の各農家が自衛の共通意識を持ち、各々が積極的に除草を行うと良いでしょう。...
ヌートリアの特徴と対策について
ヌートリアは南アメリカ原産の大ネズミで、特定外来生物です。特定外来生物とは、元々日本にいなかった外来生物のうち、生態系などに被害を及ぼすものとして政府が指定した動物のことです。 見た目はカピバラやビーバーにも似ており可愛いとも言われますが、水辺の植物を旺盛に食べることから、西日本を中心に稲などへの農業被害が報告されています。その被害額は、全国で年間およそ5,400万円にのぼります(※農林水産省による公表値はこちら)。 ヌートリアの特徴 ヌートリアはネズミ目に属する動物で、頭胴長は約55~63cm、体重は約6~10kgほどで、ネコよりもやや大きいくらいです。 西日本を中心に、岡山県、愛知県、三重県、岐阜県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県などで生息が確認されています。寒さに弱いため、冬場は活動が鈍り、氷結がみられるような寒冷地では生息できません。 見た目の特徴や生態 見た目の特徴としては、まず暗褐色の毛皮をもつこと、齧歯類でありオレンジ色の大きな前歯をもつことが挙げられます。 尻尾は長く、体と違ってあまり毛が生えていません。 後ろ足の第1指から第4指までには水かきがあり、水泳や潜水が得意です。足跡が特徴的(後ろ足のほうが前足よりも大きく、後ろ足だけに水かきの痕跡、尾を引きずったような跡)なので、他の動物の痕跡と区別しやすいです。 平野部の河川や水路、池などの水辺に生息しており、土手や畔(あぜ)などに長い巣穴を掘って、雌雄のペアで生活することが多くあります。 雄・雌で見た目に大きな違いはありませんが、雄のほうがやや大きな体つきをしています。 雌は春に出産する個体が多いですが、季節を問わず繁殖し、年に2・3回、平均5匹の子を産みます。また、妊娠期間は約130日で、生後半年ほどですぐに性成熟し、繁殖が可能となります。これらのことから、繁殖力は非常に強いといえます。 食性や性格 食性としては、ハスやマコモ、ヨシ、ヒシなど水生植物の茎や根茎を好んで食べます。また農作物では水稲の苗をよく食べ、ニンジン、サツマイモなども食べます。基本的には草食性ですが、貝などの動物質の餌も食べることがあります。 基本的には夜行性で明け方と夕方に餌を求めて活発に行動しますが、日中に排水溝の中を隠れながら移動するケースも報告されています。 アライグマ等と比べると、性格は温厚ですが、追い詰められると激しく噛み付く事があります。 ヌートリアが繁殖した原因 先日公表された環境省の生息分布調査結果によると、ヌートリアの生息分布域は以前よりも大きく拡大しています。 2002 年以前のヌートリアの分布と比較すると、東海地方以西に分布するという基本的なパターンに変化はありませんが、特に近畿・中国地方での分布域拡大が目立っています。 また、淡路島、小豆島のような瀬戸内海の島嶼でも分布が確認されています。 そもそもヌートリアが日本で生息するきっかけとなったのは、毛皮増産を目的として1939年にフランスから移入され養育されたことです。 戦争の勝利を連想させる「沼狸」(しょうり)という名称がつけられ、毛皮を兵隊用の防寒着として利用するために日本全国で飼育されていました。 しかしながら、戦後その需要がなくなると放逐されるようになり、逃げ出した個体が野生化・繁殖した結果、現在は生態系を破壊する外来種として扱われるようになりました。 ヌートリアによる被害を防ぐために 現在、ヌートリアの生息密度が高い地域では餌としての農作物被害が発生しているほか、寝床を確保するため、稲を倒してしまう被害も見られます。土手が巣穴だらけにされることで田畑の畔や堤防の強度が低下するといった治水上の問題も懸念されています。実際、2019年夏の西日本豪雨では、岡山県で、ヌートリアの巣穴を原因とするため池の部分崩落が確認されています。 また、兵庫県のため池では水生植物を食害し、在来種であるベッコウトンボの生息環境を壊滅させるなどの生態系への被害も発生しています。そのため、被害金額の高い地域では特に積極的な防除が行われるようになっています。 基本となるのは環境管理 他の害獣対策でも共通していえることですが、基本となるのは被害を防ぐための環境管理です。 食害が懸念される田畑まわりや耕作放棄地、巣穴周辺などの草を刈り払い・焼き払いすることにより、ヌートリアが生息しずらい環境にすることが有効です。地域の各農家が自衛の共通意識を持ち、各々が積極的に除草を行うと良いでしょう。...
