狩猟を行う際は、きちんと装備を整えることが大切です。身の安全を守るためにも、きちんと必要なアイテムを準備をして狩猟を行いましょう。
本記事では「狩猟に備えるべき装備」や「狩猟の際に抑えておきたい注意点」について詳しく紹介します。服装や持ち物に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
狩猟の装備に必要なアイテムとポイントを解説
狩猟を行う場合に、必要なアイテムをそれぞれ詳しく紹介します。必需品から持っていると便利なアイテムまで紹介していますので、狩猟を行う方は以下のポイントを参考にしましょう。
服装
まずは狩猟を行う際の、服装について解説します。険しい山に入る場合を想定し、身体の負荷が少ない服装でハンティングに臨みましょう。
全体的な服装
季節にもよりますが、狩猟の際はよく体を動かすため、汗もたくさんかきます。汗による不快感や身体の冷えを防ぐためにも、速乾性に優れた衣類を身に付けましょう。山道は枝や石、草が密集しています。上着はTシャツでも構いませんが、ケガの予防のために下はロングパンツを着用してください。
ただし、忍び猟では衣類の擦れによる音が出ないように注意が必要です。狩猟する動物によっては音に敏感な場合もあるので、カシャカシャと音が鳴るような素材の衣類は避けましょう。
ベスト
狩猟者が事故防止のために着用するのが、ハンティングベストです。ブレイズオレンジという鮮やかなカラーを採用しており、狩猟者同士で「人」と認識するために起用されています。人為的なミスを防ぐためにも、必ずハンティングベストを着用しましょう。
ただし、大型鳥獣などの狩猟に用いられる「巻き狩り」の場合、猟友会から指定されているハンティングベストでは音が鳴るので注意が必要です。内部にフリース素材をはじめとする繊維質の衣類を着用することで、音の発生を防ぐ効果に期待ができます。
音に敏感な動物に対応する方は、ベストと衣類の相性も確認をしてから着用してください。
帽子
猟友会に所属している方ならば、ハンティングベストと同じくブライトオレンジの帽子が支給されています。狩猟者は動く物体に対して猟銃を行うので、暗い帽子や服装では誤発射を含む人為的ミスが起こり兼ねません。
猟友会の帽子を着用しない場合でも、なるべく「人」と判断できる鮮やかな帽子を身に付けるようにしましょう。視認性を高めるには蛍光色がおすすめです。
靴
靴は山道でも歩きやすい靴を履いてください。柔らかな素材で作られている靴であれば、山道の感触を掴みやすく、足音を抑えられるのでおすすめです。
スパイクの付いた足袋であれば、傾斜道も歩きやすいのではないでしょうか。山道はとても不安定な道が続くので、自分の足に合った靴を選んでください。
猟銃
狩猟を行う上で、猟銃は欠かせません。人によって狙う獲物は違いますから、長距離射撃をメインとする場合と、獲物になるべく近づいて狩猟するストーキングでは必要な銃が異なります。
それぞれの狩猟に合った猟銃を装備してください。また、猟銃を使用する際は弾も必要です。弾切れではいざとなったときに狩猟ができませんので、きちんと装備しておきましょう。
ガンケース
使用する猟銃のモデルによっては、誤発射を含める対策のためにカギのかかるガンケースの使用が望まれます。猟銃を裸のまま持ち歩けない場合もあるので、都度確認しながら狩猟を行いましょう。
山道に入る際はガンケースが邪魔になる場合もあるので、ガンソックスの利用でも構いません。いずれにせよ、猟銃を保護するためにケースは必要です。
イヤーマフ
猟銃を扱う方は、イヤーマフも準備しましょう。イヤーマフは大きな音から耳を守る大切なアイテムです。射撃による耳への衝撃を防ぎましょう。イヤーマフは防音タイプを選んで使用してください。
また、イヤーマフにはネックバンド型とヘッドバンド型があるので、好みに合わせて使い分けましょう。
