電気柵の維持管理について徹底解説。導入コストを抑えるポイントも紹介!

電気柵の維持管理について徹底解説。導入コストを抑えるポイントも紹介!
電気柵はイノシシやシカなどの害獣から田畑を守るためによく使用されますが、「電気柵を買ったは良いけど、どうやって維持管理していけばいい?」「電気柵を買いたいけど、維持管理が大変なのでは?」という疑問や不安がある人もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では電気柵を維持管理するときのポイントや、電気柵を導入したときにかかるコストについて、詳しく解説します。電気柵を購入するか迷っている人のために、資材費用や設置費用なども紹介しているので、電気柵を導入する際の参考にしてください。

電気柵の設置に必要なものは?


電気柵を維持管理するうえでは、電気柵の設置に必要な部品を理解することが重要です。必要な部品を以下にまとめているので、改めてチェックしましょう。
  • 本体(本機):電気柵の電源となる装置
  • 出力高圧線:本体とワイヤーとの間に繋げる高圧線
  • アース線とアース棒:地面から本体に電気を流すパーツ
  • ワイヤー(電線):本体から送り出された電気を電気柵全体に流すワイヤー
  • ゲートクリップ:人間が出入りする場所に使用する
  • 支柱とガイシ(碍子):ワイヤーを張るための支えと支柱にワイヤーを固定する部品
  • 危険表示版:電気柵が設置されていることを知らせる看板
  • テスター(検電器):電気柵に正常な電圧が流れているか確認する測定器
ほかにも、支柱を打ち込むためのハンマーやワイヤーをカットするニッパー・ハサミ、作業用の手袋なども準備しておくと便利です。

なお、以下の記事では電気柵の設置に必要な部品をより詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。

電気柵に必要な部品って?

設置前に準備することは?


電気柵の設置に必要なものが揃ったら、設置前の準備を進めましょう。まずは、電気柵を設置する土地の整備を行います。電気柵に雑草や草木が接触しないよう草刈りをしてください。害獣が身を隠せる背の高い植物も、あわせて刈り取りましょう。

また、支柱が打ち込みやすいよう凹凸のある場所や高低差のある地面もならしておく必要があります。

なお、以下の記事では電気柵の設置方法や事前準備について詳しく解説しています。電気柵を維持管理していくうえで重要な設置のポイントも解説しているので、あわせて確認してみてください。

電気柵の設置方法を解説!事前の準備や動物別のポイントも紹介

電気柵の維持管理のポイント


ここからは、電気柵の維持管理を進めていくうえで重要なポイントを5つ紹介します。電気柵の効果を十分発揮するためには、定期的な維持管理が不可欠です。電気柵に不具合が起きている間は害獣が侵入しやすくなるため、事前の対策が重要といえるでしょう。

漏電対策のために定期的に草刈りをしよう

電気柵周辺の草刈りは設置する前だけでなく、設置した後も行う必要があります。雑草や落ち葉などがワイヤーに接触していると漏電するため、害獣に十分な電気ショックを与えられません。特に草木が成長しやすい夏場は、2〜3週間に1回はチェックしましょう。

なお、草刈りを手作業で行うのは重労働であるため、草刈機や刈払機を使用するのがおすすめです。最近では、燃料に混合ガソリンを使うエンジン式だけではなく、バッテリーで動く充電式の草刈機も販売されています。

イノホイでは、電気柵やくくり罠といった害獣対策グッズだけでなく草刈機や噴霧器といった農業資材も販売しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
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イノシシが隠れないように薮の刈り払いをしよう

ワイヤーに草木が触れていない場合でも、イノシシの隠れ場所になりうる薮や草丈50cm程度の背が高い草木は刈り払いをしましょう。具体的には、電気柵から3メートル程度の範囲にある藪や草木は定期的に刈り払いをすることが推奨されています。

イノシシは林や放置された畑などの茂みに隠れつつ、農地を慎重に観察して地面の隙間から農地へ侵入しようとします。イノシシは身を隠せない場所で行動することを避けるので、そもそも電気柵に近づけないようにする工夫が重要です。

また、電気柵の修理が必要な部分を発見しやすくすることも、薮を刈り払う目的のひとつです。

効果を発揮するために電圧をチェックしよう

週に1回はテスターを使用して、電気柵の複数箇所で電圧をチェックしましょう。正常な電圧の目安は5,000V以上です。5,000Vよりも大幅に電圧が低い場合は、漏電している可能性が高いでしょう。