イノシシ対策に効果のある電気柵の設置方法
イノシシは学習能力が高く警戒心の強い動物です。農作物被害の対策として電気柵を設置する場合も、効果を上げるために設置方法を工夫する必要があります。 本記事では、イノシシ向けの電気柵の仕組みと、効果的な設置方法を7つのポイントから解説しています。防御の効果をできるだけ上げられるよう、適切な設置方法を確認していきましょう。 イノシシ対策として電気柵はどう使う? イノシシ対策として電気柵を用いる場合、農作物を囲む防護柵に電気を通しておき、侵入を試みるイノシシに電気ショックを与えます。 電気ショックによって身体的にダメージを与えるというよりも、恐怖心を学習させることにより、イノシシが柵を避けるようにすることが目的になります。 イノシシは警戒心が強く、自分が生活するエリアを注意深く観察する習性を持っています。その際、おもに鼻を使って様々な情報を取得しようとしますが、電気柵の電線が鼻の部分に触れたときに電気ショックが走ります。 この電気ショックによる「痛み」や「恐怖」が目的で、『この場所は危ないから近付かないでおこう』とイノシシに学習させ、農作物から遠ざけることで被害をくい止めるのです。 電気柵の仕組み 電線に何も触れていない状態では、電気柵の本体から出力された電流(+)が電線を伝って流れている状態となります。また、本体から地面にアース(-)が取られています。 ※電流は常時流れているわけではなく、通電時間が1秒ごとに0.01秒以下という断続的なパルス電流になっていますので、動物を殺傷するほどの能力はありません。人間が誤って触れてしまった場合でも重篤な事故を避けることができます。 この状態でイノシシの鼻先など通電しやすいものが電線に触れると、イノシシの体をつたって電線→イノシシの体→アース→本体という順序で電気の通り道ができます。これによってイノシシが電気ショックを受けるわけですが、痛みの程度としては、「バチッ」と強い静電気を受けたくらいです。電気ショックを受けると、イノシシは驚いて逃げる行動をとります。 イメージとしては、理科の実験でよく見かける豆電球のような仕組みです。電気柵本体が乾電池、電線が導線、イノシシがスイッチの役割を果たします。イノシシの鼻が触れてスイッチが入ると、通電して豆電球が光る(電気ショックが起こる)といった仕組みです。 そのため、電気がきちんと通電するように設置場所や方法を工夫することがとても重要な意味を持ちます。 効果の上がる電気柵の設置方法7つのポイント 電気柵を使ったイノシシ対策では、効果を上げるために設置のポイントをしっかり押さえておくことが大切です。ここでは、設置方法の7つのポイントをご紹介します。 1.適切な通電状態を確保する 電気柵を設置する際は、適切な通電状態を確保することが重要です。電線部分に漏電がないか、また地面の導電性に問題がないか確認する必要があります。 漏電がないかよく確認する よくあるのが、ガードレールやトタンなど導電性があるものに電線が触れており漏電が発生しているパターンです。ほかにも気づかないうちに電線が草や木や石に触れてしまっており、漏電が発生していることがあります。漏電があると、電気柵全体の電圧が下がってしまうので、イノシシに十分な電気ショックを与えることができません。 また、ガイシを使わずに支柱に直接電線を巻き付けるのは避けましょう。傍目は通電性が無い材質だとしても、電気柵は高電圧であるため、漏電が起こります。ガイシを使っていても、電線が適切に取り付けられておらず金属個所に触れてしまっている場合もあるので、設置の際によく確認しましょう。 地面の通電性に注意 先ほど電気柵の仕組みの部分でも触れましたが、電気柵は豆電球のような仕組みでイノシシが触れることで地面(アース)との間に回路ができることで電気が流れます。 しかし、柵を設置する場所の地面が通電しにくい状態の場合、十分な効果が得られません。 具体的には、コンクリートやアスファルト、石畳といった場所は避けるようにしましょう。 また、乾燥した土壌など、地質や土壌条件によっては通電が悪くアースが取りにくい場合があります。 柵を設置しようとする場所とコンクリートやアスファルトが近い場合は、柵がコンクリート等からできるだけ離れるよう設置場所を調整するか、通電性の良いトタン板などを敷くことによってアースとして機能させるという手もあります。 またアース棒を使って地面と本体のあいだにアースを取る場合は、アース棒がきちんと設置場所の地面に埋まっているか、断線していないか確認します。 設置時に適切な通電状態を確認するのはもちろん、設置後も定期的にチェックすることが重要です。 2.傾斜地から離す 電気柵を設置する場合は傾斜地から離すようにしましょう。...
