イノシシ対策にピンクテープは効果なし?防護柵や電気柵で確実な対策を

イノシシ対策にピンクテープは効果なし?防護柵や電気柵で確実な対策を

イノシシとは?

イノシシは、臆病で注意深い動物で、里山や草むら、ヤブなどに生息しています。

雑食性であり、イモ・タケノコ・クリ・カキ・昆虫などさまざまなものを食べます。

通常は人間を避けて活動しますが、一度人間に慣れてしまうと大胆になり、住宅地まで出没するケースが見られます。

イノシシは運動能力が非常に高く、助走なしで1メートル、よじ登れば2メートルの高さを超えることができるため、通常の柵では侵入を防ぎきれないことがあります。

さらに、地面から20センチメートルのすき間があればそこをくぐり抜けようとします。

イノシシは危険を感じると「猪突猛進」となり攻撃的になることがあるため、イノシシと遭遇した際は注意しましょう。
参考:https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/uploaded/attachment/121.pdf

イノシシがもたらす被害


近年、イノシシによる被害が深刻化しており、農作物の食害や農地の荒廃、さらには人的被害まで発生しています。

これらの被害は農業従事者の生活を脅かし、地域社会全体に大きな影響を及ぼしています。
ここでは、イノシシがもたらす具体的な農業被害と人的被害について詳しく解説します。

イノシシによる農業被害

イノシシによる農作物被害は、特に地方の農業に深刻な影響を与えています。

環境省のデータによると、イノシシによる被害の報告件数は年々増加傾向にあり、令和4年のイノシシによる農作物の被害量が23,097トンで、被害金額は363,827万円となっています。
このような被害の大部分は、米、イモ類、トウモロコシ、果樹などの農作物に集中しています。 イノシシは鋭い牙と強力な鼻を持ち、地面を掘り起こして作物を食い荒らすため、農地全体が荒らされてしまいます。

特にイノシシの活動が活発になる秋から冬にかけて、収穫前の作物に対する被害が増加します。
参考:https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/attach/pdf/index-29.pdf

イノシシによる人的被害

イノシシによる人的被害も深刻です。 環境省の「イノシシによる人身被害件数」によると、令和4年のイノシシによる人的被害件数は68件・被害人数は85名・死亡者人数は1名となっています。 イノシシによる人的被害の事例には、以下のようなものがあります。
  • 農作業中に襲われた
  • 庭先にイノシシが現れて襲われた
  • 犬の散歩中に襲われた
  • イノシシが市街地に現れて複数の人を攻撃した
  • 罠から逃げたイノシシに襲われた
また、イノシシは、人獣共通感染症のリスクを持つ動物として注目されています。

まず、イノシシに寄生したダニにより、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介性脳炎、日本紅斑熱、ツツガムシ病などに感染する恐れがあります。

これらの感染症は、発熱や消化器症状、神経症状などを引き起こし、重篤な場合には死亡に至ることもありますので注意しましょう。

さらに、イノシシの気道分泌液や糞便を介して「ブタインフルエンザ」になる恐れがあります。

ブタインフルエンザは、季節性インフルエンザと同様の症状を引き起こし、発熱や咳、喉の痛み、体の痛み、頭痛、悪寒、倦怠感などが現れます。 イノシシやブタに触れた後は、眼や鼻、口に触れないようにしてください。

参考:https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/inoshishi.pdf
参考:https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/wildlife/material/20190123_09_jireisyu.pdf

イノシシ対策に使われるピンクテープとは?


イノシシ対策には様々な方法がありますが、侵入防止柵や電気柵はコストがかかります。

侵入防止柵や電気柵よりも、低コストで手軽にできるイノシシ対策として使われるのが「ピンクテープ」です。
ピンクテープを張ると、イノシシがピンク色に警戒する・テープが風になびく音に驚いて逃げるといった理由から、イノシシ対策効果があるとされています。

ピンクテープの使い方

イノシシの侵入を防ぎたいエリア周辺に防護柵または電気柵がある場合は、その支柱を利用してピンクテープを張ります。
もし支柱がない場合は、2.5m間隔を目安に新たに支柱を立てる必要があります。

ピンクテープは、地上から20〜30cmの高さ(イノシシの鼻の高さ)にたるみのないようしっかりと張ります。 ピンクテープの効果を最大限に発揮させるためには、設置場所周辺の雑草を事前に処理しておくことが重要です。
草が生えているとテープの効果が安定しないため、長期持続型の除草剤を使うといいでしょう。

効果が不十分な場合は、テープを2段に張るなど状況に応じて対策を強化してください。 また、設置中にテープが切れてしまうと効果がなくなるので、テープを張り直すか、切れた部分を結んで補修してください。

イノシシ対策にピンクテープは効果がない?