ワイヤーに草木が接触していること以外にアースの設置不良も漏電の原因に繋がります。例えば、アース棒をコンクリートやアスファルト、乾いた地面の上に設置していたり、アース線が端子から抜けていたりすると、電圧は下がってしまいます。

また、電気柵が漏電していると、ワイヤーがショート・断線するリスクも高まるでしょう。。特にワイヤー同士の結び方が誤っていると、ワイヤーのショートは発生しやすくなります。

以下の記事では、電気柵のワイヤーの正しい結び方や、ワイヤーの種類と選び方について詳しく解説しています。ワイヤーを交換する予定がある人は、ぜひチェックしてみてください。

電気柵の正しい結び方を徹底解説!ワイヤーの種類と選び方も紹介

部品の劣化や破損、本体の故障がないか点検しよう

電気柵の維持管理では、支柱・ワイヤー・アース・ガイシ(碍子)といった部品の劣化や破損、本体の故障がないか定期的にチェックすることも重要です。例えば、ガイシ(碍子)は経年劣化で割れたり曲がったりするため、消耗品として定期的な交換が欠かせません。

見落としがちなのが、電源供給に使用するバッテリーの劣化です。例えば、バッテリーの寿命は3〜5年が目安ですが、使用する環境やメンテナンス状況によっては劣化が早まることもあります。

特に、ソーラー式とバッテリー式を併用する場合、日中のソーラー充電が不十分だと夜間に電圧が低下して、電気柵が正常に作動しなくなることがあります。バッテリーの電圧も定期的にテスターで測定し、正常値(12V鉛バッテリーの場合は13V以上)を保っているか確認しましょう。充電しても12.3V以下になる場合は、バッテリーの交換が必要です。

通電させないなら電気柵は撤去しよう

通電していない電気柵を設置していると、害獣が電気柵に対して恐怖心や警戒心を抱かなくなり電気柵の効果が薄れてしまいます。通電を継続するか、通電しない場合は電気柵を撤去しましょう。

なお、田畑で作物を育てていない農閑期でも、刈った稲の根本から生えてくる若芽(ヒコバエ)や野菜を収穫した後に残る茎や葉、根などの収穫残渣は、野生動物の餌になってしまいます。このような野生動物の餌になりうるものは、必ずすきこむか刈り取りましょう。

また、放棄地や休耕地は野生動物の隠れ場になることもあります。作物を育てていない時期も電気柵や農地の維持管理は必要不可欠です。

電気柵を導入したときのコストは?


ここでは、電気柵を導入した場合のコストについて解説します。資材や設置における初期費用はもちろん、管理・メンテナンスにかかる費用も解説しています。さらに、コストを抑えるポイントも紹介しているので、電気柵に関わる費用を抑えたい人は、ぜひチェックしてみてください。

資材費用

電気柵の導入に必要な資材は、個別で購入するよりもセットになっているものを購入するほうがお得な傾向があります。すでにワイヤーやアース線などを持っている人は、本体のみ購入しても問題ありませんが、はじめて電気柵を購入する人はセット商品を選ぶのがおすすめです。

具体的な価格は、設置距離が100m(2段張り)の場合は約4〜9万円、設置距離が200m(2段張り)の場合は約8万円が目安です。また、販売店によっては、距離を延長するための100m(2段張り)セットが約2万円で販売されています。

基本的にソーラー式よりも乾電池式のほうが安価な傾向があるため、初期費用の安さを重視する場合は乾電池式を選ぶのがおすすめです。

なお、電気柵の購入費用や本体価格の目安は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて確認してみてください。

電気柵の購入費用はどれくらい?本体の目安や費用が変化する要素を解説

設置費用

電気柵は、基本的に資格不要で購入者自身が設置できるため、設置に費用はかかりません。ただし、広範囲に設置する場合や重機が必要な恒久電気柵を設置する場合は、業者に設置を依頼するケースもあるでしょう。

なお、福島県農業総合センター 浜地域農業再生研究センターが発表した「営農再開実証技術情報」によると、100m(3段)のポリワイヤーの電気柵を設置した際にかかった設置費用は5,000円でした。

また、ワイヤーメッシュ柵の設置にかかった時間は19.5時間でしたが、電気柵の設置にかかった時間は2.5時間でした。電気柵は設置が比較的簡単なので、業者に依頼する場合のコストや労力はそれほどかからないといえるでしょう。

