アライグマは雑食性でさまざまなエサを好み、時には住宅地や農地に被害をもたらす外来生物です。本記事ではアライグマの食行動から被害実例、効果的な対策方法や法的な注意点までを総合的に解説します。
駆除や捕獲には専門的な知識と申請が必要な場合があり、正しい手続きや対策が重要となります。まずはアライグマがどのようなものを好み、どこに住み着くのか、その基礎知識から見ていきましょう。
目次
アライグマの食性と好物リスト
アライグマは幅広い食材を食べることで知られていますが、特にどのような食べ物を好んでいるのでしょうか。そのポイントを見てみましょう。
アライグマは雑食性であるため、果物やトウモロコシ、昆虫や小動物などさまざまな食材を積極的に口にします。季節によっては甲殻類や貝類を食べる地域もあり、生息域をどんどん拡大しているのが特徴です。とりわけ甘くて高カロリーな食べ物を好む傾向があり、果樹園や家庭菜園への侵入を引き起こす要因にもなっています。
🟩 表:誘引力の高い餌リスト(エサの特性別)
| 分類 | 具体例 | 匂いの強さ | カロリー | 誘引力 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 果物類 | バナナ、ブドウ、リンゴ | 中〜強 | 高 | 高 | 熟したものが効果的 |
| 加工食品 | 菓子パン、マシュマロ、キャラメルコーン | 強 | 高 | 非常に高 | 他動物の誤捕獲注意 |
| タンパク源 | 卵、煮干し、鶏肉の残り | 強 | 中〜高 | 高 | 猫やキツネが寄る可能性あり |
| 野菜類 | トウモロコシ、サツマイモ | 中 | 中 | 中 | 秋〜冬に有効なことが多い |
🔎 引用:
農研機構(2020)『外来哺乳類の農業被害とその対策』
鹿児島大学・西村ほか(2018)「アライグマの誘引餌に関する嗜好性調査」
雑食性:動物性・植物性を幅広く食べる
アライグマは動物性タンパク質として昆虫、小動物、鳥の卵やヒナなどを捕食します。また、木の実や果物など植物性のエサも好むため、生態系への影響が大きいのが特徴です。ある地域では川や池で魚やカニなどを食べることもあり、多岐にわたる食生活が彼らの高い適応力を支えています。
甘いものや果物を好む理由
アライグマは効率よくエネルギーを取り入れられるものを求めるため、自然界でも熟した果物や糖分を含む植物を探し出します。特に果樹園や家庭菜園が被害を受けやすいのは、栄養価と甘みを兼ね備えた作物が収穫に合わせて大量に実るからです。高カロリー食品が豊富にある環境ほど、アライグマの定住化リスクが高まる傾向にあります。
アライグマは本当にエサを洗う?その行動原理
アライグマには食べ物を“洗う”ような仕草が見られるため、洗浄目的と捉えられがちですが、実際には水中で手先の触覚を使って食べ物を感知している可能性が高いと考えられています。視覚よりも触覚に頼る習性が強く、水際で手を動かすことでエサの質や形状を確認しているのです。結果的に食べ物を濡らす形となり、“洗っている”ように見える行動が生じるわけです。
アライグマが好む場所:生息地と生活パターン
アライグマは都市部から農村部まで適応力が高く、さまざまな環境下で生活します。どんなところに好んで住み着くのでしょうか。
自然環境の豊かな地域だけでなく、都市部の公園や住宅街にも進出しやすいのがアライグマの大きな特徴です。建物の屋根裏や床下、倉庫などに侵入して巣を作るケースもあり、多様な生活パターンを持つため早期の発見と対策が欠かせません。
夜行性の特徴とエサ探し
アライグマは夜行性のため、昼間は人目のつかない場所に隠れて休息し、夜になるとエサを探しに活動を始めます。ゴミ置き場や庭先の生ゴミ、農作物を狙うことも多く、見つけるのが遅れると被害が拡大しがちです。夜間の行動パターンを理解し、昼間に巣の痕跡や足跡などを確認することが被害を食い止める要につながります。
都市部にも適応するアライグマの暮らし
都市部でもアライグマが定着しているのは、建物の隙間や公園などで身を隠せるスペースが多いこと、そして人間のゴミから食料を確保できるためです。こうした環境だと、自然の天敵も少ないため繁殖もしやすく、一度定着すると数が急増する恐れがあります。ゴミ管理を徹底し、潜伏場所となり得る箇所の点検をこまめに行うことが重要です。
