【徹底解説】くくり罠の特徴や成果の上げ方とは?

くくり罠にかかったキョン

イノシシやシカをはじめとした野生鳥獣を捕獲するために、よく使われるのが罠です。ひとくちに罠といっても世の中には色々な種類のものがありますが、代表的なのが獣の足などをワイヤーで括る(くくる)ことによって捕らえるくくり罠です。

とはいえ、くくり罠は獣の動きを読んで設置しなければならないため、初心者にとってはハードルが高く、分からないことも多いのではないでしょうか?

当店では年間数千個程くくり罠を製造・販売しており、多くのユーザー様から様々なフィードバックをいただいています。その経験を基に、これまでも多くの情報発信をさせていただいておりますので、今回はそれら過去に発信させていただいた情報をダイジェストでご紹介したいと思います。くくり罠について知りたい方はぜひ参考にしてください。

そもそも、くくり罠って?

くくり罠とは、イノシシやシカなど野生鳥獣を捕獲するための罠の1種です。具体的には、獲物が通りそうな獣道にあらかじめ罠を仕掛けておき、獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動。ワイヤーが獣の足を括り(くくり)捕獲する仕組みです。獲物の胴体や首を括る「胴くくり」という方法もありますが、一般的には足を括る「足くくり」が多く使用されています。

くくり罠の特徴

他の罠と比べた時のくくり罠の特徴としては、小型で軽量な点が挙げられます。檻の中に餌をおいて捕獲する箱罠だと、重量が100Kgを超えるものもあり、設置や運搬に労力がかかってしまいますが、その点くくり罠なら小型で持ち運びも手軽なことから、他の種類の罠と比較すると場所をえらばず設置や撤去も簡単です。

一度に多くの数を設置することもできるので、効率よく捕獲することができます。また、明らかに人工物である箱罠と比べると、くくり罠は獣に気づかれないよう仕掛けるので、警戒心が高い獣に対しても有効な捕獲手段となります。

初心者でも仕掛けてすぐに捕まえることができる人もいれば、なかなか難しいと仰るかたもいらっしゃいます。※余談ですが、魚釣りが上手な方はくくり罠も得意な方が多い傾向があるように思います。

当店のくくり罠は、「簡単設置で安くて良く獲れる」をモットーに、踏み板+スプリングをセットにして仕掛ける跳ね上げ式のくくり罠です。

動作の原理としては、
獣の通り道に台座となる塩ビ管を地中に埋めます。
踏み板(獣が踏む部分)に付属のレールに、獣の足をくくるワイヤーの輪っか(スネア)を巻き付けます。
押しバネを押し込み、圧縮した状態で固定します。
踏み板を①の台座の上に置き、薄く土や葉っぱをかぶせます。
獣が踏み板を踏み抜くと、バネの力でスネアが上に跳ね上がり、スネアが締まって獣の足を捕らえます。

以下の動画にて、くくり罠の動作を分かりやすく撮影していますので、ご参考ください。

構成部品やパーツをご紹介

では、くくり罠を構成する部品やパーツについて見ていきましょう。くくり罠は主に次のパーツから構成されています。

まず「ワイヤー」ですが、獲物の足をくくる役割や、支柱となる立木に固定するなどくくり罠には欠かせないパーツです。キンク(ワイヤーが折れ曲がって元に戻らない状態)が生じるとワイヤーの強度が著しく下がりますので、交換頻度が最も高いパーツになります。

ワイヤーについては以下の記事でも詳しく説明していますので、ご一読ください。

「スリーブ」は、ワイヤーを結束する際に使用するパーツです。ワイヤーをスリーブの中に2回通して、専用の工具をつかってかしめる(加締める)ことによって固定します。ワイヤー端部の処理や、輪っかを作ったりする際に、必ず必要になるパーツです。

