鳥獣被害対策マガジン
箱罠の仕掛けテクニック
目次 1まずは状況・行動観察から 2警戒の程度を推し量る 3警戒を弱める工夫をする 1箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 2両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 3撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 4仕掛け応用例 獲物が罠に対してスレていない(学習していない)場合は、罠を使って多く捕獲できるチャンスです。しかしイノシシは他の動物に比べて警戒心が強く、神経質。そして学習能力も高いため、明らかに自然のものではない箱罠を使用する場合にかかりやすいのは、スレていない子イノシシが中心となります。 特に、スレたイノシシが多いエリアでは、箱罠を設置したが一ヵ月近く何もない、というケースも多くあります。この記事では、そのようなシチュエーションにおいても箱罠で捕獲するにはどうしたら良いか、考察してみます。 まずは状況・行動観察から 体重が50キロを超えてくるようなイノシシは、罠や人間について色々と学習しているため、箱罠に入りにくくなる傾向があります。 罠の状態を目で見て、獲物がどのような行動をしているか推測することも大切ですが、「確かに居る痕跡があるのに、なんで箱罠に入らない?」となった場合は、人間の目が無いときにどのような彼らが行動をしているか、トレイルカメラを使って録画してみることも一つの手です。 トレイルカメラをセットすることにより、昼間でも罠付近に人間がいない時間や、夜間のイノシシの姿を確認することができますし、イノシシ以外の動物の行動を見ることができたり、ワナや掛かったイノシシの盗難を検挙できたりすることができます(カメラを仕掛けた位置はカモフラージュして、見つけにくくすると良いでしょう。大抵のトレイルカメラは迷彩柄などになっており、野外で目立たない色になっています)。 警戒の程度を推し量る トレイルカメラで撮影された映像を見ると、様々なヒントを得ることができます。 例えば、上のトレイルカメラ映像では、多くの子イノシシと、メスの成獣イノシシが数匹写っていますが、設置間もない箱罠のようで、警戒して中には入らない状況です。 カメラの映像を見ながら、イノシシの警戒の程度を推し量り、「先に子イノシシを獲ると、成獣が学習してしまって捕獲まで相当な時間がかかりそうだな・・・まずは成獣狙いで、しばらく根気比べで成獣の警戒心をじっくり解こう」など作戦を立てることができます。 警戒を弱める工夫をする 箱罠による捕獲をする場合、イノシシの警戒心を解いて罠に近づけさせることが最初のステップになりますので、彼らが慣れて中に入るようになるまでは罠の扉が落ちないようロックしておきます。 日々見回りをして様々なサインを読み取ることが重要です。そして、罠の奥までイノシシが入り、エサを頻繁に食べるようになるのを待つわけです。 細かいテクニックは人によって様々ですが、代表的なものをいくつか紹介します。 1. 箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 以下の動画の箱罠は、何年も移動させることなく設置しているものですが、毎年しっかり捕獲できています。設置の際に、底面に土を被せ、網を見えなくしたのですが、月日が経ち、周りの自然と一体化しています。このような箱罠は捕獲率が高い傾向にあります。 2. 両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 両扉タイプの箱罠の場合、最初は両方の扉を開けておくと、警戒心が解けて箱罠の中の餌を食べるようになるまでの期間が短い傾向にあります。箱罠の中の餌を食べるようになったら、片方の扉を閉じてトリガーを作動させるようにしておくとよいでしょう。 3. 撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 雨が降ったりして餌が流れてしまうと、せっかくの慣らしがまた一からやり直しになったりする場合もあります。罠の内部に餌を置く場合、箱罠の上にコンパネなどをおいておくと、カラス等が餌を見つけて荒らすことを防げたり、雨が降っても餌が濡れないようにできます。 仕掛け応用例 下記のような応用ができるため、蹴り糸方式の箱罠がおすすめです。蹴り糸は、丈夫で見えにくいヒモが良いです。皆さま様々な工夫をされています。...
