くくり罠の成果を上げるためのコツ

くくり罠の成果を上げるためのコツ

くくり罠によるイノシシやシカの捕獲は、広大な土地の中で直径30cmにも満たない輪の中に獣の足を踏み込ませなければならないので、箱罠に比べると難易度が上がります。また輪の中に足を踏み込ませたとしても、空はじきしてしまい逃してしまうことや、足をちぎって逃げられることもあります。

この記事では、くくり罠の成果を上げるために重要となるポイントを説明します。

獣のサインをしっかりとチェックすること

こちらが息を巻いて獲物を探しても、獣は人間の匂いや気配、音を察知してそれを避けるため、人前に姿を現すことは滅多にありません。

警戒心の強いイノシシならなおさらです。 そのため、彼らが徘徊する道を知るためには、残った痕跡をしっかりとチェックすることが必要です。

ターゲットの獣になったつもりで、彼らがどのような動きをしたのかイメージしましょう。痕跡が新しいものなのか、古いものなのか、近いうちにまた通るのかを見極め、1週間以内にきっと来るだろうと確信を持てる場所を見つけたら、手際よく罠を仕掛けましょう。

なお、イノホイおすすめのくくり罠は安全装置がついているので、バネをセットしたままの状態でも安心して持ち運びができます。そのため、罠の設置時間を短縮することが可能です。

足跡

草の生えない冬場は足跡が鮮明になりますので、猟期中は特に注意深くチェックしましょう。逆に、猟期外の時期(特に夏場)は草が生えてしまって足跡が分かりにくくなります。足跡の形や歩幅から獣の種類、体の大きさ、雄なのか雌なのかを読むことができます。

フン

フンも足跡と同様、獣の種類や体の大きさを予想することができます。また、フンは時間が経つと乾燥してバラバラになりますので、新しいかどうか特定することが容易です。

食痕

イノシシは土を鼻で掘り返し、土中のミミズや昆虫の幼虫などを食べますが、掘り返しの深さで個体の大きさが大まかに推測できます。 ほかにも、ドングリやタケノコ、栗など、時期に応じた食痕が見られます。

どの時期に何が食べられるのか知っておき、食痕をよく観察しましょう。毎日使われる餌場が見つかれば、捕獲率はかなり高くなります。 ただし、掘り返しが多い場所では罠自体も掘り起こされる可能性があるので、そのような場所に罠を設置することは避けましょう。

その他の痕跡

ヌタ場は、イノシシやシカなどの動物が、体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落とすために泥を浴びる場所のことですが、新しいヌタ場近辺はねらい目です。 ヌタ場周辺には葉っぱや木などに泥が付着している場合が多いです。

それらの痕跡を確認しつつ、ターゲットが足を置くであろう場所を見定め、罠を設置しましょう。ただし、罠が露出したり正常に作動しない可能性のある場所での設置は避けましょう。

人間の痕跡がある場合は、獣が寄り付かない可能性が高いです。例えば近辺で草刈りが行われた、木を切る際に人の通り道ができたなど、そういった場所に罠を設置することは避けましょう。

設置した罠の見回りは毎日行うこと

罠の見回り頻度は、成果に直接結びつきます。

頻度を増やすことによって、「見に行ったら捕獲した獣が逃げてしまっていた」、などといったことも減らせますし、細かい変化に気づきやすくなります。たとえば、「昨日は無かった足跡が見つかった、この感じだと2~3日以内には再びこの道を通るだろう」など、こまかな気づきが得られます。

ただし、見回りに時間がかけすぎることは避けましょう。かかる労力が増えるということもありますが、頻繁過ぎると人間の痕跡に気づかれやすくなりますので、一日一回毎日見回りをする程度がベストです(毎日見回るというだけでも、かなり大変な作業です)。

また罠をかけていないエリアを見回ることも重要です。場所のアタリを何ヵ所かつけておいて、よく観察し、徐々にポイントを絞り込んでいきましょう。 新しい猟場を見つけたら、罠を数基設置してみて、様子をみてみましょう。

イノシシは縄張りを持たないので、良いポイントは数頭のイノシシが通ります。そのため、同じ場所で数回かかる場合もあります。 逆に、設置後2週間ほど様子を見ても獣が通った痕跡がなければ、罠を移動させましょう。

猟場近隣では、コミュニケーションを大切に

猟場近隣では人間同士のコミュニケーションを大切にしましょう。まずは積極的に挨拶をすること、可能であれば少し言葉を交わしてみましょう。少し言葉を交わしただけで、知らない者同士でも和やかなムードになる事がありますし、顔なじみになれば変に警戒されることを防ぐことができます。

また、積極的にコミュニケーションをとることによって、近所の人からターゲットの目撃情報など貴重な情報が得られるかもしれません。

上記以外にも重要なポイントは沢山ありますが、根本として大切になるのは探求心だと思います。よく観察して、自分なりに得られた気づきを大切にしましょう。

気づきを重ねることによって、獣の賢さが見えてくると同時に、徐々に技術が向上していくことはもちろんのこと、捕獲率や精度(右足を狙うのか左足を狙うのか、前足なのか後ろ足なのか等)も高まってくると思います。

くくり罠で捕獲できるようになるまで長ければ数年を要す場合もあり、成果が出るまでに諦めそうになることもあるかもしれませんが、この記事の内容が少しでも助けになれば幸いです。

こちらの記事もどうぞ>> 【イノシシ捕獲】空ハジキ(から弾き)を減らすための、くくり罠テクニック。

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