“消費者に提供するための捕獲”を学ぶ「ジビエハンター研修」

“消費者に提供するための捕獲”を学ぶ「ジビエハンター研修」
営農意欲の減退や離農の増加など、農作物の被害額として数字に表れる以上に深刻な影響を及ぼしている鳥獣被害。農林水産省ではそうした“マイナス”の存在である有害鳥獣を地域資源として活用し、農⼭村の所得に変えられるような“プラス”の存在にしていこうと、ジビエ利用の拡大を推進しています。

そこで今回お伝えしたいのが「ジビエハンター」についてです。先日「イノホイ」の責任者が宮崎県鳥獣被害対策支援センターで行われたジビエハンター研修を受講してきたので、その内容から当サイトをご利用のお客さまにも役立てていただけるような情報を抜粋してお伝えします。

ジビエは低カロリー・高タンパク・高ミネラルな食材として注目されており、今後ますます需要も高まっていくことが予想されます。狩猟免許をお持ちの方や、くくり罠・箱罠の設置を検討されている方は見逃せない内容だと思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ジビエ利用に適した捕獲

まずは研修の中で受けた「ジビエ利用に適した捕獲」についての講義内容をお伝えします。講師は国産ジビエ認証第1号取得施設「京丹波自然工房」を運営する株式会社ART CUBEの代表・垣内規誠さんでした。

ジビエの現状

近年は被害防⽌を⽬的とした捕獲が中心に行われており、なかでもシカ・イノシシの捕獲頭数が増加。令和4年度の捕獲頭数はシカが72万頭、イノシシが59万頭にのぼっています(農林水産省速報値)。 令和4年度に野生鳥獣の食肉処理を行った処理加工施設は全国で750施設。また施設で処理されたジビエは2,085トンと、平成28年度と比べて1.6倍に増加しています。

画像引用元:https://www.maff.go.jp/j/nousin/gibier/attach/pdf/index-98.pdf

「ジビエハンター」の育成

農林水産省では、令和7年度までにジビエ利用量を令和元年度の水準の倍(4,000トン)に増やすことを目標としています。それを達成するために行っているとりくみの1つが「ジビエハンターの育成」です。

ジビエ利用は捕獲段階からの衛生管理が非常に重要なため、ハンターに「趣味や有害駆除のための捕獲」ではなく「消費者に提供するための捕獲」という目的意識を持ってもらう必要があります。

そこで農林水産省はジビエハンター育成研修制度を設け、食肉利用に適した捕獲方法と、食肉処理施設に搬入するまでの衛生管理に関する知識を身に付けられる研修会を開催。そうすることで、安全なジビエの確保と捕獲個体の利用率向上を図っています。

食肉利用に適した捕獲のポイント

食肉利用に適した捕獲のポイントは以下の2つです。
1. アニマルウェルフェアへの配慮
2. ストレスを与えない捕獲技術
ウシやブタなどの家畜と同様に、野生獣もストレスを受けると肉質に影響が及びます。肉質に影響するストレスは「疲弊」と「興奮」。生時にそれらのストレスを受けた個体の肉は、色調異常やタンパク質の変性などを起こし、消費者に安心・安全な食材として提供することが難しくなります。

食肉利用に適した捕獲方法

つづいては食肉利用に適した捕獲の具体的な方法や注意点を捕獲・保定・止めさし・放血・運搬の5つの段階に分けて解説します。

1. 捕獲

銃による捕獲
・ライフル弾またはスラッグ弾を使用する
・頭部(脳・頚椎)・胸部(心臓や肺等のバイタルゾーン)を狙撃する
・腹部に着弾した個体は食肉に使用できない くくり罠による捕獲
・2時間以内に施設に輸送でき、搬出しやすい(ソリ等で滑らせやすい)場所に設置
・なるべく平坦な場所を選ぶ
・ワイヤーは長くしない(動き回るととめさしが困難、疲弊・興奮して肉質の低下につながる)
・毎日早朝に見回りする ・動かないように十分に保定し、短時間で殺処分する
箱罠による捕獲
・人の出入りが少なく、車でのアクセスが良い場所を選ぶ
・2時間以内に施設に輸送でき、搬出しやすい場所に設置
・獲物が脱水症状を起こさないよう日陰に設置
・毎日早朝に見回りし、新鮮な餌の補充・交換を行う
・動かないよう十分に保定し、短時間で殺処分する