イノシシ対策に効果のある電気柵の設置方法
イノシシは学習能力が高く警戒心の強い動物です。農作物被害の対策として電気柵を設置する場合も、効果を上げるために設置方法を工夫する必要があります。 本記事では、イノシシ向けの電気柵の仕組みと、効果的な設置方法を7つのポイントから解説しています。防御の効果をできるだけ上げられるよう、適切な設置方法を確認していきましょう。 イノシシ対策として電気柵はどう使う? イノシシ対策として電気柵を用いる場合、農作物を囲む防護柵に電気を通しておき、侵入を試みるイノシシに電気ショックを与えます。 電気ショックによって身体的にダメージを与えるというよりも、恐怖心を学習させることにより、イノシシが柵を避けるようにすることが目的になります。 イノシシは警戒心が強く、自分が生活するエリアを注意深く観察する習性を持っています。その際、おもに鼻を使って様々な情報を取得しようとしますが、電気柵の電線が鼻の部分に触れたときに電気ショックが走ります。 この電気ショックによる「痛み」や「恐怖」が目的で、『この場所は危ないから近付かないでおこう』とイノシシに学習させ、農作物から遠ざけることで被害をくい止めるのです。 電気柵の仕組み 電線に何も触れていない状態では、電気柵の本体から出力された電流(+)が電線を伝って流れている状態となります。また、本体から地面にアース(-)が取られています。 ※電流は常時流れているわけではなく、通電時間が1秒ごとに0.01秒以下という断続的なパルス電流になっていますので、動物を殺傷するほどの能力はありません。人間が誤って触れてしまった場合でも重篤な事故を避けることができます。 この状態でイノシシの鼻先など通電しやすいものが電線に触れると、イノシシの体をつたって電線→イノシシの体→アース→本体という順序で電気の通り道ができます。これによってイノシシが電気ショックを受けるわけですが、痛みの程度としては、「バチッ」と強い静電気を受けたくらいです。電気ショックを受けると、イノシシは驚いて逃げる行動をとります。 イメージとしては、理科の実験でよく見かける豆電球のような仕組みです。電気柵本体が乾電池、電線が導線、イノシシがスイッチの役割を果たします。イノシシの鼻が触れてスイッチが入ると、通電して豆電球が光る(電気ショックが起こる)といった仕組みです。 そのため、電気がきちんと通電するように設置場所や方法を工夫することがとても重要な意味を持ちます。 効果の上がる電気柵の設置方法7つのポイント 電気柵を使ったイノシシ対策では、効果を上げるために設置のポイントをしっかり押さえておくことが大切です。ここでは、設置方法の7つのポイントをご紹介します。 1.適切な通電状態を確保する 電気柵を設置する際は、適切な通電状態を確保することが重要です。電線部分に漏電がないか、また地面の導電性に問題がないか確認する必要があります。 漏電がないかよく確認する よくあるのが、ガードレールやトタンなど導電性があるものに電線が触れており漏電が発生しているパターンです。ほかにも気づかないうちに電線が草や木や石に触れてしまっており、漏電が発生していることがあります。漏電があると、電気柵全体の電圧が下がってしまうので、イノシシに十分な電気ショックを与えることができません。 また、ガイシを使わずに支柱に直接電線を巻き付けるのは避けましょう。傍目は通電性が無い材質だとしても、電気柵は高電圧であるため、漏電が起こります。ガイシを使っていても、電線が適切に取り付けられておらず金属個所に触れてしまっている場合もあるので、設置の際によく確認しましょう。 地面の通電性に注意 先ほど電気柵の仕組みの部分でも触れましたが、電気柵は豆電球のような仕組みでイノシシが触れることで地面(アース)との間に回路ができることで電気が流れます。 しかし、柵を設置する場所の地面が通電しにくい状態の場合、十分な効果が得られません。 具体的には、コンクリートやアスファルト、石畳といった場所は避けるようにしましょう。 また、乾燥した土壌など、地質や土壌条件によっては通電が悪くアースが取りにくい場合があります。 柵を設置しようとする場所とコンクリートやアスファルトが近い場合は、柵がコンクリート等からできるだけ離れるよう設置場所を調整するか、通電性の良いトタン板などを敷くことによってアースとして機能させるという手もあります。 またアース棒を使って地面と本体のあいだにアースを取る場合は、アース棒がきちんと設置場所の地面に埋まっているか、断線していないか確認します。 設置時に適切な通電状態を確認するのはもちろん、設置後も定期的にチェックすることが重要です。 2.傾斜地から離す 電気柵を設置する場合は傾斜地から離すようにしましょう。...