耳栓
「荷物を減らしつつも、耳はしっかりと保護したい」といった方は、耳栓の活用もおすすめです。射撃音による衝撃を軽減できるので、1つは持っておくと便利でしょう。
耳栓にはゴム製のフランジ型とスポンジ型の2つがあるので、どちらも使い心地を試してみてはいかがでしょうか。
弾帯
弾帯とは、銃の弾を装備するベルトのようなアイテムです。スムーズに弾を出し入れできるので、狩猟中も手を煩わせることがありません。弾帯に弾を直接収納することに抵抗がある方は、ベルトに装着できる銃弾ホルダーを使用する方法もあります。
弾帯にナイフをセットできるタイプも多いので、腰回りに狩猟アイテムをまとめたいかたはぜひチェックしてみましょう。
許可証
狩猟を行う際は、きちんと各種許可証を持ち歩いてください。捕獲許可証や狩猟者登録証、銃の所持に関する許可証は、常に持ち歩くようにしましょう。
各自治体の許可がなければ、狩猟を行えません。大きな荷物になることはありませんので、万が一トラブルが発生したときに備え、許可証はしっかりと持ち歩いてください。
無線機
必要に応じて無線機も装備しましょう。仲間と一緒に狩猟を行う際に役立つアイテムなので、連係プレーで獲物を捕らえたい方におすすめです。
無線には業務用無線とアマチュア無線の2つが存在しますが、有害鳥獣の捕獲や駆除には業務用無線機を使ってください。プライベートで行う狩猟であれば、アマチュア無線で構いません。
ただし、無線機を使用するには免許が必要です。また、アマチュア無線は開局手続きを行わなければ無線機から電波を出せないので、事前準備もしっかり行いましょう。
ナイフ
狩猟者はナイフも欠かせない装備です。ナイフは刺し止め用や解体用などと、いくつかの種類を使い分けている方が多い傾向にあります。小型ナイフと大型ナイフの2つでも使い分けしやすいかもしれません。
実際に狩猟をして使っていく中で、獲物の骨抜きがしやすいナイフや手にしっかりと力が入るグリップタイプなど、各ナイフの特徴がわかります。最初からすべて揃えるよりも、自分に合ったナイフを模索しながらお気に入りの一品を見つけてください。
衛生グッズ
ケガや急に体調が悪くなったときのために、衛生グッズも持ち歩きましょう。包帯や絆創膏、ガーゼや消毒液など、小さいタイプで構いませんので衛生グッズを装備してください。
滑りをよくするワセリンや鎮痛剤があると、より安心ではないでしょうか。また、雨風を防げる防寒グッズやアルミシートもあると便利です。
袋や使い捨てのビニール手袋
袋や使い捨てのビニール手袋は、いくつか装備しておきましょう。袋は獲物をその場で解体する際にも役立ちますし、万が一遭難をした場合でも水を汲んだり物資を運んだりする際に活躍します。
解体時用の使い捨てビニール手袋は、穴の開きにくい丈夫なタイプを選ぶことをおすすめします。ラテックス手袋よりもニトリル手袋の方が耐久性に優れているので、使い捨て手袋を購入する際の参考にしてください。
GPS
自分の位置情報を把握するためにも、GPSは狩猟で備えておきたいアイテムです。最近では高性能なGPSがたくさん販売されているので、よく狩猟に出掛ける方はぜひ備えておきましょう。
GPSは必ず狩猟用を購入してください。一般的なGPSだと山の中では使えない場合があるので注意が必要です。
地図
GPSを持っている方でも、広範囲で作業する際は地図が役立ちます。地図とGPSで現在地を把握できるので、自分がどの方向に向かうべきかを直観的に判断できます。
「地図だけではイマイチ方向がわからない」といった方は、GPSの他にもコンパスを用意しておくと安心です。地図そのものは荷物になりませんので、ぜひ持ち物に忍ばせておいてください。
目印テープ
仲間と一緒に狩猟する方は、目印テープも活用しましょう。自分が居た場所を使えるほか、後に山へ入る人に向けてルートを示す手がかりとなります。