箱罠の仕掛けテクニック
目次 1まずは状況・行動観察から 2警戒の程度を推し量る 3警戒を弱める工夫をする 1箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 2両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 3撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 4仕掛け応用例 獲物が罠に対してスレていない(学習していない)場合は、罠を使って多く捕獲できるチャンスです。しかしイノシシは他の動物に比べて警戒心が強く、神経質。そして学習能力も高いため、明らかに自然のものではない箱罠を使用する場合にかかりやすいのは、スレていない子イノシシが中心となります。 特に、スレたイノシシが多いエリアでは、箱罠を設置したが一ヵ月近く何もない、というケースも多くあります。この記事では、そのようなシチュエーションにおいても箱罠で捕獲するにはどうしたら良いか、考察してみます。 まずは状況・行動観察から 体重が50キロを超えてくるようなイノシシは、罠や人間について色々と学習しているため、箱罠に入りにくくなる傾向があります。 罠の状態を目で見て、獲物がどのような行動をしているか推測することも大切ですが、「確かに居る痕跡があるのに、なんで箱罠に入らない?」となった場合は、人間の目が無いときにどのような彼らが行動をしているか、トレイルカメラを使って録画してみることも一つの手です。 トレイルカメラをセットすることにより、昼間でも罠付近に人間がいない時間や、夜間のイノシシの姿を確認することができますし、イノシシ以外の動物の行動を見ることができたり、ワナや掛かったイノシシの盗難を検挙できたりすることができます(カメラを仕掛けた位置はカモフラージュして、見つけにくくすると良いでしょう。大抵のトレイルカメラは迷彩柄などになっており、野外で目立たない色になっています)。 警戒の程度を推し量る トレイルカメラで撮影された映像を見ると、様々なヒントを得ることができます。 例えば、上のトレイルカメラ映像では、多くの子イノシシと、メスの成獣イノシシが数匹写っていますが、設置間もない箱罠のようで、警戒して中には入らない状況です。 カメラの映像を見ながら、イノシシの警戒の程度を推し量り、「先に子イノシシを獲ると、成獣が学習してしまって捕獲まで相当な時間がかかりそうだな・・・まずは成獣狙いで、しばらく根気比べで成獣の警戒心をじっくり解こう」など作戦を立てることができます。 警戒を弱める工夫をする 箱罠による捕獲をする場合、イノシシの警戒心を解いて罠に近づけさせることが最初のステップになりますので、彼らが慣れて中に入るようになるまでは罠の扉が落ちないようロックしておきます。 日々見回りをして様々なサインを読み取ることが重要です。そして、罠の奥までイノシシが入り、エサを頻繁に食べるようになるのを待つわけです。 細かいテクニックは人によって様々ですが、代表的なものをいくつか紹介します。 1. 箱罠の底面には土を被せ、網を見えなくする 以下の動画の箱罠は、何年も移動させることなく設置しているものですが、毎年しっかり捕獲できています。設置の際に、底面に土を被せ、網を見えなくしたのですが、月日が経ち、周りの自然と一体化しています。このような箱罠は捕獲率が高い傾向にあります。 2. 両扉の場合、最初は両方の扉を開けておく 両扉タイプの箱罠の場合、最初は両方の扉を開けておくと、警戒心が解けて箱罠の中の餌を食べるようになるまでの期間が短い傾向にあります。箱罠の中の餌を食べるようになったら、片方の扉を閉じてトリガーを作動させるようにしておくとよいでしょう。 3. 撒き餌の劣化防止のために、箱罠の上にコンパネ等をかぶせる 雨が降ったりして餌が流れてしまうと、せっかくの慣らしがまた一からやり直しになったりする場合もあります。罠の内部に餌を置く場合、箱罠の上にコンパネなどをおいておくと、カラス等が餌を見つけて荒らすことを防げたり、雨が降っても餌が濡れないようにできます。 仕掛け応用例 下記のような応用ができるため、蹴り糸方式の箱罠がおすすめです。蹴り糸は、丈夫で見えにくいヒモが良いです。皆さま様々な工夫をされています。...
