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トレイルカメラとは、屋外に設置することを想定した小型の写真・動画撮影カメラです。
カメラには動体を感知するセンサーが付属しています。センサーが動体を感知しなければ待機状態のままですが、動体を感知すると撮影を開始します。
ベルトなどを使って樹木や電柱などに固定し、野生動物や自然の観察、防犯等に使います。電池で駆動するので、設置の際に電源の確保や工事も不要です。
簡単設置にお手軽撮影、そんなトレイルカメラの魅力や選び方について説明します。
トレイルカメラの用途
さまざまな場所に設置ができますので、アウトドアから防犯まで幅広い用途に使用することができます。設置した罠の見張り(狩猟)
箱罠やくくり罠などのわな猟において、ターゲットの行動観察にトレイルカメラは大活躍します。
たとえば、「設置したくくり罠を見回ると、空はじきされているが、原因が分からない。」「箱罠を設置して、餌は食べられた形跡はあるものの、捕獲できていない」といった場合、トレイルカメラで撮影した映像によって、原因や対策を浮き彫りにすることができます。
田畑や家屋を荒らす犯人を特定(鳥獣被害対策)
設置方法やスペックにもよりますが、基本的に画像はとてもきれいで、顔も判別できるほど鮮明な映像が撮れます。
田畑の作物や家屋が何者かによって被害を受けた場合は、対策のためにまず犯人を特定する必要がありますが、トレイルカメラを使えば、ばっちり映すことができます。
他にも、自宅前にペットの落とし物が頻発するため飼い主特定のためにトレイルカメラを使ったり、留守中や夜中のペットの行動を知るために庭や屋内にトレイルカメラを設置したりする場合もあります。野生動物の生態観察
人間が近づくとすぐ逃げてしまうような動物が、普段どのように生活しているのか観察したい場合も、トレイルカメラはおすすめです。
野生の動物は動作が素早いので、人間が被写体を追って撮影するというのは困難ですが、センサーが反応して撮影するトレイルカメラなら、反応エリアに入った動物を綺麗に撮影することが可能です。夜間の場合も、フラッシュによって、充分鮮明に映すことができます。
他にも、植物の成長観察に使用されることもあります。その場合、タイムラプス撮影(コマ送りのような撮影。詳しくは後述します)という機能を使うと便利です。防犯目的
不法投棄や駐車場の悪戯、空き巣、お店の防犯のために、使用するケースも多くあります。固定タイプの防犯カメラを取り付ける場合、安くても5、6万円程しますし、移設はできません。一方、トレイルカメラの場合は、安価に導入することができ、移設も簡単です。
アウトドアアクティビティ時の定点撮影
自動撮影でカメラマン不要という特徴を生かし、自然の中で行うアクティビティ等の定点撮影カメラとして使うことも可能です。
例えば、エアソフトガンとBB弾を使って行うサバイバルゲーム(サバゲー)の場合、カメラマンが居ると、邪魔になったり誤射されたりしてしまいますが、トレイルカメラなら安心です。
ウェアラブルカメラと合わせて使うと、様々なシーンが撮影できます。 液晶ディスプレイによって、その場でプレビューが見れる機種も多くありますので、現地ですぐに様子を確認できるという点も魅力です。
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トレイルカメラの選び方
今市場には、スペックや価格帯が様々なトレイルカメラが出回っています。しかしながら、完璧な一台というのは存在しません。 カメラ性能を上げると消費電力や価格も高くなるなど、一方の性能を追求すれば他方で目をつぶらなければならない項目がでてきます。
そのため、どのような用途にするのか、そしてその用途にはどのようなスペックが必要なのか予めチェックしたうえで、ニーズに適した機種を選ぶ必要があります。
チェックポイントその1:トリガースピード
トリガースピードとは、付属のセンサーが動体を検知してから撮影が開始されるまでのタイムラグのことを指します。最近の機種は1秒未満であることがほとんどですが、高性能なトレイルカメラでは検知から0.3秒ほどで撮影を開始することが出来ます。ただし、安価なものの中には、公称でトリガースピードが1秒未満であること謳っていても、実際は数秒以上かかるものもありますので、注意が必要です。
トリガースピードが長いと、動体が通り過ぎた後にやっと撮影が開始され、結果として風景しか映っていなかった・・・ということも。
チェックポイントその2:保証期間や日本語説明の有無
スマートフォンと同様、近年はトレイルカメラでも安価で性能の良い中国製の製品が台頭してきており、安くても画質はそれなりに良いものがほとんどです。
しかしながら、海外製の製品の中には、買ってしばらくして電源が入らなくなったり、撮影ができなくなったり、モニターが反応しなくなったり、と初期不良がそれなりに多いものも珍しくありません。
