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イノシシの防除・駆除の基本

イノシシの防除・駆除の基本

農作物や家屋への被害が深刻なイノシシ。防除や駆除を中心とした対策が必要ですが、具体的にどのような手順で進めていけばよいのでしょうか?

今回は、イノシシの防除・駆除に関する基本的な知識を分かりやすく解説します。

イノシシによる被害の現状

出典:農林水産省ホームページ

農林水産省が調査したデータによると、野生鳥獣による農作物への被害金額は年間で約158億円に達しています(平成30年度)。

自治体が主体となった本格的な野生鳥獣への対策が効果を見せ、年々この数字は減少傾向にありますが被害規模はまだまだ甚大で、継続的な対策が重要となっています。

イノシシによる農作物の被害は年間約47億円

中でもイノシシによる農作物への被害は深刻です。年間での被害額は約47億円。これはシカの約54億円に次いで大きい被害額で、全体の3割以上を占めています。

農家に中には、丹精込めて作った作物を収穫前に一夜にして駄目にされ、営農意欲を無くすほどの重篤なケースも少なくありません。

被害を受けた場合、イノシシ対策として多くの人が考えるのは、防除(被害を防ぎ除くこと)や駆除(害になるものを追い払う、また捕殺して取り除くこと)です。この記事では、イノシシ被害の防除・駆除の基本について説明します。

イノシシ対策商品ページはこちら>>。

防除・駆除の基本となる3つのポイント

イノシシ被害には、大きく「防除」と「駆除」の2つの対策が挙げられます。

防除とは、被害を防ぎ除くこと。駆除とは、害になるものを追い払う、または捕殺して取り除くことをいいます。イノシシへの対策には、この2つを両立して進めていくことが大切です。

では、具体的に防除・駆除の基本となる3つのポイントを見ていきましょう。

1.体制の整備

1つ目は、体制の整備です。

体制の整備とは、イノシシ被害を自分たちの問題と考えることができるメンバーを増やすことをいいます。獣害対策は1人で取り組むより、グループで取り組むことでより効果を発揮します。個別の対策では、イノシシが移動して被害が分散するリスクも考えれることから、できる限り対策に取り組む「仲間」を増やしていきましょう。

まずは少人数でもグループを作り、それを広げていくことで地域ぐるみでの対策が可能になってきます。

2.環境の整備

2つ目は、環境の整備です。

環境の整備は、イノシシを引き寄せないための環境改善のこと。具体的には、害獣への餌付けを防止することが大切です。獣は餌をもとめて人里に寄って来ます。意図しなくても、獣が集落で餌にありつけるような環境になっていると、被害に繋がりやすくなるでしょう。

まずは、知らないうちに獣にエサをドンドンと与えてしまっている環境を無くすことが重要です。

例えば、

  • 稲刈り後のヒコバエ(2番穂)や農作物の残渣、残飯等が放置されている
  • 放任果樹(収穫されない栗や柿など)がある ・お墓にいつまでも供え物が置いてある
  • 管理されない耕作放棄地が多い(餌となる作物があったり、獣が安心して身を隠しながら人里に接近できる環境がある)

といった例が挙げられます。

3.防除・駆除

3つ目は防除・駆除です。

イノシシ対策となると、多くの方が真っ先に思いつくのはこの防除・駆除ではないでしょうか。防除施策としては、柵の整備等によってイノシシを寄せ付けないようにすることが一般的です。また駆除は、有害駆除・狩猟等をつうじて実施することになります。

★参考記事獣害の種類と対策について

イノシシの防除・駆除方法

実際のイノシシの防除・駆除方法は、上記1から3の順に段階を踏んで実施していくと効果的です。1と2は、労力や時間などお金以外のコストが大半ですが、3の実施になると機材の費用や申請・免許なども必要になってきます。ここからは、3「防除・駆除」の具体的な方法について説明します。

1.電気柵

防除策として最も一般的なのが防護柵で、イノシシによる被害を水際で食い止める最終防衛ラインです。なかでも近年、イノシシ対策として広く採用されているのが電気柵です。

電気柵の構造と目的

イノシシ対策用の電気柵は電線、支柱、碍子やクリップ、電源、アース等から構成され、構造上はそれほど頑丈とはいえません。

頑丈な柵によって物理的に防除するというよりは、イノシシが感電によるショックに驚き、電気柵に触れる恐怖を学習することによって、柵に近づかないようにすることを目的とします。ワイヤーメッシュやフェンスなどの物理的な防護柵とは異なり、電気柵は電気ショックのトラウマによる心理的な防護が目的となります。