くくり罠の構成部品・パーツについて
目次 1ワイヤー 2スリーブ(クランプ管) 3バネ 1押しバネ 2引きバネ 3松葉式(ねじりバネ) 4より戻し 5くくり金具&締め付け防止金具 6ワイヤー止め 7シャックル 8踏み板 くくり罠とは、獲物の体を括る(くくる)ことによって捕獲する罠のことです。括る部位によって、「胴くくり(胴ではなく首をくくる場合もあります)」と「足くくり」に分かれます。このうち、多くの人が使っているのが「足くくり」です。 足くくり罠は、仕掛けておいた罠が作動した瞬間にワイヤーが締まり、足首を拘束する仕組みになっています。予め張っておいた蹴り糸に獲物が触れると作動する「蹴り糸タイプ」、地面に仕掛けておいた踏み板を獲物が踏むと作動する「踏み板タイプ」に大別されますが、この記事では、「踏み板タイプ」の構成部品について説明します。 ※胴くくりの場合、罠の大きさの規制に引っかかること、構造上事故が起こるリスクが高いこと、捕獲した獲物は短時間で欝血死してしまうことから、足くくりを選択するケースが多いです。 ワイヤー くくり罠に使用できるワイヤーの太さは、法令により4mm以上と規定されています。たった1mm太さが違うだけでも、くくり罠の作動の早さは大きく変わります。ワイヤー径が細いほうが作動が早く、獲物の脚をくくる確率が上がりますので、捕獲率は高くなります。一方で、径が細いほうがワイヤーは切れやすくなります。 当然、4ミリ系よりも5ミリのほうが、5ミリより6ミリのほうが丈夫さは大きく上回ります。 特に、傾斜がある場所で後ろ足を括っていた場合、獲物の体重と勢いでワイヤーが切れてしまうケースもあります。人間が思うよりも野生の力は強大です。安全のため、ワイヤーは都度交換されることをお勧めします。 なお、くくり罠に主に使用されるワイヤーは、複数の素線の束を組み合わせた構造の「ワイヤロープ」と呼ばれるものです。ロープ径だけではなく、素線の数と配置によって柔軟性や耐性が変化します。柔らかいワイヤーを選択すると作動のスピードが上がりますが、ねじれやすいので大物獣がかかると切れやすくなる傾向があります。 スリーブ(クランプ管) ワイヤロープのロック止め(加締め)に使用します。ワイヤー径に応じたサイズを選んで使用します。なお加締め作業は、アームスエージャー等の専用工具が必需になります。 バネ くくり罠が作動するための動力となるのがバネです。バネの性能によって罠の作動が大きく左右されます。押しバネ、引きバネ、松葉式バネ(ねじりバネ)等のタイプがあります。バネの力が強いと作動も早くなりますが、設置に難儀したり、意図せぬ作動によって怪我をする場合もあるので注意が必要です。 押しバネ 圧縮したバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めるタイプです。塩ビ管等にバネを押し込むことで圧縮させます。安価で構造もシンプルであるため、製作や設置が簡単であるという点が長所です。初心者から上級者まで、幅広く採用されているタイプになります。 引きバネ 押しバネとは逆で、引っ張られたバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めます。 松葉式(ねじりバネ) 中心部がねじられてコイル形状になっており、それによる弾性力によって端末部(腕)が元に戻ろうとする力を使ってワイヤーを締めるタイプです。締め上げのスピードが速く捕獲率が高い事や、押しバネや引きバネと比べると強度がある点が長所として挙げられます。一方で、意図せぬ作動によって失明等の重篤な怪我をするケースも散見され、罠の扱いに慣れた中~上級者向けのバネといえます。...