侵入防止柵や電気柵は費用や手間がかかるため、より手軽に行えるイノシシ対策として、ピンクテープを使った対策が九州を中心に西日本から徐々に普及しています。

しかし、ピンクテープの色や音でイノシシ対策ができるという考えは、すべて人間の感覚に依存しています。
実は、野生動物の中で人間のように色を識別できるのはサルくらいであり、たとえ特定の色を認識できたとしてもその色を嫌がるわけではありません。

動物は、初めて見る物に対して一時的に警戒することがあるため、ピンクテープを初めて見るイノシシに対しては、一時的な侵入防止効果があるかもしれません。
しかし、イノシシが「ピンクテープは危険なものではない」と判断すれば、ピンクテープによる侵入防止効果は失われるでしょう。

イノシシが侵入を止めるのは、「自分の能力ではここに入れない」もしくは「ここに入ると自分の体に危険が及ぶ」と確信したときだけです。

イノシシから田畑を守るには、物理的な柵で完全に侵入を防ぐか、電気柵を使用して痛みを記憶させるといった対策が必要です。

以上のことから、ピンクテープもイノシシ対策としては一時的な効果しか期待できず、持続的な侵入防止には効果が薄いと言えます。

ピンクテープ以外の効果的なイノシシ対策を紹介


イノシシによる被害を防ぐためには、ピンクテープのような簡易対策だけでなく、より確実な防護策が必要です。

特に、物理的に侵入を防ぐ「防護柵」や、電流による痛みを与えて侵入を抑止する「電気柵」は、イノシシ対策として実績のある効果的な方法です。
ここでは、それぞれの対策について詳しく紹介します。

防護柵

防護柵は、畑を囲むように設置することでイノシシの侵入を防ぐ効果があります。 防護柵には複数の種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

防護柵の種類

メリット

デメリット

防獣ネット

  • 侵入防止効果が高い
  • 起伏の多い場所でも設置しやすい
  • 目の細かいものでは視覚的遮断効果がある
  • 視覚的遮断効果がない
  • 網目を押し広げられる
  • 網を食い破られる

トタン板

  • 視覚的遮断効果がある
  • 材料費が安い
  • 飛び越える・持ち上げる・押し倒すなど侵入事例が多い


金網・フェンス

  • 強度が高い
  • 侵入防止効果が高い
  • 耐用年数が長い
  • 視覚的遮断効果がない
  • 下から侵入される恐れがある
  • 編目が大きいと幼獣が通り抜ける

どの防護柵にもデメリットがあるので、次に紹介する電気柵を併用するといった対策をすることで、イノシシ対策効果が高まります。

電気柵|恐怖心を学習させる

電気柵(でんきさく)は、効果の高いイノシシ対策グッズであり、イノシシが電気柵のワイヤーに触れることでイノシシに電気ショックを与えます。

電気柵の目的は、イノシシに身体的なダメージを与えるためではなく、慣れない痛みによる恐怖心を学習させることです。
電気の痛みによる恐怖心を学習したイノシシは、柵に近づかなくなります。

電気柵に流れる電流は、通電時間が1秒ごとに0.01秒以下という断続的なパルス電流であり、常に電流が流れているわけではありません。

電気柵にイノシシを殺傷する力はなく、電気の痛みとしては強い静電気を受ける程度のものです。
また、電気柵は地面に立つ動物が電気柵ワイヤーに触れた時にのみ電流が流れるので、スズなどの鳥がワイヤーに止まっても電流は流れません。
万が一人間が電気柵に触れてしまっても、重篤な事故には繋がらないように設計されています。

ピンクテープではイノシシ対策効果は不十分!他の対策を施そう


本記事では、イノシシの生態や被害、そしてイノシシ対策として使われるピンクテープの効果について解説しました。

イノシシは高い運動能力を持ち、農作物や人的被害をもたらすため、効果的な対策が求められます。

ピンクテープは一時的な効果が期待できるものの、イノシシがその危険性を感じない場合、すぐに効果が薄れてしまいます。
そのため、持続的なイノシシ対策としては防護柵や電気柵など、確実にイノシシの侵入を防ぐ方法を併用しましょう。 電気柵おすすめ商品
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