高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫、豚熱(CSF、旧称:豚コレラ)等は、家畜に深刻なダメージを与える伝染病ですが、予防のためにはどのような対策を行うべきなのでしょうか?
今回は、伝染病ごとの対策方法を細かく見ていきたいと思います。
既に様々な対策を講じている方も、この機会に今一度、対策方法をチェックしてみましょう。
鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザの発生原因は、渡り鳥によって海外から国内に持ち込まれたウイルスが原因と考えられています。家きんへの感染ルートとしては、腸内に鳥インフルエンザウイルスをもつ野鳥が、ニワトリなどの家きんと接触したり、ふん尿などを介したりし鳥から鳥へ感染するとされています。
このような感染ルートから、いかに外から中へウイルスを持ち込まないかが重要なポイントとなってくるかお分かりかと思います。

それでは、主な対策方法を見ていきましょう。
鳥インフルエンザ対策のポイント
対策ポイント① 人によるウイルスの持ち込み防止
家きん舎への出入りの際の自身の手指はもちろんですが、衣服や長靴など身に着けているものに対しても、洗浄や消毒を徹底することが重要です。
また、家きん舎ごとに専用の靴を使用するなど、細かな配慮も必要となります。
対策ポイント② 車両の消毒
人の出入りと同じように、農場に出入りする車両も、出入口で入念に消毒を行います。
車両消毒では見落としがちなタイヤの溝など、細かな部分まで徹底して行う必要があります。
車両消毒の方法にも複数あり、簡易噴霧器を用いて人が車両を消毒する方法もあれば、消毒ゲートと呼ばれるゲートを車両がくぐることで、自動で消毒が噴霧され車両全体をまんべんなく消毒できるものもあります。
消毒ゲートとはこのようなものです。
また、タイヤの消毒方法としては、タイヤが一回りする程度の消石灰を農場の出入口に散布し、消毒帯を設けている農場も多数あります。
対策ポイント③ 野生動物対策
屋根や壁に破損があれば修繕して隙間をなくしたり、必要に応じて目の細かい網で覆ったりすることで、野外から動物が侵入するのを防ぐことができ、動物を介したウイルスの侵入対策を行うことができます。
ネズミ対策にはトラップや毒餌を設置したり、野鳥対策には防鳥ネットを設置することで侵入を防ぐことが期待できます。
また、家きん舎周囲の清掃や整理・整頓など、日ごろから清潔を心がけておくことも大切な対策方法です。
ウイルスによる感染症は、野鳥やネズミなどの野生動物が農場内にウイルスを持ち込むことで、家きんへ感染するケースが多いと考えられています。
対策ポイント④ 鶏舎の消毒
鶏舎の消毒を行う際には、ゴム手袋、帽子、マスク、ゴーグルなどを着用するようにしましょう。
消毒をする前に、小屋内のゴミ・ほこり・糞などを除去する清掃を行うことで、消毒の効果を十分に発揮することができます。
消毒は手押し噴霧器や電動噴霧器、スプレー、ジョウロなどで散布し、鶏舎の隅々まで消毒を行うようにします。忘れがちですが、鶏舎の中だけではなく、出入口や小屋の周囲の消毒も忘れずに行うことが大切です。
ここで注意しなければならないことは、土面の消毒に関しては床面と異なる消毒方法を行う点です。
土面は土の性質から消毒薬の効果が著しく低下するため消毒薬は使用せず、代わりに消石灰を薄く散布することで、強いアルカリ作用による消毒効果が得られます。
消毒を行う際に出るゴミも正しく廃棄することでウイルス感染の防止効果を高められますので、掃除で出たごみはゴミ袋に密閉して処分し、消毒の際に着用した手袋やマスク、ゴーグルなども使い捨てするか、徹底した消毒・洗浄を行いましょう。
口蹄疫ウイルス
非常に感染力が強いといわれている口蹄疫ウイルス。
感染した動物を隔離するといった一般的な対応では感染拡大を防ぐことが大変難しく、一度発生すると家畜の殺処分、家畜の移動制限、出荷停止など、家畜農家の経営に大きな影響を与えます。