シカによる被害と、捕獲するための罠について
シカによる農作物被害額は、過去数年にわたって横這い傾向となっているものの、平成30年度では約54億円に達しており、依然として深刻な状況です。イノシシの被害額である47億円を上回っており、最も被害を与える野生鳥獣となっています。 なお、被害があっても申告がないケースもあるため、上記の被害額は実態よりも少ないとも言われています。 また、長期にわたるシカの生息数の増加及び生息域の拡大によって、森林の被害も深刻な状況です。全国の森林の約2割でシカによる被害が確認されており、被害面積は全国で年間約3500ヘクタール(平成30年度)に達しており、野生鳥獣による森林被害の約3/4がシカによるものです。 ここまでシカの被害が広がった要因のひとつとして、シカの高い繁殖力が挙げられます。シカは生育環境がよければ1歳から妊娠し、ほぼ毎年子供を生みます。1度に産むのは1頭ですが、繁殖期には少数のオスが多数のメスを囲う(一夫多妻)であり、オスのまわりの妊娠可能なメスはほとんど妊娠します。 その結果、年率約20%で個体数が増え、4~5年で個体数は倍増するともいわれています。 環境省による推定では、全国で約244万頭のシカが生息(平成29年度末。北海道を除く)、平成26年度以降減少傾向となっていますが、平成初頭が約50万頭だったのに比べると、依然として高い水準で推移しており、捕獲による個体数の削減がまだまだ必要であることが示されています。 環境省はシカの生息頭数を令和5年度までに約150万頭まで減らすことを目標としており、捕獲等による対策の推進が実施されています。 直近の全国シカ被害 多くの地域で、シカによる被害が増えて深刻化しており、各自治体でも対応に苦慮している状況です。 奈良公園周辺 奈良公園(奈良市)は天然記念物のシカ約1300頭が生息しており、年間約1000万人が訪れる人気スポットです。しかしながら、今年は新型コロナウイルスによって観光客が減少し、シカが観光客から鹿せんべいをもらえなくなりました。 その結果、木の実などの餌を求め、シカが市街地や山林部に移動。商店の売り物が食べられたり、周辺の畑や花壇が荒らされるなどの被害が発生しています。 群馬県甘楽町 群馬県は関東地方では最大のりんご生産量を誇ります。甘楽町は豊かな自然を生かして化学農薬を抑えて、「陽光」や「ふじ」などの品種をはじめとした美味しいりんごが生産されています。 しかしながら、近年シカによるリンゴの食害が深刻化しており、今年は収穫が例年の3分の2程度に落ち込みそうな農家や、畑の約半分が被害に遭ったという生産者もいる状況です。 シカによる食害が広がるとともに、町内でのシカの捕獲頭数も右肩上がりとなっており、2015年度は31頭だったのが、本年度は11月4日時点で既に201頭に上っています。 静岡県伊豆半島 かつては、伊豆半島では国有林の中においてシカが保護されており、「鳥獣保護法」により、メスは捕獲禁止、オスは1日1頭と制限がかけられていました。 しかし、伊豆半島や富士山周辺でシカによる食害が深刻化。樹皮剥や下層植生の食害をはじめ、田畑にも被害が出ているため、本年度からメスジカを狙ってわなを集中的に仕掛け、繁殖を抑えるメスジカ重点捕獲を開始しています。 シカを捕獲するには? シカの食害を根本的に減らすには、捕獲による個体数の削減が必要になります。具体的には、「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」といった罠を使って捕獲を行います。 以下のページにて、それぞれの罠の特徴や動作について説明していますので、参照くださいませ。※罠の設置には基本的に、「わな猟免許」が必要になります。 各種わな説明&販売ページ 箱罠 シカの捕獲に適した実績多数の箱罠です。出没する場所を選んで設置します。もっと詳しく>> くくり罠 初心者からベテランまで。安くて高捕獲率と好評のくくり罠です。もっと詳しく>> 囲い罠 天面の半分が開いており、条件を満たせば狩猟免許不要で設置できます。もっと詳しく>> よくある質問...