2. 保定

くくり罠の場合
・ワイヤーの状況を確認する
・獲物の行動範囲を予測し、落ち着いて対応する
・ストレスを与えないように近づく
・足場をしっかり確認し、獲物に対して側面から接近する
・角・鼻・首・足等の2点もしくは3点にワイヤーをかけて保定し、前後左右の動きを止めてから殺処分を行う
・盾等の防護対策をする
・複数人で対応する
箱罠の場合
・獲物の行動範囲を予測し、落ち着いて対応する
・ストレスを与えないように近づく
・角・鼻・首・足等にワイヤーをかけて保定し、動きを止めてから殺処分を行う
・扉付近での保定が望ましい(木材などを網目から差し込んで可動域を制限し、扉側に誘導するとよい)
・複数人で対応する

3. 止めさし

・食肉利用に適した止めさしの方法は、銃殺・たたく・首の圧迫・電殺の4つ

4. 放血

・ナイフは長さが10cm程度、かつ柄が合成樹脂製のものを使用し、使用する前にアルコール消毒を行う
・切開面は最小限にする
・心臓または尻尾方向にナイフを入れ、心臓の上の太い動脈を切断する(食道・気管を傷つけない)
・足を持ったり傾斜を利用したりして頭部を低くし、血が流れ落ちる道を確保する
・体温を調べ、シカは40度、イノシシは42度以上など、異常が認められた場合は食用にしない

5. 運搬

・消費者に提供する食材という意識を持って丁寧に扱う ・運搬はソリ等を使用し、直接地面を引きずらない

食肉利活用の手法

研修では食肉利用に適した捕獲についてだけでなく、事業計画の立て方から流通まで、食肉利活用事業全体についても触れられていました。ここからは研修で配布された冊子「野生鳥獣被害防止マニュアル〜捕獲鳥獣の食肉等利活用(処理)の手法〜」から一部を抜粋し、大まかな流れや重要ポイントを解説していきます。

捕獲個体を利活用するための基本的な考え方

1. 捕獲後は適切に処理する
・捕獲個体を野外にそのまま放置することは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」原則禁止されている
・捕獲個体を生活環境上影響が生じるような処理を行った場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に抵触する可能性もある
・捕獲個体を業として食肉に利活用する場合は「食品衛生法」を遵守する必要がある
・厚生労働省が策定した「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」あるいは都道府県等が定めた指針(ガイドライン)に原則従って、衛生的に処理・活用しなければならない
・食肉処理施設で受け入れた場合は、食肉にできない個体や部位は「廃棄物」として適切に処分する

2. 捕獲者・処理業者の役割

捕獲者
・できるだけ多くの個体を食肉として利活用するため、適切な方法による捕獲・血抜き・施設への搬入を行う
・捕獲したシカやイノシシが地域の食材・資源であることを意識し、食肉処理施設への協力や個体の丁寧な取り扱いなど、できる取り組みを行う

食肉処理業者

・衛生処理のガイドラインを遵守し、安全な食肉を一般消費者へ届けることを意識する
・食肉処理施設に搬入された場合、食肉に適さない個体や部位などは、廃棄物として適切に処理する
・ペットフードへの利用や減容化処理など、廃棄コストを減らす取り組みを検討する

3. 捕獲から食肉処理、販売までに必要な許可

シカやイノシシを捕獲し、食用に供する目的で処理・販売・加工する場合は、食品衛生法による以下の営業許可が必要です。

食肉処理業…食用に供する目的でシカやイノシシをと殺・解体する営業または解体された個体の肉、内臓等の分割や細切する営業。一般的に食肉処理業者が、許可施設でのみ販売する場合はこの営業許可で販売できる。この許可を得ていない施設で解体処理されたシカやイノシシの肉は販売できない