そこで差が出てくるのが、保証期間です。 使い始めてしばらくすると不具合が出てきたものの、保証期間がなく即ゴミ箱行き、とならないよう保証期間の有無や長さはしっかりチェックしておきましょう。
また、海外製品の場合、日本語説明がなかったり、あっても翻訳の精度が悪く意味不明な日本語だったりする場合もありますので、注意が必要です。Amazonなどで購入を検討するのであれば、☆の少ないレビューを予め確認しておくと良いです。チェックポイントその3:画角
画像の写り方を決めるのはレンズです。どんなレンズを使うかによって、被写体が写る範囲(画角)が決まります。画角がより広角であるほうが、広い範囲を撮影することができます。
そのため、野生動物を撮影する際など、被写体の動きが予想できない場合は、画角が広いタイプのほうが効率的に撮影できるといえます。 しかしながら、動体検知に使う赤外線も広角に照射するため、消費電力が高くなります。
また、商品の設計において、広角センサー部品を搭載する、もしくはセンサー部品の数を増やす必要がありますので、同じく消費電力が高くなります。 そのため、一般的に、広角になるほど動作可能時間(電池の持ち)は短くなりますし、製造コストも上がりますので価格が高くなります。
チェックポイントその4:フラッシュ機能
トレイルカメラのフラッシュ機能は大きく分けて3種類あります。人間に見えにくい光も、獣にはよく見えている場合がありますので、被写体に応じてタイプを使い分ける必要があります。不可視光赤外線フラッシュ(ノーグロー)
人や動物の目に見えない波長940nm付近の赤外線フラッシュです。 動画に移る獣の目線を観察すると、カメラに気づいているかどうか何となくわかるのですが、ノーグローを使ったカメラの場合、カメラに気づきにくい傾向があります。
そのため、警戒心の強いイノシシやクマの場合、警戒を軽減できるノーグローモデルが最適です。
可視光赤外線フラッシュ(ローグロー)
ノーグローよりも可視域に近く、人間の目でも赤くぼんやり光って見える、波長850nm付近の赤外線フラッシュです。 ノーグローより明るく照射できますので、撮影画像もより鮮明になります。シカやアナグマ、タヌキ、キツネなどは、ローグローでも問題ないでしょう。 また、初めのうちは赤い光に驚いて獣が逃げたとしても、その後は慣れて容易に撮影できるようになった、というケースも多くあります。白色LEDフラッシュ
人間にとっても十分可視となる白色LEDを照射し、夜間でもカラー映像を撮影することが可能なフラッシュです。十分目に見える光を放つため、警戒心が強い動物は驚いて逃げてしまうこともあります。警戒心の弱い個体や、撮影に慣れた個体には有効です。
また、防犯に使用する場合なら、被写体にカメラを敢えて認識させることで、犯行を未然に防ぐ効果もあります。その他オプション
防水
トレイルカメラは全天候での使用を想定されていますが、ほとんどが簡易防水程度で、完全防水のモデルはありません。故障の原因として最も多いのは、内部への浸水(水没)です。
また、基本的に水没による故障は保証対象外となります。 そのため、雨天使用を前提とするなら、防水オプションの有無を確認しておきましょう。また、ペットボトルなどを使って、自作で防水ケースを作成することも可能です。
タイムラプス撮影
タイムラプス機能とは、予め設定した時間間隔で撮影する機能です。日本語では微速度撮影ともいいます。タイムラプスによって、コマ送りのような撮影が可能になります。現在出回っているトレイルカメラには、タイムラプス機能がついていないものも多くあります。 例えば、自然の変化や植物の生育を観察する場合など、タイムラプス機能なしには膨大な録画時間が必要となってしまいます。タイムラプス機能を使えば、撮影時のコマ数を落として撮影することによって、撮影・編集の手間やデータ容量を大きく削減することができます。インターネット接続
最近は、ICT技術を駆使した商品も出てきています。設置したカメラをインターネットに接続して、ほぼリアルタイムに撮影データを確認したり、カメラの状況(電池残量・SD空き容量など)をモニターしたり、任意のタイミングで撮影したりすることが可能となります。 デメリットとしては、機器が高価であること、電池の消耗が早いこと、カメラからインターネットに接続するための通信料が別途でかかることなどが挙げられます。まとめ
様々なタイプが発売されているトレイルカメラですが、その機能はトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない)であり、最も重要なのはバランスです。
安価な商品も多くありますが、値段だけで決めてしまうと安物買いの銭失いになりかねません。この記事が、納得の一台を見つけるための一助となれば、幸いです。