近年、森林伐採や山の開拓などによって、イノシシは従来の場所でエサが取れなくなり、民家の付近に出没して畑の農作物や生ゴミなどを荒らしてしまうという被害が深刻になっています。
イノシシ対策にはさまざまな方法がありますが、手軽にできる方法として唐辛子や音による対策が注目されています。本記事では、イノシシに有効とされる唐辛子や音の対策方法について詳しく紹介します。
目次
イノシシによる深刻な被害

イノシシの被害は、農作物やゴミを荒らすだけではなく、人間に対して被害をもたらすこともあるため、十分な注意が必要です。
農作物への被害
イノシシによる農作物被害によって、地方の農業では深刻な影響が出ています。イノシシはサツマイモやカボチャなどを好み、これらは実になる以前のツルの状態のうちに食べられてしまうこともあります。
また、トウモロコシ、トマト、ニンジン、リンゴ、ブドウ、モモ、ナシ、ミカン、カキ、スイカ、メロン、イチゴ、稲や豆類など、多くの作物も食べてしまうため、幅広い作物を栽培する農家がイノシシ対策に頭を悩ませているのです。
イノシシによる被害の報告件数は年々増えており、環境省のデータによると、令和5年のイノシシによる農作物の被害量が24,9トン、被害金額にすると36億2,700万円の損害が出ています。(1)
作物を食べてしまうだけではなく、イノシシの鋭い牙と強力な鼻によって地面が掘り起こされてしまうため、農地全体に被害が及びます。イノシシが被害をもたらす時期は、秋から冬にかけてです。イノシシの活動が活発になり、収穫前の作物が荒らされてしまうので大きな損失です。
環境被害
イノシシは、畑だけではなく、民家にも出没します。民家やゴミ置き場周辺に置かれたゴミや、畑に放置されている残渣(ざんさ)なども荒らし、さらに畑で泥浴びをするため、イノシシが出ると街の景観が損なわれ、環境にも被害をもたらします。
人的被害
イノシシが人間の民家が集まるエリアに入り込んできてしまうと、突進されたり噛みつかれたりして人がけがをする可能性もあります。また、農作業中に襲われた、罠から逃げたイノシシが襲ってきた、イノシシが市街地まで侵入してきて複数の人を攻撃したなどのケースも見られます。
環境省のイノシシによる人身被害件数によれば、令和4年のイノシシによる人的被害件数は68件、被害人数は85名、そのうち死亡者は1名となっています。(2)
また、イノシシから豚コレラウイルスを媒介して人が感染する、イノシシに寄生したダニによってダニ媒介性脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ツツガムシ病などに感染する危険もあります。
イノシシによる被害かどうかを見極める方法

畑や民家を荒らして被害を与えるのは、イノシシだけではありません。サルやクマ、タヌキ、ハクビシン、カラスなどによるものもあります。
イノシシによる被害かどうかを確認する場合は、以下の点をチェックしてみましょう。
イノシシの足跡かどうか
イノシシの足跡は、ひとつの長さは5cm〜8cm、細長い蹄が2本あるのが特徴です。かかとの部分には小さな副蹄の跡があるため、1セットで合計4個の跡がついているのがイノシシです。
掘り起こした跡があるか
イノシシは、農作物を掘り起こして、作物を食べます。そのため、掘り起こしの跡がみられる場合は、イノシシによる被害の可能性が高いです。また、農作物を掘り起こす以外にも、草の根やミミズなども掘り起こして食べます。そのため、作物がない場所を掘り返すこともあります。
イノシシの生態系

