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ジビエの認知度向上と地域の雇用創出を目指す「美郷ジビエ工房」

ジビエの認知度向上と地域の雇用創出を目指す「美郷ジビエ工房」

宮崎県北部に位置する美郷町。人口約4800人、山林が約90%を占める自然豊かな町です。古くから狩猟文化が根付き、鳥獣と人間が上手に共存してきました。 しかし現在、人口減少や高齢化が進み、里山の利用や維持管理が難しくなるとともに、深刻な鳥獣被害に悩まされています。

今年4月、鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可(以下、鳥獣捕獲許可という)で捕獲したイノシシやシカの食肉としての新たな活用を図るため、美郷町ジビエ振興協議会を発足、県の補助金を活用し、南郷地区に「美郷ジビエ工房」を設立しました。

今回は、美郷町における鳥獣害の実態やジビエの活用法などについて、美郷町役場 農林振興課の小林雅朗さんと森本早美さんにお話を伺いました。

多くの関係者の思いが詰まった施設建設

ー「美郷ジビエ工房」とはどんな施設ですか?


森本さん 美郷町内で捕獲されたイノシシ、シカを精肉加工する施設です。この施設では、解体から精肉加工までを行っています。 施設は美郷町南郷の水清谷地区にあり、今年4月から稼働しています。

ー施設を作ったきっかけ、目的を教えてください。


小林さん 構想としては、もうずいぶん前からありました。 これまでは、イノシシやシカの肉は一部の方が個人間で楽しむ食材でした。しかしながら、それだと世の中に広くジビエの存在を知ってもらうことが難しく、普及は進まないだろうと考えていました。

また、鳥獣捕獲許可などで捕獲したイノシシやシカはほとんどが埋却処理されていたため、有害鳥獣を資源として有効活用する方法を模索していました。 そこで学校給食でのジビエ料理の提供やスーパーなどでの販売を視野に入れた、加工処理施設建設の計画が立ち上がりました。 施設建設が実現するまでには長い年月を要しましたが、賛同してくださる方のご協力も得てようやく稼働するまでに至りました。

深刻な鳥獣被害の実態

ー鳥獣被害の状況を教えてください。


森本さん 美郷町での昨年度の被害額は1192万円でした。鳥獣捕獲許可で捕獲した数はイノシシが1126頭、シカが1210頭。そのうち、イノシシ421頭、シカ850頭がこの南郷地区で捕獲されています。町内でも南郷地区は特に被害が深刻なんです。

小林さん 被害額といっても、自宅で消費するような出荷を目的としていない農作物は、被害が大きくても被害額として現れていない部分もあります。 また、ある地域の町有林は植林するたびに新芽がシカの食害に遭い、もう30年くらい木が育っていない状態です。


ーこの施設ではどのような流れで作業が行われるのですか?


森本さん この施設で扱えるのは、町内の猟師が捕獲した後、すぐに血抜きし、2時間以内に持ち込まれたシカ、イノシシのみです。 荷受室・解体室で個体をきれいに洗浄、剥皮、そして解体します。

その後、加工室にて枝肉をロースやモモなど部位ごとに分け真空パック処理し、冷凍保存します。 シカに関しては年中加工していますが、イノシシは狩猟延長期間の11月1日〜3月15日のみ加工し、6月頃まで販売しており、町内外の飲食店や宿泊施設など、主に業者向けに販売しています。

鮮度や衛生面・食の安全面は牛や豚などの家畜よりもかなり厳しく管理していますし、良い肉質を保つための工夫も行っています。

「ジビエで町全体を盛り上げたい」

ー今後の戦略・目標を教えてください。


小林さん 今は精肉加工までしか行っていませんが、いずれは一次処理から食品加工まで行い、ジビエを使ったメニューを学校給食などでも出せるといいなと思っています。

また、県内のほかの地域ではシカカレーやジャーキーなどジビエ加工品が出ていますが、新たな加工品の開発にも力を入れていきたいです。そうすることで、美郷町内で新たな雇用を生み出すことにつながると考えています。


森本さん 今は南郷地区にしかこのような施設がないので、捕獲して2時間以内に施設に持ち込むという制約上、他地域からの受け入れは難しいのですが、いずれは西郷地区や北郷地区にも解体作業を担う施設を作り、南郷地区の加工場へ持ってきて精肉処理し、一定量の精肉の安定供給が可能になれば、大手スーパー等への販路開拓も考えています。

小林さん 今、鳥獣捕獲許可で支払われる報奨金は国の補助と自治体から支払われていますが、国の補助がいつまで続くかはわかりません。 当施設で処理・加工したジビエを販売し、そこで得た資金をもとに将来的に買取金額を増やしていければ、猟に従事する人の収入も増えますし、ジビエの活用ももっと広がっていくと思います。

取材を終えて

イノシシやシカは畑や林を荒らす厄介者ですが、今回取材させていただいた美郷町のような中山間地域で暮らす人々にとって、昔は貴重なタンパク源でした。 今ではジビエという名前だけで苦手意識を持たれる方もいらっしゃいますが、調理法次第では臭みもなく美味しく食べることができます。

今回の美郷町での取り組みのように、ジビエを精肉加工し世の中に出回るような仕組みづくりや、イベント等でのジビエ料理の提供などを通して、その美味しさや調理法を知ってもらうことが大切だと改めて感じました。 スーパーの精肉コーナーで鶏肉や豚肉の隣に当たり前のように並ぶジビエを見る日もそう遠くないかもしれません。

美郷町ホームぺーン http://www.town.miyazaki-misato.lg.jp/
美郷ジビエ工房 TEL:0982-60-1993 Email:gibier@mb.wainet.ne.jp