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鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚コレラといった伝染病から大切な家畜を守るためには、徹底した消毒など事前の対策が大変重要となります。
生産現場の方々は強い緊張感を持っており、多くの農場でこれらの伝染病を予防するために厳重な対策が行われます。 家畜伝染病対策の重要さはわかるけれど、どこから対策を行なえばよいのかわからない、自分で消毒を行っているけれど正しい方法かどうかわからない、といった不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方に向けて、今回の記事では家畜伝染病予防対策を今一度見直し、事前対策の重要性と具体的な対策方法についてご紹介したいと思います。 まずは近年の家畜伝染病の状況について振り返っていきます。
鳥インフルエンザについて
近年の鳥インフルエンザの状況を見てみると、2年10か月ぶりに発生した令和2年の高病原性鳥インフルエンザでは、同年3月時点で18県52事例が確認され、殺処分数は約987万羽にものぼりました。
100万羽を超える大規模農場でも複数発生するなど、農場単位でも過去に例がない規模となり、採卵鶏農場でも発生したことから鶏卵の価格にも影響を与えるほどの状況となりました。
高病原性鳥インフルエンザウイルスはヨーロッパから国内へ来る渡り鳥によってウイルスが持ち込まれたと考えられており、西ヨーロッパや韓国でも同ウイルスでの事例が確認されていました。
口蹄疫について
平成22年10月、国内で10年ぶりに口蹄疫が宮崎県で発生しました。口蹄疫ウイルスは、牛、水牛、豚、山羊、めん羊など39種類の偶蹄目および11種の齧歯類に感染するウイルスで、非常に感染力・伝染力の強いウイルスです。
畜舎の消毒や農場を出入りする車両消毒、移動制限、感染が疑われる牛豚などの殺処分・埋蔵などの防疫対策が講じられましたが、宮崎県で発生した口蹄疫では297,808頭の家畜の命が奪われ、畜産業のみでなく地域経済にも多大な影響を及ぼしました。
このような大規模な口蹄疫発生以降、畜産防疫体制の強化に向けた改善方策が重要な役割を担い、平成23年3月29日に「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律」が成立しました。

豚コレラについて
強い感染力と致死率が特徴の豚コレラウイルスは、豚とイノシシに感染する病原ウイルスです。現時点で豚コレラウイルスに感染した動物への治療法はなく、発生した場合は家畜業界へ甚大な影響を及ぼすことから家畜伝染病予防法のなかで「家畜伝染病」に指定されています。
鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚コレラといった近年影響を及ぼしている家畜伝染病について改めて振り返ってみると、畜産業界だけでなく地域経済にも大きな影響を与えたことがわかりました。このような事態を再発させないためにも防疫対策が重要な役割となります。
主な家畜伝染病対策とは
多くの農場で家畜伝染病対策はどのように行われているのでしょうか? 主な対策として行われているものを例に挙げます。
①作業する人の手指の消毒
②長靴の履き替えや衣服の消毒
③農場内の消毒
④農場へ出入りする車両の消毒
⑤野鳥侵入を防ぐネットの設置
車両消毒の様子を動画でご覧ください。
上記を見てもわかる通り、家畜が関わるすべてのものに対して徹底した消毒を行い、伝染病を「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」ことが予防対策の重要なポイントとなりす。
特に伝染病を自らの農場へ持ち込まない、外から持ち込ませないためには、移動時に使用する自動車やトラックへの消毒が一つの対策ポイントとなることから、車両を消毒するために多額の費用を投資し専用装置を設置する農場もあります。 農場の作業や出荷・搬入時に避けることのできない自動車は農場内でも大変重要な消毒ポイントとなります。
この「車両消毒」についてもう少し深ぼっていきたいと思います。 車両の消毒方法 車両のタイヤなどを介し病原体が農場内で拡がらないように、農場へ入る前や出る際には簡易噴霧器などを用いた消毒を徹底することで、車両による病原体持ち込み・持ち出しを防止します。