食肉販売業…野生動物の生肉(骨及び臓器を含む)を販売する営業で食肉処理業の許可施設以外の施設で販売する場合にこの営業許可が必要。加工品を製造する場合はどのような加工品(燻製、瓶詰など)を製造するかにより、「食肉製品製造業」、「缶詰又は瓶詰食品製造業」等の営業許可が必要になることもある

4. 衛生管理

トレーサビリティ

食中毒の発生時における問題食品(違反食品等又は食中毒の原因若しくは原因と疑われる食品等をいう)の早期の特定・排除を可能とし、問題食品の流通や食中毒の拡大防止を迅速・効果的かつ円滑に実施するため、捕獲から食肉処理、販売にいたるまでの各段階において、個体管理番号を付した記録の作成および保存を行うよう努めてください。また記録した帳簿は3年間保存するように努めましょう。

HACCP(ハサップ)

令和2年の食品衛生法改正により、HACCPに沿った衛生管理が義務化されました。HACCPとは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の5つの単語の頭文字に由来する国際基準を満たした衛生管理手法の一つ。 完成品を抜き取り検査するのではなく、食品の製造・出荷の工程のどの段階で微生物や異物混入が起きる可能性があるかを予測・分析し、被害を未然に防ぐ方法です。イノシシ・シカ肉の製造においても、各工程においてどのような衛生管理上のリスクがあるかを予測し、その危害を防止するための重要管理点を設定し、そのポイントを連続的に監視・記録することで導入できます。詳細は厚生労働省のホームページや地域の保健所などで確認してください。

食肉利活用事業の進め方

1. 食肉として利活用する目的

食肉利活用によって期待される効果

・短時間に搬出できる場所で捕獲することで、被害対策効果が高い捕獲につながる
・丁寧に捕獲することで、スマートディア (警戒心の高い個体)の発生を抑制できる
・捕獲個体の埋設や焼却処理にかかる費用を低減できる
・地域が食材として意識することで捕獲に協力的になる
・捕獲者の被害感情を低減する
・「命をいただく、命を無駄にしない」ことで食育・環境教育になる

商業利用の可能性と課題

・公共事業としての「捕獲」から市場性のある「食肉」を販売・流通するというビジネス的な部分があるため、捕獲者・処理事業者・行政が連携して取り組まなければならない
・食肉を流通・販売するための事業なのか、被害対策や地域振興の一環で行う事業なのかによって、事業の目標や費用の考え方が異なる
・被害対策の一環で取り組むのであれば、被害がなくなれば取り組む必要がなくなる。一方、ビジネスとして取り組む場合は、捕獲数や殻入数が減ることで事業が成り立たなくなることも想定される
・将来的に捕獲個体の商品価値が高まることで捕獲が推進され、被害の軽減につながることが期待されるが、高値で取引されることで捕獲者が個体を残す方向に意識が移ることや、外国産のシカやイノシシが輸入され、国内のシカやイノシシの流通が減少する可能性もある

2. 地域の状況を調査する

捕獲計画・状況から活用できる個体数を調べる

・各自治体では被害防止計画または鳥獣保護管理計画に基づき捕獲されているので、その計画を調べる
・イノシシの捕獲数のデータには成獣と幼獣が混ざっていることに加え、食肉に活用しにくい幼獣の比率が高いことが予想される
・季節によっても捕獲数の変動があるため、過去3年間を目安に月別の推移も確認することが望ましい

継続的に利活用できる捕獲を維持できる体制を調べる

・捕獲者に従来の捕獲に加え、食肉としての丁寧な捕獲に協力してもらう必要がある
・捕獲者が食肉として活用するための捕獲から搬入までの衛生管理に関する知識
・技術を習得し、食肉処理施設に搬入してもらえるか、買い取り価格はどの程度かを事前に聞き取りを行うことが重要
・捕獲者が食肉としての捕獲に協力してもらえない場合でも、捕獲した個体をペットフードや減容化等による資源としての処理を検討する。それでも難しい場合は、埋設か焼却による処理を行う

