電気柵の効果と電源の種類、ソーラー電源のメリットを解説

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獣の田畑への侵入対策として電気柵は有効な手段の1つですが、電源の供給方法や特徴は商品によって異なります。

本記事では、電気柵の電源の種類やソーラータイプのメリットについてご紹介します。あわせて、電気柵を設置する際のポイントについても解説しています。

電気柵とは?3つの電源の種類

電気柵は、侵入を防止したい敷地の周りに電気を通した柵線を張っておき、獣の侵入を防ぐものです。獣が柵線に触れると、獣の体と電気柵のあいだに電気の経路が形成され、電気ショックが生じる仕組みになっています。電気ショックによって獣に恐怖心を植え付け、農作物に近付かせないようにすることが狙いです。

電気柵には電気を流すための電源が欠かせませんが、電源の種類は大きく3つ挙げられます。

1.乾電池

電源として多く使われているのが、乾電池です。 乾電池は誰でも手軽に入手することができ、導入が容易である点がメリットといえます。田畑の周辺には電源が確保されていることのほうが珍しいですが、乾電池タイプであれば場所を選びません。

デメリットとしては、残量をこまめにチェックして電池切れを起こさないようにする手間がかかることです。多くの機種では、電池の残量が少なくなると資格や音でアラートが出るようになっていますが、日々の作業に追われてついつい後回しにしてしまうことも。

24時間電気柵を稼働させる場合は電池交換の頻度も高くなるため、事前にメーカー公表の稼働時間をチェックしておき、コスト面を試算しておくとよいでしょう。

2.外部電源

2つ目は外部電源です。 自動車用のバッテリー等、電気柵本体の規格に適合する市販のバッテリーを接続したり、家庭用電源を接続するためのACアダプターを接続したりします。

電池の場合は設置場所を選びませんが、外部から電源を引っ張ってくるためには場所の制約が出てしまいます。田畑の周辺には電源が無いことが多いので、そもそも電源を確保できないということがあります。

購入前に、設置予定の場所に電源が届くか予め確認しておく必要があります。また、各メーカーが定める規格に適合しない電源を使うのは、重篤な事故が起こる可能性があるため避けましょう。

3.ソーラー

3つ目は、ソーラーパネルによって発電した電気をバッテリーに溜めて使うタイプです。仮にソーラーパネル無しのタイプをお使いの場合も、後付けできるものがほとんどです。 ソーラーパネルの出力(W=ワット)とバッテリー容量の兼ね合いによって稼働時間が変わってきます。それぞれのメーカーで推奨バッテリーが販売されているので、それを選んだほうが無難です。

コンパクトなタイプだと、5Wのソーラーパネルが一般的です。発電能力が低いため、夜間のみの電気柵を稼働させる場合に適しています。 一方で、昼夜連続の運転や、日照不足の季節、梅雨や降雪が多い時期に稼働させる場合は、電力不足に陥る心配があるため、5Wよりも大きいタイプを選ぶとよいでしょう。

12W程のソーラーパネルであれば比較的発電量が大きくなるので、昼夜連続の仕様でも問題ありません(※設置条件によっても異なります)。 メーカー推奨以外のバッテリーを使う場合は、ソーラーパネルの出力とバッテリーの容量の相性が悪い場合もあるので注意が必要です。

ソーラーパネルが選ばれる理由

電気柵の電源の中でもソーラーパネルが選ばれる理由はいくつか存在します。

まず、電池交換のコストが減る点は大きなメリットです。ソーラーパネル付きタイプのほうが本体価格が高いため、初期導入コストは電池タイプよりも大きくなってしまいますが、長い目でみるとソーラータイプのほうがお得になってきます。

また、電池交換忘れによって不通電となるリスクも減らすことができます。電気柵は動物に物理的なショックを与えるのではなく、心理的な恐怖を植え付け農作物に近付かせないことがポイントになると解説しました。しかし、電気柵に電気が流れていない状態で触れてしまうと、動物が慣れてしまい恐怖感を抱くなくなってしまいます。

電池交換が必要なタイプでは、電池切れにより電気が流れない空白の時間が発生してしまいますが、ソーラーパネルならその心配がありません。

また、ソーラーからの充電が十分でない場合も、電池やバッテリーと併用できるタイプなら自動で切り替えが行えるため、電気が流れない時間をゼロにすることができます。 イノホイで販売している電気柵はソーラー・乾電池・バッテリーの3種類にすべて対応しており、自動で電圧がもっとも高い電源に切り換えます。

