森林における鳥獣被害対策の支援について

森林における鳥獣被害対策の支援

野生鳥獣による森林被害のうち、約8割を占めるのがシカによる被害です。シカの生息数の増加や生息域の拡大によって、森林が受ける被害は深刻な状況にあります。

被害の内容としては、樹木への食害、樹皮剥ぎ、食害による下層植生の衰退・消失、裸地化などが挙げられます。全国の森林の約2割でシカによる被害が認められており、被害面積は約6,000ヘクタール(東京ドーム約1,200個分)にのぼるといわれています。

シカは繁殖力が高く、環境が良ければほぼ毎年子供を産みます。捕獲を実施しない場合、年率約20%で増加し、4~5年で個体数は倍増するといわれます。

そのため、環境省と農林水産省は、シカ(およびイノシシ)に対し、10年かけて生息頭数を半減させることを目指すとしており、シカ被害対策を推進するための様々な補助金支援が国や都道府県によって実施されています。

森林における鳥獣被害対策支援の種類

国が実施している森林のための鳥獣被害対策支援として、以下のような事業があります。

1. シカによる森林被害緊急対策事業

おもに林業関係者が主体となった計画的な捕獲・防除を模範的に実施するための事業です。

A:シカ森林被害防止緊急対策

複数の市町村や森林管理署から構成される協議会が、シカ被害対策の計画を策定して実施する対策です。地域で連携して行う罠による捕獲や、防護柵の設置等の防除活動を実施する事業です。

また、新たにシカの侵入が危惧される地域や、生息密度が高まりつつある地域において、シカの監視体制の強化を図るため、GPS首輪を用いた行動追跡調査や、自動撮影カメラを用いた監視体制の強化も目的としています。イノホイおすすめの自動撮影カメラはこちら>>

B:シカ被害対策推進調査

森林におけるシカ被害発生リスクについて、調査分析を行い、必要な対応の検討を実施する事業です。国から民間団体に委託費をもって委託されます。

2. 森林環境保全整備事業

健全な森林の造成・保全を目的として、野生鳥獣による森林被害の防止や、野生鳥獣の移動の制御するための付帯施設(侵入防止柵など)を整備・保全する事業が支援されます。

また、シカの食害を受けた被害森林にて、餌で誘引して罠などによって捕獲する事業も支援されます。都道府県、市町村、森林所有者、森林組合等、森林整備法人等が主体となり実施されます。

3. 鳥獣被害防止総合対策交付金

シカなどの鳥獣侵入防止柵の設置や、捕獲活動の直接経費など市町村が主体となった地域ぐるみの被害防止の取組が支援されます。対象団体は事業計画等を申請することによって、国から交付金が各都道府県を通じて交付されます。こちらの記事に詳しい内容を記載しています

4. 次世代林業基盤づくり交付金(そのうち、森林・林業再生基盤づくり交付金)

都道府県、市町村等が被害の状況を勘案し、地域の実情に応じて行う被害防止対策に支援が行われます。地域の森林の整備を行うための基盤整備やその活用、林業や木材産業の振興を図るための様々な取組みが交付金によって支援され、森林資源の保護のための野生鳥獣被害防除事業も対象となります。

5. 森林・山村多面的機能発揮対策

里山林は地域住民に継続的に利用されることにより、古くから維持・管理されてきた居住地近くに広がる森林のことですが、近年は荒廃が進んでいます。そこで、地域住民、森林所有者、自伐林家等が協力して行う、里山林の保全管理や資源を利用するための活動に対して、林野庁が交付金による支援を行っています。

活動を実施するために必要な機材及び資材の購入・設置に対しても支援が行われ、例えば、シカ等の野生鳥獣を捕獲するための罠の購入であれば必要額の1/2が支援されます。

支援を受けるには、活動組織を設立する必要があり、組織は地域住民、森林所有者等地域の実情に応じた方(3名以上)で構成される必要があります。交付金の対象となる森林は、活動を行う時点において、森林経営計画が策定されていない森林です。 また、活動組織名、所在地、取組の背景及び概要、3年間の活動計画、年度別の取組内容、計画図、委託内容等を記載した計画書を作成する必要があります。

これらの準備が整えば、地域協議会に対して、支援の申込みを行う流れとなっています。

まとめ

シカによる森林被害の減少に貢献するため、上記のような様々な支援が実施されております。上記は国の支援であり、年度や交付金を受ける地域によって内容や規模が変わってくると思いますので、より詳しく知りたい方は、ホームページや、各都道府県の獣害対策関連課などにて確認されるとよろしいかと思います。

なお、イノホイでは罠の購入に必要なお見積りも随時承っております。こちらのフォームからお気軽にご依頼ください。

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