くくり罠の構成部品・パーツについて
目次 1ワイヤー 2スリーブ(クランプ管) 3バネ 1押しバネ 2引きバネ 3松葉式(ねじりバネ) 4より戻し 5くくり金具&締め付け防止金具 6ワイヤー止め 7シャックル 8踏み板 くくり罠とは、獲物の体を括る(くくる)ことによって捕獲する罠のことです。括る部位によって、「胴くくり(胴ではなく首をくくる場合もあります)」と「足くくり」に分かれます。このうち、多くの人が使っているのが「足くくり」です。 足くくり罠は、仕掛けておいた罠が作動した瞬間にワイヤーが締まり、足首を拘束する仕組みになっています。予め張っておいた蹴り糸に獲物が触れると作動する「蹴り糸タイプ」、地面に仕掛けておいた踏み板を獲物が踏むと作動する「踏み板タイプ」に大別されますが、この記事では、「踏み板タイプ」の構成部品について説明します。 ※胴くくりの場合、罠の大きさの規制に引っかかること、構造上事故が起こるリスクが高いこと、捕獲した獲物は短時間で欝血死してしまうことから、足くくりを選択するケースが多いです。 ワイヤー くくり罠に使用できるワイヤーの太さは、法令により4mm以上と規定されています。たった1mm太さが違うだけでも、くくり罠の作動の早さは大きく変わります。ワイヤー径が細いほうが作動が早く、獲物の脚をくくる確率が上がりますので、捕獲率は高くなります。一方で、径が細いほうがワイヤーは切れやすくなります。 当然、4ミリ系よりも5ミリのほうが、5ミリより6ミリのほうが丈夫さは大きく上回ります。 特に、傾斜がある場所で後ろ足を括っていた場合、獲物の体重と勢いでワイヤーが切れてしまうケースもあります。人間が思うよりも野生の力は強大です。安全のため、ワイヤーは都度交換されることをお勧めします。 なお、くくり罠に主に使用されるワイヤーは、複数の素線の束を組み合わせた構造の「ワイヤロープ」と呼ばれるものです。ロープ径だけではなく、素線の数と配置によって柔軟性や耐性が変化します。柔らかいワイヤーを選択すると作動のスピードが上がりますが、ねじれやすいので大物獣がかかると切れやすくなる傾向があります。 スリーブ(クランプ管) ワイヤロープのロック止め(加締め)に使用します。ワイヤー径に応じたサイズを選んで使用します。なお加締め作業は、アームスエージャー等の専用工具が必需になります。 バネ くくり罠が作動するための動力となるのがバネです。バネの性能によって罠の作動が大きく左右されます。押しバネ、引きバネ、松葉式バネ(ねじりバネ)等のタイプがあります。バネの力が強いと作動も早くなりますが、設置に難儀したり、意図せぬ作動によって怪我をする場合もあるので注意が必要です。 押しバネ 圧縮したバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めるタイプです。塩ビ管等にバネを押し込むことで圧縮させます。安価で構造もシンプルであるため、製作や設置が簡単であるという点が長所です。初心者から上級者まで、幅広く採用されているタイプになります。 引きバネ 押しバネとは逆で、引っ張られたバネが元に戻る力を使ってワイヤーを締めます。 松葉式(ねじりバネ) 中心部がねじられてコイル形状になっており、それによる弾性力によって端末部(腕)が元に戻ろうとする力を使ってワイヤーを締めるタイプです。締め上げのスピードが速く捕獲率が高い事や、押しバネや引きバネと比べると強度がある点が長所として挙げられます。一方で、意図せぬ作動によって失明等の重篤な怪我をするケースも散見され、罠の扱いに慣れた中~上級者向けのバネといえます。...
