狩猟の際の靴はどのようなものを選ばれていますか?荒れた山道を銃を持って歩いたり、重い獲物を持ち運んだり、川のなかをジャブジャブ進んだり、滑りやすい雪道を歩いたり。
猟場によっては足元のおぼつかない道を進んでいくことが多々あるわけです。 そこで重要になるのがが、靴選び。靴選びを適当にしてしまうと、足を滑らせたりして大きな怪我をしてしまう可能性があります。
靴選びに失敗して、痛い目を見てしまったハンターも中にはいらっしゃるでしょう。この記事では、狩猟に使う靴はどれが良いのか考察してみます。
狩猟靴のタイプ
まず、狩猟に使われる靴のタイプは大きく分けて三つあります。一つ目は長靴、二つ目は地下足袋(タビ)、三つ目は登山靴です。では、それぞれのタイプの特徴を挙げていきます。1. 長靴タイプの特徴
最もオーソドックスな狩猟靴といえるでしょう。長靴なので、ある程度の水深の沢歩き等においても防水性は完璧です。また、猟期が冬であることを考えると、防寒性が高いことも長所の一つです。
逆に、有害駆除等の夏場の作業では、蒸れてしまうことが短所ともいえます。 長靴タイプの場合、同じサイズでもフィット感が人によって異なります。フィット感が悪いと、意図せぬところで脱げてしまったり、靴の中で足が動いてしまったり、歩きやすさを損なうことになります。
対策としては、例えば、実際に履いてブカブカであった場合、中敷きや靴下でうまく調整すると良いでしょう。 また、プレートの入った安全長靴であれば、防護性も抜群。意図せず竹や枝を踏み抜いてしまうなどの怪我も防ぐことができます。
普通の長靴
山歩きをしない平地中心の行動範囲であれば、スリップにそこまで気をつかうことなく、スパイク無しの長靴を使うのも良いでしょう。
その場合は安価で済ますことができるので、コストパフォーマンスも良いと言えます。ただし、安すぎるのは、芯が折れたり、ゴムが薄くてすぐに破けたりしますので注意が必要です。
スパイク長靴
靴底にスパイク(金属のピン)が付いているタイプは、特にグリップ性が良好で滑りにくいです。一方で、歩いた時のスパイクの突き上げ感が嫌、という人もいます。
また、金属スパイク靴特有の歩いた時にカチカチする音を獲物が嫌うという理由から、金属スパイクを避ける人もいます。
底がフェルト素材の長靴もあります。ゴム底タイプは苔がついた凹凸の無い岩では滑りますが、フェルト素材は非常に滑りにくいです。
一方で、フェルトは泥や草地では滑りやすくなりますので、状況に応じた使い分けが必要です。フェルトの靴底にスパイクがついているタイプもあります。
2. 足袋タイプの特徴
足袋はつま先が親指と他の指で分かれています。そのため、足元を親指×2、他の指×2の四点で支えることができます。足袋タイプはこの記事で紹介している3タイプの中で、最も安定感があると言えるでしょう。
長靴タイプと同様、スパイクがついているタイプも多くあります。グリップ力抜群の金属スパイクと、グリップ力はやや劣るものの砂利や舗装された道の上を歩いた時にカチカチ音が出ないゴムスパイクがあります。
コハゼ※やマジックテープによって足を固定するため、フィット感は長靴より優れており、特にマジックテープで固定するタイプのものであれば、靴の中で足がブレたり、すっぽ抜けたりすることはないでしょう。
※コハゼ(甲馳)・・・足首の後ろについている爪型の金具のこと。
一方で、ゴム素材で覆われている長靴タイプと比べると、防水性や防寒性能は劣ります。特に、沢を歩いたり、雪が多い地域での猟においては、長靴のほうが向いているといえます。
例えば、雪が降る前のシーズンは足袋を使って、雪が降りだすシーズンは長靴を使うなど、使い分けているハンターもいらっしゃいます。
地下足袋タイプは林業で使われることが多いので、つま先に芯の入った安全靴タイプや、甲部に切創防止・耐衝撃のための甲ガードがついているものも多くあります。
なお、足袋タイプを履く場合、当然ながら普通の靴下ではなく、足袋用靴下を用意する必要があります。
3. 登山靴・ブーツタイプの特徴
歩きやすさや見た目の点では、登山靴に軍配が上がります。他のタイプよりも軽く、通気性もよいので、グリップ性や防水性、防護性を重視しないのであれば、よい選択肢かと思います。
山道を歩くのであれば、ハイカットタイプがおすすめです。ローカットタイプは足首が不安定になることや、靴の中に色々なものが入ってきやすいこともあり、避けたほうがよいでしょう。
また、防水・透湿性に優れたゴアテックス(GORE-TEX)を採用しているものであれば、防水性もそこそこに、蒸れも軽減されます。ただし、防水性は長靴タイプより劣りますので、ゲイター(スパッツ)を併用することをおすすめします。 他にも、歩き回ることがメインのハンターの中には、軍用ブーツを使用している方もいらっしゃいます。軍用ブーツであれば、耐久性は非常に高いです。結局どのタイプを選べばよい?
結論からいうと、どのタイプも一長一短があります。どれがベストかは、気候や地形、何を重視するのか等によって変わってきます。
身も蓋もない結論になってしまいますが、最初は同じような狩猟スタイルの師匠や先輩と同じものを選べば失敗は少ないと思います。それを履くことによって、自分の中でニーズが生まれてきますので(もっと歩きやすいほうがよい、グリップが強いほうがよいなど)、上記で挙げた特徴を参考に、試行錯誤してみると良いでしょう。
ただし、安すぎるのは、経験上、安物買いの銭失いになることが多いです。実際に使用したことのある人の感想やAmazonのレビューを見て、ポジティブな意見が多いものを選ぶとよろしいかと思います。