イノシシによる被害を防ぐためには、まずイノシシの生態系を理解しなければいけません。イノシシの生態は次の通りです。
イノシシ:ウシ目イノシシ科の哺乳類
体長:100~170cm
体重:80~190kg
寿命:平均寿命は1~2才(長ければ10年)
繁殖期:発情期は12月~1月 4月~6月に出産
(一度に4~5頭を産む)
イノシシの雌は親子で群れを作ります。ただし、成獣の雌のみで群れを形成する場合もあります。また、オスは生後一年ほどで群れを離れて、単独行動をするようになります。
イノシシは本来は昼行性ですが、人間を避けるために夜行性になったといわれています。また、生息地域は増加傾向にあるため、日本各地でイノシシによる被害が拡大しています。
イノシシの特徴
次に、イノシシの特徴について見ていきましょう。
- ・非常に神経質で警戒心が強い
- ・嗅覚が鋭い
- ・跳躍力が高く、成獣であれば110cm程度の柵なら助走せずに跳び越えられる
- ・生後半年の幼獣も65cm ほどの柵は飛び越えられる
- ・俊足で時速約45kmで走れる
- ・泳げる
- ・雑食のため人間の出した生ゴミなども漁る
- ・鼻の押し上げる力が強く、60kgほどの物なら動かせる
イノシシは、身体的な能力が非常に優れた害獣といえます。警戒心が強く、普段は大人しいとされていますが、威嚇すると興奮して人間を攻撃することもあるので注意が必要です。
イノシシを見かけても追いかけたりするのはやめましょう。また、子供のイノシシを見かけたら、近くに親がいると考えてください。
おすすめのイノシシ対策:唐辛子

イノシシ対策はさまざまな方法がありますが、手軽にできて意外に効果的なものを2つ紹介します。まずは、唐辛子です。イノシシは、鋭い嗅覚を持っています。一般的に嗅覚が鋭い動物は、刺激の強い匂いを嫌う傾向があるため、その性質を利用して唐辛子によってイノシシを追い払う方法です。
唐辛子には、「カプサイシン」という辛味成分が含まれています。イノシシをはじめとする野生動物は、このカプサイシンの匂いに反応して嫌がって近づかない習性を利用するものです。
唐辛子を地面に蒔く
唐辛子でイノシシ対策を取る場合、唐辛子を畑や民家の軒先などにぶら下げて置く方法があります。唐辛子はスーパーやホームセンターなどでも売られているため、手軽に手に入ります。簡単なのですぐにでもできる対処法といえます。
また、より唐辛子の効果を高めるなら、唐辛子をそのままぶら下げておくのではなく、刻んだものを地面にまくと効果が高まります。ただし、唐辛子に水が触れると効果が半減してしまいます。
唐辛子をまいた後に雨が降ったり水をまいたりした場合は、晴れたときに再度刻んだ唐辛子をまいてください。また、唐辛子が濡れると赤い色が付くことがあるので注意が必要です。
唐辛子は暑さに強く、あまり水もいらないとされている植物です。畑や自宅の周りにまいておいたり、イノシシの被害を受けている畑を囲むように植えて対策を取るのもよいでしょう。
唐辛子以外にイノシシ対策に使える植物
唐辛子以外にも、イノシシは匂いの強い植物を嫌います。ネギやニンニク、生姜、シソ、ごぼうなどの作物は荒らさないとされていることから、これらの作物を畑の外側やイノシシの通り道などに植えて育てるのもよいでしょう。
特にシソは、食用としても使えるため便利です。シソに含まれる有機化合物ペリルアルデヒドの特有の香りと辛味がイノシシの忌避剤になります。有機化合物ペリルアルデヒドは、イノシシが好きな食べ物の匂いを遮断する働きもあるため、周りの農作物被害を少なくすることも期待できるでしょう。
また、ハーブ類もイノシシ対策になります。レモングラスからイノシシが嫌がる成分を抽出して、畑に撒いたりミントを育てたりすることでイノシシが近寄りにくくなります。
そのほかにも、化粧品や石けんのにおいもイノシシは苦手です。お線香や木酢液を使ってみるのもよいでしょう。
木酢液はセト酢酸や酢酸エチル、メタノール、フェノールなど、イノシシが嫌がる匂いを発するため、木酢液を散布すればイノシシの侵入を防ぐことができます。また、木酢液には殺菌効果もあるので、農作物の病気を予防したり発育を促進する働きも期待できるでしょう。
ただし、木酢液は匂いが強いため、使用する際は近隣の住民と事前に話し合いをして理解を得てから使用してください。
おすすめのイノシシ対策:音