「大きな猪を仕留めてみたい」~ 若き猟師にインタビュー 黒田勇気さん(宮崎県)
宮崎県北部の自然豊かな山あいの集落、美郷町南郷。面積の約9割が山林というこの地域。 過疎化で若者が町から離れていく一方、この地域に残り、山の恩恵を身近に感じながら生活している若者もいます。 美郷町で林業に従事している黒田勇気さん(23歳)もその一人。苗木の植栽や下草の刈払作業などを行い木の成長を手助けする「造林」が本業ですが、休日などには狩猟も行っています。 大人になったら猟に行くのが当たり前だと思っていた ー狩猟は何歳のときに始めたんですか? 猟銃の免許をとったのが20歳のときなので、そのときからですかね。 写真:猟師である父親の背中を見て育ち、幼い頃から狩猟は生活の一部であった。狩猟もごく自然な流れで始めた。 ーなぜ狩りをしようと思ったんですか? 父も狩りをしていて、それを幼い頃から見ていたので、自分も狩猟免許が取れる年齢になったら猟銃の免許を取らないといけない、そして猟をしないといけないんだろうなと、当たり前のように思っていました。 なので、20歳になったらごく自然な流れで始めていましたね。 ーお父様の狩りをする姿をこれまでに見たことがあると思いますが、逆に嫌だとは思わなかったんですか? 確かに、子どものときはいろいろ手伝わされたりして、よだきい(面倒くさい)としか思わなかったですけど、うーん、なんでしょうね。鉄砲が撃ってみたかったんですよね。父が持っている鉄砲がかっこよくて、子どもの頃から鉄砲のおもちゃで真似ごとみたいなことはしてましたね。 ーでは、猟銃の免許を取得して、一番最初に行った狩りのことは覚えていますか? 覚えてます。そのときは、確か鹿を仕留めたと思います。 鹿が2頭出てきて、狙って撃って当たらなかったんですけど、その鹿が父のところに行って、1頭は父が仕留めて、俺の近くに戻ってきた1頭をようやく仕留めました。 ー初めて自分が撃った弾で獲物を仕留めたとき、どんな心境でした? 足が震えましたね、興奮して(笑) 痩せてたけど、結構大きかったんですよ。それは自分でさばきました。 ーさばくのも自分でやるんですね。さばき方はどうやって身につけたんですか? 子どもの頃から見てましたし、狩りをする前から手伝っていたので自然と覚えました。 (▲写真):慣れた手つきで獲れたイノシシの毛抜きをする黒田さん。子どもの頃から何度もやってきた作業だ。 ー年間、どのくらい狩りに行くんですか? 仕事もありますし、子どももまだ小さいので、月に2回くらいですかね。最近はあまり行けてないですね。 (▲写真):獲れた獲物は余すことなく。自分で獲った獲物を自分で捌き、山の恵みに感謝すると共に、美味しくいただく。 スリルやドキドキ感が狩りの醍醐味 ―今までの狩りで一番思い出に残るシーンを教えてください。 去年ですかね。民家の庭先で猪と猟犬がけんかしていて、それを仕留めたときが一番印象に残ってますね。犬がある程度猪を弱らせていたので自分に向かってくることはなかったんですが、猪がすぐそばにいたので恐かったです。だからこそ仕留めたときはすごく嬉しかったですね。 ー一方で、嫌だったシーンはありますか? 狩りの途中で雨が降り出したので、もう今日はやめようってことになって、山の中に入った猟犬を探しに行ったんですよ。 犬探しだけなので鉄砲を持たずに山に入ったんですけど、そしたらちょうど探していた犬と猪が一対一でやり合っていて、急いで鉄砲を取りに行って戻ったらもう猪はいなくなってて、犬はやられていて…。...