電気柵の設置方法

まず支柱を3~4メートル間隔に立て、電線を張ります。電線の素材として、最も一般的に使用されるのがポリワイヤータイプです。柔らかいポリエチレンと金属線が編み込まれた構造で、この金属線に流れる電気に獣が触れるとショックを受ける仕組みです。

イノシシ用電気柵の場合、電線を2~3段張りにするのが基本です。電線の高さや間隔は対象獣で異なりますが、イノシシの場合は鼻先に当たりやすいように工夫することが重要です。

イノシシは鼻を使ってものを探るため、ちょうどその位置にあたるよう、最下段の電線を地面から15~20cmの高さにします。毛皮の外側から電気ショックを与えてもイノシシはショックを感じませんので、敏感な鼻に電線を接触させるようイメージしながら調整しましょう。

また、その上に20~30cm間隔で1~2本電線を張り、最上線を40~60cm程度とします。※春はイノシシの子(ウリボウ)が出るので、1段目の電気柵ワイヤーは低めに設定することをお勧めします。 電線と支柱、電源を組立・接続し、さらに必要に応じて地中にアースをとります。

乾燥した土壌はアース不良となりますので、アースは湿った場所を選び、土中になるべく深く埋めると良いでしょう。また、設置完了後は24時間通電を基本とし、できるだけ無通電の時間が生じないようにしましょう。

注意点

繰り返しになりますが、電気柵は構造としては強くありませんので、電気ショックが効果的に働かず、イノシシが鼻でフェンスを持ち上げたり、掘り起こしたりして侵入を許してしまうケースも多くあります。

また、電気ショックを受けたイノシシが驚いて柵に向かって走り出し、結果として侵入を許すだけでなく電気柵も壊されてしまったという事例もあります。 イノシシ以外の意図しない感電リスクを避けるためにも、設置して終わりではなく、整備をしっかりすることが重要です。

※電気柵以外の防護柵については、こちらの記事を参照ください。

2.駆除

増えすぎた害獣は駆除することも必要です。駆除することによって、被害は目に見えて低減します。

駆除の方法としては、イノシシの場合、くくり罠・箱罠・囲い罠等によって捕獲・駆除するケースがほとんどです。

なお、罠を使って野生鳥獣を捕獲する場合は、わな猟免許の取得が必要です。

★参考記事:害獣捕獲のための第一歩 ~必要な免許・許可について

箱罠とくくり罠の違い

イノシシを駆除するために使用する罠として代表的なのが、箱罠とくくり罠です。

箱罠とは、檻などで作られた箱型の罠で、獲物が入ってトリガーが作動すると、出入口が閉まって獲物を閉じ込め仕組みになっています。なお、天井面の半分以上が開口しているものは箱罠ではなく囲い罠として扱われます。

くくり罠とは、イノシシやシカなどの獣が設置場所を踏み込むと、押しバネの力によって罠が作動し捕獲する仕組みをいいます。

箱罠、くくり罠ついては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【参考記事】

箱罠の仕掛け方について

くくり罠の成果を上げるためのコツ 

イノシシ対策~罠の種類 

3.忌避剤

イノシシを田畑に寄せ付けないお手軽な方法としては、忌避剤が挙げられます。イノシシが嫌う臭いを配合した液体で、被害を受けたくない場所の外周部に散布することで、イノシシが近寄らないようにすることを目的とします。

使用する際の注意点

忌避剤には、各種トウガラシ、ハーブ、オオカミ尿など様々なタイプがあります。しかしながら、忌避効果は一時的であり、時間が経つとイノシシの侵入を許してしまうことがほとんどです。

また、イノシシに対して忌避効果があると判断されたものでも、実際は忌避効果があったのではなく、環境に変化が起きたことをイノシシが警戒して現れなくなったという可能性も考えれられます。その場合、イノシシが慣れると忌避効果は全く見られなくなります。忌避剤を使用する場合は永続的な効果を期待せず、散布タイミングや忌避剤の種類にメリハリをつけるなど、慣れを防ぐための工夫を施しておきましょう。

4.その他のイノシシ対策

上記の対策以外にも、最近ではイノシシを寄せ付けないための新しい対策も行われるようになってきています。中には、ロボットや超音波を活用するなど、従来のイノシシ対策では無かったような試みも始まっています。

【★参考記事】

新・イノシシ対策。

まとめ

上記の防除・駆除施策を実施したとしても、はじめのうちは効果を出していたものの、イノシシの学習能力によって無効化されてしまうケースもあります。

被害発生状況や場所はしっかりと把握しておき、効果確認しておくことはもちろん、防除策を突破された場合、イノシシの侵入経路や原因の把握、イノシシの行動を分析すること等も重要になります。

獣害対策は一朝一夕にはいきませんが、適切に対処すれば必ず被害を抑えることができますので、諦めずに解決するための方法を模索していく気持ちが大切です。