イノシシやシカの捕獲に広く用いられている箱罠。物理的な仕組みで作動させるものが一般的ですが、近年はセンサーを使った捕獲の仕組みが注目をあびており、多くの地域で導入されるようになってきています。
すでに各社から様々なタイプが販売されていますが、従来の箱罠に慣れている人にとっては、とっつきにくく感じるかもしれません。しかしながら、うまく使えば捕獲率の向上や作業効率を良くすることが可能です。
※箱罠の傍に設置しておき罠の様子を録画する、「トレイルカメラ」とは今回は区別して説明します。
箱罠+センサーを使った捕獲
箱罠は餌を使って獣を檻の内部に誘引し、獣が檻の中に入ったら仕組みが作動して扉が落ちる仕組みになっています。こちらの記事もどうぞ
箱罠について詳しく知りたい一般的な箱罠は、罠の内部にある仕掛け(蹴り糸や踏み板など)に獣が触れると扉が落ちるといった、物理的な仕組みになっています。
たとえば、蹴り糸を使った方式の場合、箱罠内部に張った糸に獣が触れると、扉を吊っているワイヤーや紐が外れて扉が閉まる仕組みになっています。
一方で、センサーをつかった仕掛けの場合、獣が罠の内部に入ったことを赤外線などのセンサーによって感知します。蹴り糸などを用意する必要がなく、またそれが無いことで獣の警戒心を弱めることが可能になります。さらに、仕掛けの労力を減らすことにもつながります。
センサーによって扉が自動で落ちる仕組み
この仕組みには、主に赤外線センサーが用いられます。センサー筐体と扉を吊る紐が連結できるようになっており、センサー筐体を箱罠の上面や側面に取り付ける形で仕掛けるのが一般的です。
因みに赤外線とは、熱をもっている物体や生き物が発している電磁波の一種です。これを肉眼で見ることはできませんが、赤外線センサーの内部は入射した赤外線を電気信号に変えるような仕組みとなっています。この仕組みは、人感センサーなど各種センサーとして幅広く用いられています。
これを箱罠の仕掛けに応用し、周囲温度と比べて温度差のあるものがセンサー感知範囲内で動くと、センサーがこれを感知して、扉を吊る紐がセンサー筐体から外れることにより、扉が自動で落ちる仕組みになっています。
IoTを活用した応用例も
最近では、センサー+IoTを組み合わせて捕獲に役立てる試みも進んでいます。IoTとは、今までインターネットにつながっていなかったモノをインターネットにつなぐことです。
例えば、獣が罠の内部に入ったことを赤外線センサーが感知、そのタイミングでカメラ撮影を開始。カメラで撮影された映像を、インターネット経由でパソコンやスマートフォンなどによって遠隔で確認するといったことが可能になります。
さらに、遠隔で人が監視する労力を省くために、獣の種類や頭数を画像で自動判別して、狙った獲物だけを自動で捕獲できるようにするための試みも行われています。
また、赤外線センサーが感知したタイミングで、自動でメール通知を携帯電話等に配信したり、GPSと連携して捕獲場所をマッピングすることによって生息密度が高い場所を割り出したりする応用例もあります。
ただし、高度な機能を有するほどシステムの導入に費用や労力がかかる点、必要に応じてネットワーク接続のためのSIMカード等を別途用意しなければならなかったり、回線電波が届かないような中山間地においては導入が難しいといった側面もあります。
イノホイおすすめのセンサー箱罠
上記を踏まえ、これからセンサー+箱罠による箱罠を導入してみたいという方には、IoTを活用するタイプではなく、赤外線センサーで自動で扉が閉まるタイプを当店ではおすすめしています。
こちらの商品は、ベテラン猟師が監修したセンサーで、設定方法がシンプルかつ実績が多いセンサー商品になります。もちろん、当店のファーレ旭式箱罠にも対応します。
当店のイノシシ・シカ用箱罠は蹴り糸方式ですが、蹴り糸のセッティングは意外に奥が深く、警戒心の高い成獣だと捕獲が難しいことがあります。獣との駆け引きが重要になるため、 熟練者の場合は、ターゲット個体に合わせて蹴り糸の素材や張り方を調整することで対応しますが、初心者の場合はなかなか難しいかと思います。
そういった場合、上記のセンサーをおすすめしており、導入によって捕獲率が上がったという報告もいただいています(参考事例)。 一番の特徴は、あらかじめセンサーが反応する高さを設定できる点です。
例えば、当店の箱罠ビッグサイズ片扉(高さ1.0メートル)と組み合わせて使う場合、天井からの距離60cmの位置でセンサーが反応するように予め設定しておけば、高さ40cm未満の場合は反応せず、40cm以上の肩高の獣が入った時だけ、扉が閉まります。
そのため、体の大きな成獣が入ったときのみ扉を落とすよう設定することが可能、またタヌキなど他の小さい動物を捕獲してしまうことを防ぐこともできます。
被害を減らすには成獣の捕獲を
イノシシの場合、環境や栄養状態にもよりますが、年間で平均4頭前後の子どもを産むといわれています。成獣を捕獲しなければ、ネズミ算式に個体数が増えていくため、被害を減らすことができません。
また、幼獣だけを捕獲すると、その様子を見た成獣が学習し、警戒して罠の内部に入らないようになる可能性もあります。 文明の利器を使って、被害に立ち向かうのも一つの手だと思います(アニマルセンサー商品ページはこちら)。
※上記センサー商品は補助金の対象になる場合もあります。詳細は自治体の担当課にお問合せください。見積りのご依頼は、電話・FAX・お問合せフォームからどうぞ。