「大きな猪を仕留めてみたい」~ 若き猟師にインタビュー 黒田勇気さん(宮崎県)
宮崎県北部の自然豊かな山あいの集落、美郷町南郷。面積の約9割が山林というこの地域。 過疎化で若者が町から離れていく一方、この地域に残り、山の恩恵を身近に感じながら生活している若者もいます。 美郷町で林業に従事している黒田勇気さん(23歳)もその一人。苗木の植栽や下草の刈払作業などを行い木の成長を手助けする「造林」が本業ですが、休日などには狩猟も行っています。 大人になったら猟に行くのが当たり前だと思っていた ー狩猟は何歳のときに始めたんですか? 猟銃の免許をとったのが20歳のときなので、そのときからですかね。 写真:猟師である父親の背中を見て育ち、幼い頃から狩猟は生活の一部であった。狩猟もごく自然な流れで始めた。 ーなぜ狩りをしようと思ったんですか? 父も狩りをしていて、それを幼い頃から見ていたので、自分も狩猟免許が取れる年齢になったら猟銃の免許を取らないといけない、そして猟をしないといけないんだろうなと、当たり前のように思っていました。 なので、20歳になったらごく自然な流れで始めていましたね。 ーお父様の狩りをする姿をこれまでに見たことがあると思いますが、逆に嫌だとは思わなかったんですか? 確かに、子どものときはいろいろ手伝わされたりして、よだきい(面倒くさい)としか思わなかったですけど、うーん、なんでしょうね。鉄砲が撃ってみたかったんですよね。父が持っている鉄砲がかっこよくて、子どもの頃から鉄砲のおもちゃで真似ごとみたいなことはしてましたね。 ーでは、猟銃の免許を取得して、一番最初に行った狩りのことは覚えていますか? 覚えてます。そのときは、確か鹿を仕留めたと思います。 鹿が2頭出てきて、狙って撃って当たらなかったんですけど、その鹿が父のところに行って、1頭は父が仕留めて、俺の近くに戻ってきた1頭をようやく仕留めました。 ー初めて自分が撃った弾で獲物を仕留めたとき、どんな心境でした? 足が震えましたね、興奮して(笑) 痩せてたけど、結構大きかったんですよ。それは自分でさばきました。 ーさばくのも自分でやるんですね。さばき方はどうやって身につけたんですか? 子どもの頃から見てましたし、狩りをする前から手伝っていたので自然と覚えました。 (▲写真):慣れた手つきで獲れたイノシシの毛抜きをする黒田さん。子どもの頃から何度もやってきた作業だ。 ー年間、どのくらい狩りに行くんですか? 仕事もありますし、子どももまだ小さいので、月に2回くらいですかね。最近はあまり行けてないですね。 (▲写真):獲れた獲物は余すことなく。自分で獲った獲物を自分で捌き、山の恵みに感謝すると共に、美味しくいただく。 スリルやドキドキ感が狩りの醍醐味 ―今までの狩りで一番思い出に残るシーンを教えてください。 去年ですかね。民家の庭先で猪と猟犬がけんかしていて、それを仕留めたときが一番印象に残ってますね。犬がある程度猪を弱らせていたので自分に向かってくることはなかったんですが、猪がすぐそばにいたので恐かったです。だからこそ仕留めたときはすごく嬉しかったですね。 ー一方で、嫌だったシーンはありますか? 狩りの途中で雨が降り出したので、もう今日はやめようってことになって、山の中に入った猟犬を探しに行ったんですよ。 犬探しだけなので鉄砲を持たずに山に入ったんですけど、そしたらちょうど探していた犬と猪が一対一でやり合っていて、急いで鉄砲を取りに行って戻ったらもう猪はいなくなってて、犬はやられていて…。...