都市部での流通価格や地域資源として活用できる施設(旅館や飲食店等)を調べる

・家畜のように市場での価格が決定しないため、地元食材を扱っている飲食店や旅館に取り扱いの可能性や価格等を聞き取り調査する
・大都市圏での販売を目指す場合は、卸業者や他の地域の流通状況や価格を調査し、販売の可能性を検討する
・インターネットなども活用し、ネット通販サイトなどで部位や価格の状況を調べる

3. 事業計画の立て方

捕獲頭数や価格の聞き取り結果から収支計画を予想

・地域の状況(捕獲奨励金や道路などの社会基盤、飲食店などの販売先等)によっても異なるが、下記の表のような簡単な計算で大まかな収支を算出する ・収支計画が赤字になる場合はどこに課題があるのかを検討し、事前に解決方法(時期限定等)を考える
※下記の収支計算は搬入頭数の違いに関する例であり、事業計画を保証するものではありません。
例:ニホンジカ搬入頭数(200頭)枝肉(2,000円/kg)仕入れ(5,000円/頭)の場合

収入

販売量

200頭 × 30kg × 75%(注1)× 50%(注2)= 2,250kg

売上

2,250kg x 2,000円/kg = 450万円

収入合計

450万円

支出

人件費

300万円 × 2人=600万円

仕入れ費

5,000円 × 200頭=100万円

産廃処理費

200頭 × 15kg × 100円=30万円(注3)

その他経費

5万円 × 12ヶ月=60万円

支出合計

600万円+100万円+30万円+60万円=790万円

収支

収入(450万円)−支出(790万円)=340万円の赤字支出合計



例:ニホンジカ搬入頭数(500頭)枝肉(2,000円/g)仕入れ(5,000円/頭)の場合

収入

販売量

500頭 × 30kg × 75%(注1) × 50%(注2)= 5,625kg

売上

5,625kg × 2,000円/kg=1,125万円

収入合計

1,125万円

支出

人件費

300万円 × 2人=600万円

仕入れ費

5,000円 × 500頭=250万円

産廃処理費

500頭 × 15kg × 100円=75万円(注3)

その他経費

5万円 × 12ヶ月=60万円

支出合計

600万円+250万円+75万円+60万円=985万円

収支

収入(1,125万円)一支出(985万円)=140万円の黒字

注1:外見では異常がなくてもはく皮後に食肉に適さないこともあるため、食肉として扱える割合を75%に設定。1頭から得られる肉の量はさまざまな施設の実績をもとに50%と想定
注2:頭部・内臓・皮を除いた枝肉歩留の割合を50%に設定。枝肉を除いた50%は廃棄あるいは資源化する必要がある
注3:産業廃棄物(動植物性残さ)として有料で処理する想定

4. 食肉処理施設の計画

設置場所

・設置場所は下記のような諸条件をクリアできる場所が望ましい ・地域によっては活用されていない学校や宿泊施設の調理室等、必要な設備が整っている施設を活用することで初期費用を低減できる

確認事項

理由

道路網が発達している

・捕獲頭数の多い地域を広くカバーできると搬入頭数も増える

・搬入までに時間がかからないことで搬入可能域が拡大する

公共下水道が備されている

・施設だけの浄化槽を設置する場合、多大な経費がかかる

・公共下水道のある地域は初期費用を低減できる

地域住民から同意が得られる

・食肉処理施設は地域住民にとって迷惑施設として扱われる可能性があるため、住宅地から離れた場所だと設置しやすい


設置費用・運営形態

・建設費や設備は、国や都道府県・市町村などの補助を活用することで初期費用を抑えられる ・運営は一般的な食材と同様に、経営・営業などのノウハウをもった民間事業者に任せ、行政は搬入数を増やすための仕組みづくりや、地元食材としてのPR等の支援を行うとよい ・公営施設である場合、食用にできない個体を受け入れない等、受け入れに関する条件を事前に取り決めておく

食肉処理施設の運営形態

施設形態

食肉処理施設

共有利用施設

伝統的

獣肉処理施設

設置

市町村

市町村

+民間事業者

民間事業者

地方公共团体

民間事業者

運営者

民間委託

民間事業者

民間事業者

施設貸出

(猟友会等)