特に地面に接するタイヤの溝は見落としがちですが、消毒ムラが出ないよう入念に消毒を行う必要があります。 また、農場の出入口にはタイヤが一回りする程度の消石灰を散布し消毒帯を作ることもひとつの対策となるため、これらを実施している農場も多数あります。
そのほか、自動車がゲートをくぐると自動で消毒液が噴霧される車両消毒ゲートなど、車両消毒ひとつでも様々な方法があります。 簡易噴霧器は低コストではありますが、人が防護服を着用し手動で噴霧を行うため、消毒の際に降車し消毒を行う必要があります。
また、噴霧の仕方によって消毒ムラが生じてしまう可能性もあり、病原体を完全に防止できるかは噴霧を行う人しだいという側面もあります。 一方、車両消毒ゲートは設置に大がかりな工事が発生し、コストも高くなりそうなイメージがありますが、軽トラックで運搬できるほどコンパクトでかつ低コストの消毒ゲートもあるので、人による消毒噴霧が不安だと感じる方にオススメできる消毒方法です。
車両消毒ゲートを通過する場面の動画もご参考ください。
手動の簡易消毒噴霧器は持ち運びが簡単で低コストであるため多くの農場で導入されている消毒方法ですが、ドライバーが毎回降車して消毒作業を行わなければならない点や、消毒ムラが生じやすいという点があり、自動噴霧装置を望む声も多くなっています。
大切な家畜を守るために、手動消毒器よりも消毒精度が高い自動噴霧消毒を行うことができる環境をこの機会に整えてみるのはいかがでしょうか。
自動噴霧装置について
自動噴霧装置に関しては装置が大きく、導入にコストがかかるイメージをお持ちの方も多いかと思います。また、一度設置すると移設できず、移設の際にもコストがかかるなど、気になる点が多々あることかと思います。これらの疑問についてすこし紐解いていきたいと思います。
①そもそも...自動噴霧とは?
センサーが車両を検知すると消毒薬を自動で噴霧し、車体を効率よく消毒することができます。ゲートを退出すると自動停止するので、ドライバーが消毒のために降車することなく車両全体の消毒を行うことができます。
また、手動の消毒器だとタイヤの溝や細かな部分など消毒ムラが生じやすくなりますが、自動噴霧の場合は車両全体にしっかりと消毒がかかるため消毒ムラが生じにくく、防疫効果を高めることが期待できます。
予防対策の要となる消毒の精度を高めることができる点は、対策側としてとても心強いですね。
②自動噴霧装置は一度設置すると移設できない?!
自動噴霧装置のなかには、設置の際に電気工事が必要になるなど、一度設置すると簡単には移設できないタイプがあります。
一方で、コンパクトな軽量設計タイプの消毒ゲートは、軽トラックでも運搬できるので自身で持ち運びや設置が可能となります。 短時間での設置や移設が可能となるので、緊急時などスピーディな対応が必要な場面にも活躍が期待できますし、車両の通行ルートが変更となった場合にも大きな工事を行うことなく移設することが可能です。
設置場所の変更ができないと導入時の決断がなかなか難しいものですが、移設も簡単にできるとなると導入のハードルが下がりそうです。
③導入には多額のコストがかかる?
消毒の精度は大事なポイントではありますが、一番気になるところは導入にかかるコストではないでしょうか。 一般的な車両消毒ゲートと呼ばれる自動噴霧装置だと、ゲート設置の際に数百万~千万円といった大きな費用がかかるともいわれています。
そのため「消毒ゲートを設置したいが費用面で厳しい」といった声も多々あり、機材導入の際の工事と併せ、導入ハードルを引き上げていることがうかがえます。
大がかりな工事を要する消毒ゲートの場合は、たしかに多額の費用が発生してしまいますが、先述したような、軽トラックでも持ち運びできるコンパクトな消毒ゲートの場合、導入コストを大幅に削減できるケースもあります。
これまで費用面が課題となり導入を悩んでいた生産者の方も、持ち運び可能な消毒ゲートの場合は低コストで導入ができるかもしれません。
まとめ
家畜伝染病予防対策で重要な、病原体を「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」ためには消毒をはじめ農場の様々な対策が必要となります。 特に今回は「消毒」について気を付けるべきポイントや、自動噴霧装置について詳しくみていきましたがいかがでしたでしょうか。
一般的に家畜伝染病が蔓延する季節は、空気の乾燥する冬場に多くなりますが、事前の対策はいつからでも始めることができます。慌てて対策を講じなくてすむように、早めの対策をおすすめします。
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