シカによる被害と、捕獲するための罠について
シカによる農作物被害額は、過去数年にわたって横這い傾向となっているものの、平成30年度では約54億円に達しており、依然として深刻な状況です。イノシシの被害額である47億円を上回っており、最も被害を与える野生鳥獣となっています。 なお、被害があっても申告がないケースもあるため、上記の被害額は実態よりも少ないとも言われています。 また、長期にわたるシカの生息数の増加及び生息域の拡大によって、森林の被害も深刻な状況です。全国の森林の約2割でシカによる被害が確認されており、被害面積は全国で年間約3500ヘクタール(平成30年度)に達しており、野生鳥獣による森林被害の約3/4がシカによるものです。 ここまでシカの被害が広がった要因のひとつとして、シカの高い繁殖力が挙げられます。シカは生育環境がよければ1歳から妊娠し、ほぼ毎年子供を生みます。1度に産むのは1頭ですが、繁殖期には少数のオスが多数のメスを囲う(一夫多妻)であり、オスのまわりの妊娠可能なメスはほとんど妊娠します。 その結果、年率約20%で個体数が増え、4~5年で個体数は倍増するともいわれています。 環境省による推定では、全国で約244万頭のシカが生息(平成29年度末。北海道を除く)、平成26年度以降減少傾向となっていますが、平成初頭が約50万頭だったのに比べると、依然として高い水準で推移しており、捕獲による個体数の削減がまだまだ必要であることが示されています。 環境省はシカの生息頭数を令和5年度までに約150万頭まで減らすことを目標としており、捕獲等による対策の推進が実施されています。 直近の全国シカ被害 多くの地域で、シカによる被害が増えて深刻化しており、各自治体でも対応に苦慮している状況です。 奈良公園周辺 奈良公園(奈良市)は天然記念物のシカ約1300頭が生息しており、年間約1000万人が訪れる人気スポットです。しかしながら、今年は新型コロナウイルスによって観光客が減少し、シカが観光客から鹿せんべいをもらえなくなりました。 その結果、木の実などの餌を求め、シカが市街地や山林部に移動。商店の売り物が食べられたり、周辺の畑や花壇が荒らされるなどの被害が発生しています。 群馬県甘楽町 群馬県は関東地方では最大のりんご生産量を誇ります。甘楽町は豊かな自然を生かして化学農薬を抑えて、「陽光」や「ふじ」などの品種をはじめとした美味しいりんごが生産されています。 しかしながら、近年シカによるリンゴの食害が深刻化しており、今年は収穫が例年の3分の2程度に落ち込みそうな農家や、畑の約半分が被害に遭ったという生産者もいる状況です。 シカによる食害が広がるとともに、町内でのシカの捕獲頭数も右肩上がりとなっており、2015年度は31頭だったのが、本年度は11月4日時点で既に201頭に上っています。 静岡県伊豆半島 かつては、伊豆半島では国有林の中においてシカが保護されており、「鳥獣保護法」により、メスは捕獲禁止、オスは1日1頭と制限がかけられていました。 しかし、伊豆半島や富士山周辺でシカによる食害が深刻化。樹皮剥や下層植生の食害をはじめ、田畑にも被害が出ているため、本年度からメスジカを狙ってわなを集中的に仕掛け、繁殖を抑えるメスジカ重点捕獲を開始しています。 シカを捕獲するには? シカの食害を根本的に減らすには、捕獲による個体数の削減が必要になります。具体的には、「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」といった罠を使って捕獲を行います。 以下のページにて、それぞれの罠の特徴や動作について説明していますので、参照くださいませ。※罠の設置には基本的に、「わな猟免許」が必要になります。 各種わな説明&販売ページ 箱罠 シカの捕獲に適した実績多数の箱罠です。出没する場所を選んで設置します。もっと詳しく>> くくり罠 初心者からベテランまで。安くて高捕獲率と好評のくくり罠です。もっと詳しく>> 囲い罠 天面の半分が開いており、条件を満たせば狩猟免許不要で設置できます。もっと詳しく>> よくある質問...