民間事業者

運営費用

負担

市町村

民間事業者

民間事業者

利用者

民間事業者

概要

解体処理を民間委託。

補助金で設置。

運営、維持管理費は民間事業者が負担。

個人投資で建設。民間事業者として運営。

利用者が有料で活用。

伝統的に獣肉食

文化がある地域。専属の捕獲者から仕入れ、解体・販売。

衛生的な処理方法

1. 食肉処理施設の衛生管理

食肉処理施設の設備

・地方自治体が条例で定める食肉処理業の施設基準に加え、摂氏83度以上の温湯供給設備と、個体を吊り上げた際に頭部が床に触れない十分な高さを有する懸品設備を設置する
・懸品レールを使用することによって、床面から枝肉を離した状態で効率的に部屋を移動できる。また、作業員が解体処理室から冷蔵庫へ入らず、枝肉だけ移動できる。設置できるよう、事前に天井の強度や冷蔵庫の種類を確認しておく
・食肉処理施設の施設設備等に係る衛生管理については「食品等事業者が実施すべき管理運営基準ガイドライン」第2の1から6を基本としつつ、「と畜場法施行規則」第3条も参考とする
・内臓摘出およびはく皮作業の終了時には1頭ごとに機械器具の洗浄を行う。なお洗浄の際は洗浄水の飛散等により枝肉を汚染しないように注意する(枝肉を吊った状態で、床や壁に水をかけない)

食肉処理施設の間取り

・受け入れから出荷まで、と体・枝肉の流れは一方向にする
・はく皮、内臓摘出、カット室、更衣室は別室にする
・部屋を移動する時は着替え、足下の消毒を行う
・床面の色で汚染区域と清潔区域を分かりやすくする

2. 従事者の衛生管理

従事者の服装

・解体作業専用の作業服、前掛け、長靴等を着用する
・軍手は使用しない ・手指が汚染された場合は、その都度洗浄する
・と体に接触するナイフや機械器具等は、1頭を処理する毎に83°C以上の温湯を用いて洗浄消毒を行う
・外皮に接触する等により汚染した場合はその都度洗浄消毒を行う

従事者の健康状態の管理

・定期的な健康診断と検便を実施する
・下痢、嘔吐などの体調不良にある者、手指に化膿性疾患や伝染性皮膚病がある者は処理作業に従事させない
・指輪等は身につけない
・ツメは短く切り、作業前および用便後は手指の洗浄・消毒を行う
・シカやイノシシを扱う際と扱った後は、ダニに咬傷されないように注意する

3. 個体の確認・洗浄

個体の確認

・研修等により適切な衛生管理の知識及び技術を有している食肉処理業者が1頭ごとに異常の有無を確認するとともに、捕獲時の状況も踏まえ、総合的に判断する
・個体ごとに管理番号をつける等により捕獲及び運搬時の記録と紐付けできるようにする
・衛生上の観点から品質や鮮度等について点検を行い、点検状況を記録する。また、食肉処理施設の責任者は、当該記録を適切な期間保存する

受け入れしない個体

下記のような個体は受け入れせずに破棄する
・異常が認められた個体 ・血抜き、内臓摘出および運搬について適切な管理が行われていない個体
・屋外で内臓摘出され、体表の汚染が著しい個体、あるいは内臓の状態が確認できない個体

固体の洗浄

・泥等による体表の汚染が著しい個体は、食肉処理施設搬入前に(可能であれば、搬入口で懸垂し)、飲用適の流水を用いて体表を十分に洗浄する
・洗浄水が血抜き時の開口部や内臓摘出を行う際に個体の体腔等を汚染しないよう注意する
・解体作業時の汚染拡大を防止するため、体表の洗浄水はできるだけ除去する
・丁寧に搬入し、個体を引きずり落とす等の取り扱いを行わない

4. 結さつ(食道・肛門部)

・手指(手袋)が血液等により汚染された場合は、その都度洗浄・消毒する
・個体に直接接触するナイフ、結さつ器その他の機械器具は、1頭を処理するごとに摂氏83度以上の温湯を用いること等により洗浄・消毒する
・外皮に触れた場合は、その都度、洗浄・消毒を行う