アライグマ被害の実例

被害報告の多くは農作物や住宅周辺で起こります。具体的にはどのようなケースがあるのでしょうか。
アライグマが引き起こす被害として、農作物の食害や庭への侵入、ゴミ荒らしなどが代表的です。農家だけでなく一般家庭でも庭先の池の魚を捕食されるなど、多面的な問題が報告されています。
農作物への食害
トウモロコシや果物など、人間にとっても貴重な収穫物を狙うのがアライグマの特徴です。一度見つけると執拗に同じ場所へ通うため、被害が連鎖的に起きるケースも珍しくありません。農業地帯では作物の大幅な収量減を招くことから、深刻な問題とされています。
住居や庭を荒らすリスク
屋根裏に入り込んで巣をつくり、断熱材や電気配線をかじる被害も発生しています。さらに庭の池の魚や観賞用の植物が荒らされることが多く、家庭でも大きなストレスとなるでしょう。特に子育ての時期には警戒心が薄れ、被害が拡大する傾向があります。
ゴミ置き場や餌付けが引き起こす問題
ゴミ置き場にある生ゴミの匂いを覚えると、定期的に通う習性が生まれやすくなります。人為的に与えられたエサ一つで生活環境に居着いてしまうこともあるため、餌付けのような行為は厳禁です。こうした被害が長期化してしまう要因には、ゴミ出しの管理不備も含まれます。
エサトラップ法で生息状況を把握する

アライグマの実際の生息を確認するために使われるのがエサトラップ法です。その特徴と注意点を解説します。
エサを用いてアライグマをおびき出し、生息数や行動範囲をある程度把握するのがエサトラップ法の基本的な考え方です。被害状況を調査する専門家や自治体が利用する場合も多く、事前の準備がしっかりしていれば精度の高い情報が得られます。
エサトラップの仕組みとメリット
エサを入れた容器やペットボトルなどを一定の場所に仕掛け、アライグマが食べに来るかどうかを観察します。これにより、捕獲しなくても生息の有無や被害範囲を推定できるため、情報収集に役立ちます。設置や確認が比較的簡単であり、他の各種対策と並行して行えるメリットもあります。
設置時の注意点:周囲環境への配慮
他の野生動物やペットが誤って引っかからないよう、置き場所や使用するエサを慎重に選ぶことが重要です。思わぬ動物被害を招くことを防ぐためにも、回収・清掃のタイミングを管理しながら調査を行う必要があります。
箱罠を使った捕獲方法
アライグマを効果的に捕獲するには、適切な罠とエサの選択が重要です。箱罠を使った具体的な方法を見ていきましょう。
箱罠はアライグマを生け捕りにするための道具として広く使われています。正しい扱い方や設置場所に気を配らなければ、捕獲率が下がるだけでなく、他の動物を傷つける可能性もあるため注意が必要です。
最適なエサの選び方
アライグマは果物から甘いお菓子、キャラメル味のスナックなど高カロリーなものに誘引されやすいことが知られています。逆に硬いものや匂いが弱いものは効果が薄いため、捕獲成功率を上げたいならば甘くて匂いの強いエサを用意しましょう。
罠の設置場所・設置時期を見極める
アライグマが通る道や頻繁に餌を探す場所を特定し、夜行性に合わせて夕方から朝方まで設置するのが効果的です。あまり人の目が届かない場所に仕掛けるとチェックが遅れがちになるため、管理しやすいポイントに置くことも成功のカギとなります。
捕獲後のアライグマの扱い方
アライグマは特定外来生物に指定されているため、捕獲後の処置には法令遵守が求められます。行政や専門業者に連絡し、指導に従って処理することが必要です。
「特定外来生物」かつ「狩猟鳥獣」として分類されており、無許可の移送・飼育・放逐は違法です。
🟥 表:捕獲後に必要な対応一覧
| 項目 | 対応内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 捕獲報告 | 自治体・環境部門へ報告 | 駆除計画に基づく報告が必要 |
| 処分方法 | 原則は行政か許可業者が処理 | 個人での殺処分は禁止されている地域もあり |
| 飼育・放逐 | 原則禁止 | 外来生物法に基づき罰則対象 |
🔎 引用:
環境省(2023年版)『外来生物法概要』
独立行政法人・自然環境研究センター(NEC)資料(2022)