このように強力な口蹄疫ウイルスの感染ルートには、どのようなものがあるのでしょうか?
予想される感染ルートとしては、人間や藁などにウイルスが付着して持ち込まれるケース、感染した動物によって持ち込まれるケース、ウイルスが付着した人間が動物に接触して感染するケースなどが挙げられます。
口蹄疫は感染しても症状が軽く、類似した症状の病気もあるので、感染に気づくのが遅れてしまう恐れが高いともいわれています。
感染を見分けるポイントとしては、「よだれ」「口内の状態」「ひづめ」で見分けるとよいとされています。感染すると大量のよだれがでたり、口内やひづめの付け根に水ぶくれができたりするなどの症状が起こるので、このような症状が現れた場合は、口蹄疫の感染を早期に疑いましょう。
口蹄疫対策のポイント
口蹄疫ウイルスの予防対策としては、基本的に鳥インフルエンザと同様で、消毒や野生動物侵入対策が中心となっていますが、ここではもう少し掘り下げた対策もみていきましょう。
対策ポイント① 害虫対策
ハエなどの小さな害虫対策もしっかり行うことが大切です。
殺虫器、防虫ネットを設置したり、殺虫剤、忌避剤、ハエ取り紙などを活用し、害虫によってウイルスが持ち込まれないよう対策します。
対策ポイント② ペットによるウイルス持ち込み対策
動物を介した感染が考えられるウイルスのため、犬や猫など、飼育しているペットからの感染にも十分注意する必要があります。
畜舎内でペットの飼育を行わないことはもちろんですが、放し飼いをせず、畜舎に入らないよう徹底した管理をします。
対策ポイント③ 畜舎周囲・農場外縁部の消毒
車のタイヤや野生動物に付着したウイルスが、畜舎に持ち込まれることを防ぐため、農場敷地内に消石灰を散布を行います。
具体的な散布範囲については、以下を参考にしましょう。
・畜舎周囲に2m以上の幅で消石灰を散布
・農場外縁部に、2m以上の幅で消石灰を散布
・農場内の通路、外部車両が停車する場所にも消石灰を散布
感染力の強い口蹄疫ウイルスですが、大切な家畜を守るためにも上記のような予防対策は徹底して行いたいものです。
豚熱(CFS)ウイルス
高い感染力を持ちながらも、感染した動物の致死率はそれほど高くない口蹄疫ウイルスに対し、豚熱ウイルスは感染力が高く、致死率も高いのが特徴です。

豚熱ウイルスの感染ルートにはどのようなものがあるのでしょうか?
ひとつは、汚染された食品の残飯を食べた動物がウイルスに感染し、動物の唾液、鼻水、糞などを介して家畜に感染拡大となるケースや、感染した動物から人やネズミを介して家畜に感染するケース、ダニによる媒介などにより感染するケースが多いとされています。
豚熱は口蹄疫と同じように、通常の病気と比較して特徴的な症状がないため、ウイルス感染したことに気が付きにくいです。
発熱、食欲不振、元気消失、うずくまり、便秘に次ぐ下痢、呼吸障害といった症状が見られる場合には、豚熱ウイルスの感染を早期に疑う必要があります。
豚熱ウイルス感染対策に関しても、鳥インフルエンザや口蹄疫対策のように、農場を出入りする人や車両の消毒、農場内の消毒を徹底することは不可欠ですが、ここでは豚熱ウイルスで特に注意すべき対策を一つ挙げます。
豚熱対策のポイント
豚熱ウイルスは熱や乾燥に弱いという特徴があります。
そのため、飼料に生肉を含む可能性がある場合は、十分に加熱処理を行うことで感染対策になります。
加熱温度と時間については、摂氏70度で30分間以上、または、摂氏80度で3分間以上加熱処理を行うことが推奨とされていますので、これらをもとに飼料の管理にも十分気を付ける必要があります。
感染力、致死率ともに高い豚熱ウイルスですが、熱や乾燥に弱いという弱点があることを理解し、上手に対策を講じていきたいですね。
まとめ
鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚熱について、感染予防対策をまとめてみましたが、すべての対策で共通していることは、農場に出入りする人や車両の消毒、野生動物の侵入対策です。
農場の外から農場内へウイルスを持ち込まないことが、感染対策のなかでも大変重要となっています。
現在は対策に必要な機材など様々なものが出ているので、それらをうまく活用し万全なウイルス対策を行っていきましょう。
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