カスタムナイフの魅力(武蔵野金属工業所/マトリックス・アイダ:東京都成増)

カスタムナイフ 武蔵野金属工業所
アウトドアで必須の道具である、ナイフ。
食材を切るのはもちろん、草や枝を払う、薪を作る、狩猟では獲物の止め刺しや解体など、様々なシーンで活躍します。

世の中には様々なナイフが出回っていますが、なかでも作り手が知識や経験をフルに活用して製作するカスタムナイフは、格別の魅力があります。
今回は、カスタムナイフのお話しを伺いに、板橋区成増の武蔵野金属工業所(店名:マトリックス・アイダ)にお邪魔してまいりました。 写真右側が武蔵野金属工業所社長の相田 義正氏、左側がスタッフの相田 東紀氏。
忙しい中にもかかわらず、ナイフ素人のイノホイ編集部のために時間を割いてくださり、カスタムナイフについて丁寧に教えてくださいました。

そもそも、カスタムナイフとは

一言でいうと、手作りのナイフです。
使う人のニーズや用途、コンセプトに合わせて、オーダーメイドでナイフビルダーが一から作ります。

カスタムナイフの製造方法

カスタムナイフの製造方法は、日本刀等と同じ「鍛造」と、現在の主流である「ストック&リムーバル(S&R)法」があります。

鍛造

熱した金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、強度を高めると共に目的の形状に成形する方法です。
古くから刃物や金物などの製造に使われてきた方法で炉やハンマー、プレス機、研磨機など、比較的大がかりな設備が必要になります。

ストック&リムーバル法(S&R法)

もともとナイフの製造方法は鍛造が主流でしたが、より効率的にナイフを製造する方法として、1950年代にロバート・ウォルドーフ・ラブレス氏が鋼材を切って原型を作りヤスリで整形するストック&リムーバル法を考案しました。

その後ストック&リムーバル法は、現在のカスタムナイフの最も一般的な作り方として世界中に広まりました。

ロバート・ウォルドーフ・ラブレス(ボブ・ラブレスまたはR.W.ラブレス)

先述の通りS&R法を考案したのがラブレス氏ですが、当時アメリカ車の部品に使われていた板バネからナイフを作り上げることによってS&R法を考案したそうです。

ラブレス氏の作る高品質なナイフはアーネスト・ヘミングウェイを始めとする各国の著名冒険家にも愛用されました。
そして、ラブレス氏の弟子が日本を代表するナイフビルダーの相田 義人氏(相田 義正社長の実弟)です。
マトリックス・アイダにはラブレス氏や相田 義人氏、その他著名なビルダーによる作品がたくさん展示されており、ナイフ素人の私も高揚感を感じました。 上の写真はR.W.ラブレスの作品。
ファン垂涎の逸品なんだろうなぁ。。。
アウトドアを楽しむとき、お気に入りのナイフがそばにあればその楽しさもひとしお。
一から製作されたカスタムナイフを使って焚き火の準備をし、焚き火の前でウイスキーを一杯やる。アウトドア好き男子の夢ですね。

カスタムナイフ鋼材

マトリックス・アイダには様々なナイフ鋼材が置いてありました。
ナイフ用の鋼材は全て、ヤスリで削ったり、金属用の弓鋸で切ったり、ドリルで穴を開けたりすることができる硬さになっています。

刃の形を整えてから、焼き入れなど一連の熱処理作業を経て、鋼は刃物としての命が吹き込まれて硬く丈夫になるそうです。

カイデックス

カイデックスは、ナイフシースの材料としてポピュラーな素材です。熱可塑性の合成樹脂板で、軽くて丈夫で、しかも防水性が優れています。

ダイビングナイフなどの濡れやすい環境のナイフに最適です。他にも、サバゲ―用の銃のホルスターに使ったりもするそうです。

カスタムナイフ製作用の機材

マトリックス・アイダには、カスタムナイフ製作用の基本的な工具から、研磨に使うナイフ・メーキング・マシンもありました。
下の写真は、バーキング・ナイフ・メーキング・マシン。この一台で、必要な切削、研磨作業をほとんどこなします。

カスタムナイフの魅力

太古の昔、人類は石を刃物として使うことを発見し、ナイフとして使いました。
石は時代を経て青銅器になり、さらに鉄器に変わり、ステンレス鋼が発明され・・・人類の歴史とともに、ナイフの素材や構造は飛躍的な進歩を遂げていきました。
今でもナイフに魅了される人が多くいるのは、太古の昔から人類のDNAに刻まれた、刃物を手に入れたときの高揚感によるものかもしれません。 なお、イノホイオンラインショップではマトリックス・アイダも一押しの止め刺し用ナイフや、カスタムナイフ入門用キットを取り扱っています。
お気軽にお問合せくださいませ。

武蔵野金属工業所

創業 1914年(大正3年) 設立。創業以来、鋏、安全剃刀、爪切り、サファイヤ爪ヤスリなどそれぞれの時代と市場にマッチした各種刃物類を99年にわたり全て自社工場で一貫生産。
世界トップクラスのカスタムナイフメーカーとしても知られており、高級カスタムナイフの製造だけでなく、全国のナイフ作りを目指す人々に対して材料、機械、工具の提供を行っている。
アクセス
住所:京都板橋区成増2丁目26−18 カーサ・エール 1F
東武東上線成増駅南口から、徒歩5分。※ダイエー成増店の裏側。

ホームページ:https://matrix-aida.com/
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