捕獲や飼育は法律違反?アライグマに関する法規定

アライグマは特定外来生物に指定されており、法的な取り扱いが厳しく定められています。その概要を確認しましょう。
外来生物による生態系への影響を最小限に抑えるために、捕獲や飼育には厳格なルールが設けられています。アライグマを間違って飼育し続けることが、さらなる野外放出や繁殖を引き起こすリスクになるため、十分な理解が欠かせません。
鳥獣保護管理法と特定外来生物法の概要
鳥獣保護管理法は野生動物を保護する目的で制定されていますが、アライグマに関しては外来生物問題も含まれるため、さらに特定外来生物法の規制対象となっています。無許可捕獲や飼育は原則禁止とされ、違反行為に対しては罰則が科されることがあります。
駆除許可申請の流れと注意点
アライグマの駆除を実施する場合は、事前に自治体へ申請を行い、許可を得る必要があります。申請書類には捕獲方法や実施場所など具体的な情報を記載し、承認を得た上で適切に捕獲を進めます。違法駆除を避けるため、事前の打ち合わせや申請書の書き方などを自治体と入念に確認しましょう。
アライグマ駆除における失敗例と改善策
駆除を試みてもアライグマを取り逃がすことがよくあります。代表的な失敗例と改善策を見てみましょう。
捕獲用の罠やエサを用意しても、アライグマがまったく興味を示さないことがあるのはなぜでしょうか。原因を探ることで対策を講じ、次回の成功率を高めることができます。
エサや罠の選択ミス
アライグマ好みのエサを使わなかったり、箱罠以外の適切な装置を選べていなかったりすると、捕獲率は大きく下がります。エサは香りや甘さが強いものを準備し、罠も十分な大きさと頑丈さを備えたものを選ぶことが大切です。
逃げられやすい設置環境
罠の入り口付近に障害物があったり、設置場所が不安定だとアライグマに違和感を与え、警戒されやすくなります。周囲の逃げ道が多い環境だとアライグマがわざわざ罠に近づく理由がなくなるため、最適なポイントを慎重に選ぶことが成功への第一歩です。
プロの駆除業者に依頼するメリット
自力での駆除に限界を感じたら、専門家へ依頼するのが得策です。そのメリットを紹介します。
アライグマ対策は法的手続きや安全面を考慮すると、知識と経験が不可欠です。専門業者に依頼すれば効率的かつ安全にアライグマの捕獲や対策を行うことができます。
安全かつ確実に捕獲できる理由
プロの駆除業者はアライグマの習性を熟知し、適切な装備や罠を用いて捕獲を実施します。捕獲後の対応や引き渡しの手順も心得ているため、違法や事故のリスクを最小限に抑えられるのが大きな利点です。
アフターケアと再発防止計画
駆除完了後には侵入口の封鎖や追跡調査など、再度アライグマが侵入しないための施策が重要になります。プロは建物の構造や周辺環境に合わせた対策を具体的に提案し、再発防止の計画を立ててくれるため、長期的な安心感を得やすいのです。
自治体の捕獲事業やサポートを活用する
自治体が行っている捕獲事業や補助金制度をうまく活用することで、費用負担や手続きが軽減される場合があります。
多くの自治体では外来生物対策の一環として、アライグマによる被害防止の取り組みを始めています。無料または低コストでの罠貸し出しや、相談窓口の設置など、煩雑な申請をフォローしてくれるサービスが整備されてきています。
捕獲器の貸し出しや補助金制度
自治体によっては箱罠や餌の費用を負担してくれる制度があるほか、一時的な補助金が支給されるケースがあります。これらを利用することで、個人での費用負担を軽減しながら本格的な対策を行うことが可能です。
申請の方法と注意点
まずは自治体のウェブサイトや窓口で申請書類を入手し、必要事項を記入の上提出します。提出期限や書類不備に注意しながら準備を進めれば比較的スムーズに申請が通りますが、条件や制度内容は地域ごとに異なるため、事前の情報収集が重要となります。
DIYでできるアライグマ対策
費用を抑えながら、日常的にできるアライグマ対策にはどのようなものがあるでしょうか。
身近な環境改善から始めるDIY対策は、アライグマが寄り付く条件を根本から断つことを目指すものです。侵入経路やエサとなるゴミを管理し、心理的または物理的にアライグマを寄せつけない工夫が大切です。
侵入口の徹底封鎖とゴミ管理