くくり罠の動力となるのが、「バネ」部分。このバネの性能は罠の作動を大きく左右する部分で、押しバネや引きバネ、松葉式(ねじりバネ)など複数の種類があります。

押しバネを使っている方が最も多く、圧縮させたバネが伸びる力を利用して罠スネアが締まります。逆に引きバネは、バネが縮む力でワイヤーのスネアが締まります。ねじりバネは、折り畳んだ状態からバネが開くことによってスネアが締まります。

バネの力が強いほど、罠の作動は早くなりますが、仕掛ける際に強い力が必要だったり、暴発でケガをするリスクも出てきますので、自分に合ったバネを使うのがポイントです。

※ねじりバネが最も力が強いですが、罠を仕掛ける際に誤って開いたバネが顔面に直撃して失明した事例などもあり、当店では押しバネ構造を採用しています。

「より戻し」は、別名「猿環(サルカン)」とも呼ばれるパーツです。くくり罠で捕獲した獣が暴れると、ワイヤーが捩れ(よじれ)たりすることでキンクが発生し、切れやすくなる恐れがあります。より戻しはこれを防止するためのパーツで、法令で装着が義務付けられています。

「くくり金具」は括ったワイヤーから獲物の足が抜けないようにするためのパーツで、獣が逃げようと引っ張れば引っ張るほど締まる仕組みになっています。くくり金具は、使う派と使わない派で分かれるパーツですが、当店では作動や仕掛けやすさを考慮して、くくり金具の使用を推奨しています。

「締め付け防止金具」はワイヤーが過度に締め付られることで、獣の脚が欝血を起こしたり、足をちぎれてしまうことを防止するパーツで、スネアが縮まりすぎないようストッパーの役割を果たします。こちらも法令により装着が義務付けられています。

この他に、支柱にワイヤーを繋ぐのに便利な「シャックル」や、バネの作動を保護するための「塩ビ管」などもくくり罠を構成するパーツに含まれます。

くくり罠で成果を上げるには?

実際にくくり罠を使って鳥獣被害の対策を講じても、なかなか成果が出ないケースも少なくありません。くくり罠の成果を上げるための基礎的なポイントをご紹介します。

獣のサインを見逃さない

獣はとても警戒心が高く、人の匂いや気配、音を敏感に察知します。そこでくくり罠を設置する場所を選ぶ際は、獣のサインを見逃さないようにしましょう。

具体的には、足跡やフン、食痕(しょっこん)などに注意を配りましょう。例えば、足跡のサイズやフンの量によって獣のサイズや性別を把握することができます。フンや食痕が新しい場合は、頻繁にその付近に獣が出没しているサインといえます。

くくり罠を設置するにあたって、もっとも重要となるのが足跡で、大きさだけでなく歩く方向や歩幅を読み取って、実際にターゲットがどのように足を運ぶか想像しながら設置すると良いでしょう。

また、イノシシの場合はヌタ場(泥浴びする場所)が近いと周辺の草木に泥が付着します。ヌタ場近くは頻繁に通う道がある場合が多いため、そういったサインも見逃さないようにします。草刈りをした直後や人が頻繁に通る場所は獣が警戒して近付かないため、罠を設置するのを避けるようにしましょう。

また、草刈りをした直後や人が頻繁に通る場所は獣が警戒して近付かないため、捕獲率は下がる傾向があります。

見回りやチェックを欠かさない

くくり罠を設置後は、定期的な見回りやチェックを欠かさないようにしましょう。可能であれば毎日確認するのがおすすめです。見回りをすることで、獣サインに気付いたり、新しい発見を得られることができます。また、捕獲した獣も必死に逃げようとするので、時には足を引きちぎって逃げる場合もあります。見回りを欠かさず実施することで、迅速な対処が可能になります。

罠を設置するには免許や許可が必要

くくり罠を含む箱罠や囲い罠といった罠を使うには、「わな猟免許」が必要です。また、捕獲できる動物の種類や狩猟期間なども細かく決められています。自治体によって取り組みに違いがあるため、まずは捕獲を行う地域の自治体担当課に問い合わせをしてみましょう。

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