鳩やカラスが飛来する場所に設置して、物理的に止まりにくくするための防鳥ワイヤー。一番の特徴としては、ネットや剣山など他の防鳥対策商品と比べると、目立ちにくいという点です。そのため、景観を崩すことなく防鳥効果が出せるというメリットがあります。
防鳥ワイヤーの効果
特に鳩にいえることですが、彼らは居心地の良い場所を常にリサーチしています。そして、気に入った場所に執着しようとする縄張り本能と、追い払っても戻ってこようとする帰巣本能が非常に強いです。
執着を持った場所には長く滞在することになるので、その分糞害や鳴き声(騒音)被害が酷くなります。
よって、彼らが場所に執着しだす前のできるだけ早い段階で諦めさせることが重要になります。そのためには、彼らにとって飛来がしにくい・居心地の悪い場所にすることが必要です。
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鳩を追い払うのに効果的な方法は?防鳥ワイヤーは、物理的に飛来防止するための一つの手段になります。
鳩などの鳥類が場所をリサーチする時は、いったん構造物の縁に止まって、その場所の安全性や居心地、羽休みや待合のための場所として適しているのかをチェックします。
こういった場所に防鳥ワイヤーを張っておけば、物理的に止まりにくくなったり、羽を羽ばたかせる際に邪魔になったりするので、彼らにとって飛来しにくく居心地の悪い状態にすることができます。
防鳥ワイヤーの構造
防鳥ワイヤーは、支柱(支持金具・ステイとも呼ばれます)を使ってワイヤーを張る構造になっています。 ワイヤーや支柱の他には、張ったワイヤーのテンション(張力)を適正に保ったり、ワイヤー交換を容易にするためのスプリングが必要になります。
ワイヤー
ワイヤーは耐食性に優れるステンレス製のワイヤーロープが使われるのが一般的です。
ワイヤーロープ径が太すぎると、鳥の種類によってはワイヤーを掴んで止まることができますので、ある程度径が小さく、かつ耐久性も問題ない径のものを選ぶ必要があります。
例えば、鳩の場合はワイヤー径が1.0mm以上になると、ワイヤー上に止まるケースが見られるようになります。一方で径が0.7mmを下回ると、強度が不足して切断や損傷によって張替えが必要となる可能性がでてきます。
そのため、鳩対策の場合は、は0.7mm~0.9mmのあいだの径を選択すると良いでしょう。
※鳩より体の大きいカラスやウミネコの場合は、より径が太いワイヤーを使用する場合もあります。
また、体の小さいスズメなどの場合は細いワイヤー上でも掴んで止まることができるため、防鳥ワイヤーでは効果が出ないことが多いです。そのため、防鳥ネットによる侵入防止対策が取られることが多いです。
なお時折、釣り糸(テグス)をワイヤーとして張っているのを見かけますが、ステンレスと違って紫外線に弱く、鳩対策としては強度が足りないため、頻繁な張り替えが必要になる可能性があります。頻繁な張り替えが前提であれば問題ないのですが、恒久的な対策とするのであれば避けたほうが良いでしょう。
設置場所に応じて支柱(支持金具・ステイ)を選ぼう
支柱(支持金具・ステイとも呼びます)は、ワイヤーを張るための支柱になります。現在販売されている支柱は、ワイヤーを2段以上張れるタイプが多いです。もちろん、1段張りよりも2段張りのほうが効果は高くなります。
支柱については、ベランダの手すりや構造物の骨組みとなるH鋼など、設置する場所の形状にあわせて、金具の形状を選択する必要があります。
設置事例としては、例えば歩道橋の橋脚に使用されるH形鋼やL形鋼にクランプ型(鋼材の厚みに合わせて噛みこませて、ボルトを締め付けることにより固定する方法)の金具を使用して支柱を設置したりします。
また、振動が生じる場所の場合は強い締め付けが可能なタイプの支柱を選択したりもします。
また、パイプ型の個所に支柱を設置する場合は、パイプの外周を締め付けるような形で固定したりします。パイプ径によってはうまく締め付けができない場合があるので、あらかじめ設置場所の太さを確認し、適合する支柱を選択すると良いでしょう。
平面の場所のため、噛みこませたり締め付けたりすることによる固定が難しい場合は、支柱のベース部分をビス止めすることによって固定したりもします。
接着剤による固定もできないことはありませんが、固定強度が弱く、紫外線や風雨などによる劣化によってせっかく設置した防鳥ワイヤーが落下する場合もあるため、おすすめしておりません。
テンション調整用スプリング(バネ)
張るワイヤーのテンション(張力)を適正に保ったり、ワイヤーの取付や交換を容易にするために、スプリングが必要になります。
通常はスプリングにワイヤーを取り付ける際にスリーブを使ったカシメ(加締め)作業が必要になりますが、スリーブ機能とスプリング機能が一体化してワイヤーを差し込むだけでスピーディーに取付ができるタイプもあります。
スプリングを設置する際に気を付けたいのが、スプリングの設置個数。ワイヤーのテンションを適正にするため、支柱は2メートル間隔で設置することをオススメしていますが、スプリングは4mごとに取り付けます。
※スプリングを多く取付けすぎると、そこを足場とされる場合もあるので、注意が必要です。 また、コーナー部や終端部にも必ずスプリングを設置します(以下の図をご参照ください)。
2m | 10m | 20m | 50m | 100m | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1段張りの場合 | 支柱 | 2本 | 6本 | 11本 | 26本 | 51本 |
ワイヤー | 2.5m | 11m | 22m | 55m | 110m | |
スプリング※ | 2個 | 6個 | 10個 | 26個 | 50個 | |
2段張りの場合 | 支柱 | 2本 | 6本 | 11本 | 26本 | 51本 |
ワイヤー | 5m | 22m | 44m | 110m | 220m | |
スプリング※ | 4個 | 12個 | 20個 | 52個 | 100個 |
設置の際の注意
もし鳩の糞や羽がある場合は、必ず綺麗にしてから設置しましょう。特に接地面はあらかじめきれいに清掃し、完全に乾燥した状態で作業するようにしましょう。汚れや水分があるとしっかり設置できません。
また、奥行がある場所で鳩が隙間に入り込む恐れがある場合は、ワイヤーの設置に加えて防鳥剣山を設置して隙間を埋めるようにすると確実に効果を出すことができます。