屋根裏や床下に通じる隙間を金網や板材で塞ぎ、生ゴミは厳重に蓋ができるゴミ箱を使用します。匂い漏れを防ぐだけでもアライグマの興味をひきにくくなるため、被害予防として効果的です。こまめな点検と清掃を行うことで、継続的に対策をアップデートすることができます。
ライト・超音波機器などの活用
強い光や特殊な音波はアライグマが嫌う刺激となり、近づきにくい環境を作り出せます。自動点灯式のセンサーライトを家の周囲に設置したり、一定の間隔で超音波が発せられる装置を使用すると、継続的な対策として有効です。ただし、アライグマが慣れてしまう可能性もあるため、他の手段と併用するのが望ましいでしょう。
季節ごとのアライグマ対策ポイント

アライグマの行動は季節によって異なります。各シーズンに応じた対策が必要となるでしょう。
気温や繁殖サイクルに左右されるアライグマは、季節に応じて行動範囲やエサの探し方が変化します。春夏には巣作り、秋冬には食料確保が活発化するため、それぞれで異なる重点対策を行うことが効果的です。
繁殖期に注意すべきこと
春先から初夏にかけては出産・子育てが活発になるため、屋根裏や床下などに巣を作られるリスクが高まります。仮に巣を作られた場合は追い出しが難しくなるため、早めの巣材撤去や侵入口の補修が重要です。
秋冬シーズンのエサ行動対策
秋から冬にかけては食料を蓄えようとするアライグマの活動が増え、ゴミ置き場や農作物に深刻な被害をもたらすケースが多くなります。生ゴミの管理を徹底し、作物をしっかり防護するなど、食べ物が手に入らない環境を整えることが大切です。
アライグマ駆除の費用と補助金
駆除作業には費用が発生しますが、自治体の助成制度を活用することで負担を軽減できる可能性があります。
アライグマ駆除のコストは業者への依頼費用や箱罠の設置代金などさまざまです。しかし自治体によっては助成金制度や罠の無料貸し出しを行っているところもあり、適切に利用すれば出費を抑えながら効果的な対策が可能になります。
駆除費用の目安
駆除業者に依頼する場合、1回の捕獲作業で数万円から数十万円程度が相場とされています。被害の程度や建物の構造、設置する罠や補修作業の範囲によって費用が変動するため、事前に複数の業者から見積もりを取ることが望ましいでしょう。
自治体による助成制度の有無
自治体によっては罠の貸し出しや捕獲報奨金、駆除費用の一部助成を行っている例があります。条件や申請方法は地域ごとに異なるため、まずは市役所や町役場のホームページや窓口を確認し、対象の可否や必要な手続きをチェックしましょう。
駆除後の再侵入を防ぐアフターケア
捕獲して終わりではなく、その後の管理こそがアライグマ対策の要になります。
アライグマを駆除しても、再び同じ場所に侵入されるケースは少なくありません。特に侵入口や餌源となる場所をそのままにしておくと、他の個体がやってくるリスクが高まります。
被害箇所の補修と清掃
巣を作られた屋根裏や床下は、糞尿や体毛で汚染されている可能性があります。放置すると衛生面での問題を引き起こすだけでなく、アライグマが再侵入する際の痕跡として利用されることもあるため、しっかりと清掃と消毒を行いましょう。
定期的な監視とモニタリング
駆除後も定期的に監視カメラや足跡のチェックを行い、異変を早期に発見することが再被害防止につながります。特に季節の変わり目にはアライグマの行動パターンが変化しやすいため、こまめに確認することで被害を最小限に抑えることが可能です。
まとめ:アライグマのエサ知識と対策・駆除のポイント
アライグマの食性や生活環境を理解した上で、被害を予防・対処することが重要です。本記事で紹介した対策や法令を踏まえ、適切な方法を選択しましょう。
雑食性で糖分やタンパク質を好むアライグマは、多様な環境に適応しやすい外来生物です。被害を防ぐためにはまずエサとなるゴミや農作物の管理を徹底し、侵入口を封鎖して生活圏を守ることが基本となります。さらに法律で保護・規制が定められているため、捕獲や駆除を行う場合は必ず自治体へ申請を行い、許可を得たうえで進めるようにしてください。プロの業者や行政のサポートを適切に活用すれば、長期的なアライグマ対策の効果を高められるはずです。
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