鹿のコール猟が有名ですが、他にもカラスや鴨などを寄せる笛も販売されています。
鹿の場合、基本的には発情期となる秋にしかできない猟法です。
この記事では、鹿のコール猟や鹿笛について説明しようと思います。
鹿の鳴き声
鹿は状況に応じて様々な鳴き声を発しますが、コール猟は鹿笛を使ってオス鹿の求愛の鳴き声(ラッティングコール)を真似ます。繁殖期のオス鹿は数頭のメス鹿を連れてハーレムをつくっています。
この状態のオスが、縄張りでメスを呼ぶ他のオスの声を聞くと、それを排除しようと声のする方に寄ってきます。
この習性を使ってオス鹿をおびき寄せて射止めるのがコール猟というわけです。
では、オス鹿の求愛の鳴き声はどういったものでしょうか?
まずは以下の動画を観てみてください。
イヌの遠吠えの様な鳴き声が、次第に高くなってしばらく続き、最後に急に低くなります。
他にも、危険を察知した時に甲高く短い笛のような「ピャッ」という鳴き声を発します。
鹿をターゲットとした猟場を歩いている時に、頻繁に聞く音ですので、聞き覚えのある方も多いかと思います。
何度も発して、仲間に知らせようとする場合もあります。
鹿笛(コール笛・ディアコール)の音
日本でも様々な様式の鹿笛が販売されていますが、ニホンジカ専用のものはなく、海外のアカシカ・エルク・ヘラジカ用を転用しているのが現状です。適当に鳴らしてみても、上述の鹿の鳴き声のようになりませんので、ある程度練習が必要になります。
ちなみに、ニホンジカとエルク等海外のシカ類では若干鳴き声に違いがあります。
体の大きな動物は、発声器官である喉頭も大きく、声の通り道となる声道が長くなる傾向にあるため、大きな動物ほど低い鳴き声になることが多いですが、以下の動画のオスのエルクはその大きな体に似合わず、甲高い金切り声を上げています。
おすすめ鹿笛
多くのハンターに支持されているのが、定番のカールトンCarlton'sの鹿笛です。ゴムの位置をずらす事で音質を変えることができます。
また、ロングレンジ用(遠くまで大きく鳴らす)とショートレンジ用(小さく鳴らす)の2タイプがあります。
白く薄いリード側を口の中に咥えて、緑のバンドより先の部分を唇で押さえて吹きます。
リアルな鳴き声に近づけるには練習あるのみですが、ロングレンジ用は特に大きな音が鳴りますので、吹く場所には注意してください。
コール猟のやり方
鹿はテリトリーに入った人間を認識すると警戒します。そのため、手当たり次第に鹿笛を吹いていても、簡単にはおびき寄せることはできません。
また、人数が多いと、鹿が人の気配をすぐに感じとって寄ってこないため、コール猟は多くても2人程度で行いましょう。 まずは、鹿の痕跡を探すことがらスタートします。
オス鹿がいる場所には、角研ぎの跡があります。そういった場所を中心に、足跡などの痕跡を探しましょう。
また、前述のとおり、繁殖期のオス鹿は数頭のメス鹿を連れてハーレムをつくっています。そのため、群れが近くにいる場合は、小さい多くの足跡の中に、一回り大きい足跡が混ざってるのが見受けられます。
そういった場所は、おびき出しによってオス鹿に遭遇できる確率が非常に高い場所といえます。
鹿の歩くスジを読み、正確に射撃するためのイメージをしながら、待ち伏せる場所を考えましょう。
効率的にコール猟ができるのは、日の出から2時間以内。または、夕方3時半から4時すぎ程までです。
目ぼしい場所を見つけたら、鹿笛で1~3声ほど吹いてみて、10~15分間ほど応答を待ちます。
余計な気配を出さないよう気を配りながら、ジーッと待ちます。応答が無ければもう一度吹きます。
5分間ほど待って応答無ければ近くにオスはいないと考えて良いでしょう。 一方で、鹿から返し鳴きがあれば、さらにふた声ほど吹いてみましょう。
鹿が近づいてきて、威嚇の声がすぐ近くで聞こえてきたら、銃の安全装置を解除します。そこで鹿が姿を現したら、発砲して仕留める、という流れになります。 コール猟の装備で気を付けないといけないのは、防寒着。
基本的に狩猟の際は、山野を渉猟しますので身体が温まります。しかしながら、コール猟のような待ち伏せ猟では、動かないので体が非常に冷えます。
待ち伏せ場所を決めたら、できる限り防寒着を着こみましょう。
さいごに
地域によって若干の差はありますが、鹿の繁殖期は9月末~11月頭です。そのため、コール猟をするのであれば、猟期に入った直後が最もねらい目になります。11月に猟期が始まる地域であれば、コール猟を成功させるチャンスは非常に限られます。
単純に鹿を捕獲するだけであれば、罠を用いたほうが効率的ですが、コール猟が成功したときの達成感はひとしお。
今期は鹿笛を使って、コール猟に挑んでみるのもいかがでしょうか?