イノシシ等を捕獲するための機材として、メインで選ばれるのはやはり捕獲檻(箱罠)です。箱罠とは、野生動物を捕獲する場合に用いられる箱状の檻のことで、餌を使って箱の中に獲物を引き寄せて、獲物が中に入ると扉が落ちて捕獲完了!という仕組みです。
くくり罠などの他の罠の場合、獣の動きを予測して設置方法を工夫しなければ、なかなか獲物を捕えることができません。一方、箱罠の場合は餌の力で誘因するので、獣の動きを多少読み違えても捕獲が可能であり、初心者にも向いています。
箱罠には、大きさや素材、トリガー方式が異なる様々なタイプがあり、どれを選んだらよいか判断がつかない場合もあるかと思います。そこで今回は、箱罠の選び方について解説します。
ターゲットの大きさから箱罠を選ぶ
箱罠の大きさは、どの獣がターゲットになるかによって、大まかに決めることができます。小型獣に対して大きすぎる罠を使ってもロスが多いですし、大型獣に対してはそもそも小さすぎる箱罠は使えません。
また、大きいほうが複数頭同時に捕獲できる可能性も高くなりますが、値段も高くなります。 イノシシ・シカなどの大型獣の捕獲に使われる箱罠の標準的なサイズは、高さと幅がそれぞれ1メートル、奥行きが2メートル程度です。
網目の大きさは、狭いほうのピッチが10cm未満のものがほとんどで、ウリボウなどの小型獣もあわせて捕獲することが想定されています。また、この大きさであれば、大型のイノシシの捕獲も可能です。※大型のイノシシは非常に力が強いため、なるべく頑強な構造の箱罠を選ぶことをお勧めします。
これより一回り小さいサイズもイノシシ・シカ用として多く出回っています。上記サイズと比べると重量がやや軽くなるので、取り回しやすいというメリットがあります。近年関東方面で問題となっているキョンの捕獲にも使えます。
年配の方であまり重い箱罠の設置はしんどいという方や、女性のハンターにもお勧めできます。イノホイおすすめの中型箱罠はこちらをクリック>> サルをターゲットにする場合は、罠の外から網目に手をいれて餌を取ったりすることがあるので、その点も考慮した網目のものを選ぶと良いでしょう。
サルに対応する箱罠であれば、タヌキやハクビシン、アナグマ、ウリボウなどにも対応できます。イノシシ・シカ用ほど大きくなくても、幅と高さがそれぞれ0.8メートルほどの大きさがあれば、複数頭の捕獲が期待できます。
ハクビシンやアナグマなど、小型獣の個体をターゲットにするのであれば、より小さいサイズ(幅と高さがそれぞれ0.5メートル以下ほど)のものでよいでしょう。
このサイズの箱罠は値段も安く、ホームセンターなどで販売されていることもあります。外来種であるアライグマやヌートリアを捕獲する場合も、このあたりのサイズが使われます。
さらに小さいイタチやテン、リスなどをターゲットにするのであれば、すり抜けを防止するために、網目が3センチ程度の細かいものを選ぶとよいでしょう。
トリガー方式から箱罠を選ぶ
箱罠を作動させる仕掛け(トリガー)にも、いくつか種類があります。例えば、「蹴り糸方式」はイノシシやシカなどの大型獣の捕獲に採用されることが多いです。箱罠の中に糸を張っておき、ここに力が加わるとトリガーが作動し、扉が落ちます。
罠内に置かれた板の上に足を置くと扉が落ちるのが「踏み板方式」、餌を箱罠内部にぶら下げておき獣がそれを取ろうとして動かすとトリガーが作動して扉が落ちる「餌吊り方式」などもあります。
アライグマやタヌキ、ヌートリア、ハクビシンなどの小型獣の場合は「踏み板方式」や「餌吊り方式」が採用されることが多いです。「蹴り糸方式」であれば、張った糸の上に板を置くなどして「踏み板方式」のように作用させることも可能です。 ※トリガー方式については、こちらの記事も参照ください。
檻の素材や形状から箱罠を選ぶ
イノシシなど力が強い大型の獣を捕獲する際は、檻に鉄筋などの頑強な素材を使った箱罠を選ぶとよいでしょう。
構造が弱いせいで箱罠が破損し、獣が外に飛び出すと、重大な事故につながる恐れがあります。 一方で、頑強な構造の場合、その分重量も増えてしまいます。力の強くない獣に対して過度に頑強なものを使う必要はありません。
力の強い大型獣でなければ、ワイヤメッシュなどの素材を用いた箱罠でも全く問題ないでしょう。 形状としては片扉式と両扉式があり、大型の箱罠には両扉式が採用される場合もありますが、ほとんどが片扉式となります。
なお両扉式の場合、獣の目線で罠の内部を見たとき突き当りに檻が見えないため、罠の中に歩を進めやすくなる傾向があります。一方の扉を閉めておけば、片扉として使用することも可能です。
はじめて箱罠の設置をお考えの方へ
日本に生息する鳥獣は鳥獣保護法で守られており、基本的に無断で捕獲することができません。県や市町村などの役所に許可を得て捕獲する「許可捕獲」と、狩猟期間中に狩猟可能な場所で捕獲する「狩猟捕獲」のいずれかがありますが、どちらの場合も、狩猟免許の取得や申請許可などの手続きが必要ですので事前に確認をお願いいたします。
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