狩猟と聞いて、真っ先にイメージするのは、銃をつかった猟かと思います。しかしながら、狩猟の種類には装薬銃・空気銃を使った銃猟のほかに、網を使った「網猟」や、罠を使う「わな猟(罠猟)」などがあります。
そのうち、わな猟は、厳しい審査や管理が必要となる銃猟よりも手軽に始められ、銃猟に比べると猟具もそろえやすく、さらに近年のジビエ人気の流れとも相まって、獲った獲物の食肉活用に向いた猟であることから、近年注目を浴びるようになってきている猟法です。
しかしながら、わな猟は決して簡単なものではありません。獣が残した痕跡から獲物の動きを読み取ったり、仕掛けやメンテナンスの知識、止め刺しの技術など、必要とされるスキルは多岐にわたりますし、装備や道具についても罠さえ準備しておけばよいというものではありません。
この記事では、わな猟に必要な装備・道具について説明します。
わな猟の種類
わな猟の歴史は古く、旧石器時代の落とし穴猟、落石を用いた罠など、ある意味力業ともいえる方法に始まり、その後金属をつかった「とらばさみ」など機械仕掛けの罠に発展し、さらに時代を重ねるにつれ、現在ではICT(情報通信技術)を使った罠まで登場しています。
※とらばさみの使用は、現在では禁止されています。
技術の進歩した現在においても、わな猟の主流になるのは「箱罠」と「くくり罠」です。これらは、効率的に獣を捕獲するための確立された方法といえます。
銃との違いは、殺傷能力の有無。罠自体に殺傷能力はありません。そのため、捕獲した獲物を絶命させる「止め刺し」のテクニックが必要になります。また、必要に応じて、獲物を解体することも予め考慮しておく必要があります。
※参考記事: ・捕獲獣(イノシシ・シカ等)の止めさしについて
箱罠とは
箱状もしくは檻状となっているものに入口がついており、餌で獣を誘因して、獲物が中に入ると入口が閉まって捕獲する罠のことです。
獲った獲物の動きを制限することができるので、止め刺しの安全性が高いこと、餌を使って罠の内部に強く誘因するため、獣に関する知識が少なくても捕獲が可能であることなどが長所です。
※参考記事:箱罠について詳しく知りたいくくり罠とは
金属製のワイヤーロープでできた輪っか(スネア)を獣の通り道に設置し、獲物の体の一部を縛り上げて捕獲する罠を指します。
箱罠にくらべると安価で、小型で軽量なので複数の場所に仕掛けやすい点や、餌付けが不要な点などが長所として挙げられます。獣の習性や動きを読んで罠を設置するため、箱罠よりも捕獲の難易度は上がります。
わな猟に必要な装備・道具
前置きが長くなってしまいましたが、ここからわな猟に必要な装備・道具について説明します。まずは服装から
服装は一番好みが分かれるところですが、猟銃による誤射の可能性がある場所で活動する場合は、オレンジ色などの明るい色のものを一番外側に着ておくことをお勧めします。 虫刺されや日焼け、怪我防止の観点から長袖は必須です。
道なき道を進む場合は、なるべく頑丈なものを選ぶとよいでしょう。また、猟期の始まったころは、まだ暖かい日も多いかと思いますが、そのような日でもなるべく防寒着は用意しておきましょう。汗をかいても体を冷やさないように、肌着は速乾性のものが良いです。
毎年、狩猟者登録の際に狩猟者記章(バッジ)が配布されますが、付け忘れや付け替え忘れがないようにしましょう。
念のためですが、携帯する狩猟登録証は濡れても大丈夫なようにジップロックなどに入れておくとよいでしょう。
靴については、こちらの記事で詳しく記載しております。わな猟では、ずっとかがんで作業することも多いので、くるぶし周りが硬い靴はなるべく避けたほうがよいでしょう。
仕掛けた罠には標札をつけておく必要があります
罠を仕掛けた際は、必ず氏名、住所、電話番号、狩猟者登録年度、狩猟免許番号、免許が交付された都道府県を記載した標札をつける必要があります。罠を仕掛ける際は、忘れずに持参するようにしましょう。
標札は市販されていますが、必要事項が書かれてあれば自作しても問題ありません(以下の動画で詳しく説明されています)。
標札は、罠が仕掛けてある地点からよく見える位置につける必要があり、吊り下げ用の針金またはビニールバンド、ニッパー等の道具も持っておきましょう。※樹木は基本的に所有者がいます。釘を打ち込むなど、許可なく傷つけることのないようにしましょう。罠を設置・調整するための道具
箱罠でもくくり罠でも、共通して出番があるのが、「シャベル(スコップ)」です。くくり罠設置の穴を掘る際にはもちろん、箱罠の撒き餌の際や、箱罠設置時に地面をならす際、残滓(山で解体した後の内臓など)を埋める際にも活躍します。硬い地面でも掘り返すことのできるよう、剣先シャベルがおすすめです。木の根が邪魔でシャベルで掘れないときのために、根を切断するのこぎり(鎌とのこぎりが一体になったカマノコがおすすめ)や、ハンマーがあると何かと便利です。
他にも、くくり罠の場合は交換用のパーツや工具(スエ―ジャー等)、箱罠の場合は交換用の蹴り糸や餌などを用意しておき、罠の見回りの際は必ず持っておくようにします。
マダニ・ヤマビル対策
イノシシ・シカ等の野生動物にはマダニやヤマビル等がくっつくため、イノシシやシカが多いところにはマダニやヤマビルも多くいます。
そのような場所で活動する際は、なるべく対策を取っておきたいところです。すべりのよい化学繊維の長めの手袋やスパッツを着用し、忌避剤もあると安心です。
※参考記事:本当は怖い。マダニの感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」その他、あると便利なもの
山に入るときは、迷わないようにGPSがあると安心です。スマートフォンの登山アプリでも十分です。他にも工具を入れる腰袋、ヘッドライト、ナイフ、カメラ、トイレットペーパー、救急用具など、あると便利なものは多々ありますが、荷物は最小限に抑えたいところです。
これが正解というものではなく、上記はあくまでひとつの例です。狩猟スタイルや好みによっても必要なものは異なってきますので、まずは必要最低限のものを揃えておき、場数を重ねるにしたがって装備を増やしていくと良いでしょう。
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