最近テレビや雑誌などでも特集が組まれ、注目を浴びている「ジビエ」。 日本でも以前よりは身近になったジビエ料理ですが、牛肉や豚肉に比べるとどこかとっつきにくく、ちょっと食べづらそうというイメージをもたれがち…。
ジビエをおいしく食べるには、普段からよく食べているであろうプロに聞くのが一番!ということで、実際に宮崎県の猟師さんを尋ねてきた結果を報告します。
そもそもジビエとは?
「ジビエ」はフランス語で、イノシシやシカ、野ウサギ、キジなど、狩猟によって捕獲された野生鳥獣の肉を表す言葉。古くから狩猟が盛んなヨーロッパでは、ジビエ料理は馴染みのある食文化です。
かつては上流階級の貴族しか食べられない貴重なジビエ料理でしたが、今では狩猟が解禁される時期には肉屋の店先やマルシェなどで毛や羽がついたままのジビエが並ぶほど、フランスなどでは身近な食材として扱われています。
日本でのジビエ料理
寿司やそばなどをはじめとする日本食は、穀物や野菜、魚といった食材が一般的で、肉を食べる習慣は欧米よりもたらされたイメージが強いですが、日本でも古くから狩猟が行われており、イノシシ、シカなども食されていました。
特に寒さの厳しい山間部では、ジビエは貴重なタンパク源だったのです。 昨今取りざたされている鳥獣被害の問題で、捕獲した鳥獣を地域資源として食材に利用する動きもあり、ジビエ料理が注目されるようになりましたが、スーパーなど身近な場所で扱っているところはまだまだ少ないのが現状です。
ヘルシーで栄養価が高い
野生独特のにおいや肉質のジビエですが、血抜きや内臓を取り除くなど捕獲時の適切な処理と食材に合わせた調理法で、とてもおいしく食べられます。 また、高たんぱく低カロリーで、鉄分やビタミンB2などの栄養素も豊富に含まれています。猟師のジビエ料理
ジビエをおいしく食べるには、普段からよく食べているであろう猟師さんに聞くのが一番!ということで、実際に尋ねてみました。
イノシシ肉
イノシシ肉といえば日本ではぼたん鍋が有名ですが、もっとシンプルにイノシシ肉の旨味を味わうならやっぱり塩焼き。
どの猟師さんもおすすめする食べ方です。 フライパンでも悪くはありませんが、炭で焼くと余計な脂も落ち、格段においしくなります。 旨味をたっぷり含んだ肉汁が逃げないよう、ブロックのまま焼くのがポイント。
焼く前に塩をふったイノシシ肉のブロックを網の上に乗せ、まんべんなく焼き色と焦げ目がついたら火からおろし、薄くスライス。それをまた網の上に乗せ、火を通して焼きたてをいただきましょう。若いイノシシは肉が柔らかく、クセもほとんどないため、ジビエ初心者にはおすすめです。
シカ肉
シカ肉は脂肪が少なくとってもヘルシー。赤身でさっぱりした味わいです。 捕獲してすぐに処理していれば臭みは少なくなりますが、においを気にせずさらにおいしく食べる方法はたれに漬け込むこと。
猟師さんによって味付けは異なりますが、すりおろしたニンニクと醤油、酒、砂糖を合わせた特製のたれに数時間漬け込み、それを炭火で焼いて食べます。 焼きすぎると硬くなってしまうので、程よく火が通れば食べごろです。
噛めばにんにく醤油の香ばしい風味と鹿肉の旨味がじゅわっと口いっぱいに広がり、あと引くおいしさ。 漬け込む時間や肉の切り方によって味の濃さは変わりますが、あまり漬け込みすぎると味が濃くなりすぎるため、鹿肉の風味を楽しむなら、30分~1時間程度で十分でしょう。
ジビエ以外にも山の幸がいっぱいの猟師メシ
この日はたまたま、川でとってきた天然のウナギも味わうことができました。お店で食べるものより身が分厚く締まっていて、食べ応えのある食感。川魚特有の臭みはありません。 猟師が住む山の暮らしは、ジビエ以外にもアユやウナギ、山菜など、自然の恵みがいっぱいです。
ジビエ料理をもっと身近に
最近はジビエ料理を味わえるフレンチやイタリアンのお店が都内以外でも増えてきていますし、ネットショップでジビエを販売している業者様もいらっしゃいます。
まずはお店でシェフが趣向を凝らしたジビエ料理を堪能するのも良いですし、自分で仕入れてバーベキューなどで豪快に調理するのも良し!牛肉や豚肉、鶏肉のように、日本でもジビエがもっと身近な食材になる日も近いかもしれません。