国や自治体が取り組む鳥獣被害対策について
目次 1令和2年の農林水産予算の概要 2A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦について 1支援の対象となる事業の例 3B:シカによる森林被害緊急対策事業について 1事業の内容 4都道府県の対策 5個人が補助を受けるには? 6補助金交付の例 1千葉県袖ヶ浦市 2福島県白河市 3北海道京極町 7まとめ 近年、おもに中山間地域を中心にイノシシ・シカ等の獣類やカラス・ハト等の鳥類による農作物への被害が多発しています。全国の被害額は平成30年度で約158億円となっており、農業を営む方にとっては営農意欲が無くなるほどの深刻な状況が続いています。 また、農作物被害だけでなく、住宅地への侵入や車両と獣の衝突事故、家屋の糞尿被害など、上記被害額以外にも様々な被害が発生しています。 令和2年の農林水産予算の概要 農林水産省は、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、被害が発生している地域の各市町村が中心となって実施する施策に対して、支援を行っています。 支援内容としては、「A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦」と「B:シカによる森林被害緊急対策事業」の2つがあります。 上記の政策目標としては、 深刻な農作物被害を⽣じさせているシカ、イノシシ、サルの捕獲を強化すること、野⽣⿃獣のジビエ利⽤量を拡⼤することが掲げられています。 A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦について 各市町村が中心となって作成した「被害防⽌計画」に基づく取組等を総合的に⽀援するための交付金です。令和2年度の予算額は約100億円です。▶鳥獣被害防止計画の例(神戸市) 支援の対象となる事業の例 鳥獣被害対策のための機材購入や環境管理・捕獲活動経費の支援や、ICTを活用した捕獲の効率化、捕獲・処理加工の人材育成、ジビエ肉用途や新規用途の利用拡大のための設備導入などが支援の対象となります。例としては、以下のとおりになります。 ①総合的な⿃獣被害対策 ・侵⼊防⽌柵の設置/再編整備や捕獲機材の導⼊ ・刈り払い等による害獣の⽣息環境管理 ・捕獲活動経費の直接⽀援 ・捕獲技術⾼度化施設の整備・導入支援 ・焼却施設の整備・導入支援...
国や自治体が取り組む鳥獣被害対策について
目次 1令和2年の農林水産予算の概要 2A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦について 1支援の対象となる事業の例 3B:シカによる森林被害緊急対策事業について 1事業の内容 4都道府県の対策 5個人が補助を受けるには? 6補助金交付の例 1千葉県袖ヶ浦市 2福島県白河市 3北海道京極町 7まとめ 近年、おもに中山間地域を中心にイノシシ・シカ等の獣類やカラス・ハト等の鳥類による農作物への被害が多発しています。全国の被害額は平成30年度で約158億円となっており、農業を営む方にとっては営農意欲が無くなるほどの深刻な状況が続いています。 また、農作物被害だけでなく、住宅地への侵入や車両と獣の衝突事故、家屋の糞尿被害など、上記被害額以外にも様々な被害が発生しています。 令和2年の農林水産予算の概要 農林水産省は、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、被害が発生している地域の各市町村が中心となって実施する施策に対して、支援を行っています。 支援内容としては、「A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦」と「B:シカによる森林被害緊急対策事業」の2つがあります。 上記の政策目標としては、 深刻な農作物被害を⽣じさせているシカ、イノシシ、サルの捕獲を強化すること、野⽣⿃獣のジビエ利⽤量を拡⼤することが掲げられています。 A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦について 各市町村が中心となって作成した「被害防⽌計画」に基づく取組等を総合的に⽀援するための交付金です。令和2年度の予算額は約100億円です。▶鳥獣被害防止計画の例(神戸市) 支援の対象となる事業の例 鳥獣被害対策のための機材購入や環境管理・捕獲活動経費の支援や、ICTを活用した捕獲の効率化、捕獲・処理加工の人材育成、ジビエ肉用途や新規用途の利用拡大のための設備導入などが支援の対象となります。例としては、以下のとおりになります。 ①総合的な⿃獣被害対策 ・侵⼊防⽌柵の設置/再編整備や捕獲機材の導⼊ ・刈り払い等による害獣の⽣息環境管理 ・捕獲活動経費の直接⽀援 ・捕獲技術⾼度化施設の整備・導入支援 ・焼却施設の整備・導入支援...