 

 

電気柵を設置するポイント

ここからは、効果的に電気柵を設置するためのポイントを解説します。これをしっかり押さえておかないと、動物の侵入を許し効果が低減してしまいます。効果を最大限に引き出すためにも、ポイントを確認しておきましょう。

設置場所は通電状況がよい環境を選ぶ

ソーラータイプを選ぶ場合、当然日光がしっかりと当たる場所を選ぶ必要があります。また地面に直置きすると日照不足や転倒・水没・故障が起こりやすくなるので、まず木杭などを打ち込み、そこに本体を浮かした状態で固定する必要があります。

他にも、通電部分に漏電が起こらないよう注意する必要があります。ガードレールやトタンといった導電性があるものに電線が触れていると、漏電が発生し電圧が下がってしまいます。また、草や木、石などが電線に触れてしまうことで漏電するケースもあります。電気柵を設置する場合は、漏電を起こす箇所がない場所を選び、定期的に木の剪定や草刈りなどメンテナンスを行いましょう。

獣が足を運ぶ範囲の地表は乾燥しにくい状態である必要があります。乾燥しきった地表であったり、コンクリートや石畳、アスファルト等の場合は、獣と電気柵のあいだに回路が形成されないため、電気ショックを与えることができません。どうしてもそのような場所に設置せざるを得ない場合は、トタン板など通電性の良いものを地面に敷くなどして対策をしておきましょう。

24時間通電させたほうが効果大

電気柵の本体は、24時間通電と、夜間だけ通電を切り替えられるタイプがほとんどです。コストを抑えるために夜間だけスイッチを入れる方も多いですが、可能であれば24時間通電させる方がよいでしょう。 鹿児島大学を中心とした「非通電状態の電気柵の放置はシカの通り抜けによる侵入を助長するか?」という研究では次のような研究が行われました。 まず、1)通電した電気柵、2)非通電状態の電気柵、3)再通電した電気柵(一度電気をオフにして再度電気を流した)の3つの電気柵を用意して、シカに対してそれぞれの「侵入阻止率」と「通り抜け率」を調べました。

電気柵の状態 侵入阻止率 通り抜け率
通電した電気柵 60% 25%
非通電状態の電気柵 11~25% 53~86%
再通電した電気柵 36% 56%

 

この結果の中でも注目したいのが、「再通電した電気柵」の項目です。一度電気をオフにしてしまうと侵入阻止率が大きく下がり(60%→36%)、通り抜け率が大幅にアップ(25%→56%)してしています。これはシカが「この柵は危険ではない」と学習してしまったためで、再度通電しても学習効果が優先さることから、電気柵の効果が得られなくなります。

夜間だけの通電では、上記にように効果の軽減リスクが考えらえるため、可能ならば24時間通電することで、動物が電気柵に慣れてしまわないようにしましょう。

動物が潜む場所をなくす

電気柵を設置するのと合わせて取り組みたいのが、周辺環境の整備です。農作物を狙う動物は、周囲の雑草や藪に隠れて近付いてきます。こうした隠れ場所がある場所は狙われやすくなることから、雑草や藪は刈り取っておくようにしましょう。

これは、漏電を起こりにくくするという点からも、重要です。

イノシシ・シカでの電気柵の設置方法

電気柵を設置する場合は、対象動物に応じて電線の間隔や高さを調節すると効果が高まります。 イノシシは鼻が非常に敏感です。鼻以外の部分は毛でおおわれているため、電線の高さも鼻が触れることを想定して設置しましょう。

具体的には、地面から20cm間隔の2段張りで設置していきます。ポールの間隔の目安は20~40cmで、地形に合わせて調整をしてください。また、春の時期は子どものイノシシ(ウリボウ)が現れるため、電線の間隔をより狭くしておくとよいでしょう。

シカ向けの電気柵を設置する場合は、電線の間隔を狭くするために4段張りを採用します。シカはイノシシに比べ背が高いため、2段張りでは電線の隙間を通過されてしまいます。また、電線の間隔も30~40cmに設定し、ジャンプして飛び越えられないよう工夫しましょう。

当店でも各メーカーの電気柵を取り扱っておりますので、是非ご検討ください。

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