止め刺しから解体について

※注意:この記事は、狩猟や鳥獣被害に理解のある方のみ閲覧ください。いわゆる動物愛護観点からのコメントには応じかねます。

止めさしの前に

遠くから双眼鏡などを使い、獣が罠にかかっていることを確認します。ゆっくりと近づきます。 わなの見回りや止めさしのときに、事故が発生しやすいので十分注意してください。

画像

くくり罠のチェックポイント

足くくり

獣のくくり位置

高い位置をくくれているかを確認してください。低い位置を括っていたり、ワイヤーが切れかかっていると要注意。

獣の部位

獣の様子

括った部分の体の部位が、ちぎれかけていないか。足をちぎって逃げる獣もいます。相手も命懸けなので要確認箇所です。

根付け

根付け部分

根付けしている木や杭からワイヤーが抜けていないか、ワイヤーが切れかかっていないかを確認します。

可動範囲

獣の可動範囲

イノホイのくくり罠はワイヤーの全長約5mあります。半径5mは獣が動き回れるので突進してこない安全な距離を保ちます。

箱罠のチェックポイント

箱罠の破損はないか
逃げられないか

箱罠の状態

獣が暴れて箱罠が破損していないか、扉やストッパーは正常に作動して逃げ出す恐れはないかを確認します。

遠くから確認

捕獲された獣の確認

離れた場所から、手をたたいたり、大きな声を出して、捕獲された獣の反応を観察し、様子を伺います。また、近くに仲間が潜んでいる場合もあるので十分注意てください。

止めさしの種類

  1. 銃器
  2. 刃物
  3. 電気
  4. ガス

1.銃器を使用する方法

※銃を使用するには「第一種銃猟」または、「第二種銃猟」の免許と、「銃所持」の許可が必要です。

大きい獣も離れた距離から安全に止め刺しができる、最も威力が大きい止め刺し方法です。基本的には一発弾のスラッグ弾を使用します。威力の高いプレチャージ式の空気銃が使用されることもあります。

注意事項

銃が使用できない場所があるため、銃による止め刺しが可能か事前にチェックしておきましょう。

また、矢先にバックストップ(弾が範囲を越えて行かない為の遮蔽物)を確保し、民家や人がいないことを必ず確認しましょう。 跳弾にはくれぐれも注意し、銃所持者以外は銃所持者の後ろ側に立ち、物陰に隠れてください。

狙撃する位置

鹿狙撃位置

シカの場合

頭部か首、心臓を狙います。

猪狙撃位置

イノシシの場合

眉間、こめかみ(耳のうしろ)、心臓を狙います。

心臓を的にした場合、弾片が肉に入り込んだり、血抜けが悪くなるため、食肉としての活用は難しくなります。
頭蓋骨で跳弾する場合があるため、十分注意しましょう。

2.刃物を使用する方法

※止め刺しに使う刃物は、軽犯罪法第1条第2号により「正当な理由がなく携帯すること」は禁止されています。

刃物などで心臓や頸動脈を刺す方法です。

動き回る獣を止め刺すのは危険なので、鼻くくりや足錠などで獣の動きを制限します。

鼻くくり

鼻くくり

足を括った獣の鼻を固定して動きを制限します。

足錠

ロープ・足錠

足を固定して、獣の動きを封じます。

チョン掛け

チョン掛け

くくりわなのバネやワイヤーに引っ掛け、イノシシが自由に動ける範囲を制限します。

ハンマーや木の棒で失神させてから刃物で止めを刺す場合もあります。

箱罠の場合、網目に角材などを通して、獣の可動域を狭めていく方法や、可動式の床や天井で空間を狭める方法もあります。

ナイフを刺す位置

鹿止め刺し

シカの場合

首に刃を入れて頸動脈を切ります。開口部をなるべく小さくして、食道まで切ってしまわないように注意しましょう。

猪止め刺し

イノシシの場合

喉元や心臓などに刺します。

箱罠の場合は、止め刺し後に獣が暴れて柄が折れる場合があるので、刺したナイフは直ぐに抜き取ります。

3. 電流で感電させる方法

自動車やバイクに使われるような小型バッテリーを用いて、捕獲獣に電極を接触させて電気を流す方法です。捕獲獣の動きがある程度制限されている状態でないと実施できない方法なので、獣の可動域が広い場合は、保定具等を使って脚や鼻などをしっかりと保定しておく必要があります。

参考動画:箱罠での電気止め刺し

食肉活用を前提とする場合、電気で獣を動けなくした後に、刃物類で止めを刺す方法が用いられます。電気で止めさしをする場合は、免許や許可が不要で、経験が浅い場合も対応ができ、血が流れないため罠や器具の汚れも抑えられます。

基本的には、片方の電極を顔や首などの上半身に、もう片方の電極を臀部やモモなどの下半身に接触させ、心臓に電気を流します。この際、脂肪が少ない部位を狙います。 金属でできた箱罠の場合、罠自体をアースにして通電する場合もあります。

電気の性質や装置の構造に関する基本的な知識があることが前提で、漏電や感電に十分注意する必要があります。電圧が高いほど、事故が発生する確率が高くなりますので、過剰に昇圧することは避けましょう。

事故を避けるため、使用時には、ゴム手袋やゴム長靴など、電気を通さない装備をすること、川の中や降雨時の使用を避けることを留意しておきましょう。

4. 炭酸ガスなどを用いた化学的な処理

箱罠で捕獲した際に、罠ごと専用の箱に入れて、箱に炭酸ガスを注入し、箱内に充填させ、殺処分する方法です。

ガスによる処理は、シカやイノシシのようにある程度体のサイズが大きい獣においては、装置自体が大掛かりになるため適していませんが、アライグマなどの小型獣に対しては有効な方法であり、広く用いられています(安楽死のための規定基準に従って実施する必要があります)。

まとめ

安全かつ迅速に処理を行うためには、状況に応じて様々な止め刺し方法を用意しておくことです。罠を設置する際に様々なケースを想定しておき、対処方法を予め用意しておきましょう。

ターゲット以外の獣がかかった場合は、放獣することも考えなければなりませんし、たくさんの罠に一度にかかる場合の対処方法も考慮しておく必要があります。銃による処置が自身で行えない場合は、銃猟師と事前に連絡をとっておきましょう。

あらかじめ、かかる労力や時間、費用などよくシミュレーションしておきましょう。 止め刺し後の処置については、こちらの記事をご覧ください>>イノシシの解体・捌き方【※閲覧注意】

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