足くくり罠によるシカの捕獲
ニホンジカは近年、生息分布が拡大しており、個体数も増加しています。それに伴い、農林産物や森林への食害が深刻化しているため、多くの自治体でシカの個体数を減らして被害を抑える必要があると判断されています。 参考記事:シカによる森林被害の実態 個体数を減らす方法として狩猟圧を高めることが選択されますが、多く採用されるのは箱罠やくくり罠による捕獲です。この記事では、くくり罠によるシカの捕獲について説明します。 くくり罠の種類 現在、色々なメーカーから様々なタイプのくくり罠が販売されています。また、くくり罠による成果は仕掛ける人間の技術や知識に大きく左右されることもあり、個人でカスタマイズした罠を設置する狩猟者も多くいます。 くくり罠の分類 大きな分類として、胴くくりと足くくりの2種類があります。その名の通り、ターゲットの胴を括るものと、足を括るものに区分されますが、シカやイノシシがターゲットの場合、足くくり罠が採用される場合がほとんどです。 胴くくりは、獲物が早ければ30分ほどで欝血死してしまう場合があり、また輪の直径には制限があるので今はほとんど使用されません。 くくり罠の構造 構造として、ほとんどがバネの力によって括る仕様ですが、バネの種類によって構造が異なります。 ・バネが開くことによって締まる方式(松葉式) ・バネが伸びる力によって締まる、押しバネ方式 ・バネが縮む力によって締まる、引きバネ方式 作動方式 筒のなかに踏み込むことによって作動する踏み込み式がほとんどですが、他にも蹴り糸に獣が触れることで作動するものもあります。 さらに、稼働方向によっても分類され、圧縮した押しばねが上(高さ)方向に伸びあがって括り輪が締まる縦引き式と、バネの力が横方向に働いて括り輪が締まる横引き式、踏み板に付属した枠によって括り輪が上に誘導される跳ね上げ式などがあります。 以下の動画は、押しバネ跳ね上げ式です。 罠を仕掛ける前に注意しておきたいこと 以下のようなくくり罠の使用は禁止されていますので、注意しましょう。 ・体を吊り上げてしまうもの ・ワイヤーの直径が4mm 未満のもの ・「より戻し」がないもの ・「締め付け防止金具」がないもの ・直径(楕円形の場合は小さい方)が 12cm を超えて掛けること※知事によって規制は緩和されます。径の制限については各自治体担当課にお問合せください。 ・1人で 31 個以上のわなを掛けること...
足くくり罠によるシカの捕獲
ニホンジカは近年、生息分布が拡大しており、個体数も増加しています。それに伴い、農林産物や森林への食害が深刻化しているため、多くの自治体でシカの個体数を減らして被害を抑える必要があると判断されています。 参考記事:シカによる森林被害の実態 個体数を減らす方法として狩猟圧を高めることが選択されますが、多く採用されるのは箱罠やくくり罠による捕獲です。この記事では、くくり罠によるシカの捕獲について説明します。 くくり罠の種類 現在、色々なメーカーから様々なタイプのくくり罠が販売されています。また、くくり罠による成果は仕掛ける人間の技術や知識に大きく左右されることもあり、個人でカスタマイズした罠を設置する狩猟者も多くいます。 くくり罠の分類 大きな分類として、胴くくりと足くくりの2種類があります。その名の通り、ターゲットの胴を括るものと、足を括るものに区分されますが、シカやイノシシがターゲットの場合、足くくり罠が採用される場合がほとんどです。 胴くくりは、獲物が早ければ30分ほどで欝血死してしまう場合があり、また輪の直径には制限があるので今はほとんど使用されません。 くくり罠の構造 構造として、ほとんどがバネの力によって括る仕様ですが、バネの種類によって構造が異なります。 ・バネが開くことによって締まる方式(松葉式) ・バネが伸びる力によって締まる、押しバネ方式 ・バネが縮む力によって締まる、引きバネ方式 作動方式 筒のなかに踏み込むことによって作動する踏み込み式がほとんどですが、他にも蹴り糸に獣が触れることで作動するものもあります。 さらに、稼働方向によっても分類され、圧縮した押しばねが上(高さ)方向に伸びあがって括り輪が締まる縦引き式と、バネの力が横方向に働いて括り輪が締まる横引き式、踏み板に付属した枠によって括り輪が上に誘導される跳ね上げ式などがあります。 以下の動画は、押しバネ跳ね上げ式です。 罠を仕掛ける前に注意しておきたいこと 以下のようなくくり罠の使用は禁止されていますので、注意しましょう。 ・体を吊り上げてしまうもの ・ワイヤーの直径が4mm 未満のもの ・「より戻し」がないもの ・「締め付け防止金具」がないもの ・直径(楕円形の場合は小さい方)が 12cm を超えて掛けること※知事によって規制は緩和されます。径の制限については各自治体担当課にお問合せください。 ・1人で 31 個以上のわなを掛けること...