イノシシの嫌う音によって、イノシシを近づけない方法もあります。イノシシに500~1000Hzの効果的な音を発生させて、人間がいると思わせてイノシシに警戒させるのです。
イノシシは臆病な性質で、さらに人間を避けるために夜行動します。その性質を利用して、音によってイノシシを追い払います。「音がするのは、近所にも迷惑がかかる」と思うかもしれませんが、人の耳には聞こえない超音波を使ったイノシシ対策の音なら安心です。
音によるイノシシ撃退の機器は、メーカーや機能にもよりますが、1台1,000円〜50,000円程度と獣害対策の中では比較的安価な点もおすすめの理由です。
ほとんどの製品は、地面に支柱を挿すだけで使えて、防水加工やソーラー充電で電池交換が不要なものばかりなので、設置後のメンテナンスに手間がかからない点もメリットといえるでしょう。
超音波装置は人間には聞こえませんが、動物に聞こえる周波数を出す機械です。しかし、周波数によっては赤ちゃんや子供には不快な音に聞こえることもあるため、小さな子供がいる周辺で使う場合は注意が必要です。
音のイノシシ対策を取る場合の注意点
音によってイノシシ対策を取る場合、次の点に注意しましょう。
- ・イノシシに対応した製品を選ぶ
- ・効果の範囲を確認する
- ・適切な場所に適切な音量で設置する
- ・場所は定期的に変える
害獣によって苦手な音や周波数は異なるため、イノシシが嫌う音が出るものを選びましょう。製品の周波数や音量をチェックしてみてください。効果の範囲も重要です。製品ごとに効果の範囲は異なるため、しっかりと対策したい範囲をカバーできる製品かどうかを確認しましょう。
また製品は、害獣の生息地や通り道に適切な音量で設置してください。設置場所の高さや角度なども重要です。使用前に製品の説明書をしっかり読んで、効果的な対策が取れるようにしましょう。
設置場所は定期的に変えた方が効果的です。常に同じ場所から音がすると、イノシシが慣れてしまいます。適度に場所を変えることで、人間があちこちに存在すると思わせるとよいでしょう。
唐辛子や音以外のイノシシに有効な対策

イノシシ対策に有効な方法は、ほかにもさまざまあります。唐辛子や音と合わせてほかの対策も取ることで、より効果を発揮するでしょう。
ライト
畑や民家の敷地内にセンサー付きのライトを設置しておくと、臆病なイノシシは驚いて逃げてしまいます。ソーラー式のライトなら、コスパを抑えて設置ができ、夜間に行動するイノシシを近づけないよう対策が取れます。
ライトによる対策は、イノシシだけではなくそれ以外の害獣に効果がある場合もあり、夜間に荒らされる農作物を複数の害獣から守れることもあります。ライトによる対策を取る場合は、いくつかのライトを設置して、イノシシの侵入を防ぐために暗い死角ができないようにしてください。
ライトの種類は、白色LED照射ライトや白色ストロボライト、赤外線センサーライトなどがあります。白色LED照射ライトは、明るい白色で夜間でも目立ちます。300ルーメン以上の高輝度のLEDライトがおすすめです。
白色ストロボライトも、1つだけではなく複数の白色ストロボライトを設置しましょう。定期的に強い光を発っしてイノシシを威嚇します。ライトの対策も、音と同様にイノシシが光や明るさに慣れてしまうと侵入してきてしまうため、定期的に効果を確かめながら使ってください。
防護柵
畑を囲むように防護柵を設置して、イノシシの侵入を防ぎます。防護柵には複数の種類があります。イノシシは硬い毛で体を覆っているため、有刺鉄線の効果はあまり期待できません。
トタン板
トタン板は、視覚的遮断効果があり材料費を安く抑えられる対策です。ただし、イノシシは跳躍力が高いため、高さが十分にないと飛び越えてしまいます。また、強い鼻を使って持ち上げたり押し倒したりされることもあります。
防獣ネット
防獣ネットは、起伏の多い場所でも設置しやすく、侵入防止効果が高い点がメリットです。目の細かいネットなら、視覚的な遮断効果も期待できるでしょう。ただし、網を食い破られたり、網目を押し広げて侵入してくる可能性があります。
金網やフェンス
金網やフェンスは、強度が高くイノシシの侵入防止効果が高い対策です。また、耐用年数が長い点も特徴です。ただし、視覚的な遮断効果はありません。また、下から侵入される可能性があるのと、網目が大きいと幼獣は通り抜けられてしまいます。
電気柵
電気が流れる電気柵は、イノシシが触れると感電するため驚いて逃げる効果があります。イノシシは鼻の先でものを確認する性質があるため、鼻先が感電すればそれ以上近づくことはありません。
ただし、電気柵は定期的にメンテナンスを行う必要があります。設置したまま放置すると火災の原因になることもあるため注意しましょう。また、設置する場所も、木や草が近くにない場所を選ぶか、草木が触れないよう防草シートを敷いてから安全に設置してください。
柵を設置する際のポイント

