国や自治体が取り組む鳥獣被害対策について

鳥獣被害対策 国・自治体の取組み

近年、おもに中山間地域を中心にイノシシ・シカ等の獣類やカラス・ハト等の鳥類による農作物への被害が多発しています。全国の被害額は平成30年度で約158億円となっており、農業を営む方にとっては営農意欲が無くなるほどの深刻な状況が続いています。

また、農作物被害だけでなく、住宅地への侵入や車両と獣の衝突事故、家屋の糞尿被害など、上記被害額以外にも様々な被害が発生しています。

令和2年の農林水産予算の概要

農林水産省は、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、被害が発生している地域の各市町村が中心となって実施する施策に対して、支援を行っています。

支援内容としては、「A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦」「B:シカによる森林被害緊急対策事業」の2つがあります。

上記の政策目標としては、 深刻な農作物被害を⽣じさせているシカ、イノシシ、サルの捕獲を強化すること、野⽣⿃獣のジビエ利⽤量を拡⼤することが掲げられています。

A:⿃獣被害防⽌総合対策交付⾦について

各市町村が中心となって作成した「被害防⽌計画」に基づく取組等を総合的に⽀援するための交付金です。令和2年度の予算額は約100億円です。
鳥獣被害防止計画の例(神戸市)

支援の対象となる事業の例

鳥獣被害対策のための機材購入や環境管理・捕獲活動経費の支援や、ICTを活用した捕獲の効率化、捕獲・処理加工の人材育成、ジビエ肉用途や新規用途の利用拡大のための設備導入などが支援の対象となります。例としては、以下のとおりになります。

①総合的な⿃獣被害対策

・侵⼊防⽌柵の設置/再編整備や捕獲機材の導⼊
・刈り払い等による害獣の⽣息環境管理
・捕獲活動経費の直接⽀援
・捕獲技術⾼度化施設の整備・導入支援
・焼却施設の整備・導入支援
・新技術実証活動等を⽀援

②捕獲の効率化

・ICTを活用し、罠による捕獲業務の軽労化や効率化を図る

③捕獲者、処理加⼯施設⼈材育成

・捕獲現場、処理加⼯現場でのOJT研修

④ジビエ利⽤拡⼤に向けた取組

・国産ジビエ認証に必要な知識等の習得(衛⽣管理の向上)
・⾦属探知機等衛⽣管理に必要な設備の導⼊
・ジビエカーの導⼊による、広域からの搬⼊
・ジビエの全国的な需要拡⼤のため、プロモーション等への取組を⽀援

⑤未利⽤部位等の新規⽤途調査

・廃棄していた部位をペットフード等で余すことなく有効活⽤することにより、ジビエ利⽤量の拡⼤を図る(新規用途調査等も含む)

B:シカによる森林被害緊急対策事業について

政策目標としては、事業実施地域におけるシカによる森林被害面積の変動率が、周辺地域の平均変動率を下回ることが掲げられています。令和2年度の予算額は約1.6億円です。

事業の内容

シカ被害が深刻な地域においてモデル的な捕獲が実施されます。また、捕獲⼿法のマニュアルの整備や、ICT等を活⽤した新たな捕獲技術の開発・実証が実施されます。

事業の流れとしては、国から都道府県に対して定額補助が行われる場合と、国から民間団体等に事業が委託される形で必要な経費が補助される場合があります。

モデル的な捕獲等の実施の例

・捕獲を感知するセンサーを設置し、ICTを活用したシカ進入状況を捕獲者に通知、および罠の遠隔操作
・シカの生息状況を踏まえたくくりわな設置
・GPSによるシカの行動把握

都道府県の対策

上記は国の政策になりますが、野生鳥獣による農作物被害を防ぐため、都道府県から市町村や協議会・農協等へ補助金が交付される場合もあります。交付対象となる事業内容の例としては、地域ぐるみの環境整備、侵入防止対策、個体数を減らす対策などがあります。

個人が補助を受けるには?

市町村は、上記の単県・国庫からの交付金等を財源に事業予算を定め、それに基づいて地域協議会や営農者等に対して補助を行っています。※市町村によって事業内容や補助率等が異なる場合がありますので、詳細はお住まいの市町村の担当課へご確認ください。

補助金交付の例

千葉県袖ヶ浦市

わな猟免許を新たに取得し、有害鳥獣捕獲事業に従事する方への補助金があります。

補助額

わな猟免許試験の手数料と初心者狩猟講習会の受講料の3分の2(上限1万円)
※受付は予算内で、先着順

申請方法

申請書に、必要事項を記入して、事前に農林振興課へ持参。※申請書については、農林振興課ご連絡いただければ、申請書が送付されます。【参考】袖ヶ浦市ホームページ

福島県白河市

自ら捕獲用ワナを設置する農林業従事者に対し、狩猟免許を有していない農林業従事者には囲いワナを、有している場合は囲いワナ及び箱ワナを購入する際の一部費用を助成。

対象者

・市内に住所を有し、申請時において市税等を滞納していない方
・農業又は林業を営んでいる方で、囲いワナ等を設置できる農業又は林業に係る敷地を有し、適正に管理できる方
・箱ワナを取得しようとする方は、狩猟免許を取得していること

補助額

補助対象経費の3分の1(上限額は50,000円)

申請方法

各種申請書を農林整備課農林管理係に提出。【参考】白河市ホームページ

北海道京極町

アライグマやエゾジカ等にによる農林業被害から守るため、侵入防止策の普及と捕獲体制の強化が実施されています。

対象者

京極町に住所を置き、アライグマ生息域の拡大防止、侵入・定着阻止に理解・協力できる方

補助額

箱罠(金属製)の購入額の80%以内

申請方法

交付申請書に購入店からの見積書を添付して申請。【参考】京極町ホームページ

まとめ

鳥獣被害防止のために、国や都道府県、市町村を通じて、様々な補助が実施させれています。イノホイでは購入見積もりの依頼も承っておりますので、補助を受けるために必要な方は、何なりとご用命くださいませ。

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