管理・メンテナンス費用

管理・メンテナンス費用は、福島県農業総合センター 浜地域農業再生研究センターの「営農再開実証技術情報」によると、年間で2万5,000円とされています。ただし、使用する電気柵や部品によって耐用年数などは異なるため、あくまで参考程度にしましょう。

主な消耗品の費用目安は以下のとおりです。
  • バッテリー:約7,000〜1万円
  • ワイヤー:約3,000〜1万5,000円
  • アース:約1,000〜7,000円
  • 支柱:1本約100〜1,000円
  • ガイシ(碍子):1個約30〜100円
なお、商用電源を利用する場合、1か月の電気代の目安は数百円です。乾電池式の場合は電気代はかかりませんが、乾電池の交換代がかかることを覚えておきましょう。また、ソーラー式の場合、バッテリーを交換する必要のほかにバッテリーを充電するときの電気代がかかります。

コストを抑えるポイント

コストを抑えるための方法は主に5つあります。

1つ目は支柱の代わりに立ち木を利用する方法です。ただし、立ち木にワイヤーを巻きつけて固定すると漏電してしまうため、必ず専用のガイシ(碍子)を使用してください。また、木の成長で立ち木に取り付けたガイシ(碍子)がゆがむ可能性がある点に注意しましょう。

2つ目は集落単位で電気柵を設置する方法です。個々の田畑で導入するよりも、隣地耕作者同士や集落全体でまとめて電気柵を設置するほうが、コストを抑えられるうえ、協力して管理をしあえるというメリットがあります。

3つ目は補助金を活用する方法です。各自治体によっては、電気柵の材料費の一部を補助してくれる制度が存在します。例えば、盛岡市の場合は、上限額を10万円として購入費の3分の1以内の金額を補助してもらえます。(参照:盛岡市役所「電気柵設置費等補助」

補助制度の有無や給付される金額は自治体によって異なるため、詳細は各自治体のホームページを確認してみてください。

電気柵の選び方も紹介


電気柵を選ぶときは、設置場所の規模や使用期間の長さ、対策する動物の種類に合わせて、電気柵のサイズ・電源方式・ワイヤーの段数を選ぶ必要があります。

まず、土地の広さに合わせてコードの長さを選びましょう。コードの長さが不足すると動物の侵入を許してしまうため、電気柵を設置する土地の長さは正確に計測することが大切です。

次に、使用時間や家から田畑までの距離に応じて電源方式を選びます。電源方式には、バッテリー式・ソーラー式・乾電池式・AC電源式があります。

バッテリー式はコストパフォーマンスが良く、ソーラーパネルと併用できることが特徴です。ソーラー式はランニングコストが低く、メンテナンスの頻度を減らせますが、日当たりが良い場所に設置する必要があります。乾電池式は手軽に設置できますが、こまめな電圧チェックが必要です。AC電源式は出力が強く、長距離の設置に適していますが、電源の確保と適切な安全対策が必要です。

以下の記事では、電気柵の選び方やおすすめの電気柵を詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。

電気柵の選び方とおすすめ商品12選を紹介!害獣の見分け方もあわせて解説

電気柵 おすすめ商品


ここでは、電気柵の主要メーカーであるネクストアグリ・アポロ・ニシデン、それぞれのおすすめ商品を3商品紹介します。

まず、紹介する商品はネクストアグリの「防獣くんソーラー1500 お手軽 100mセット(2段張)」です。サイズは小さいながら、最大電圧が9,000Vと高電圧なことが特徴です。

続いて紹介する、アポロの「電気柵 AP-2011-SR 2段張りセット イノシシ対策」は、最大電線長が3,000m(本体1台あたり)あるので、長距離に設置したい人におすすめといえます。

最後に紹介するのは、ニシデンの「電気柵 NSD-5 2段張りセット イノシシ対策 50mセット」です。単三アルカリ電池8本、または外部電源で使用できるので、設置場所の選択肢が広いことが魅力です。

効果的な設置方法と維持管理を理解して、害獣の被害を軽減しよう


電気柵を効果的に使用するためには、正しい設置方法はもちろん適切な維持管理も重要です。特に雑草が生えやすい夏場は、ワイヤーに雑草が接触していないことを2〜3週間に1回はチェックしてください。

ほかにも、部品の劣化や破損、本体の故障がないことも定期的に点検することが維持管理を行ううえで大切です。今回解説した維持管理のポイントや電気柵の導入にかかる費用などを参考にして、害獣の被害を軽減しましょう。

なお、イノホイでは幅広い鳥獣対策グッズを販売しています。カタログの送付も対応しているので、鳥獣対策にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

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