ただし、目印テープは登山でもよく使われているアイテムなので、登山者が誤認してしまう可能性があります。登山者を別ルートに迷わせないように注意しながら使用しましょう。
ライター
火を起こすためにも、ライターは狩猟で備えたいアイテムです。雨風でライターの火が付かなくなるのを防ぎたい方は、ターボライターの使用をおすすめします。
また、狩猟者の多くはライターにガムテープを巻いているのをご存知でしょうか。着火剤として役立つほか、ガムテープを多く巻いておくことで服の補修やケガをした際の固定として使えます。ライターを持ち歩く方は、ガムテープもしっかり巻いておきましょう。
食糧
最低限の食糧や飲料はきちんと持ち歩いてください。山の中で動けなくなった場合や、体調が悪くなった場合でも、きちんと栄養や水分を摂取できるようにしておきましょう。
水や経口補水液は音が鳴る場合があるので、気になる方はゼリータイプの水分がおすすめです。食べ物は簡単に食べられる携帯食や非常食で構いません。狩猟は万が一に備えることが大切ですので、命に欠かせない食料と水分は必ず持ち歩きましょう。
虫除け
山の中には季節に関係なく、虫がたくさん潜んでいます。ダニや蚊、ヒルなどの虫に悩まされないように、虫よけアイテムは1つ備えておきましょう。
ただし、あまり匂いがきつい虫除けでは、獲物に気づかれてしまう可能性があります。虫除けを使うタイミングや量に気を付けながら虫除けを使ってください。
狩猟方法ごとの装備品と服装を解説
基本的な狩猟の装備を紹介しましたが、狩猟方法によっても意識したい服装のポイントが異なります。以下の情報を参考に服装をチョイスしてください。
狩猟方法 |
持ち物 |
服装 |
流し猟・忍び猟 |
獲物を追う内に遭難する場合も想定し、GPSや食糧は必ず持ち歩いてください。 その他にも、シカをおびき寄せる鹿笛も装備しておくと便利です。 |
シカの狩猟に使われる方法で、基本的には鮮やかで明るい色の服装を心掛けてください。 (シカは色盲なので、色による影響はありません) |
巻き狩り |
巻き狩りでは、トランシーバーの使用が必須です。 「4級アマチュア無線技士」の免許を取った上で、トランシーバーを使用しましょう。 |
視認性の高いオレンジをはじめとする明るい色の服装をして着用してください。 猟友会から支給されているベストも着用しましょう。 |
カモ猟 |
カモ猟では、よく弾を消費します。獲物をきちんと仕留めるためにも、弾は多めに持参しましょう。 双眼鏡やレンジファインダーもあると便利です。 |
カモは色を識別できる動物なので、迷彩服など周囲に溶け込むカラーの服装を選ぶことが大切です。 内側には猟友会から支給されたベストを着用しましょう。 |
狩猟の際に抑えておきたい注意点
人と同じく、動物の身体にも菌やウイルスが存在します。菌やウイルスを拡散しないように、その動物に合った方法で後処理を行ってください。
また、鳥獣保護法で管理されている動物もいます。鳥獣保護法に指定されている動物の狩猟を行う際は、きちんと各自治体の許可を得てから行いましょう。また、箱罠やくくり罠の設置についても各自治体に相談してください。
何よりも「人」と「動物」をしっかりと見分けることが大切です。人がよく通る場所での狩猟は控えてください。また、銃の誤発射にも注意しましょう。
フル装備で身の安全を確保!狩猟に出かける際はアイテムの見直しをしよう
狩猟に出かける際は、万が一に備えてフル装備で挑むことをおすすめします。服装だけではなく、最低限必要なアイテムを持って山に入りましょう。鳥獣保護法で管理されている動物もいますので、事前に確認が必要です。
初めて狩猟を行う方は、紹介した持ち物を参考にしましょう。ハンティングした際は、衛生面にも配慮し、動物に直接触れることがないように使い捨てのビニール手袋を着用しましょう。