肛門部結さつ

・消化管の内容物が漏出しないよう肛門を合成樹脂製の袋で覆い、直腸を肛門の近くで結さつするとともに、肛門部による個体の汚染を防ぐ ・結束バンド等を使い、二重に結さつする

食道部結さつ

・血抜きされた血液による生体およびほかの個体の汚染に気をつける ・血抜き後に消化管の内容物が漏れ出さないよう、食道と気管を引き出して第一胃の近くでまとめて結さつ、または閉そくさせる

5. はく皮

・獣毛等による汚染を防ぐため、最小限度の切開をした後、ナイフを消毒し、ナイフの刃を手前に向け、皮を内側から外側に切開する
・はく皮された部分は、外皮による汚染を防ぐ。汚染された場合は汚染部位を完全に切り取る ・手指が外皮等により汚染された場合、その都度洗浄
・消毒する
・と体に直接接触するナイフ、動力付はく皮ナイフ、結さつ器その他の機械器具は、1頭を処理するごとに摂氏83度以上の温湯を用いること等により洗浄・消毒する
・体表の被毛には病原微生物やダニ等の寄生虫が付着している可能性が高いため、ナイフや手指と被毛との接触については細心の注意を払う
・はく皮の作業終了時、エプロン、長靴を外し、ブラシ等で、帽子、衣類等に付着した被毛を十分に払い落としたうえで、清潔なエプロンや長靴を着用します。 その際、払いおとした被毛や外したエプロンが枝肉を汚染しないように、十分注意します。

チェーンブロックによるはく皮

・シカの場合、皮を床面に固定し、と体を電動ウィンチで引き上げることで、はく皮できる。また、ナイフをなるべく使わないことで皮の活用にもつながる
・シカをつり上げた場合の高さの2倍の天井高が必要。施設を建てた後に天井高を変更するのは難しいため、解体処理室の天井高は、余裕を持たせるようにする

6. 内臓摘出・枝肉の取り扱い

内臓の摘出

・個体が消化管の内容物により汚染されないよう適切に行う
・内臓を傷つけないように、指で内臓を確認しながら行う
・内臓が床、内壁、長靴等に接触することによる汚染を防ぐため、バットなどで受ける ・摘出した内臓は異常の有無を必ず確認する

枝肉の取り扱い

・枝肉が床、内壁、長靴等に接触することによる汚染を防ぐ
・使用するのこぎりは、1頭処理するごとに摂氏 83度以上の温湯を用いること等により洗浄・消毒する
・洗浄の前に被毛又は消化管の内容物等による汚染の有無を確認し、これらによる汚染があった場合、汚染部位を完全に切り取ること。着弾部位(弾丸し通過した部分を含む)の肉についても、汚染されている可能性があることから完全に切り取り、食用に供してはならない。
・飲用適の水を用いて十分な水量で行う
・洗浄水の飛散による枝肉の汚染を防ぐこと。洗浄水の水切りを十分に行う
・枝肉及び食用に供する内臓は、切除した部位や他の枝肉、床、壁、他の設備等と接触しないよう取り扱う

7. 冷蔵・保管 冷蔵・保管

・冷蔵前に銃弾の残存について金属知機により確認する ・食肉は定期的に細菌の不着・混入が無いかを検査する

冷蔵

・摂氏10度以下となるよう冷却する
・枝肉、カット肉および食用に供する内臓には管理番号を付記し、捕獲、運搬、処理の記録と紐づける

記録

・食品衛生上の危害の発生の防止に必要な限度において、捕獲、運搬、処理、販売先及び販売形態に関する記録及びその他必要な事項に関する記録について、流通実態(消費期限又は賞味期限)等に応じて合理的な保存期間を設定する

今回はジビエハンターや捕獲鳥獣の食肉利活用などについてお伝えしました。捕獲鳥獣は食肉の他に、ペットフードや革などへも利活用できます。この記事を機に「消費者に提供するための捕獲」について一度考えてみていただけたら幸いです。
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