柵を設置する際には、次のようなポイントを抑えるとより効果的です。
- ・二重に立てて立体感を出す。
- ・柵の上部のみ外側に向け、斜めに立てる。(イノシシから見ると飛び越えづらく感じます)
- ・柵を二重に立てる際、内側の柵をトタン等にして目隠し効果を出す。
- ・イノシシが柵を飛び越えられなくて穴を堀ってくぐり抜けないよう、地面に網を張る。
イノシシによる被害を減らすために

イノシシ対策は、道具を使うものばかりではありません。そもそも、イノシシが畑や集落など、人の住んでいるエリアに近づかないよう人間の方でも環境を整えることも大切です。
地域によっては、自治体がイノシシ対策に関する補助を行っているところもあるため、周辺の住民とも相談し、予算も考慮しながら最善の対策を取るようにしましょう。
周辺の環境を整える
まずは、周辺の環境の整備を行いましょう。イノシシは、一度お気に入りの場所だと思うとあらゆる手段を使って侵入しようとします。イノシシが好むような環境を作らないことです。
エサとなるものを放置しない
畑には野菜や果物の残渣を残さないようにしましょう。畑の中や周辺に野菜や果物が残っていると、イノシシがそれらを狙って近づきます。
イノシシは一度食べ物があると分かると、その場所に何度も侵入してきます。必ず残渣は放置せず、土の中に埋めるか生ごみとして処分しておきましょう。また、近隣の畑や庭に、誰も収穫しない果樹がないかも確認してください。
実がなっている果樹が近くにあると、イノシシが食べ物を求めて近寄ってくるリスクが高まります。畑の残渣と同様、一度イノシシが食べ物のある場所と認識してしまえば、果樹を目当てに何度も出没するようになるため、過疎地に放置されている果樹がないかを調べてきちんと管理しましょう。管理ができない場合は、伐採してしまう方が安心です。
雑草は刈り取る
雑草は放置せずに定期的に刈り取るようにしましょう。雑草が伸びていると、背の低いイノシシが身を隠す格好の場所になってしまいます。自宅周辺だけではなく、耕作放棄地や竹やぶなどがある場合は、自治体とも連携して整備を行いましょう。
また、ツルが伸びる植物もしっかり管理する必要があります。ツル系の植物は成長が早いため、つい放置して伸ばしっぱなしにしがちですが、ツルに実がつけばイノシシが食べにやってきます。支柱に巻きつけるなど、適切な処置を行いましょう。
ツルが電気柵に絡んでしまうと、漏電するリスクがあります。ツルの伸びる植物は、イノシシ対策の柵からは離すようにしてください。
雑草駆除は、高齢化が進む地域では近隣の住民だけで行うことが難しい場合もあります。その際は、自治体に相談して一緒に対策を考えてもらいましょう。
定期的に見回りをする
イノシシを畑や民家に近づけないよう定期的に見回りをしましょう。頻繁に見回りを行っていれば、イノシシは人の気配を感じてその地域を避けるようになることが期待できます。
イノシシがよく通るけもの道やヌタ場などの場所の周辺を見回るとよいでしょう。けもの道の入り口のあたりを5〜10mほど歩くだけでも効果があります。人が頻繁に通っていてその痕跡があれば、イノシシはこの場所は危険だと感じて近寄らなくなります。
忌避剤を使う
唐辛子やハーブ同様、忌避剤を使う方法もあります。忌避剤は、イノシシが嫌がる匂いや光が出るようになっているため、忌避剤がある周辺にはイノシシは近づかなくなります。さまざまな種類のイノシシ用の忌避剤があるので、それらと唐辛子を組み合わせて使ってみるのもよいでしょう。
しかし、イノシシが忌避剤に慣れてしまうと効果はなくなってしまいます。複数の忌避剤や唐辛子、ハーブなどを使い分けたりして、イノシシが慣れないよう工夫してみましょう。
警戒音装置を付ける
