すごいチェーンソーパンツ

下半身を防護チェーンソーパンツ

チェーンソーを使う時、どんなズボンを穿いていますか?日本の林業現場では、普通の作業用ズボンを穿いて作業を行っている人も多いと思います。作業中にチェーンソーの刃をズボンに当ててしまい、ヒヤっとしたことがある人も多いのでは。また、最近は薪ストーブがブームなので、プロの伐採業者でなくてもチェーンソーを扱う人が増えてきています。

そんな人たちに是非使っていただきたいのがチェーンソーパンツ。チェーンソー作業に特化した機能性、安全性はもちろん、見た目もカッコよいものが登場してきています。この記事ではそんなチェーンソーパンツについて紹介します。

そもそもチェーンソーパンツとは?

チェーンソー作業時の思わぬケガから下半身を防護するのがチェーンソーパンツです。以下の動画を観れば、その機能は一目瞭然です。 ※あらゆるケガを完全に防護できるわけではないので、絶対に真似しないでください。

チェーンソーパンツに少しでもチェーンソーの刃が触れると、長い特殊繊維が瞬く間に刃に絡み付き、高速回転を強制ストップさせます。普通の作業ズボンではそうはいかず、刃が衝突する角度や勢いによっては、一瞬でパックリ・バッサリいってしまうことでしょう。

特に不安定な足場でのチェーンソー作業は、重篤な怪我と隣り合わせです。勢いあまって、足の動脈でも切ってしまったら大出血です。現場から病院までは遠いことがほとんどですので、下手をすると命を失ってしまいます。

お値段は普通の作業用ズボンと比べると、やはり高いです。現場でよく見る作業ズボンは、近くの作業服店で2~3000円程で売っていますが、チェーンソーパンツになると大体2~3万円程度します。消耗品だけど安全のためにコストをかけるか、間違えば大怪我だけど安さを選ぶか・・・

ちなみに、日本ではチェーンソーによる事故が年間2,000件以上報告されています。そのなかで負傷の殆どが手足に集中しています。個人的には、大惨事を防げるのであれば数万円のコストは高くないと思います。

人気の高いチェーンソーパンツ

チェーンソーパンツの必要性を説明したところで、ここからは人気の高いチェーンソーパンツのメーカーを紹介します。

モンベル(Mont-bell)

アウトドア用品で有名な日本発ブランドのモンベル。そのモンベルが登山用ウエア開発で培ったノウハウをベースに開発した、林業用防護パンツを出しました。まずは、チェーンソー防護テスト動画をご覧ください。

モデル名は「バリスティックウルトラロガーパンツ」。筆者はこれまでモンベルのキャンプグッズを愛用していましたが、まさかアウトドアブランドであるモンベルから林業向けのチェンソーパンツが出てくるなんて思っていませんでした。

アウトドアブランドとはいえ、ユーロ規格であるEN 381-5のClass1を取得しており、チェンソー用防護衣としての安全基準をバッチリ満たしています。Class1は、カッターの回転速度20m/秒で刃を当てて裏地を貫通しなければ合格という基準で、現在日本で発売されている防護衣(ズボン・チャプス)はほとんどがClass1です。

表地は高強度の「バリスティックウルトラ」ナイロンが使用されています。バリスティック・ナイロンとは、アメリカのデュポン社が軍用に開発した通常のナイロンの数倍の強度を持つと言われている繊維のことですが、「バリスティックウルトラ」はモンベルが独自開発したもので、一般的なナイロン素材に比べ約3.6倍の引き裂き強度を達成しています。素材から独自開発という点からも、林業用ウェアに対するモンベルの本気度がうかがい知れます。

日本人の体格に合わせた登山用パンツを元にパターンを設計しているので、海外製品にありがちなダボつき感は少ないです。また、膝には立体裁断が施されているので、動きやすく、しゃがんだ作業もしやすい。

お値段も¥19,800(税抜)と比較的お求めやすい価格であることも要チェックポイントです。購入を検討される方は、こちらの取扱説明書もチェックしておくと良いでしょう。ズボンの重量は約1.2kg。

チェーンソーパンツを選ぶ際、全般的に言えることですが、サイズ選びは厳しめにしたほうが良いと思います。モンベルの場合、通常履くズボンのサイズで選ぶと少し大きめかもしれません。

試着できるのであれば是非しておきましょう。試着無しでバリスティックウルトラロガーパンツを購入する場合は、こちらのサイズ表を参考にしてください。 >>公式ページはこちらをクリック。

ハスクバーナ(Husqvarna)

普段からチェーンソーを使う人にはおなじみ、ハスクバーナ。北欧スウェーデンに本社を置くチェーンソーメーカーです。 そのハスクバーナの防護服シリーズが今年はフルモデルチェンジされ、ラインナップが拡充されています。

まずは防護服シリーズ全体のプロモーション動画をどうぞ。すごく雰囲気があります。

ハスクバーナのチェーンソーパンツのラインナップとして複数のモデルがありますが、その中で、先に紹介したモンベルのロガーパンツと同じ価格(¥19,800(税抜))のものが「プロテクティブズボン F-Ⅱ」です。

モンベルと同じEN 381-5のClass1を取得しており、耐久性も同等です。 太ももの裏にベンチレーションジッパーが付いており、通気性が良いのが特徴。フィット感に優れた4方向に伸縮する素材を使用しているので、ストレッチ性も良い。

また快適に動きやすいように、ひざ部分は立体裁断の作りになっています。撥水・防風・耐水仕様で、重さは約1.3kg。

ちなみに、日本法人の名前はハスクバーナ・ゼノア株式会社。コマツゼノアの農林機器部門を分離、スウェーデンのハスクバーナに全株式を売却後、2007年12月にハスクバーナの日本法人と合併しています。 >>公式ページはこちらをクリック。

スチール(STIHL)

ドイツ発チェーンソーの老舗、スチール。創業者のアンドレアス・シュティールが1926年に世界初の電動チェンソーを発明してから約90年、現在は販売台数世界No.1のチェンソーブランドです。

ドイツの安全・品質基準は世界一厳しいと言われますが、その中で開発されたチェーンソー防護服なので、信頼性は折り紙付きです。

さて、スチールのチェーンソーパンツのラインナップのうち、この記事で紹介した他のモデルと同価格帯のものが「ファンクションエルゴ」。価格は¥17,800(税抜)で、他ブランドよりも若干安いです。

EN 381-5のClass1を取得しており、耐久性も同等です。重量は約1.4kg。シルエットは他と比べると若干タイトですが、素材にストレッチ性があるため動きやすさは問題ありません。ラインナップ中では廉価版とはいえ、非常にバランスのとれた商品です。 >>公式ページはこちらをクリック。

まとめ

チェーンソーパンツを選ぶ際は、値段だけでなく動きやすさを重視するのか、頑丈さを重視するのかなど、実際に使うシチュエーションをはっきりさせておくと選びやすいと思います。

上記で紹介したブランド以外にも、ファナー(Pfanner)、オレゴン(Oregon)、スタイン(Stein)など、様々なメーカーからラインナップが発売されています。視認性を良くするために派手な色のものが多いですが、個人的には汚れの目立たない地味な色のラインナップがもっと増えると嬉しいところです。 欲しいチェーンソーパンツが見つかる一助となれば幸いです。
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