今月はじめ、岐阜市の養豚場で国内では26年ぶりとなる豚(とん)コレラウイルスが検出されました。豚コレラは、豚やイノシシが感染する病気であり、強い伝染力と高い致死率が特徴です。 ※豚コレラが人に感染することはありません。
また、今回の豚コレラは、中国で発生しているアフリカ豚コレラではないことが確認されています。根拠のない噂などによって混乱が生じないよう、こちらの記事でも案内させていただきます。
これまでの経緯
まず、今月3日に飼養豚が死亡しているのが確認され、県の検査が実施されましたが、当初は豚コレラが否定されました。
そのため、ひとまずは経過観察とされていましたが、事態が収束しないことから7日に県が改めて検査を実施したところ、豚コレラを否定できない結果が得られました。それを受け、8日に国の研究機関で精密検査をした結果、豚コレラの感染が確認されたという経緯になります。
その後、養豚場付近において、野生のイノシシでも感染が確認されています。1頭目は13日に養豚場から約7キロ北西の水路で死んでいました。2頭目は15日に約3.5キロ北東の住宅の庭で死体で見つかっています。
18日に発見された3~5頭目は、約7~9キロ離れた畑や公園などで死亡している状態で発見されました。いずれも養豚場から半径10キロメートル圏内で見つかっています。
9月29日追記:養豚場から北西に約8キロ離れた同市椿洞の山地で死んでいたイノシシを遺伝子検査したところ、陽性でした。これで野生イノシシの感染は7頭目となりました。
10月5日追記:さらに野生イノシシの感染確認は続き、現在12頭目。12頭目は、養豚場から北西に約8キロ離れた山中で生きたまま捕獲されたもの。
野生のイノシシに対する調査も開始
感染した野生のイノシシが移動することによる感染エリアの拡大が懸念されるため、岐阜市と市猟友会は22日から、周辺の山中で野生イノシシの生態調査を始めました。
イノシシの通り道やエサを食べた跡を探索し、生息範囲を特定するための調査を行っています。
また、岐阜県と県猟友会も、豚コレラに感染した野生のイノシシの死骸が見つかった岐阜市内の地区周辺で、イノシシへの感染状況の把握や個体数の削減を目的とした調査捕獲を25日から開始しています。
豚コレラの症状
豚コレラに感染した個体との直接接触や、その体液や排せつ物に接触することによって他の個体への感染が広がります。
強い伝染力があるため、体液や排泄物の飛沫や付着物と間接的に接触することでも感染が成立します。 豚の場合、感染すると、はじめのうちは発熱、食欲不振、うづくまり、元気消失、豚舎の場合は個体同士で体を寄せ合うパイルアップなどがみられます。
その後、結膜炎による目やにや、リンパ節の腫脹、呼吸障害、便秘に次ぐ下痢がみられるようになります。その後、運動失調や後躯(体の後方)まひなどの神経症状を起こし、耳介・尾・下腹部等に紫斑が見られるようになり、最後は起立困難となって死亡します。
発症から死亡するまでの期間が10~20日以内のものを急性豚コレラといい、発症と回復を繰り返した後に30日程度で死亡するものを慢性豚コレラといいます。経過期間が半年以上と長い遅発性の豚コレラもあります。
もし豚コレラが疑われたら?イノシシ等、野生動物に対する措置
まず、豚等が患畜または疑似患畜であると判定された場合、発生農場を中心とした半径3キロ以内の区域が、家畜等の移動を禁止する区域(移動制限区域)となります。
移動制限区域内の豚等の所有者に対しては、関係者以外の者の出入り自粛や、消毒の徹底、野生イノシシと豚等の接触が想定される場合、接触防止のための畜舎出入口の囲障を設置することなどが指導されます。
また、都道府県によって、野生動物における感染確認検査が行われます。具体的には、移動制限区域内における野生イノシシの死体や、猟友会等の協力を得て捕獲した野生イノシシに対する抗原検査や、血清抗体検査を実施するための検体採取が行われます。
これらの検査で陽性が確認された場合は、その野生イノシシを確保した地点の消毒や通行の制限・遮断が実施されます。また、野生イノシシがいた地点から半径10キロ圏内の豚所有者に対する注意喚起、飼養している豚等の異状の有無の確認が行われます。
死亡した野生のイノシシを見つけた場合は?
岐阜県内で野生のイノシシの死亡個体を発見した場合は、以下の事務所へご連絡ください。連絡の際、詳しい場所や、死んでいる頭数を伝えてください。また、死亡したイノシシは、触らないようにしてください。
担当課 |
所在地 |
電話番号 |
担当市町村 |
---|---|---|---|
岐阜地域環境室 |
〒500-8570 岐阜県庁内 |
058-272-1111 (内線3242) |
岐阜市、羽島市、各務原市、 山県市、瑞穂市、本巣市、 岐南町、笠松町、北方町 |
西濃県事務所 |
〒503-0838 西濃総合庁舎 |
0584-73-1111 |
大垣市、海津市、養老町、 垂井町、関ケ原町、神戸町、 輪之内町、安八町 |
揖斐県事務所 |
〒501-0603 揖斐総合庁舎 |
0585-23-1111 |
揖斐川町、大野町、池田町 |
可茂県事務所 |
〒505-8508 可茂総合庁舎 |
0574-25-3111 |
美濃加茂市、可児市、 坂祝町、富加町、川辺町、 七宗町、八百津町、白川町、 東白川村、御嵩町 |
中濃県事務所 |
〒501-3756 中濃総合庁舎 |
0575-33-4011 |
美濃市、関市、郡上市 |
東濃県事務所 |
〒507-8708 東濃西部総合庁舎 |
0572-23-1111 |
多治見市、瑞浪市、土岐市 |
恵那県事務所 |
〒509-7203 恵那総合庁舎 |
0573-26-1111 |
中津川市、恵那市 |
飛騨県事務所 |
〒506-8688 飛騨総合庁舎 |
0577-33-1111 |
高山市、飛騨市、 下呂市、白川村 |