イノシシは音に敏感なため、大きい音がする場所には近寄りません。そのため、人間には聞こえない超音波の装置とは別に、警戒音が鳴る装置を設置することもイノシシの侵入を防ぐために有効です。
ただし、警戒音装置もイノシシが慣れてしまうと効果がなくなり、イノシシが侵入してきてしまいます。設置場所を変えたり、音量を変えたりしてイノシシを威嚇しましょう。また、警戒音装置を使う場合は、近隣の住民とも事前に相談してトラブルがないようにしてください。
犬を飼う
犬を飼うことも、イノシシの被害対策になります。イノシシが犬の足跡やマーキングの臭いを警戒するためです。イノシシが侵入したり出没したりしやすい場所に犬小屋を置きましょう。
イノシシが出没した際に、犬が吠え続けて威嚇してくれます。イノシシは犬に吠えられ、追い払われると警戒して近づきにくくなります。ただし、イノシシは威嚇されると興奮して突進することがあります。飼い犬や人間がケガをする恐れがあるので、十分に注意しましょう。
もし、犬の散歩中にイノシシに遭遇した場合は、犬を向かわせるのではなく速やかにイノシシから遠ざけるようにしてください。
罠を仕掛ける
罠を仕掛けておくのもよいでしょう。農林業に従事している人がいれば、囲い罠であれば免許がなくても使用できます。被害の状況にもよりますが、罠を仕掛ける際は、なるべく耕作地の周りは避けるようにしてください。
イノシシは警戒心の強い害獣です。罠を少し土に埋めるようにしたり周辺の植物でカムフラージュしたりして、イノシシに気づかれないよう工夫しましょう。イノシシを誘うためのエサは、周辺で栽培されている作物とは別のものを用意します。近隣の畑と同じ作物を誘い餌に使うと、イノシシの餌付けになってしまいます。
また、音によるイノシシ対策の場合は、定期的に装置の場所を変える方が効果的ですが、罠を仕掛ける場合は、設置場所はあまり頻繁に変えないようにしましょう。罠の位置が何度も変わるとイノシシが警戒して近寄らなくなります。
捕獲・駆除の依頼をする
イノシシは、一度、エサがある場所と認識したところには、たとえさまざまな対策を施してもあらゆる手段を使って侵入を試みます。「イノシシ対策をしても思ったより効果が出ない」「イノシシは変わらず出没する」と悩みを抱える人もいるでしょう。
イノシシなどの野生鳥獣は「鳥獣保護および狩猟に関する法律」で保護されているため、基本的には、一般の人が捕獲をすることは禁止されています。
しかし、野生鳥獣による被害が大きく深刻な場合は、有害鳥獣として捕獲することが可能です。ただし、捕獲する際は申請が必要であり、さらに捕獲に使うための銃や罠を使用する際には資格がなければいけません。
さまざまなイノシシ対策を行っても、思うような効果が出ない、相変わらず被害があるという場合は、自治体や猟友会に捕獲や駆除の依頼をしましょう。
基本的にイノシシの捕獲が禁止されていても、その被害が大きいことが分かれば有害鳥獣として捕獲できます。農作物や人に危害を及ぼすと分かれば自治体や猟友会が、捕獲や駆除に乗り出してくれます。
個人での捕獲や駆除は禁止されているうえに、狩猟免許の取得や都道府県への狩猟者登録が必要となるため、イノシシ対策が行き詰まった場合は、自治体などに捕獲や駆除の相談をするとよいでしょう。
イノシシによる被害対策は唐辛子や音が有効|ほかの手段も組み合わせるのがおすすめ

イノシシはエサを求めて畑や民家にも侵入し、被害をもたらすだけではなく、人に危害を加えることもあるため、適切に対策を取る必要があります。
唐辛子や音を使った対策は、環境に大きな影響がなく比較的安価な値段で行えるため、イノシシ対策の第一歩として試してみるとよいでしょう。
しかし、イノシシが慣れてしまうと効果が薄れてしまいます。今回紹介したほかの方法も組み合わせて対策を行ってみてください。あまりイノシシの被害が減らない場合は、捕獲や駆除の相談もしてみましょう。